2024/02/06 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区 屋台街」にリリット・アリール・ソエティアさんが現れました。
リリット・アリール・ソエティア > 【待ち合わせ待機中】
ご案内:「王都マグメール 平民地区 屋台街」にシースさんが現れました。
シース > 「…えぇ。余程体力勝負だとか…書類の束が重量級だとか。其処までいかないなら、手伝えると思います。
というか…誰でも出来そうな事なら。私でも大丈夫だと思う。…という方が正確ですけど。

其方で幾許か頂いて。というだけでも。家計の足しになる、みたいに大仰でなくて構わないので。
今は何と言いますか…気持ちばかり、だけでも。考えてみようかと」

世の中初任給でご両親にプレゼントをする人というのは。今でもそれなり以上に居るらしい。
だったら初めてバイトに励み、その報酬で、というのも。同じと言って良いだろう。
それこそ気持ちばかりの贈り物というのなら…今日、彼と一緒に買っているような。その程度の値段でも良いのだから。
寧ろ高給でも困るというか。そんなに大金を頂けるような働きは出来ないとも言うか。
手伝いはあくまでも手伝い。それも一般人で出来るような事に。限られるのだから。

「そんな角やら鱗やらと同じノリで、綺麗さが手に入るって。…いつまで経っても種族の隔たりが無くならない訳です、この世の中。
基礎程度。えぇその位で充分な筈…というか。あまり本格的にそういうの取り組むって。校則的に駄目そうな気も。
ただ逆に基礎中の基礎になると、わざわざ書籍で紹介する程でもない…と流されていそうですし。
そういう所だけでも伺えると。助かるかもしれないなと。

う、ん?…そう言われると。冠婚葬祭なんかでも、学生って、制服の場合が多い…のは。確かかも」

言われてみると、確かに。学生にとってはフォーマルな外向け衣装。制服の事をそんな風に考えても良いのだろう。
ただ礼服的な物である事も確かだが。やはりそれ以上に、学生という身分の象徴。誰から見ても分かる目印にもなる物だ。
学生でござい女子校生でござい、そんな風にあからさまに主張した格好で。昼食等ならともあれ、それ以上の場所に赴くのは。
これもこれで悪目立ちするのではないだろうか。

先程の店でも。大人な客層の、制服とはまるで別物な、勝負服の類でも見せ付けられていたら。やはりその辺りの差を思い知らされた事だろう。
大人と子供。その間に横たわる隔たりは。時として人と魔の違いよりも大きいのだ。

「流石にその手の物とは…別物ですね。ありがたい事です。
後は何ですっけ、乾燥を強くする為に、砂糖でも塩でもじゃんじゃん投入するそうで…これについては。
砂糖の方だけにしていただきたいなと。此処みたいに」

保存性を高める為…でなくとも。こういった菓子は結構な糖分が投入される。
最初に混ぜられる時点から、小麦粉等と合わせ、粉末砂糖がどれだけの割合を占めているか。初めて見るとぎょっとする物だ。
そんな意味で、美味しさと保存性と、健康と。諸々の分水嶺を見極め配合する菓子職人には、ひたすら頭の下がる思いになりそうな。
こうやって並ぶ諸々の品々から。彼が選んだクッキーと。こちらの方は三つ程で一セットのマドレーヌ。
それぞれを購入し会計も済ませ、袋の一方を手渡した所で…

「……?あの、此方は?」

入れ違いで差し出された袋。手に取れば首を傾げつつ…
見ただけではどうにも判断出来ず?開けても?、と問い掛けてみせた。

リリット・アリール・ソエティア > 「シースさんも知ってる通り、ボクの授業はそこまで人数いないからね。
基本誰でもできると思うよ、用意されてる教材の準備とかだからね。

うん、手伝ってくれるならきちんとお給金は出すよ。月1,2回くらいはデザートいける程度にはなるんじゃないかな。
考えてくれるんだ、嬉しいなぁ」

自分で仕事をして得たお金は使い方を考えるので身に付くとも言う。
そう言ったお金の使い方を考え覚えるのも、学生の内の方が良いだろう。
とはいえ少女に言った通り、学生自体は多くはない、準備する品も少ないのだ。
それ以外での仕事は、授業前の相談などだろう、学生から見て覚えやすいか興味を引く内容かを教えて貰えると講師としては助かる。

「いやぁ、こっればかりはね…ボクでは流石にいかんともしがたいというか。
寝る前とか起きたときの手入れメインだよ、しっかりした化粧は肌の調子とか質とか知らないとね。
シースさんが、ほっぺとか思い切り触って良いなら教えられるかなぁ。
本格的なのは多分規定ないんじゃないかな、元々が貴族メインの学院だし。
あっても他人を不快にしないとかかなぁ。

そうだよ、制服ってカジュアルにも礼装にも使えるから、便利なんだよ?
大人は場合によって何着も服買わないとッてなるし」

女性貴族などな大変である、パーティ毎で新しいドレスと言う事もあり得るのだ。
姉妹でもいれば、姉のドレスをアレンジと言う事もできるのだろうが。
制服に関して言えば、それだけで冠婚葬祭もでれるのは利点。
欠点は学生ですと周りに教える衣装なので、それが欠点になる相手がと言う所か。

先ほどの店も…流石に制服で来る人間は多くない、いないわけではないのも事実だが。
ちなみに、リリットと少女の組み合わせは、パッと見れば友人同士が迷いこんだ風だろう。
穿った視線持ちは、百合二人組やショタおね等、勘違いするかもしれないが。

「街中の屋台で売ってても困るしね、保存系。
うん…とにかく水分を抜くのが大事だからね、結果味が偏るんだよね。
砂糖はねぇ、結構高い物だから、大量生産だと塩めいんだよね…王国は海近いし」

菓子類の砂糖は考えると体重が気になるレベル。
そして砂糖が多いイコール値段が、でもあるのだ。
菓子職人は砂糖の量を調整し、美味しいレベルに仕上げるという甘味好きの味方である。
少女の手から受け取ったクッキーと交換で渡した小袋。

「サプライズプレゼントだよ、アクセサリーの所で良さそうなのあったからね。
今日の記念とボクの感謝と言う事で…ちなみに、シースさんの髪色とかに合わせてるからボクには合わないかな」

開けていいかと言う問いには頷き、中を見たあたりで説明を。
受け取ったし、シースさんのだね、と笑顔で言い切って。

シース > 「その程度でないと…どうにも。ちなみに教材というと、やはり紙面等が多いのでしょうか。
万一壊してしまうと、弁償しきれそうにない…等というのは困ると言いますか。そういう風に思うと…何だか。緊張してしまいそうで。

月一…くらい、で。お金を頂けるのは有難いのですが。その上あまり何度もお手間を取らせてしまうのは…時間は。お金では買えませんし。
とは言え、その分は別に何か考えて……、え。えっと、あ…ぁー、そう。そうです、考えておきます、ので…!」

実際に航海で用いる道具等が有ると。上手く手伝えるのかどうか。
特に方位だの星座だの見るような…等は。精密で、だからこそ値も張りそうな気がする。
勿論同じ道具でも値段はピンキリだとして…その上で。基本が貴族の通う学校だから。その辺でも値段は良い物が揃っていそうだ。
出来るだけ書類だの書籍だの。落としても壊れなさそうな物が多ければ良いのだがと。
申し込む側としてはワガママだが…彼なら便宜を図ってくれる気がすると。既に頼り気味。
そうしてお給金が出たのなら。先程話していたように、月一での外食位は良いだろう。
残った金額は貯めておくか、親に送るか、もしくは彼にお返し…である。

その辺まで考えた所で。彼の言葉で、思い出した。
まだ正式採用が決まった訳ではない。というか正式にお願いしてすらいない。
何時の間にかすっかりその気になっているのは。彼の話術のせいなのか…少女の方が乗せられているのか。
大慌てで首を振り。この話は一旦、此処まで、と…でなければ。自分の事だというのに、ちゃんと自分で考える暇が無さそうで。

「………こほん。失礼しました、つい、嫉妬心が出てしまいました。
その手入れが肝心な訳でして…ぅ。頬は、えー…先程の事がありますので、如何とも…難しく?
貴族の娘さん等でしたら。昼間はそうでなくても、放課後だとか実家でだとか…学内以外では。手慣れていそうな気がしますね。
いえそういう方の場合は、自分でするのではなく。お付きの方等が居て、其方の手際なのかもしれませんけど。
…不快になる化粧って、何でしょうね。ちょっと思い付かないんですが。

逆に服などでしたら、まぁ分かります。目に入ると、ちょっと気になるだとか。勉強に集中出来ないとか。
有りそうな気はしますよね。ドレスなどになると…特に」

大人の、偉い、人。王都の中心に在る城等で、煌びやかな夜を過ごしている人。
そういった場の貴族…というか女性のドレスというのは。何故だか割と露出度の高い物が多いイメージなのは。どうしてだろう。
仮に学院が私服通学で。授業中でも、見目麗しい貴族のご令嬢が。化粧もそういったドレスもバッチリ決めていたら…男子という男子が気が気でないのだろう。
不快になるのとは少し違うが。勉学の邪魔になりそうな、という物なら。確かに規制されているのかもしれない…と。何となく。

では少女にそういう格好はと…考えようとしてやめた。そもそもからして前提が違う。混合組だから通えるだけで、あくまでも一般人でしかない
此処は精々女子らしく、生足らしさを誇示する位が精一杯である。
首から上も肌といえば肌、其処も露出していて。だから化粧が話題になっているものの。
肌の延長線上として彼に触れられるのは。どうも気になってしまいそうだ。…それも。思い切り、などと付け足されている為尚更。
まして頬。…店の出がけにやらかした行為を思い出し。実に気まずげに目を反らしてしまった。

やらかした、等といっても。接吻など、あの店に通う大人達からすれば。お遊び以下の軽さでしかないのだろうが。
余程穿った視点の持ち主が居たとしても。初々しい物だと、笑っていたのかもしれない。

「入手の難しさについては、先程もお聞きしましたね、特に塩は海で行けますしと。
大体、それなり以上に手間の掛かるというか、万人向けでない物を。屋台で売るメリットは少ない訳で…」

といった話をしながらも買い物を済ませ。品物の代わりに此方へと渡された袋。
何となく見覚えが有るような…と思っていた所で。彼の言葉から思い出す。
一番最初に見て回ったアクセサリーの屋台。其処の袋だ。
思わず瞬きしてしまった後、がさがさと袋を開けてみれば。

「…………っぁ、これ………気付かれ…見られてたんです、ね…」

入っているのは二つ。ちょっとした小物めくバッジと…ブローチ。
落ち着いた色合いの後者は、確かに。少女が屋台で気にしていた一品である。
これは幾らだったろうか、等考えようとして。既に受け取った物であり、それが彼の善意からである、と気が付いて。
値踏みするのは失礼だと思い直す。
…一度。袋毎、その二つの品を。胸元でぎゅっと抱き締めるようにして。…返す言葉は。素直に、だからシンプルに。

「…………ありがとう、ございます」

リリット・アリール・ソエティア > 「悪い先生なら、実は壊れてた高額教材移動とかを頼む、なんてネタでありそうだよね。
うん、基本的には道具の使い方の資料とかだね、単純な道具でも使いかたをきちんとしないと意味がないとかあるし。

ボクとしては問題ないよ。一度登録しておけばシースさんが手伝える時にって事で問題無いし。
うん、了解了解、考えておいてね…基本は歩合だからね」

そう言った小説とかもありそうだねと、苦笑して。
航海で用いる道具類も、其れこそ色々である。
単純さで言えば方位磁石、高度な物なら六分儀や天体望遠鏡。
とはいえ、それらも海図、地図、星図などと組み合わせ、使用法を知らねば意味がない。
其の使用法の基本は教科書などにあるが、細かな技術やコツなどは教える側で準備することになり。
それらを纏めた資料などは授業の進みなどで変えるのでその準備となるだろう。
生徒に借金を負わせるレベルの教材は流石に自分が扱うのは、一般的教師としては当然で。

少女が受けてくれるものとして、少女に告げる辺りは確信犯か。
会話の中で、筋を付け少女を誘導しているつもりはないのだが、そうなっているので偶然なのか。
そして、最後に真面目な相手にはある意味受けやすい、歩合と言う話を追加しておく。

「いやいや、まぁ…結構言われるからね。エルフとかニンフってだけで男女どっちからも。
多分シースさんの年齢なら、化粧水とかで平気だと思うけど。そっか、其れは残念。
貴族の子だと、忙しい時期もあるだろうね、社交は結構時期があるはずだから。
あー、確かに…ボクとかは全部自分だからねぇ。
んーとね、一番わかりやすいのは濃い匂いかな…良い化粧品とか香水を、良い物だからって相性、量を無視するとなるんだよ。

服に関してはね、結構見てわかるから。集中できない恰好されるのは教師も困るねぇ。
ドレスはね、人によっては凄く大変だよ…コルセットとか、メイドさんがぎちぎちに、ね」

富裕地区や王城で開かれるパーティ等、同じドレスを着回す事は御法度とされるらしいと苦笑し。
露出度の高いイメージは、ある程度年齢行ってる独身女性か、遊んでる人で目立つからじゃないかなと。
私服でも露出が高いなどは、流石に授業中だけでも隠してもらうかなと、呟き。
リリット的に言えば、濃い化粧の匂いは気分が悪くなるからねぇと、珍しく本気で嫌そうである。

少女の制服姿は、年相応であり似合ってると思ってはいるが、流石に此処では言わず。
真面目で照れ屋な少女は、いっても頑なになりそうだったから。
健康的ではるので、スカートから見える足も、寒さに赤くなう頬も綺麗にしか見えてないけど、と小さく粒やき。
目を反らす少女を、どこか優しさと艶っぽさの有る瞳で見つめて。

「そうだね…今は前より安いとはいえね…というかここら辺は塩が安すぎなんだけどね。
それはそう、屋台で売るなら道行く人の半分以上が気にするものが良いね」

屋台の経営の経験はないが、買い歩きなどして気づいたのは、老若男女のうち半数が気にすればはやる屋台と言う事。
そんな豆知識も、披露して。
少女に渡した品を見ての言葉に。

「これでも目は良いしね、きちんとシースさんの事見てたし」

何処か満足そうな笑みは、同時に艶も感じさせるある種、これも種族特性なのか、それとも経験故か。
とはいえ、少女の事だけでなく、一応周りにも気を遣っていたのは事実。
誘った上、年上である、少女に何かあっては自分も悲しいので、歩く際に注意はしていたのだ。

「ん、どういたしまして…偶にでも良いから使ってくれると、うれしいな。
それじゃ、寮近くまで送るよ…本当は入り口までって言いたいけど、ね」

少女のお礼に、こくりと頷き。
そんな言葉を足したあとで、少女を送ると告げる。
入り口となれば、誰かに見られる可能性は高くなるだろうから、と微笑んで。

シース > 「そういうのが現実に起こると…困りますから。
いえ、リリットさんはそういう事なさらないでしょうけど。単純に私がすっ転んだりしそうなのが。
それを授業で、となると、一種類の道具でも複数個持ち込んだり、なさるでしょう?
内一個だけ壊れてしまって、その分参加の生徒さんを待たせるというのも。…二人組作って、であぶれるとか。精神的にクるでしょう?」

そんな、生徒のあぶれるような事態を招いて。唯見ているだけしか出来ない…などは。心理的にキツそうだ。
少女自身は、グループなど作らずに済むのなら、それに越した事はないものの。
何と言うか船乗りは陽気なイメージが強いというか、そういった性格の生徒が多そうな気もするので。

その上で。万が一の事も無さそうなら、まぁ矢張り、決定してしまっても良いだろうかと。
言っている通り。アクシデントになる事も少なさそうだし…ましてや意図的にそういった仕込みを行うような。悪い教師ではないのだから。
何より彼の考えている通り…歩合性は有難い。矢張り学生身分だと。不意の小テストや学校行事など、如何ともし難いスケジュール変更が多い。
それ以外に関しても突発的な事態が起きる可能性が多すぎる…学院では。王国では。
勿論なるたけ協力するつもりではあるが。万が一を考えておくのも、生真面目さと…少女自身が。そんな時はどうしようもないだろうという自覚故。

「種族差も、性差も、変え様の無い区分ですものね。仕方ないといえば仕方ないのかもですけど…両方、というのは。気苦労お察しします。
よ、よく…ほら良くあるじゃないですか。ものすっごく、もにもにされるというか。揉んだり引っ張ったり。
あぁいうの…よっっぽど仲良くないと。委ねる事、出来ない訳でしてー…

匂いのキツいというのは…ぁぁ…何となく分かります、ね、こういう街中とかですと…時々。思わず振り返る位の女性とか。
接客業等ですとあぁいった方、居られるんでしょうね、お酒とか煙草とかに負けないように。
格好は…矢張りですか。異性にとっては気が気でないとか。同性から見ても眼のやり場に困る…とか。
あぁいったドレスで人前に出なきゃいけない方々って。それはそれで大変なのでしょうね……昼間、制服姿を見ていたりすると。とても想像出来ませんけど」

けれど、同じ教室で学ぶお嬢様達も。夜になれば着るだけで大変な格好や、嫌でも見られてしまう格好等で。踊ったり語らったりするのが、仕事なのだろうか。
羨ましさより、面倒臭そうだ、だとか。恥ずかしくないのだろうか、とか。そんな発想が先立つ小市民。
寧ろ接客業などと誤魔化したが。化粧の濃さで少女が引き合いに出すのは、要は夜の商売という奴であって。
程度の違いこそ有れ、やっている事は寧ろ近しいのでは?と。捻くれた考えが出てしまうのだった。
基礎中の基礎だけでこうも不見識を晒してしまうようでは。とても、そういった世界には触れられないし、触れたくない。つくづく思う。
制服だけ、私服だけ、でも。彼からは一定の評価にも似た見られ方をしていると。気付かなかったのは幸いだろう。
まして小さな呟きを、もし、聴き取る事が出来てしまっていたら。
今後果たしてどんな服装を着れば、彼の前で、あれやこれや意識せずに済むだろうかと。それこそ違う意味で、毎度衣装を取っ替え引っ替えしなくてはなるだろうから。

素直に甘い、美味しい、そういう感想が出て来るのは。持ち帰ったそれぞれを口にした後…それこそ。次に会う時等かもしれない。
今は商売についてやら、歴史についてやら、何とも色気のない…有る意味授業めいた会話になるものの。
蘊蓄に走って色気の有る会話にならない方が。寧ろ少女としては、落ち着いて対処出来るのだろう。

が。そんな平常心を消し飛ばされかねない、サプライズのプレゼント。
袋を胸の前に抱え込む、抱き締める、そんな仕草は。そうやって押さえ込まないと、急激に跳ね上がり大きくなる、胸の音が。
聴き取られてしまうに違いない…と考えたから。かもしれない。

「……ほん、とうに。何から何まで気を使っていただいて。…助かりました。
正直何方かと。こんな風に二人で出歩くなんて初めてでしたし。…エスコート、って言うんですか、これ。
街の中も見れましたし…良かった。です」

目に見える所だけではなく。何処に訪れ何をするのが、お登りさんの少女にとって役立つか。そういった所も考えて貰えてた気がする。
それこそ先程の屋台のように。講義内容の再確認が出て来て、会話のタネに迷わなくても済むような。
色々な形で気を回して貰えていた事を、改めて認識し。ゆっくりと頭を下げながら。

「いえ。流石に其処まで行ってしまうと…まぁ二人で居るだけなら、まだ。門限前の今でしたら、補習だとか何だとか。言い訳出来ますけど。
…こうやって贈り物を頂いて。大事にしている私の姿は。勘繰られます、ものね」

逆を言えば。貰ったそれを大事にすると言ってのけつつ。
送って貰える、となれば。本当に門限を過ぎてしまわないよう、後は寄り道せずに、学院の敷地まで歩いていこう。

こうして……異性、と呼ぶべきか否かは、まだ知らないものの。
今の所はそのように認識している誰かと二人で出掛ける…という。少女にとって大きな出来事は。
無事、幕を下ろす事が…いずれ次へと繋げる事が。出来た、筈だ。

リリット・アリール・ソエティア > 手伝い関連の少女の言葉に頷きながら話を進めていき。
化粧品の話で、委ねる事がと言う言葉に。

「それじゃ、仲良くなったら、してもいいんだ」

と、小さく突っ込みを入れ。
ドレスや化粧に関すれば、女性として動くとき稀に着たりしたりはするのだが。
これも種族差か、ドレスは締めるより詰め物がいり、化粧は自分の鼻が利くためか濃いのは気分が悪くなるので薄くなのだ。
人付き合いをすると言う意味で言えば、貴族も娼婦も近しいかもと思うが。
本人たちに言えば怒られそうとも思うわけで。

甘味を手にし、少女に奢られたものと思えば嬉しく。
食後のデザートにと考えて。

「いや、ボクが行きたいところとか行けたし、一緒に出掛けられて嬉しかったよ。
エスコート…だね、うん、きちんとこなせてたなら何より。
そっか、うん、うん」

少女の言葉に嬉しそうに頷く。
外見相応の笑顔を浮かべるのは珍しく、それほど嬉しかったのだろう。

「うん、シースさんは恥ずかしがり屋さんだしね。
ボクも困らせるのは本意ではないもの…それじゃ近くまで、その次はまた授業か食堂でかな」

勘ぐられると考えること自体も、微笑ましいのか小さく笑みを浮かべ。
次ぎ合うならと、いいながら少女の隣へ立って歩む速さを合わせる。
願わくば、次の幕を開けられるようにと、夕日のせいか、少女の赤い頬を横目で見ながら…――。

ご案内:「王都マグメール 平民地区 屋台街」からシースさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区 屋台街」からリリット・アリール・ソエティアさんが去りました。