2024/07/27 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にグスタフさんが現れました。
グスタフ > 街の宿屋兼食堂で朝食兼昼食をかじる。
今日は胡桃の入ったパンだが、噛んでも噛んでも飲み込めない。
仕方なしに、無理やり苦い珈琲で流し込んだ。

食後に一服、煙草を吹かしながら窓の外の街並みを眺める。
変わったこともない。日は昇り、一日が始まる。

この宿屋、食事もちょっとした有名店であったが。
出会い系の宿としても知られている。カウンターでいくらか払うと色つきの札がもらえる。
札の内容によって、友達募集やらセフレ募集やらいろいろあるわけだ。
今、男はセフレ募集の札を下げて、ぽけーっとしている。
夜ならば出会いの一つもあったかもしれないが、今は食事に来る客ばかりのようだ。

ご案内:「王都マグメール 平民地区」からグスタフさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区/道具屋」にシャニスさんが現れました。
シャニス > 「これで依頼の品は全部ね」

平民地区にあるあまり大きいといえない道具屋。
そこの受付でギルドで受けた依頼の採取物を納品して報酬を受け取る。
本当ならギルドで行うことだが、この依頼は依頼主が直接という条件だったのでこうして足を運んで。

そして届ければ状態がなどの文句はあったが、依頼通りの報酬を受け取ることができ。
このままギルドでもう一度仕事を探すなり、宿に戻るなりすればいいが。
次の依頼の準備というようにポーションなどの消耗品を見ておくことに決め。

そして依頼主の店主が見ている中、商品棚を眺めて必要なものの値段を確かめて。

ご案内:「王都マグメール 平民地区/道具屋」からシャニスさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にユーリさんが現れました。
ユーリ > 夏の夜。少女は涼を求めて、宿の厩からほど近い大衆用の井戸端に来ていた。
借り受けた木桶に地下から汲み上げた水を張り、買っておいた小ぶりの甘瓜を浮かべる。
別名をマクワウリともいう黄色の楕円形は、ほんのりと甘い香りがする旬の品だ。
本当はしっかり冷やして食べると美味しいらしいが、流石に贅沢というものか。
桶ごと抱えて近くの石段の角に腰掛けると、ナイフで甘瓜を手早く切り分けて。

「……いただきまぁす」

はむ。小さな口に目一杯、瓜を収めて齧り付く。溢れ出るさっぱりと甘い果汁がなんとも快い。
しゃく、しゃく、むぐむぐ。食べ盛りには多少物足りないが、それでも夕食の代わりに丁度よい。
水分補給にもなるから、一石二鳥というものか。ともあれ、少女は小動物めいた咀嚼を繰り返していた。

ご案内:「王都マグメール 平民地区」にタマモさんが現れました。
タマモ > 「………」

暑い日々が続くのは、どこも同じものか。
それも、夜となれば和らぐも…まぁ、本当に和らぐ程度のものだ。
それでも、日中動くよりもマシかもしれない、そう思っての夜の散歩。

そうした中、ふと、どこぞの井戸端で見付けた光景。
何かに水を張って、そこに漬けてあった何かを食べている、誰かの姿。
難しく考えずとも、水に浸して冷やした何かを食べているのだろうと、分かる状況で。

そんな少女を見詰める存在は、屋根の上。
美味しそうに食べているだろう、そんな光景を見詰める視線は、きっと強く感じるだろう。
それに気付き、ふと視線を上に向けてみれば…
そこに映るのは、屋根の上から身を乗り出し、じーっと見詰める、異国風の着物姿の、変わったミレー族のような少女。

ユーリ > 太陽の日差しで散々に熱せられた石畳は日が沈んだ後もなお熱を帯び、水場の近くでは湿気が加わり蒸し暑い。
お陰で薄手に仕立てたローブの中はじっとり汗に濡れていて、今なお肌に玉のような汗がいくつも浮かんでいる。

「……うぅん、涼しいお部屋が恋しいですねぇ。ないものねだりですけども」

とは言え、快適な室内に逃げるのは財布の中身的に不可能だ。甘瓜を買う金はあるが、宿を借りられるほどではない。
故に、こうして暑気が抜けていく夜更けを待ちながら、ぬるい水と美味しく思える甘瓜をお供に佇んでいる始末。
しゃくしゃく、むぐむぐ。こぶりと言えども少女の矮躯からすると抱える程の甘瓜をおよそ半分平らげた頃のこと。
次の一切れを作り出そうと塊にナイフを走らせようとしていた刹那、何やらこちらを見つめる視線に気がついた。
横や後ろであれば気にせず作業に取り掛かるつもりだったが、気配のある角度は斜め上。屋根の方だからつい見上げて。

「……ほむ?」

視線の先、見つけたのは異国情緒溢れる衣装を纏った同族の、しかし自分よりも遥かに立派な雰囲気の女性だった。
きょとん。少女からすれば何故見つめられているかも分からず、ただ呆けて見上げるばかり。そして僅かに首を傾げる。
衆目に向けては幻惑の魔術で耳や尻尾を隠しているものの、その類の造詣が深ければ白銀の耳や尻尾すら見通せるかもしれない。

タマモ > とりあえず、少女が何か呟いてる。
その呟きに耳を傾ければ、涼しい部屋が恋しいとか、無いものねだりとか、そんな言葉が聞こえてくる。
細かくは分からないが、部屋が取れなくて困ってる?
ざっと見た感じ、人…っぽいが、感じる雰囲気は、それとは少々違う。
幾人ものミレー族と出会ってるからこそか、なんとなく、でそれっぽいとは分かる感じか。
…まぁ、まだ確証を得ている訳ではないが。

と、そんな事を考えながら眺めていれば、少女がこちらに気付いたようで。
視線がかち合い、さて、どんな反応を…と思って見続けていたら、ただ首を傾げただけだった。
いや、うん、それくらいの反応だったら、ある意味ありがたい。

よいせ、と屋根から身を滑らせ、ふわりと身を躍らせれば。
しゅたんっ、と華麗な着地を少女の前で見せる訳で。
挨拶代わりにか、ひらりと手を振ってみせようか。

ユーリ > 見上げる先、紫から濃紺に至る空を背景に、街路の篝火の揺らめきに照らされる彼女はどこか神秘的だった。
只人であった頃よりも夜を良く見通す猫の目には、彼女の艶めく毛並みも着物の柄も確かに見える。
あれは狐のものだろうか。最初の感想はふかふかして気持ちよさそうだなぁ等という呑気なもので。
その矢先、彼女が屋根からひょいと身を躍らせたのを見ると、目を丸くしながらわたわたと。

「あわわっ、そんな高い所から飛び降りたら、怪我――」

若干遅い制止の声。しかし彼女は少女の前に重さなどないと言わんばかりの華麗な着地を見せつける。
そして、何事もなかったとでも示すかのように振られる手。挨拶代わりのそれに、思わず手を振り返しつつ。

「――しませんでしたね……うぅん、凄いなぁ」

いらぬ心配だったか、と苦笑を浮かべながら、素直に感想を口にして。
慌てた際に手元から転げ落ちた甘瓜が、ぷかぷかと木桶の中で浮いていた。

タマモ > 屋根程度の高さから飛び降りる、己からすれば、その程度と言える芸当だ。
しかし、少女からすれば、そうではなかったらしい。
身を躍らせ、地面へと着地をする己を見遣り、驚いているのが手に取るように分かる。

まぁ、うん、己に向けた言葉からも、それは良く分かったものなのだが。

「うむ、まったく怪我なんぞしておらんぞ?
こんなもの、芸当とも言えぬものじゃからのぅ?」

心配した自分に苦笑し、素直な感想を口にする少女。
そんな様子に、うんうんと満足気な笑みを浮かべれば、手を振った挨拶の後、ずぃっと近付いて。

「そうであっても、驚かせてしまったようじゃな?
いやぁ…うん、まったく、可愛らしい反応を見せてくれるものじゃ」

手元から、桶に張った水の中へと堕ちた甘瓜。
とりあえず、驚かせて地面に落とす、との心配がなくなれば。
一度、少女の顔をまじまじと見詰めたのち…そう囁けば、手を伸ばし、叶えばぎゅぅっと抱き締めてみるのだ。

ユーリ > 元は貴族の箱入り息子で、呪いにより性別と種族を作り変えられて放逐された世間知らず。
そんな来歴を持つ元少年な少女からすれば、華奢な女性が無傷で屋根から降りてくる姿には驚嘆を禁じ得ない。
だが、実際に目の前で起きた現実を素直に飲み込む柔軟性はある。故に、彼女を見る視線には憧憬が含まれていた。

「そう、なんですか? ふむぅ、達人さんってことでしょうか?」

世の中には物事を極めた凄い人達も居ると聞く。原理はわからないが、きっと彼女もそんな人なのだろう。
勝手に解釈して勝手に納得している少女だが、その思考はすっぱりと途中で止まってしまう。なぜならば――。

「あ、えぇと、驚きましたが、ボクが不利益を被ったりした訳ではないですし。
 ですから、ボクのことはお気になさらず――わぷっ!?」

――見上げていた美貌が肉薄して、甘やかな香りと共に柔らかな感触で包まれてしまったからである。
最初は理解が追いつかず、とは言え彼女の服が濡れてはいけないと辛うじて残った理性が木桶を脇に除けて。
その分、二人の密着を妨げるものがなくなると、余計に彼女の温かさや柔らかさが身近になって、心地よい。

「あ、あの、あのっ、えぇ、とっ!?」

戸惑いと困惑とで上ずった声は、状況を飲み込みきれずにいる事を如実に示す。一瞬ですっかり骨抜きだ。
なにせ、外見は少女でも中身は少年なのだ。年上の美人に抱きしめられれば否が応でも胸の奥がどぎまぎしてしまう。
服の中で自らに残された唯一男性的な部分にも血が通うのも分かってしまって、咄嗟に上から手で抑える始末だった。