2024/02/13 のログ
シロナ > 夜の公園は―――この国らしいところがある。
 どういう事かと云えば、夜の公園は、盛り場、と言って良い場所になる。
 静かな公園のはずだが、其処此処の茂みが、がさりがさりと揺れ動き。
 さらに言うならば、其処から甘い声が聞こえてくる。

「と言う事で、シャーニィに、色々知ってもらおう、第二段ー。」

 シャーニィを連れて来たのは、盛り場になっていると、知っているから。
 彼女は、色々な感情を―――特に、恋愛関係での感情を教えてあげたくて連れて来たのだ。
 此処には、まあ、色欲は多い、それと同時に、恋愛感情も多いのである。
 今まで話をして知ったのだけど、likeとLoveの違いを教えた方が良いのではないか、そう思ったから、で。
 しょっぱな、交尾の覗きと言うのは、まあ何とも、シロナらしいと言えば、シロナらしいのだろうか。
 どうよ、と、其処此処で、アンアンガサガサしている公園で、フンス、と鼻息一つ。

シャーニィ >  
最近すっかりおなじみとなった気もする友人との邂逅。
……そう、友人である。
予てより好意をもらっているのはわかっているのであるが……

その点に自分でも思い悩むことはある。
感情、というものはまだいまいち掴みきれない。
最近になってヒトの残す記録、本なども読んでみたがこれもいまいち、だ。

どうしたものか、とやや首をひねりながら。
毎度のごとく律儀に時間を守って、待ち合わせの場所に行ったのである。

姿は、黒。
闇夜に溶け込むような漆黒のドレスを身にまとい……

「……第二弾、はよいのだが。
 なぜ夜なのだ?」

別に昼夜など特に関係はないが、変わった時間に呼ばれたものだ、と疑問を口にする。

「……それにしても、人の気配が多いな。
 夜だというのに、よほどなにかがあるのか……?」

シロナ > 「うん、夜なのには理由があってね。
 ほら、シャーニィは、感情と言う物が良く判ってないでしょ?
 特に、恋愛感情、とか。

 色々、シャーニィ自身も勉強してると思うけど、やっぱり夜が一番盛るんだよ。」

 近くで、交わっている男と女。
 冬だというのに、全裸で、肌を重ねて交わっていた。
 彼女の力なのだろう、黒い服もあって、誰も気にして居る様子はなくて。
 にぃ、と、桜色の唇を吊り上げて、笑って見せる。

「likeは、一緒に居るだけで、いい。一方通行でも良い、と思う感情なんだ。
 Loveは、相手が欲しい、愛しているから、愛されたいという感情。
 そして、その極致として、相手と、子を為したい、自分の欠片を相手に植え付けたい。
 そう言うモノ、なんだ。」

 と言う事で、その行為が、あれなのですよ、と。少女は、うんうん、と笑って見せる。
 気配が多いのは、その逢瀬の為に、集まってるからだよ、と。

 

シャーニィ >  
「む、ぐ……ああ、まあその通り、だ。
 吾も、このままではよくないと思っている。
 なにより、シロナの好意につけこんでいる感じが……
 いや、うん。」

せっかく何かを考えて用意してくれた相手に失礼かと、ネガティブな発言はやめることにする。
言葉を一度切って…

「盛る……ああ」

ヒトではない少女の目は、闇程度は見透かすことができる。
シロナが示した辺りを軽く見やれば――
いわゆる交合を行っている者たちの姿が見えてくる。

なるほど、盛る……とはこういうことか。

「ふむ……相手が欲しい、か……
 シロナは……いや、聞くまでもないか。
 彼らは。いや、ヒトは何をきっかけにそう思うに至るのだろうな。」

笑顔で説明して見せる少女に、いつもの真面目な……
否、今日は何処か悩むような顔で、呟いた。

シロナ > 「気にしないで良いよ、正に、アタシはその為に動いてるんだから。
 愛してるから、愛されたい。
 その為に、シャーニィの認識を変えようとしているって。
 好意に付け込ませてるだけじゃないの。」

 気にしないでいいんだよ、と、ニンマリ笑う。
 アタシは、アタシで色々考えて動いてるんだから、と。
 そう言いながらも、盛るという理由、交尾の姿を理解している彼女。
 其の様子を見ながら、そうそう、そんな感じ、と、交わっている、馬鍬ている男女を見やる。
 竜の目も、シャーニィのそれと同じように、闇を見通していた。

「で、手っ取り早い方法としてさ。
 シャーニィ、発情して見ない?その体は、人なんだからさ。
 発情して、性欲と言う物を、体で理解する。
 頭では、どういう物か、の知識があるんだから、それを実際に体験してみるの。

 多分、実際に性欲と言う物が判れば、もっと理解できると、思うんだ。」

 彼女にとって、性欲や恋愛は、自分とは別次元のものだと思っているのではないだろうか。
 だから、実際に、むらむらして、子供を作りたいと思う感覚。
 性欲を刺激し、性欲を覚えてみたら、もう少し違う感覚が出てくるのではないだろうか。
 そう思っての提案だ。
 淫魔であるシロナだから、彼女の体の性欲を引き出すという事は、難しい事では無いし、と。
 ただ、提案だからこそ。無理に乗る必要は無いし。
 発情したから、セックスしよう、と言う物でもないと、ちゃんと伝えて置く。

シャーニィ >  
「む、う……そうか。割と悩んではいたのだがな。
 どうもシロナは吾の上を行くようだ。常々、な」

ニンマリ笑う相手に、なんともいえないため息をつく。
自分の考えや悩みなど、ちっぽけなものでしかないのだろうか。
思わず、そんな気持ちになってしまう。

そして

「……なに?」

相手の出してきた提案に、思わず目を丸くする。
想像の外からの内容に、あまりにも虚をつかれたからだ。

「考えもしなかった。
 そも、吾にそのような感覚があるのか、と。
 元々不要であったものであるし……今も、その気になればかつてのような増え方もできよう。
 ……だが、そうか。
 確かに、今の身であれば……それは可能、なのかもしれん、な。
 シロナの発想は、吾の想像を超えるな、本当に」

元々ありもしなかったことについて、考えを巡らせることは当然ながらなかった。
しかし、だ。
先だっての風呂の件といい、今の自分にはかつては持ち得なかった感覚があってもおかしくない。
そこに考え至る相手に素直に感心する。

「……そうだな。で、あればそれもありか。
 しかしどうする? ああいや、そうか。シロナであれば可能、なのか?」

提案を受け入れる、と口にした。

シロナ > 「流石に、シャーニィはまだまだ、人の常識とか、色々足りてないんだし?
 今のところは、アタシが上と言うのは、先に生きてるから、と言う事だし?」

 あはは、と笑いながら、彼女の上になっているというのは別だ。
 先にいろいろ学んでいたから、彼女はそうでなかった、単なる経験値の差でしかない。
 彼女が経験を積めば、十分追い抜くことができるでしょう、と笑ってみせて。

「ん。」

 そうだ、彼女は過去は、邪神として生きていたから、生殖とか、そう言うのは知識にもないだろう。
 そして、性欲と言うのも同じく知識にはないはずだ、過去にも経験のないものを知るという事は難しい。
 しかし、今は人の身に、器の中に入っての生活なのだから、性欲などは持つことはできるだろうと思うのだ。

「でしょ?
 知らない事、過去にも経験の無い事を、考える事は無理でしょ?
 なら、知ってみるのが早いけど。
 シャーニィのように超常の感覚だとね、多分無理じゃないかなって。
 だから、アタシが引き出してあげるよ。」

 彼女は、矢張りと言うべきか、自分の考えている通りの様子だ。
 知らないし、考えられなかったから、と。
 なら、それを教えるのはアタシの役割だろうな、と。

「できるよ、アタシは淫魔だし、ね。
 だから、アタシの催淫を、受け入れて欲しいんだ。

 あと、今までの感覚で思うと、全力で、催淫してしまおうと思うんだ。
 多分、全身がどろどろになっちゃうかもだけど……ね。」

 弱いと、気が付かないかも、だし、とそれで良いかな?と首を傾いでみる。

シャーニィ >  
「まあ、やむ無しではあるのだが……」

この先、追い抜くことは可能なのかもしれない。
ただ、なんとなくこの勝てない、という感覚はずっとあるのではないか、という感じもする。
それはまだ闇に包まれた先の話であるが。

「まったくもって道理だな。
 吾には思い当たらぬこと、気づけぬこと。
 そこを埋めてもらえるのはありがたい。」

本当に色々と気づくものだ、と毎度のように感心する。
それが仮に打算に基づくものだとしても、だ。

「うむ、それは当然だな。
 試して効果がなくては意味もあるまいし。
 シロナの干渉を防いでしまってはそれこそ無意味だ。
 機微も分からぬし、すべて任せる。
 そこは信用もしているし、な」

どろどろになるかもしれない、と言う言葉。
そういえば、以前の風呂では醜態を晒してしまったな、と思い出す。
……と、なればもう恥を晒すのも今更か。

「……先だってのようになるかもしれぬが。
 その、なんだ。その時も、任せた」

やや視線をそらしながら、そのように伝え……
力を抜いてシロナの前に立った。

シロナ > 「気にしない。気にしない。」

 彼女は地頭は良いのだ、だからこそ、そのうち彼女は自分を超えるのだろう。
 その時、彼女はどんな風に成るのか、とても楽しみでたまらない。

「ま、ほらほら。
 生活とか、環境でいろいろ違うだろうしね。
 埋め合うのは、友人と言う所だから。」

 自分が気が付くのは、そっち方面だから、と笑いながら手を振って。
 だから、シロナだって、気が付かない事が多いのだ。
 彼女にべた褒めしてもらえているようで、少しばかり、てへへ、と嬉しそうにしてしまう。

「それなら、……やってみるよ、シャーニィ。
 でも、安心して。
 発情して、発情を知ったら……アタシが何とかするから。
 大丈夫、大事にするから、さ。」

 そもそも、シロナの淫魔としての特性は、鎮静、なのだ。
 彼女にそれを使えば、落ち着いてくれるだろう。
 だからこそ、と、笑ってみる。

「シャーニィ、私の目を、見て。」

 魅了の魔眼、魔力を持って彼女へと。
 彼女に、フェロモンを。
 シロナの持つ、誘惑の力を、彼女に送り込んで見せる。
 魔力の効果は、矢張り発情だ、人の本能に刺激を送り、性欲を作り上げる力。
 子宮も活性化し、疼くだろう、体が熱くなるだろう。
 全力で、彼女を誘惑し、魅了して見せる。

シャーニィ >  
「そう謙遜するものでもない。
 ……が、そうか。それが友人、というものか。」

最初に友誼を結んだ相手が彼女であったことは幸運だった。
そう、心から思える。
しみじみと、友人、というものの良さを感じた。

「はは。
 シロナのことは信用している。
 うん、いいようにしてくれ」

なんとかする、大丈夫、というシロナの言葉。
それを全面的に、信用する。
信用するからこそ、抵抗力を落とし彼女の目を正面から見据える
そこに、魔眼が、フェロモンが。
誘惑の、魅了の力が押し寄せる。

「……ふむ……んっ?!」

びくんっと体が痙攣する。
腹を中心に、全身に熱が走っていく。
それを追うようにして、抗いがたいむず痒いような奇妙な感覚が。
痺れるような刺激が、全身を蝕んでいく。

「ぁ……く……ぅ……」

自分の体を抱きしめるように、腕を交差する。
吐息が、声が、漏れ出る。
超常の感覚が捉えた、公園に漂う匂い。
牝の、牡の匂いが、妙に鼻につく。

「ふ……く……」

目が、異様な色に濡れて……眼の前の少女、シロナを見る
思考がまとまりづらい。
これが、欲、というものか。

シロナ > 「シャーニィ。」

 魅了の力をしっかりと、発揮して見せる。
 正直に言えば、シロナは純粋な淫魔ではない、親の覚醒遺伝であり、それに、人と竜の方が割合大きい。
 淫魔として言うなら、姉の方が、もっと淫魔なのだ。
 だからこそ、本気を出してもその程度、と言える程度の誘惑の強さだ。
 全力で魅了して、相手が狂ってしまうという程でもないのだろう。
 彼女は今、誘惑されている。

「判るでしょ?疼くでしょう?
 それが、発情しているってこと、感じる?シャーニィ自身、フェロモンを零してるの。
 股間から、愛液がとろぉって、零れ始めてるかな?」

 耳元で甘く優しく囁いて見せながら、彼女の肌に触れてみる。
 発情している最中に触れられれば、感触が、普段と違うだろう。
 桜色の唇を見せてみる。
 屹度、彼女は今、何もかもが、魅力的に見えるだろう。

「自分のおまんこ、触れてみて。」

 自分で自分の秘部を触れて、どんな状態なのか、認識もして貰おう。
 必要以上に触れたりはせずに、それでも、シャーニィを、その欲望を高める様に、誘惑し続ける。
 ふわり、と甘く濃厚なフェロモンで、彼女を包み込む。
 その中に、雄の臭いも混ぜていく。
 生殖欲を、彼女に認識してもらうために、子作りの良くも増やして見せよう。

シャーニィ >  
「シロ、ナ……」

声をかけられれば、いつもと違う上気した声で応える。
未知の感覚に戸惑うが、その声に導かれやや落ち着きを取り戻す。
もちろん、まだ疼きは残っている、が。

「ああ、これ、が……疼き、か……
 んっ……」

優しく、甘く囁く声。
それ自体が新たな刺激であったが、そこに肌への刺激。
びくり、とまた体が震え……声が漏れる。

「吾、も……なにか、だして、いる、のか……?
 股間、から……? ふれ、る、のか……?」

導かれるように、自分の秘部へと手を伸ばし……
くちゅり、と小さな水音を立てる。

「ぁ、く……これ、が……愛……え、き……?」

自分の体の変化に戸惑いつつ、しかし何処か奇妙に冷静な一部分が確認していく。

「ん、く……に、おい……が。
 う、ぐ……これ、は……ちがう、にお、い」

甘く濃厚なフェロモンの匂いに紛れる雄の匂い。
それを敏感に嗅ぎ分け、困惑の言葉を漏らす。

シロナ > 「感じてる?理解できる?
 いま、シャーニィの体は、発情してるの。
 女として、疼いているの。

 それが、人としての発情、疼き。
 飢えとも言えるぐらいの渇望、になるのかな。」

 肉体が求めているのだろう、彼女が孕む為の精を。
 初めての感覚に、戸惑っている様子を見ながら、少女はその体を押さえようと自分の体を抱いている。
 声が震えて、視線が揺れている。
 だからこそ、少女は、彼女の理解を促す様に言葉を。

「今、雄の臭いもまき散らしてるよ。
 ……欲しい?」

 何を、とは聞かない。
 本能を揺さぶり、本能を目覚めさせるのが目的だから。
 何を、と言うのは、彼女の本能が目覚めれば理解できるだろう。
 自分を孕ませるための何が、と言う所。
 知識自体は有るのだろうから、後は其処にたどり着くだけなのだろう。
 ずくん、じくん、媚毒のように、彼女を包み込む、濃厚なフェロモンに。
 誘惑の魔力。
 じ、と紅い瞳は、ルビーのように輝きつつ、シャーニィの痴態を、見つめ続ける。 

シャーニィ >  
「これ、が……発情、か。
 飢え……なるほど、飢えに、似て……求める、もの、か」

ずぐん、ずぐん、と脈動するように体内が騒ぐ。
この衝動をどうにかせよ、と訴えるように。
欲を。
欲しい物を、求めて。

「ああ、この……公園に、漂う……様々な、匂いが。
 いま、ここに、漂うのも……雄の……ああ。
 これが、精……か。」

つう、と。
足を伝って液体が落ちていく。

「まったく……シロナは、吾をよく、導くものだ、な。
 ああ……これが、今の吾が。肉が、求める、ものか。
 ほしい……そうだ、ああ。ほし……う、ぐ」

欲しい、と求める気持ちは知っている。
むしろ、それを元に無法を行ってきていたのが過去だ。
それこそ、無限に続く欲望の果てに。
この世を蹂躙してきた。

思わず、口を閉じる。

シロナ > 「………そろそろ、だね。」

 そう、少女は笑って見せる。
 彼女の忍耐が可也の勢いで削れてきている、そして、理解している。
 性欲と言う物、疼きと言う物、それは、愛を知るために必要な要素だと、シロナは思う。
 彼女は、求め始めて、そして、動くことは無いのだ。
 彼女は何かを戒める様に、口を閉じたので、一つ頷いて。

「シャーニィ、もう、止めるよ。」

 彼女を誘惑して居た魔力を止めて。
 更に、シロナの力を、淫魔の力。
 抑制の力を、限定的に広げていく、シロナとシャーニィの周囲だけ。
 流石に、盛っている恋人同士を止める積りも無いのだし。

「それは、求めても、良いものなんだよ?
 アタシは上げる、と言う物だしね。」

 そんな風に言いながらも、彼女の淫欲を押さえて、通常の状態へと、戻そう。
 誘惑して乱れた彼女を抱くのも良いのだけど、初めてならば、と思うから。
 初めては、普通に、と。

「私も、シャーニィが、欲しいのよ?」

 耳元で、甘く優しく、囁いて見せるだけ。

シャーニィ >  
「……ふ、ぅ」

魔力が、力が解けて。一つ、息を吐く。
疼きは波が引くように薄れていき、思考もクリアになっていく。
それでも、続いた刺激の影響は強く、足が崩れそうになる。

「……やれ、やれ」

それでも姿勢を保って、ため息を一つ。
色々と思い知ることは多かった。

「……シロナ。」

甘い、優しい囁きが耳朶を打つ。
それは心の壁を崩しかねない力を持って……
しかし

「吾は、邪悪だ。求めれば際限がなくなるやも、しれない。
 それは、許されることか?」

いつもの思慮深い顔でもなく
道に迷った子どものような顔だった

シロナ > 「貪欲は、人間の十八番だよ。
 それを、邪悪と言うのは、違うんだと思うよ。
 愛は、際限なく欲しくなるモノだし、さ。

 それに邪悪と言うのは、自分から言うモノじゃないよ。」

 真に邪悪は、自分の事を邪悪と表現しないものだ。
 邪神だとしても、そう在るだけの存在で、自分を邪悪だと表現はしてなかったはずだ。
 だから、もう一度、シロナは胸を張って言うのだ。

「許されるよ、シャーニィ。
 お互いを求めあう事は、悪い事じゃないから、ね。
 際限が無くなる事も、ね。」

 小さな子供、まだまだ、導きが必要な彼女だ。
 だから、確りと言ってあげよう。
 大丈夫なのだ、と。

「それに、人間のほうが、邪悪だよ。」

 邪神を破壊するぐらいに、欲深いんだし、ね。と、ウインクを。

シャーニィ >  
「……そう、か。
 そうなのか。そうであったか。
 許される、か……はは」

一つ一つ、相手の言葉を噛み砕き、飲み込むように、うなずく。
未だに、わからないことは多いし、はっきりと確証がえられないことも多い。
これが、正しくそう、なのかもまだよくはわからない。

けれど

「はは、吾が邪悪でないかどうか、それはわからぬが。
 そうだ、間違いなくわかったことはある。 」

そうして、シロナに近づいて耳元に顔を寄せる。

シロナ > 「そうよ、だって、シャーニィ、アタシは貴女を求めてるよ。
 許されない事なのかな?
 そして、許されてないとして―――それが如何したって、ね。」

 彼女も判る理論だろう。
 自分が自分の道を歩くための傲慢な迄の自信。
 他が許さなくても、自分が許せば、それで良いのだ、と。

「♡」

 顔を寄せて、シロナの耳に唇を寄せようとする彼女。
 その唇に、人差し指を当ててしぃ、とないしょを伝える様に。

「嬉しいよ、シャーニィ。
 でも、ね、それは、少しだけ、ほんの少しだけ待って欲しいよ。
 アタシとしては、忸怩ではあるのだけど。さ

 一日二日、期間を開けて、伝えて欲しいな。」


 だって。
 今は彼女は、誘惑されたばかりなのだ。
 その誘惑の効果が残ってないとも限らない。
 だから、少し離れて落ち着いて、それから、話してほしいな、と。

「その時は、アタシも全力で、後悔させちゃうぐらいに、答えるから。」

 ウインク一つしてから。
 べとべとになった、服を、洗って体も洗って帰ろうと。
 彼女に伝えるのだった。

シャーニィ >  
「……んぐ」

唇に指を当てられ、告げようとした言葉が告げなくなる。
代わりに、なんともいえないうめき声のようなものが漏れ出た。

「む、ぅ……いや、吾は……
 いや、そうか。うん。
 改めて、落ち着いてから、か。
 そのほうが、理には適っているのだろうな。」

シロナの言葉に、いつもの妙に真面目な顔で頷いた。
今の自分は冷静である、と自信を持っていえる、が。
しかし、本当にそうか、と言われれば確実な証拠はない。

まったくもって……やはり、彼女にはいつまでも敵わないのではないだろうか。

「やれやれ……本当に。
 シロナは大したものだな。」

どこか誇らしげな様子で口にする。

「……ああ、そうだな。
 全く、大した刺激だった。
 今の感覚はだいぶ覚えたが……」

どろどろの服と体を洗おう、と言われて思わずため息をつく。
確かに、だいぶ凄い様になっている。
承知した、とうなずくのであった。

シロナ > 「アタシは、シャーニィが欲しいから、ね。
 体だけじゃない、心も、欲しいから。
 
 面倒くさくて、ごめんね。」

 ちゃんと理解したうえで、彼女と繋がりたいのだ。
 だから、それまでは我慢もしよう、それで、彼女が冷静に、NOと言うなら、それは諦めるしかない。
 彼女の好意は嬉しいけれど、今は未だ、飛びつく時では無いのだ、と。

「それに、それを受け止めたら、お友達じゃなくなる、からね?」

 ふふ、と嬉しそうに言うのは、そのお友達じゃなくなることが嬉しいから。
 今からでも妄想しちゃうのよ。と伝えて見せて。

「じゃ、温泉行って、帰ろっか。」

 今日は、色々と、得るものがあった。
 それで良いじゃないか、と笑いながら、手を伸ばし。
 手を繋いで、帰っていくのだろう―――

シャーニィ >  
「よいのではないか。
 欲深で、邪悪なのだろう?ヒトは」

面倒くさくて、ごめんね、と言われれば笑って返す。
なんとなれば面倒なのは自分の方だ、とも。

「ふむ、そうか。
 たしかに、そうだな。友人ではなくなるか…」

ふむ、と何事か考え込み。

「ああ、温泉だな。ではいこうか」

そうやって手を引かれていくのだった。

ご案内:「王都マグメール 平民地区 公園」からシロナさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区 公園」からシャーニィさんが去りました。