2024/02/02 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区 酒場」にソフィーさんが現れました。
■ソフィー > 夜ともなれば荒くれ者から冒険者と、多種多様な職柄を持つ者達が集まる酒の場。
粗雑な美味を貪れば、保存を聞かせるために大量に染みた香辛料を洗い流す酒が進むというもの。
馬鹿笑いしたり、時に互いの胸ぐらをつかみ合って立ち上がったりと喧しい場所だが、その片隅で歯軋りが聞こえてくる。
「はーい、フルハウス♪」
ニマニマしながら手札をぱさり扇状に広げてオープンする。
クイーンが3枚、8が2枚、それに対して向かい側に座る男の手札は7のワンペア。
勝負がつくと、クソと悪態を着きながら積んであった金貨をこちらへと薙ぎ倒して差し出していく。
こうしてまた、世の中を舐め腐ったような笑みを浮かべるメスガキの前に作られた、金貨の山が大きくなる。
これが歯軋りの正体であり、すかんぴんにされた男は仲間のもとに戻ると残念だったなと肩を叩かれ茶化され、うるせぇと怒鳴り声が重なっていく。
何故こんな事をしているかといえば、小遣い稼ぎがしたいというわけでもなく、ただ大人を誂って遊んでいるだけだ。
既に何人もの男達から金貨を巻き上げているが、ほぼ負けなしである。
(「ほんと気付かないんだから、楽し~♪」)
イカサマではないかと疑われるトランプも、既に新品3つ目を開けて使っている状況で、それらもわざわざ彼らが準備してきたものだ。
散らばったトランプをかき集めていき、とんとんと尻をテーブルに押し付けて整理していくと軽くシャッフルしてテーブルの片隅へと置いていく。
しかしながら、今のところ誰も気付けていないイカサマは、人間では察知が難しいのも無理はない。
カード一枚一枚に魔力の断片が張り付いているのだが、それらは魔族向けの暗号用のものであり、人間から見ると手垢のような魔力が残ってる程度にしか見えないだろう。
魔力がこびりつくのは、魔力を持つものが触れればそうなるものであり、対戦相手の魔力がくっついていたことだってある。
だからおかしくはない、そして種を明かすには頭に血が上がった人間には難しい。
鼻歌交じりに椅子の後ろ足でシーソーしながら、積み重なった勝利の数を確かめる。
馬鹿な大人から巻き上げるのは楽しい、なんて調子に乗りながら。
ご案内:「王都マグメール 平民地区 酒場」にクレイさんが現れました。
■クレイ >
「……ふーん」
酒場の端、それを眺めていた男がいた。
男から見ればそれは簡単に見抜ける罠。だがただ賭けをしている相手にはそれを見抜くのは無理だろう。
マスターがそれを見て苦い顔をしている。そりゃそうだ、スカンピンにされたのは本来はこの酒場の客で、前に積まれた金貨は本来ならこの酒場に来る金なのだから。
ニヤリとマスターを見る。
「今度、俺の支払い無しな」
悪ガキにお灸据えてやると軽くマスターに耳打ちして、その席へと向かう。
彼女から見れば他の大人と変わらない。それどころか腰に上物の剣をつけた良いカモに見えるかもしれない。
「良い調子だなお嬢ちゃん。どうだ、俺と賭けは」
なんて笑いながら声をかける。
■ソフィー > 「~♪」
ほぼ負けなしではあるが、実は数回だけ負けている。
それは印につけた魔力を読み間違えた凡ミス、だがそれが嘘くささを払拭する要素になり、余計にイカサマらしさを薄れさせていた。
しかし、魔力の絡繰が見えてしまえば、それもただのミスだっただけだとバレバレなのだろうが。
何かジュースとか、甘いお菓子でも頼んで次のカモが来るのを待とうか。
それとも、今日はこのまま引き上げてしまおうかと考えていると、近づく足音に顔を上げる。
ラフな格好をした精悍な顔つきに体付きをした男性、傭兵か冒険者だろうかとじっと見上げていた。
腰に下げた剣は安物ではなく、それなりに値打ちがありそうだとわかったのは、城でそういった代物を時折みていたからだろう。
「いいの? おにーさん一文無しになっちゃうよ?」
ちらりと有り金を奪われた奴らを一瞥し、ああなると指し示した後に向ける笑みはニマニマとした調子に乗った笑み。
弓張り月の様に細めた隙間から覗ける赤色は、まだ始まりもしていない勝負において、勝利を確信しきった顔。
先程テーブルの隅においたトランプへ手を伸ばしながら、椅子の前足がガタンと床に着地する。
真新しいトランプの山をトンと置いて、小首をかしげながら更に言葉を重ねる。
「一応トランプにはなーんにも種も仕掛けもないけど……心配なら新しいの開けてもらう? 私もチェックさせてもらうけど」
結局新しいのを開けたって、触れれば仕込めるイカサマなのだからトランプ交換は意味はない。
けれど、彼に交換をさせたという事実を与えるのもまた、イカサマと言わせないための小さな罠。
この人はどんな悔しそうな顔を見せてくれるやらと、楽しそうに見つめている。
■クレイ >
「おーおー、怖いねぇ、逆に丸裸にしてやりたくなる」
カラカラと能天気に笑う。
その様は完全に酔っ払い。酒も飲んでいたし臭いもするだろう。とはいえ、その程度で飲まれてなどいないわけだが。
新しいトランプの提案には少し考えて。
「んー、そうだな。どうにも勝ち方がすさまじくて怪しい。新しいの開けてくれ」
ここはあえて乗る。今までの鼻息の荒い馬鹿と同じ。
怪しいから新しいのでやれ。そんな文言を言う。
「たまーによ、傷とかで見抜く奴がいてまいるんだこれが。そういうのには疎くってなぁ」
■ソフィー > 「おにーさんロリコンなの? 変態だ、こわーい」
ニマニマとしながら答えながらも、言葉と共に漂うアルコールの匂いは先程のカモと大差ない。
失礼なことに酒を飲んで酔っ払った勢いで突っ込んできた間抜けと判断しつつ、トランプの交換希望が来ればわかったというように小さく頷いた。
ウェイターに金貨を差し出して、お店から新しいトランプを出してもらうようにお願いしていく。
急いでねなんて小娘にセカされるウェイターも、何処となくイラッとさせているかもしれないが、こちらは大金持ちな客なのだと、平坦な胸を張って得意げな顔をしている。
そうして未開封のトランプが届けば、どうぞとそれを差し出して開封を促す。
「傷で見抜く人なんているんだ、すごーい。私には絶対無理、そんな傷の違いとか覚えられないもん」
わざとらしく目をまんまるにして驚いてみせるも、自身がやっているのはそれに近い。
傷の形などで、それが何かを記憶に結びつけるイカサマと聞いたことはあった。
だが、彼に伝えた通り覚えきれないなら、分かるようにしてしまえばいいだけというのがこのイカサマ。
覚える必要のないイカサマだからこそ、こんな小娘でも簡単にできるというのもある。
■クレイ > 「食えるならガキからお姉さままで全部を食うぜ。なんてな」
ワッハハと笑う。
残念ながらそこは嘘じゃないのは本当の話だった。
傷に関しての話ではうなずいていた。
「そうそう怖いよなぁ」
それくらい傭兵では最低限の必須技能だってのと心でつぶやきながらウェイターから新しいトランプを受け取る。
トランプの裏に金貨が1枚。お前に賭けたぜという合図。ニヤリと笑って見送る。金貨は綺麗に隠した。
そしてトランプの封を切る。
「…………ん、確認完了だ。間違いなくイカサマできる要素はない」
といえばそのまま机の上にトランプの束を下ろした。
「さ、チェックしてくれ。お互いにやらないとフェアじゃないしな。勝った後にイカサマだなんて言われたくねぇし」
■ソフィー > 「は?」
ガキと言われると、先程までの有頂天な笑みから一点、青筋が浮かびそうなほどに眉が吊り上がる。
怖いよなといわれても、ふんと不機嫌そうにそっぽを向きながら返事をするお子様具合だ。
その瞬間にトランプの受け渡しが終わってしまえば、金貨を通した仕込みに気付くこともない。
封を切る音が聞こえると、再びそちらへと視線を戻しつつ、未だに不服そうな顔のまま睨んでいるが、苦労知らずの顔に迫力もない。
「でしょ、開封したてでどうやって仕込むのか聞きたいぐらいよ」
腕組しながら半目閉ざして呟くも、それが出来るのに気づかない奴らが悪いと内心ほくそ笑む。
テーブルに置かれたトランプへ手を伸ばすと、扇状に広げるようにしながら、指を端に重ねて滑らせながら確かめていく。
一枚一枚、指差し確認するような慎重な仕草に見せかけた裏で、指先から溢れる魔力は日常生活でも溢れる程度のそれと大差ない。
くっついた魔力とて、はたから見ればなにか特別にも見えない程度の量で、指向性も見せない。
とはいえ、これさえしてしまえばこちらのものと思いながら確かめていき、問題なければそのまま山を置くだろう。
■クレイ >
「おおう、いきなり怖いなお嬢ちゃん」
なんてビクッとした振りをしてみせる。
なるほどこういうタイプかと。内心では笑みを浮かべる。これなら煽れば乗せれるなと。
そして相手の様子を見ている。その間も席に置いたままだった酒を持ってきてもらって飲み干す。
「そりゃそうだ、さってじゃあお互いに確認は終わったな」
そうしておかれた束をシャッフルする。そして再びカードを真ん中に。
「それじゃ、楽しい勝負にしようぜ。俺の軍資金はこの程度だ」
と机の上に金貨の袋を下ろす。
それなりに膨らんだ袋からは金貨が見えている。そして最悪腰の剣だってある。つまり最後の〆には丁度良いと見えるだろうか。
「じゃ、俺から取らせてもらうぞ」
最初はイカサマなどするつもりもない。1回2回負けるのがイカサマ相手の引っ掛けの常套手段だ。
手札は2ペア。
「悪くないな」
ジャラジャラと袋から金貨を取り出して机の上に。
チェンジ無しで降りる事もしないという合図だ。
■ソフィー > 「ガキとかいうからじゃん、絶対身包み剥いでやるんだから……!」
予想通り、精神的な駆け引きはとてつもなく下手。
煽られればムキになって乗ってくるタイプであり、見抜かれていく。
カードのチェックも終わると、こくりと頷いていき、蓋がテーブルの中央へ。
後はそこから順番にカードを引いて手札を作り、交換を挟んで役を作っていく流れだ。
「そうね、楽しい勝負にしてあげる……あはっ、そんなに持ってるのに、全部なくなっちゃったら大変じゃん」
思っていた以上の軍資金がテーブルに置かれると、にんまりとした笑みで頬杖を付きながら答える。
こちらからと言われれば、どうぞと掌を向けて促すと、その後に続いてカードを引いていく。
手札はワンペア、このままでは負けてしまうが揺らぐことはない。
金貨の山から彼が出したのより多く賭け金を出し、レートを釣り上げていく。
「交換するわ」
そう告げると、一枚だけ手札を捨てていき、カードを引いていく。
つけた魔力でそれが何かがもうわかっている、ワンペアとなった札と同じ数字のカードだ。
確かめれば改めて嘲るような笑みのまま、勝負の時を迎える。
ツーペアに対してのスリーカード、ひとつ上の役で何の問題もなく勝利を収めればニヤァッと分かりやすいほど悦楽の笑みを浮かべていた。
「ふっふー、私の勝ち~♪ おにーさんこの調子だと袋の中ぜぇんぶなくなっちゃうよ~?」
この人も大したことない、トリックを見抜けないカモだと調子づく。
おそらくはそのまま次の勝負も簡単に勝たせてもらうのだろうが、3戦目となればどうなることか。
こちらの目にはカードの流れは見えている以上、予想外の手札が来ることはないはずだが、果たして……?
■クレイ >
「こっちのセリフだっての。ああ、でもガキはガキでもお前さんじゃ食いでが無いかもなぁ」
なんて言い返しておく。勿論相手を煽るのが目的だ。
そして相手が金貨を出せばこちらも出す。乗る、今はとにかく乗る。
故にその勝負の結果は当然。
「うわ、マジかよ。結構良い札だったんだがなぁ」
クイーンと10のツーペア。普通ならそれなりにいい手札。しかしスリーカードには勝てない。
チッと舌打ちして出した金貨をそっちにやって。
「ほら、まだ軍資金はあるぜ。次だ次。今度はお前がシャッフルしてカード配れ。俺ばかりじゃ不公平だからな」
ついでに最後の勝負への布石を仕込んでおく。何回もさせると相手を満足させる。それでは遅い。
3回目が食べ頃だ。