2024/07/29 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にクレイドルさんが現れました。
■クレイドル > 平民地区の賑やかな大通りから少し外れた路地裏の辺りにスポットを当てる。
人通りは滅多に無く、辺りを囲むように建っている家屋の窓辺に明かりは灯っておらず住民の気配は極めて薄い。
道幅は余り広いとは言えず、大人が腕を左右に一杯に延ばせば其々の建物の壁に届く程度。
そんな場所に机を出してこじんまりと陣取っているシスター服の女が一人居る。
時刻は夜更け頃に近しく光源と言えるものは天高きに瞬く青白い月光。
そしてテーブル上に鎮座している銀の燭台に点てられた蝋燭の灯火となる。
それらの薄やかな照明によって照らし出された看板を見るに、どうも手相を診る、占術の類の店構えである様だ。
ウィンプルがあたかも占い師のフードの様に被さって、ミステリアスな陰影を形作り、そこに笑顔を湛えている口元だけが露出しているように見える。
■クレイドル > 「…あら」
少し描写足りずであった。この場に居合わせているのは決して一人だけではない。
凍り付くような静謐を保っていた場にとくんと弾む鼓動を察知して、手袋を嵌めた手指が撫でつける。
己自身の纏っているシスター服、今にもはち切れんばかりに膨れ上がっている、どう見ても孕み胎でしかない下腹部を。
臍のラインがくっきりと内側から衣類の生地に張り付き、それが故に胎動の小波は著明なまでにその腹を内より揺する。
「大丈夫ですわ、大丈夫。わたくしが居りましてよ……それに運が良ければ、もう一人増えるかも知れませんわよ?」
宥めるような小声の囁きに従うかのように。
ぬる。じゅる。と。慎ましく椅子に座している両足の間から粘質の絡んだ水音が立ち込める。
もしもこの場に誰かが他に居たならば、ほんの一瞬衣装の腰横から食み出す、蛸足を彷彿させる触腕を目視する事になった筈。
胎のゆりかごに横たわっているのは人の子ならぬ者。そしてその子供の為にも、こうして此処に座しているという次第なのだ。