2024/07/17 のログ
■エレイ > そのまま、男の姿は遠ざかり──
ご案内:「王都マグメール 平民地区」からエレイさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にミンティさんが現れました。
■ミンティ > すっかり夏めいたある日の昼下がり。出張鑑定の仕事を終えた帰り道、暑さに負けて、大通り沿いの小さな公園に逃げこんだ。
いつもは首元までしっかり留めているボタンをさすがに緩め、襟元を摘まんでぱたぱたと、服の中に風を送りながら、ふうっと一息。
公園の入り口に出ていた屋台で買った冷たい飲み物を頬に当てて、火照りを癒しながら目を閉じる。
「ん…」
冷たさが心地よくて小さく声がもれる。しばらくそうしていると暑さからきていた疲労もましになってきたような気がした。
ぬるくなってしまわないうちにと飲み物に口をつけて、身体の内側からも冷やされるような感覚に目を細くして。
こんな日は遊んでいる子どもたちも涼しい場所に逃げこんでいるのか、いつもなら賑やかな公園もすこし静かだと感じられた。
休憩するにはいい雰囲気で、ベンチの下、ぶらぶらと足を揺らしながら、背凭れに身を任せて。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にグラムヴァルトさんが現れました。
■グラムヴァルト >
「そーしてっとテメェ、丸っ切りガキだよな。」
ス…と少女に影が差す。
それに合わせて投げかけられるのはしみじみとした、実に失礼な感想だ。
日差しを遮る長駆は灰色の蓬髪と、靭やかに鍛え上げられた浅黒い肌の体躯が目を引くゴロツキ――――では無く、グラムヴァルトという名を持つ冒険者もどき。
「よォ、久しいな。オレにもちょいと寄越せよ、それ」
強い日差しを背に受けている分、普段よりも一層色濃い影を落とす眉庇の三白眼がニヤリと口端を持ち上げながら少女の隣に腰を降ろし、無造作に伸ばした長腕で彼女が口にしていた飲み物を奪い飲もうと試みる。
その動きに合わせてふわりと香るのは、太陽と埃と汗の匂い。
ベッドの中、覆いかぶさる胸板が散々に少女に嗅がせて来た獣の体臭。
■ミンティ > 買ってからあまり時間が経っていないけれど、早速溶けた氷が細かく割れていて、使い捨てのカップの中でからからと音を立てている。
飲み物の味もその分だけ薄まっているかもしれないけれど、今は冷たさの方があればそれだけで嬉しいもの。
身体の内側からも冷たさが広がってくると、時々吹く風も涼やかなものに変わったように感じられて。
くたりと力を抜いて身体を休めていると、不意に影に覆われる。元々木陰のベンチだったけれど、二重の影で涼しく感じるのと、間近に人がいる熱さ、どちらが勝っているかは判断に悩むところ。
「……ん」
会って早々に子ども扱いされて、むっと眉を寄せた。けれど言い争いしても暑さが増すだけだと思うと、反論はせず、手にしていたカップを隣の彼へと差し出して。
「…暑いですね」
小さな声でぽつんと静かに呟く。斜め上に見上げるように視線を向けて。
■グラムヴァルト >
表情に乏しい童顔が、こちらの軽口に合わせて不満げに歪む。
そんな変化が、ただそれだけの変化が愛らしく愛おしい。
無論、そんな本音は噯にも出さぬが。
「ごっ、ごっ、ごっ、………っぷはぁ! 何だコレ、ウメェな。どこで買って来たんだよ?」
抵抗するでもなく大人しく差し出されたドリンクを、こちらはさも当然の様に一気飲む。
氷の欠片までもざらざらと口腔に流し込み、カップを空にしてしまう。
「だな。オレの肌ァ闇に紛れるには都合が良いんだけどよォ、日差しがやたらと集まって来やがンのがな……。」
肉食の牙列でがりがりと氷を噛み砕きつつ、独り言めいて発せられた少女の言葉に相槌を打つ。
互いに座していてさえ20cmはあろうかという身長差が、少女よりも高い位置からギラ付く陽光を忌々しげに睨み上げる。
■ミンティ > 緩めていた襟元に手を伸ばして、外していたボタンをこっそりと留める。今さらそのくらいのだらしなさをどう言われたりもしないだろうけれど、なんとなく気になってしまって。
深く凭れるようだった姿勢も、背筋をまっすぐ伸ばしたものに直すと、ほんのわずかながら互いの頭の位置が近くなったような。それでも遥か上にある彼の顔へ視線を向けるには、首を反らさなければいけなかったけれど。
「…全部飲んだ…。……あっちで、売っていましたよ」
一口か二口飲んだら返ってくると思っていたカップを空にされて、すこし恨めしげにつぶやく。
それでも問いかけには公園の入り口を指差して。自分が入ってきた時にはあったはずの屋台がもうなくなっているのを見て、あれ、と小首を傾げた。
今日は子どもたちもすくなかったから、商売する場所を変えたのかもしれない。
飲まれてしまった分は買い直そうかと思っていたから、残念そうに肩を落とし。
「どこか…涼みにいきますか?」
いろいろ文句も言いたいけれど、暑さのせいでその気力もわいてこない。今は木陰だけれど、時間とともにここも日光に浸食されてしまうだろう。
それならと、小首を傾げながら問いかけて。
■グラムヴァルト >
「―――ハ、ンな顔すんじゃねェよ。帰りに買ってきゃあ………て、店なんざねェじゃねェか……。」
楚々と胸元の乱れを整える所作を三白眼で見下ろしながら、逆説的な色気を感じて下腹を疼かせる。
何気なく周囲に巡らされた銀眼が探るのは、人目と日差しを遮る場所。
程よい場所が見つかるならば、そこに少女を連れ込んで欲望のままに如何わしい真似をしようというのだ。
とは言え少女の住処まで持たぬという程の劣情を催しているわけでも無く、いつもの様に長駆にとっては狭苦しい彼女の寝台までは大人しくしている事も出来るだろうが。
「オウ。 ―――――でもよォ……」
少女の提案に一つ頷いた狼は、邪な笑みを浮かべた凶相をスッと桃髪の頭部に寄せて低く掠れた囁きでその鼓膜を擽った。
「暑ィ中、更に汗かくっつぅのもオツじゃねェか?」
傍から見れば鋼の筋骨を有する長身が年端も行かぬ少女に覆いかぶさっているかの様にも見えるだろう。
その距離感が一層強く香らせる牡の汗臭が少女に想起させるのは、怒張を深々突き込まれ、汗を散らして喘ぎ鳴く己の姿。
そんな妄想で作った少女の間隙を縫い、節くれだった無骨な手指が華奢な白手を握り取り、立ち上がりざまに引き寄せる。
そのまま移動する先は、公園内の手近な茂みか、涼し気な小川の畔か、それとも狼の匂いも薄れつつある少女の家の寝台か―――。
■ミンティ > いつの間に店じまいしていたんだろうと不思議に思うものの、それだけ自分がぼーっとしていた証左でもあるのかもしれない。
いずれにしても彼に買い直させる事も叶わなくなってしまった。自分はまだ二口程度しか飲んでいなかったという惜しさもあって、自然と眉間が狭まって。
「買えないじゃないですか」
屋台が移動したのは彼のせいでもないけれど、つい八つ当たりみたいな口調。
いらいらしても暑くなるだけと自分に言い聞かせて、せめて気持ちくらいは涼やかな状態で保っておきたい。そう思っているところで急に身を寄せられると、反対側へと上半身を傾けて。
「暑いのに、暑苦しい話をしないでください……」
思わずこぼれた溜息。彼の口に時と場所を弁えさせるのは諦めているし、誰にも聞かれていないような状況だから、まだいいのだけれど。
小言っぽい事を細い声で返している間に、手を取られ、ほぼ強引な形で立ち上がらされた。
あれこれとぶつくさ言っていたりはしたけれど、一歩遅れて引きずられるように連れていかれる最中、その顔は先ほどまでよりも和らいだ表情を浮かべていたようで…。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」からグラムヴァルトさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」からミンティさんが去りました。