2024/03/09 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にカーレルさんが現れました。
カーレル > 平民地区のどこにでもあるような酒場
店内は盛況で熱気を孕んだ談笑で満ちている。団体客がほとんであるが、
僅かばかりかは一人客であった

ジョッキに満たされた酒と共に供された平皿に載せられた小さな乾燥豆が
曲線を描くようにして飛んでいき、近くで別の席を囲んでいる円盾と片手斧で武装した北方戦士の
背中中ほどまで伸びた長い癖っ毛の中に絡まるようにして着地する
北方戦士の髪に絡んだ豆は一粒、二粒どころでなく、髪に小さな豆が実をつけているようであった
それでも、北方戦士もその仲間の面々も酒と話に夢中なようで気がつく様子はない
目を盗んで豆を飛ばしているのだから当然といえば、当然なのだが

「ぶ…っ、は…くく…」

そんな様子を笑いを噛み殺しながら眺めつつジョッキを傾ける
時折、ぽろりと豆が着地に失敗して床に転がっていたりもするのだけど…
そうしてまた、平皿から乾燥した豆を摘み、ピンッと目を盗んで指で弾く
着弾した所からコロコロと転がると髪のカールした所でぴたり、と止まった
不意に北方戦士が後頭部を掻くようにすると豆が髪からこぼれ落ち、床に落ちればバラバラと音を立てる
その様子に吹き出しそうになった。流石にバレたか、と笑いを噛み殺したが
北方戦士は酒の追加を注文し、再び仲間たちとの談笑に戻った―――

―――すると再び豆が北方戦士の伸びた癖っ毛に向かって飛び始める

ご案内:「王都マグメール 平民地区」にティアフェルさんが現れました。
ティアフェル >  ――暦の上ではすっかり春を迎えているというのに……街を吹きすさぶ風は冷たく強く衣服越しに体温を奪って行く。
 商店はほとんどが閉店し、代わりに酒や一夜のぬくもりを取り扱うような館ばかり盛況である。
 そんな一部を除いて寝静まり始めた宵街に。一仕事終えた回復術士を生業とする19歳女子が、寒々と身を縮めて。

「ふあっ……や、やば…今日…寒っ……こ、このままでは家に辿りつく前に凍死――は大げさにせよ、ちょっと温まっていかないと風邪引くわ……」

 回復術師の不養生、とならぬように身体を温めてから帰途に就こうと考え、目についたのは有り触れたとある酒場。
 賑やかな笑い声が表にまで響くその店先で軽く中を覗き込み。
 繁盛しているようだが空いた席はありそうだ、と空席だけ確認するとよしきめた、と即決して酒場の扉を押し開いて。

「こんばんはー、一名なんですけど……あ、はいはいそちらね――」

 団体客で込み合った店内では空席も限られて、数少ない空席を示されそちらへすたすたと向かう途中で、

「――っゎ……な、なに……? 豆……?」

 ちょうど北方戦士の見事な巻き毛に豆を飛ばしていたその間を通り過ぎかけていたので、頬っぺたに豆が直撃して、ぽとりと床に落ちた。それこそ鳩が豆鉄砲喰らったような顔をして床に落下した豆を見やり。なんだなんだ何事だ、と豆の発射元を探してきょろきょろ首を巡らせ。

カーレル > 器用なものでピンと指で弾かれた豆の狙いが的確になっていく
ジョッキに満たされた酒を飲んではいるけれども、元来、酒に酔えない体質であるからか、
北方戦士の仲間たちの目を盗む事も、何食わぬ顔をして豆を弾く動作も精度が増していくばかり
ただそれでも時折、北方戦士が身動ぎだったりをしてバラバラと豆が床に落ちていく
その都度、笑いを噛み殺し、吹き出しそうになるのをグッと堪える
小さな素焼きの平皿に乗せられた乾燥豆が無くなれば、追加の酒を注文し豆を補充する
おかげで北方戦士の座る椅子の下は豆だらけ、といった様子であるがそれでも気がつくことはない

「一皿全部を実らせたら俺の勝ち…」

と、新たな平皿に新ルールが追加されれば慣れた様子で豆を弾く
弧を描いて飛んだ乾燥豆が不意に現れた人影に遮られると、何っ!?と内心思った
…北方戦士たちの一党の視線運びや動きに注意を向けていたため、外部からくる第三者に対して
散漫であったと言わざるを得ない

「………」

視線を上げて横切った人影を確認すれば見知った顔であった
見知った顔であったから、無言で彼女に向けて豆を弾いては飛ばしていく
このっ…このっ…と楽しみを邪魔された恨み?を込めて執拗に豆を飛ばしてやる
悔しいので白衣越しに膨らんだ胸元を目掛けてそれはもう何度となく豆を弾いた

ティアフェル > 『このやろう』

 大層子供じみた悪戯。
 それは横切った頬に食らった豆と床にそれだけではなく妙に多量にばらばら散って、うっかり踏むと転んでしまいそうな危険性をはらんでいたがそれは今いいとして――とにかく、性懲りもなくこちらに追撃として飛んでくる豆と、狙いの先だったらしい北方戦士の髪に絡むいくつかの乾燥豆。それに気づいてない北方戦士。
 総ての符号は一致する。

 このやろうがやってんだな、ちくしょうめ。

 なんで見ず知らず?らしい戦士の髪に向かって嫌がらせ豆してるのかは全く理解不能だが。
 事実としてコイツがやっとるのはよう分かった。
 しかもなんの腹癒せかエプロンスタイルの白衣の胸に直撃する正確無比な射撃に瞬発的にアホ毛を立たせて。
 頭の中では『このガキな便利屋がいたずらしてやがります!』と被害者たる豆だらけ戦士に通報するか。何をやっているのかを確認して『わたしも混ぜろ』にするか。『チクられたくなかったら酒奢れ』でいくか。
 三択で迷いつつ。

「――あらあ? カーレルさん? ひっさしぶり~。元気~? って訊くまでもなく元気か、そんなしょーもない暇つぶしで遊んでるくらいだしぃ?」

 皮肉満載で、目が微塵も笑ってはいない笑みを湛えて何度も胸に飛んでくる豆、胸元で弾かれて落ちるのをキャッチできるだけキャッチして。
 握りしめたその豆拳を向けながら迫っていった。不穏に揺れるアホ毛女。

カーレル > 北方戦士たちの一党とは顔見知りでも何でもない
聞こえてきた話によると冬場は雪に閉ざされる北方を離れて王都近郊まで出稼ぎにやってきているらしかった
今回の出稼ぎは随分と景気が良いらしく、明るい雰囲気であったし、
一党の誰も彼もが酒を飲んで赤ら顔で長く伸びた癖っ毛に豊かに蓄えた髭と、
どことなく可愛らしいようにも見える姿であったが、丸太のように太い腕に刻まれた傷や、
ぬらりと脂のようなもので光沢を帯びた斧の刃先などよくよく観察すれば、
あ、これガチのヤツだなとなんとなく察してしまうような一党であった

そんな連中にどうして豆を飛ばし始めたかと聞かれても困ってしまうのだが、
ただ何となく長く伸びた髪に豆が絡みそうだなと思ったからとしか言いようがない

「なんだよ急に割り込んでくるなよ…一皿全部乗せてやろうと意気込んでいた所だったのに」

ふんす、と鼻を鳴らしながらも豆を弾く。彼女の顔の中央あたり鼻先を狙って
話が聞こえていたか、的にされていた北方戦士ではない一党の1人がちらりとこちらに視線を向けたが、
何でもないと言った風に、ニコリと笑ってジョッキを掲げてみせる
すると赤ら顔のその男も人懐こい笑みを浮かべてジョッキを掲げ返した

「………とりあえず座ったらどうだ?
 あちらさんも気分良く飲んでるのにバレたら台無しにしちまうだろ」

と、自分のしょうもない悪戯を棚上げにして彼女に席を勧めた
ついでに彼女がキャッチした豆は、久々の再開を祝してお食べ?と彼女にプレゼントする事にしたらしかった

ティアフェル >  同じテーブルについていないし、話し掛けている様子も話し掛けられている様子も一見ではみられず。
 要は席が近いだけの赤の他人っぽい戦士グループと街の便利屋。
 それがなんで無意味なちょっかいを一方的にかけているのかは知らないが……それが酒場特有のうざ絡みというやつだろうか。
 イイ歳してなにやってんだか……と溜息をついて空いた手で額を抑えて。

「っやめい、豆投げんな……ってかなにあほな意気込み表明してくれてるのよ……暇すぎ便利屋ウケる」

 豆を鼻先に飛ばされて、あからさまに厭な顔を浮かべ。
 微塵もウケちゃいない顔でウケるーとわざとらしく口にして意気込む便利屋に仕事しろと云いたくなる。こっちはこの時間まで働いてたクチだからでかい顔して云える。
 そしてジョッキひとつ掲げた笑顔のコンタクトで疑念を交わす如才なさにはいっそ感服する。

「……座るわよ、温まりに来たんだから座るさ。
 はいよお邪魔しま、すっ……!」

 その隣が空いているようだったので、内心好機と企みながら、お食べ?などと戯けたことを口にする便利屋に、席を隣に陣取って目と鼻の先まで肉薄を迫った上で、その顔面に握りしめた豆を「鬼はーそと!」とばかりぶちまけてやろう。自業自得を思い知れ。