2024/05/18 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にグスタフさんが現れました。
グスタフ > 昼の熱気は、夜の寒気に変わった。
服装を間違えたか、羽織り忘れた上着が恋しい。
咥え煙草に種火を探すが、マッチは上着とともに置いてきた。
火のつかない煙草を咥えて、ため息交じりに吐き出した。

街はといえば相も変わらず狂乱の夜を思わせる。
闇を切り裂く街灯も心もとない。
足早な影。鼓動が少し早い。
合いの手のような踵鳴る石畳。

少し酒をヤリすぎたか。全て悪夢のようなものだ。
女のひとりでも抱けば気は晴れるのかもしれないが。

ご案内:「王都マグメール 平民地区」からグスタフさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にサリスさんが現れました。
サリス > ――朝の街路でのこと。
学生服着込んで古ぼけた学生鞄を提げ大通りから一本入った人影もまばらな通りを自宅から学院までの通学路として使っていた女生徒。
普段通り、授業に間に合うように家を出て朝でなくとも終始眠たげな眼をしばたきながらマイペースに一人登校していたのだが。

いつも通りの朝は不意に、

「…………?」

背後から駆けてくる一つの足音によっていつもとは違う朝に変わった。
どこかへ急ぐ足など朝の街並みであれば特段珍しくもない、最初は近づくそれを気にも留めていなかったのだが、その黒い人影がすぐ脇を走り抜けた刹那。

「―――っ……⁉」

唐突に焼けるような痛みが右太腿に縦に真っ直ぐ奔り、思わず声にならない声が漏れた。

一瞬何が起こったのか解らず、走り抜けていった見たこともない男の手に鈍く光るものを認め、痛みを感じた箇所を見てみると。
右脇側の腿から裾までざっくりと縦に裂かれた黒いスカートと、表皮の薄く切られた太腿。

「………は……」

事態の把握に少々時間を要しその場で唖然と佇む女生徒の脚から血がツ――と一筋生暖かく伝い落ちた。

ご案内:「王都マグメール 平民地区」にトロットさんが現れました。
トロット > 欠伸を殺しながら朝の通りを歩く。
本日は冒険者稼業は休日なので学院に向かう道すがら。
服装は普段冒険に出ている時とほぼ変わらず、短杖二本も腰にさして。

宿の出口の有る路地から通りへと出て、ふとその視線が違和感を捕らえる…近くを歩いている少女とその後ろから走ってくる人影。
その人影が少女の脇を駆け抜ける瞬間、白刃の煌めき。
少女のスカートが縦に割かれ、その奥の肌に赤い線が産まれる。
眠い頭とはいえ冒険者である、その状況を瞬時に判断して、少女と刃を持った人影に対し駆け出し。

「なにしてんだ、おらぁっ!」

そんな言葉を男に掛けながら、駆け寄った勢いのままに横蹴りを食らわせると同時に少女の前に立って。
素早く腰から二本の短杖を手に取る、傍から見れば剣の柄にしか見えないので、知らない人間にはその行動の意味が判らないかもしれないが。
そんな事は気にせず、少女を背にしたまま男を威嚇するように杖を動かして見せる。

サリス > 高温に差し掛かってくると空気と人の頭が温められて妙なのが湧く……
通学途中に変質者が湧くのも最盛期と言ったところか……
暢気に分析している場合ではなく、痛い……スカートだけ裂く予定だったのか否かは知らないが、肌が薄く切られてしまって焼けるような痛みが走る。

「………めいわくな……」

裂かれた腿を抑えながらぼそっと呟いてスカートを裂いて走って行く頭のおかしな男の背中を見やって、もうあの勢いで逃げられたらどうしようもないな――顔も見ていないし、と悠長に考えていれば。

「ぁ……」

横合いから駆け出してきた小柄な人影が威勢を上げながらスカート裂き魔を蹴飛ばした。
思わず、ぱた、り…と瞬く双眸。
なんともおっとり調子の被害者と――蹴飛ばされて転がりながら、スカートを裂くという目的は達したので捕まらない内に逃げようと蹴りにダメージを負って呻きながらもよろけながら立ち上がって逃亡を図る変質者。

逃げようとする変質者と刀身のない柄を構えている少年を交互に見やって、徐にぽむ、と少年の肩にぽむと手を置いて。

「ありがとうございます。無理せず大人を呼びましょう」

淡々と冷静に一言。

トロット > 変質者か切り裂き魔か判らないが、流石に目の前で襲われていれば放っておけない。
蹴り飛ばした後ですぐに少女の前に立つ動きはそう言った行動への慣れを示している。
そうして守るための位置取りに立った所で男を見直す。

男は直ぐに立ち上がると、よろめきながら駆け出していく。
それを追おうと駆け出そうとした瞬間に、肩に少女の手が置かれて。
駆け出す機会を失って。

「とと…って、いいのか?
ああいうのは捕まえた方がいいとおもうぞ?」

少女の言葉に振り返ると幾度か男と少女を交互に見返し。
これでも実力的にはああいう手合い程度は問題無く対処できるという自負はある。
とはいえ、怪我をした少女を残すのも気が引けて。

「…ん…ん、それじゃ守備隊に後でつたえとくか…。
その怪我、応急手当てくらいしとくか?」

少し考えて後で守備隊なりに伝えればいいかと納得し。
短杖を腰へ戻すと、振り返り少女へ問いかける。

サリス > 「仮にも相手は刃物を持っていますからね……ああいうのは大人に任せておきましょう。
 どうせ一匹捕まえたところで後から後から湧いてくるでしょうし治安に変化はないでしょう」

武装した風な少年であるが――見た目の結果は丸腰である。
自分よりちみこいのに勇敢ではあるようだが、無理をさせる訳にも行かない。
これでなんかあって私にも火の粉が降りかかってもそれはそれでより一層面倒くさいです。と日和った女学生はふる、ふる、と首を左右に振って彼の肩に置いた手をそっと放しつつ。

「貌とか見ました? まーどうせ捕まらないと思いますけどね……あんなのよく湧いてますし。
 ……ああ、さすがにこのままじゃ登校できませんね……」

衛兵は当てにならない、現行犯でないと難しいだろう。逃げおおせるとは踏んで。
太腿から縦に裂けて紅く滲む皮膚を抑えながらいたた…と余り動かない表情ながらそう声に出して、スカート…と裂かれた布地を寄せ集めながら溜息を吐き出した。

トロット > 「ん…あんたがそれで良いなら俺は良いけど…。
あー、確かにこの国じゃ変なのもおおいしな、一人二人減っても、か」

知らない人間が見れば、柄だけ構えていたことになる。
被害者がそういうならとコートの内へ柄を仕舞う。
よくみれば自分より身長の高い相手であり、とはいえ見た感じ10代後半かと当たりを付け。
首を左右に振る少女が相手が逃げたからか其処まで怖がってない様子を見て、どこか安堵し。

「いや、貌を隠す感じでフード被ってたし…だからこそその場で潰すのが早いけど。
スカートは俺じゃ直せないけど、傷ならこれ塗っとくと、いいぞ」

衛兵などがあてにならないので、本当はその場で対処したいのだが。
腰につけているベルトポーチへ手を入れ、小さな入れ物に入った軟膏を取りだす。

「祖の位置なら自分で塗れるよな?
あ、一応言っておくとそれ実習で作ったのだから最低限の効果しかないと思うぞ」

裂けていたスカートから覗く肌に見えた赤い線をチラリと見つつ、軟膏を手渡す。
其処を隠す様にスカートの布地を集める様子に視線をそらし。

サリス > 「千年経とうがああいった手合いは滅びやしませんよ。
 今日は奴にもちょっとピンチだったのでさすがにしばらくは大人しいでしょう」

彼が蹴りを入れたお陰で抑止力に放ったはずだ。
捕まってもどうせすぐに釈放されそうではあるし、結果は大きく変わらないだろう。
それよりも肝の据わったというか基本的に情緒の薄い女学生は小さい子が変質者に喧嘩売りに行くもんではない、なんてことをしみじみと考えていた。

「いいですよ、あなたが怪我をした方が厄介ですし……傷も浅いので。
 ……薬ですか?」

もう少し説得力のある見た目なり装備なりを見受けられたら多少は頼りにしたかもしれないが……見た目的にはいろいろ不安を覚えたので二次災害を避けて。
準備がいいな、と感じながら取り出された容器に小首を傾げ。

「ええ……えっと……自作ですか……? 微妙に不安を覚えるのですが……実習……あなたも学院生で?」

子どもの作った薬とか微妙に安心できないが……厚意で手渡されたものを突き返すのも失礼かと躊躇しつつ受け取り。
受け取ったが、手にしたまま基本的に茫と無感情なものの若干不安そうな顔をしていた。

トロット > 「それについては否定全くできないけどさ。
しばらくしたらまた動き出すって事でもあるよな、それ」

とはいえ貌も判らない上に体格も普通であった。
そんな相手を王都内で見つけられるはずもない、今度ああいうのを見たら問答無用で捕獲也するかと内心で思い。
少女の視線に首を傾げて、ん、と顔を見て。

「あのくらい相手なら、なんとでも…あ、もしかしてガキだと思ってる?
うん、傷薬」

視線と言葉にもしや子供と思われているのかとショックを受けた様子で。
其の後、問いかけにこくりと頷いて。

「自作だけど薬学の先生に可もらったから効果はあるぞ…そだけど、混合クラスで世話になってる。
それが不安なら、魔法で手当てするか?…ただ水魔法での治癒だから患部が濡れるんだけど」

それに男に太腿見せるの嫌じゃないか、と小さく呟き…さらに小さく個人的には見たいけどと追加する。
不安がる様子に先生の監督の元作った事ともう一つの選択肢を提示して。