2024/03/30 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にドリィさんが現れました。
■ドリィ > 冒険者ギルドに程近い酒場にて──。
カウンター席のスツールに女が腰掛けている。
黒のボディスーツに包まれた、むっちりと張った太腿を組み合わせ。
肘をカウンターに預けつつにエールの杯を傾ける、妙に垢抜けた婀娜っぽさのある女だった。
杯を片手に話し掛ける相手といえば…肴を調理するのに忙しい、酒場の店主である。
「マスタぁーー。聞いてぇー。 ね!あと一杯分だけ!一杯分だけ一緒にいて?話きいて?」
唇の前で指を一本立てるジェスチャ。
自身の前に置かれた皿から、オリーブの実をヒトツ指で摘まみ。
「コレもあげちゃう。 ね。だからもぉちょっと話きいて???」
マスターの口元に、あーん♡ なんてしたりもする。
勿論、受け取っては貰えないのは分かっててのお巫山戯だ。
其の儘指はUターンして当然のように己が唇にオリーブを咥え、咀嚼した。
ぺろ。指に付着した塩味を舐め吸い。
「遺跡ね、行く予定だったの。リスケしちゃったの。リスケ。もぉーーー」
エールを傾け、ぐびぐびと景気よく一気に半分まで量を減らし。ぷぁ。息を吐き。
料理を運びに前を去ろうとする店主を目敏くねめつけるも、
「行かないでってばぁ、 ねぇ、マスタぁってばぁー」
そりゃあ行くだろう。料理だって冷めるってもんである。
店主の恰幅好い背中を頬杖突いて見送り。またエールを呷る。一気に杯を空けた。
実は、結構───相当な酒豪であった。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にラッツィオさんが現れました。
■ラッツィオ > なにやらマスターに甘ったれたような声で絡んでいる女性の元から離れたマスターが向かったのは、カウンターの反対側に座っていた男のところだった。
注文を受けていたのだから、店を預かる主として当然の対応ではある。
物静かであまり表情の変化がないと思っていたマスターが、珍しく困り顔であった。
そのマスターから、注文した酒の瓶とグラスを受け取り、依然としてマスターに視線を向けている女には聞こえないような小声で。
「――なァ、あのお嬢ちゃん、ほっといたらずっとあんな調子なんじゃねえのか?」
こちらもまた彼女から見えないよう、小さく首を縦に動かすマスター。
それなりに馴染みの店である、恩を売っておいて損はことはない。
グラスをもう1つマスターから受け取って、カウンターに突っ伏している女のところへ近づいていった。
「よお。隣、座るぞ。
酒に強いイイ女がいるから、ひとり寂しく飲んでるぐらいなら声かけてみたらどうだってマスターに紹介されちまってな」
返事を聞く前に、彼女の隣に腰掛けた。
至近距離ともなれば、むっちりとした体を隠そうともしない服装のせいで、色気が濃密に漂ってくるようだ。
瓶とグラスをカウンターへ置き、中身の琥珀色の酒をグラスに波々と注ぐ。
その片方を彼女のほうへ押しやって、自分は一気に半分ほどを喉へ流し込んだ。
「随分と管を巻いてたじゃねェか。なんか面白くねェことでもあったのか?」
■ドリィ > 切なげに愁眉を刻み、男を待つ女の熱視線──なんてものを演出して店主に向けてみたりする。
まあ、当然のように無視された。そりゃそうだ。
とはいえ、まだ絡み足りない。
リスケ云々の憤懣遣る方ない気持ちを誰かに話したい。エールは既に三杯目だ。
取り敢えず手っ取り早く店主を掴まえて喋ってたけども、店主もどうやら戻ってきてくれなそう。
端席に座る男と愛しの店主の姿を遠巻きに眺め──杯を傾けたくとも、酒も空。
さて。どうするか。
店主に酒を所望して呼び戻すも、それはそれでなんだか痛い女だし。
くだらない思案にオリーブを摘まんだところで、店主の代打とばかりに男が来たものだから。
頬杖を解いて、其方を仰ぎ。
「どーぉぞ。 一緒に飲んでくれるの?」
ちろ、と上目を舐め流してから、にこーーぉ、とユルく笑う。
「お酒つき? ───… 最高。」
乾杯、とばかりに相手へと小さく杯を掲げる所作をして、
琥珀色を傾け、唇に含んだ。
マスターの横目を感じた気がして───遠く端席に留まる彼にも、杯を掲げる仕草。
勿論、無視されたけども。
だから、目の前の彼へと少しだけ座る尻の位置を斜に正して向き直ろう。
「そぉなの! 話、きいてくれる?」
■ラッツィオ > 「あのマスターのガードは王城の重装兵より固いらしいからな、マジで狙ってンなら覚悟決めとけよ。
手に入らないものこそ燃えてくる、って気持ちも分かるけどな」
こちらが声をかける直前まで、無視されていようがマスターのほうを切なげに見つめる乙女じみた艶っぽい視線に、つい茶化したくもなる。
とにかく "靡かない" という噂だけは耳に入ってくるマスターだ。
酒に口をつけた後で、改めて乾杯とグラスを掲げようとしたが、彼女のグラスはマスターの方へ向いていた。
なんとなく宙ぶらりんになったグラスは、再び唇に近づいて1/2ほどが喉へ消えていく。
「この酒だって、美女にも啜ってもらえるほうが喜ぶだろうさ。
ンで、どうしたって?
――ああいや待て、単に聞くだけっても面白くねェ、ちょっと考えてみるか」
酒が入っていることが理由かは分からないが、妙に毒気を抜かれる緩い笑みのせいで、つられて口元がニヤついてしまう。
こちらを向き直ると、改めて物凄い格好をしていることが分かる。
なにせ尻の位置を変える動きだけで白い胸元が柔らかく波打って見えるようなのだから、目の毒だ。
「つっても、アンタぐらい美人なら普通の男を捕まえンのに、苦労はしないだろうし……
この店で飲むのは冒険者か、あるいはそれに近い稼業のヤツだけだ。
マズい仕事でも掴まされたか?」
酒好きとなれば遠慮は要らなそうだ。
彼女の酒が減ってくれば、慣れた手付きでグラスにたっぷりと酒を継ぎ足して、話の続きを促す。
■ドリィ > ぁー…重装兵かぁーー、と女は男の言葉を反芻した。
「剣は通らなくてもぉー… ほら。魅了の魔法だったらぁーー… あは。駄目か。」
女はまた、弛く笑い、男へ向き直る。
その間に捧げられた乾杯があった事には気付かなかったけど、
男のウィットに富んだ言葉は妙に気に入ったから。
だから。まるで興味の矛先を変えた合図めいて、女はスツールに置いた太腿をゆったりと組み替える。
男の側へと身を傾け、語らいの領域をつくったなら、
赤く塗った爪の一本が、花を添えるようにオリーブの乗った皿を男と己の間に押し遣って。
かろん。グラスの中の氷を薄く揺らした。
「ゥん? 考えて。考えちゃって?」
男の提案に、女の唇がまた、にんまりと笑みに弧月を描く。
弧月──というより笑い猫のそれっぽいかも。
よくよく眺めれば中々に好い男。年上だろう相手の容姿を観察しながらに。
酷く愉しそうに瞳を細めて、男の思案を黙って待ち。そして、
「──────…… おぉ。 お兄さん、冴えてるぅ」
態とらしく瞠目してみせてから、女は喋りだす。
「明日、遺跡に潜る手筈だったの。ギルドで募集した人達と。
それがぁー…、リスケ喰らっちゃってさぁー…」
サイアクでしょ? と。
■ラッツィオ > "魅了の魔法" と、ある意味物騒な単語が赤い唇から出てくると、眉を持ち上げて驚いた表情を見せた。
「アンタみたいな美女がズルいことしたら、ゴーレムだって鼻息荒くして襲いかかってくるだろうけどな。
そんな術を使うのはプライドが許さねェって感じもするな」
酒の代わりに、ということだろうか。
2人の間に滑り込んできた小皿からオリーブをひとつ指先でつまみ、
果肉を歯の間で押し潰して、「うめェ」と一言漏らす。
顔に視線を合わせれば艶やかな表情、下にずらせば挑発的な肢体。
目のやり場に困るような歳ではないので、美人と向き合っている状況を最大限に愉しませてもらうことにした。
「なァるほど。依頼の日程に合わせて動いている身にしたら、日にちがズレるだけで痛いよなァ。
懐に入ってくる金の事情も変わっちまうわけだし――」
日々勤勉に働いている市民からすれば考えられないだろうが、冒険者というのはヤクザな商売だ。
同業とはいかないがほとんど近い商売をしている男にも、ため息をつきたくなる気持ちはよく分かった。
「――ンでも、そんなアクシデントがあったから今夜は店に愚痴りに来て、アンタと知り合えたってわけだ。
最悪な気分は酒飲んで、気持ちよォく暴れて、吹き飛ばさねェか?
俺は冒険者じゃないんだが、冒険者に仕事を手伝ってもらうことがあってな。
いざってとき、手を組める相手を探してンだ」
スツールの後ろに垂れていた鰐の尾がするりと音をもなく這って、カウンターテーブルの下で女の脚に絡みつく。
ボディスーツの上を擽るように、尻尾の先端が太ももに向けて這い上がっていって。
肘をテーブルにつき、ぐっと彼女に顔を近づけるよう乗り出した。
■ドリィ > 男の言葉に、 ───くふふ、あはっ。 女が吹きだした。
「そぉ! そぉーなの! あたし、魔法からっきし。
だぁかーらー…… 肉弾戦でー…いうこと利かせる方が、向いてるの」
少しばかりに肩を狭め、片肘がもったりと白い乳毬を甘く誇示し、押し潰すように仕向けるのは短い間。
肉弾戦、と宣う割には腕力自慢という体つきでもない。
それならば示唆するは、そういう方面なのだろう。
一瞬の伏し睫毛越しに送る色気の真似事は──…数瞬も待たずに、色を憤慨に変える。
この女、表情の豊かさには定評があった。
「でっしょぉ!?誰が?何で?この日を?指定したと??
色々考えてー…、馬だってもぉ厩に押さえてるし、お金だってー……」
愚痴なら幾らだって唇から飛び出すが、それを宥めるよに男が言葉を繋ぐから、
少しの間は拗ねた素振りにその語りを聞いていよう。
不機嫌、というわけじゃない。証拠に──ちら、ちらりと送る流し目が、
演技らしく顰めた片眉を徐々に開き、もちあげてゆく。
男の提案は魅力的。さて、いつ釣られてやろうか、等と思っていた──とき。
「ッ!?!?!? !? 」
吃驚、した。
脚、脹ら脛。───腿。すりゅ、と這い上り触れる気配。
見下げた先に、まさか鰐の尾があるなんて誰が思うだろう。
「ェ。 ええっ!? そぉゆぅコト????」
男から生えてるのだと把握は早かった。
再度男を見返せば、いつの間にか至近にあるその容貌に、
その婀娜っぽいくせに妙に愛嬌に満ちた双眸を、きょんと瞬かせ。
男の片頬に躊躇いの欠片も無く、細指が触れ。
頬を撫で、こっち見て、を指先が誘う。
艶めく上目が男の眼差しに注がれゆく。不躾な迄の熱視線。
「ぇ、ヤダ。 おにぃさんの目、 すき。」
宝物を見つけたかに、宣うのだ。
金色の宝石めいて輝く双眼の中に、亀裂のように描かれた珍しい瞳孔へ。
■ラッツィオ > ころころと、まるで年端も行かない少女のように快活に表情を変えて笑う女。
艶めいた悩ましい顔をしていたかと思えば、これだ。
魔性の女といえば、常に妖しい色香を漂わせているとは限らないのかもしれない。
「肉弾戦、ねェ。そいつは奇遇だ、俺も魔法術法の類は苦手でな。
やっぱり体で分からせるほうが向いてる――…よなァ?」
牡の性というのは悲しいもので、たとえ数秒の間であろうと、
胸元から溢れんばかりの乳肉が誘惑するように盛り上がった瞬間を逃すことは出来なかった。
そのせいで、急な予定変更を突きつけられて憤慨する彼女の顔に目線を移すには、少々時間がかかり。
「ダンジョンは逃げないかもしれねェが、こんなイイ女を逃がすことになるかもしれねえとは、
アンタを誘ったヤツもほとほと運がねェな。
いっそ蹴っちまえよ、その仕事。
悪徳貴族のジジイにいっぱい食わせるっていう、気も晴れて報酬もいい、アンタにぴったりの仕事がある」
驚いている彼女をニヤついた愉しそうな顔で眺めているうち、尻尾は太腿に到達していた。
痛みはなく、しかし優しくもない程度の力で片脚の太腿を尾が締め付け、
尾の先端は太腿の付け根付近の最も柔らかいところを擽り。
不意に、柔らかい感触が頬に触れた。
金色の鋭く尖った双眸が、飲み込まれそうな夕暮色の双眸と交錯する。
数秒の静寂の後、男はまだ半分ほど残っている酒瓶を手に、スツールから立ち上がった。
太腿に巻き付いていた尻尾は力を緩めて離れていったが、
代わりに女の際どく括れた腰に逞しい腕を回して、立ち上がらせようとする。
「――仕事をすンなら、親睦を深めねェとな?
それに嫌なことは、頭ンなかすっきりトばすのが一番だろ」
酒場の上は宿になっている。
ちらりとマスターを一瞥すると、彼は階段のほうへ顎を小さくしゃくって、すぐに客の応対に戻っていった。
■ラッツィオ > 【移動します】
ご案内:「王都マグメール 平民地区」からラッツィオさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」からドリィさんが去りました。