2024/08/16 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区」に夏虎さんが現れました。
夏虎 > 大通りからすこしばかり外れた河川沿い。
透き通った水がさらさらさらと流れる音と水の流れに運ばれる風は比較的涼やか。比較的。
日差しは強い。
湿気も強い。
蒸し暑い。
風鈴を軒先にくっ付けて、人の頭ぐらいもある特性氷を銀皿に乗っけて番台に設置して……
尚蒸し暑い。
しかし、かんかん照りの大通りよりはいくらかは、いくつかの工夫と場所選びで比較的マシな場所で屋台が営業中。
手作り感&手塗り感がどばっと溢れる水色の屋台。幾本かある幟には
『夏天的药店(夏さんのお薬屋さん)』『滋養強壮』『肩凝り腰痛』
等等の謳い文句が北方語に王国語の振り仮名つきの達筆で手書きされている。

「……桃饅頭になっちゃう……」

桃饅頭とは? 小麦粉製の皮で餡を包んでから桃の形にして蒸しあげて作る北方から東方にかけての菓子である。
桃色の頭と白い肌をかけた冗句を、誰に聞かせるわけでなく独り言で呟きながら、
屋台の番台の向こうで、ぐでっ! と椅子の上でへたれる桃髪店主。
北方から流れてきてそれなりに経つし王国の暑さにも慣れてはきたが暑いものは暑い。
相変わらず宜しくない売上も相俟ってテンサゲ真っ最中だがまだ店は畳まず一応、営業中。

ご案内:「王都マグメール 平民地区」から夏虎さんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にイグナスさんが現れました。
イグナス > 連日の暑さに比べ少しは冷えた、ようやく少し。
ふ―――と大男が、夜の空気に息を吐きだした。

「そうは言ったってなァ。」

確かに冷えたが、暑いことに変わりはない。じとりと衣服に張り付くような、べたついた汗が滲む。
涼みたくて夜の街を歩いているんだけど、このありさまだった。
そもそも街がまだ眠っていない。
煌々と灯りが光り、夜店や待ちゆく人々の喧騒も変わりはないのだ。

「ヤレヤレ、ちっとは涼みてェンだけど。」

ふい、と肩を竦めてもう一度息を吐いた。
――ぎしり、ぎししし、と音を立てて路地のベンチに腰を下ろす。重量オーバーだった。
椅子もギブアップ気味だが、自分も同じようにぐでん、と力を抜いて空を仰ぐ。
力が完全抜けて、行き倒れの風情だ。道行く人も胡散臭げな視線で、広く男を避けて歩く有様で。