2024/01/27 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にキーラさんが現れました。
■キーラ > ばしゃばしゃと道路に水をかける、革製の露出の多い衣装に身を包んだ獣人が一人。
落ちている鳥の糞やら、野良犬の糞やらを流した後は店の壁の掃除。
屋根に上ってさらに水撒きなど、忙しなく働いている。
「やれやれ、寒くなってるのに、鳥共はクソを相変わらず垂れ流し続けやがって」
そう悪態をつきながら汗を拭い、晴れた空を見上げる。
しばらく見つめた後バケツの水を捨てて、タバコを一本取り出して吸い始めて。
紫煙を吐き出しながら、大股開きでしゃがみ込む。
少々目つきが悪いピシッとキマっている女が不良座りしている光景は少々人が寄り付きづらいかもしれない。
「フー…。さて、午後はどうすっかね。開店前に酒なんか飲むわけにもいかないし……」
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にゼオンさんが現れました。
■ゼオン > 「あっれまだ開いてねぇーんだ。」
一仕事終えてしゃがみこみ、紫煙をくゆらせる貴女の近くまで、店の前まで歩み寄ると頭を掻くのは筋肉質な男。
腰にブロードソードを帯剣してはいるものの、冬の様相として以外は随分と身軽な身なり。
貴女を一瞥するとその雰囲気を気にする様子もなく店を指さしながら見下ろして
「準備出来てんじゃね? 早く開いたりしねえのここ?
酒飲みてーんだけどよかったら付き合ってくんね?」
店員に向けて酒の相手を、と、キマッている女だからこそ自然と口説きにかかって。
■キーラ > 歩み寄って来る青年に、獣人は顔を上げる。
身体能力に自信があるのか、そこそこ身軽な様相に焼けた肌。
いかにも遊んでますという風だが、客として来るならまぁ話は別だ。
「仕込みはまだだよ。早く開くにしても客があんまり今の時間は来ないからねぇ。
…ま、昼間っから飲みに来る客はそういないけど、運がよかったねアンタ。
あたしがここに今いなきゃここじゃ酒は飲めなかったよ」
そう煙草を地面に擦り付けて火を消して、ゆらりと立ち上がる。
長身な男に対して、女もまた男ほどではなくとも長身。
白く美しい被毛を風に揺らして、男に背を向けて店のカギを開く。
「あぁ、言っとくけど団体客はお断りだよ。他に呼びたい人がいるなら夜に来な」
そう振り返りながら言って、店の戸を開く。
■ゼオン > まさに外見、印象通りの男。
口説きはするがまずは酒。運が良かったと言われれば上機嫌で。
「マジで? ついてんじゃん。ついでにあんたみたいなイイ女と話し出来てるしさ。
なぁーんか、今日は仕事する気がしなくてね。いいとこねえかって思ってたら
丁度整いましたーって感じで座ってんじゃん?」
立ち上がる貴女に視線を這わせる。露出の多い服装。獣人特有の毛並。
そして何より顔立ち、マズル。獣の顔を含めて”女”として見て来る人間の男。
「ああ大丈夫大丈夫。俺一人でぶらついてるだけだからさ。」
入口が開けば中に入り、マントを脱いで
「仕込みなしでも乾き物とか当てとかあんの? あったら合わせて欲しいっちゃ欲しいけど。」
酒は強めのなんでもいいやと言いながら。
■キーラ > 「口が回るね、まぁその分話も回ってもらうけど。
仕事したくない日にするのが酒かい?あたしとしては商売になるからいいけどさ」
視線と言葉遣いに気づきながら、言葉を返して暖炉に火をつける。
まだまだ昼間だろうと寒い時期。日当たりがよかろうと室内を温めるのは当然で。
そもそも光があまり強く挿し込まないから明かりにするためにも火は必要だった。
「それならいいけど。脱ぐならそっちにかけられるようになってったら使いなよ」
明かりが出来て店内を見れば、入口近くに衣類を吊るす為のフックがかけられている。
カウンター席がそこそこにテーブル席が奥の方にあり、埃臭い感じもしないことから空気の入れ替えもこまめにやっているようだ。
「あるよ。むしろ時期が時期だから仕入れるのが難しくなる前にそういうのは溜めておくのさ。
ま、メニューはそこにあるから好きに欲しいのがあれば良いな。酒はおまかせっつーことで受け取ったよ」
そう言いながらグラスを取り出して、棚から酒瓶を取り出す。
赤みのある透明なワインをグラスにそそいで、それをスッと青年の前に置く。
■ゼオン > 「酒ってぇーか、女と酒? 客すくねぇーじゃん今?
だから飲みながら話せる女がいるところ探したくてさぁー」
だからこそ望み通りなのだと、仕事をしたくない日は日々を充実させることに充てるのだとへらへらと笑って。
店を本格的に開ける前に充たされた冷気の中、気にする様子もなく羽織っていたマントを脱げば暖かい風が巻き起こる。
旅路に使われる暖気の魔術、それをずっと使い続けるだけの魔力を有してただ日々を充実させていたかのように、
男が入口のコートかけにマントをひっかければ、徐々に暖気が店内に満ちていくだろう。
「へぇー、内装もいいじゃん。超穴場って感じ。
あ、肉系とチーズとナッツ頼むわ。おねーさんもなんか飲めば? 奢るよ?」
と、ワイングラスを差し出されれば、一人で飲むのは詮無いのだと浮ついた笑みを浮かべながら口ぶりに限っては気前よくあって。
■キーラ > 「そういう目的ならまぁあんまり今の時間はないだろうねぇ。
特に今日は国が定めた休みの日でもない、みんな仕事する日なわけだし。
つってもあんま来るのは勘弁だよ。私はこの仕事は好きだけど好きな時以外にやりたかないって思いながらやってるんだから」
当然のようにサボるのが好きと言いながら、彼の方から感じた暖かい風に目を向ける。
そういう魔法か、マジックアイテムか。世の中にゃ自分の知らない者はまだまだあるな、なんて思い。
「固定客はそこそこいるからね。最近は魔物や魔族も活発になっちゃって、来る客は少し減っちゃってるけど。
そんでも来てくれる客がいるからやってけてるよ」
きゅぽっ、と栓を開く音が響く。
彼が奢るという前に自分の酒をすでに注ぎ始めており、丸でそれが当然とでもいう風に飲み始めて。
「自分の店で奢られるのは私の信条的に受けられないねぇ。
なんぜこの店のモンは私のモンだから奢るも何もないから気にしなくていいよ。
言ってしまえばあんたが飲んでる酒は全部私のボトルキープさ」
彼の笑みにそう返しながら、彼の横から手が伸びて注文の品が置かれる。
…目前の獣人は自身の酒を注いで、自身で呑んでおり、ほかに店員がいるようには気配から感じられなかった。
だが、いつの間にか奥の厨房ではカチャカチャと音が聞こえ始めるだろう。
「ま、初めての客ならそこそこ長く使って欲しいからサービスしてあげる。
この店長のキーラ様に感謝しな」
■ゼオン > 「おっけー。じゃあ今度はいい具合に来るわ。
そういや名前なんてーの? 俺ゼオンてんだけど。」
常連の中でも冒険者がいれば最近幅を利かせている若造……、近年に国内に紛れた魔族や竜の類を狩って名を挙げてる類の名。
少なくとも振舞いからは横柄さと言うより軽率さが目立ち、貴女のすっぱりとした印象には
不遜な男が孕む女を組み伏せるような願望や感情は伺えず。
「だよなぁ。こういう店なら通いたくなるっつか。
んだっけ、アスピダ? あっちのほうも実入りが良いかもって準備してる奴等いるもんなぁ。
ま、そっちは興味ねーから俺は姐さんの懐温めっかなぁー」
ならず者と言うには統制が取れ、装備と言うより軍備というレベルに至った一派が潜んでいる城塞都市の名を挙げつつ、
長いこと拘束されるのは嫌いなのだろうか、そんなことを言いつつ。
「スケールでっか。かっけぇー。大抵の酒場ってやれ食器割れたらどうとかみみっちいじゃん?
んじゃあ気に入ったら余所の依頼で酒とかもらった姐さんのとこに持ってこようかなぁー」
ここ全てがボトルキープ、こちらがアウェーなら奢るには相応のものを個人的に渡すものだろうと思いつつ。
しかし、ふと店の雰囲気を見渡していると首をかしげて。
「つか仕込みっつってたけど、他に雇ってねぇーの? 繁盛してるように思ったけど。」
……奥から物音がする。誰かいる、にしては妙だなと思い。
「中々キマッてる店だからマジで通うわここ。つかすげーな姐さん、仕事にもう一つの体使ってんだ」
■キーラ > 「ゼオンね。10回ぐらい店に来たら名前覚えてあげるよ」
噂話には聞くが、客である以上その評判で追い出すなんて真似もしなければ過剰にサービスなどしたりはしない。
そりゃ王族や貴族相手だったらそこそこ考えるけど、それでも自分はやはりそこまで気前よくはしないだろう。
無論嫌な客はいる。店に迷惑をかける客もいる。そういう時に味方になってくれる客がここにはある。
だからいま目前にいる青年が輩過ぎても、そうじゃないにしても。
この店を居心地がよく客としてちゃんと来てくれるならそれでいい。
「嬉しい事言ってくれるねぇ。アスピダは私には合わなかったね。
空気がいまいち、位置のせいで張りつめてて息苦しくてたまんない。
道楽や趣味で店をやるなら、あそこは私はおすすめしないよ。実入りを求めるなら、まぁアリだろうけどさ」
青年の予想は当たっているようで、あまり束縛されるのは好きなタチではないようだ。
大袈裟に手を振ったり感情を乗せた声で言って、首を振るなどしている。
「客が割った食器はお代に一緒に入れさせてもらってるけどね。
多少の不注意ならいいけど、それが当たり前になるのは嫌だし。
…へぇ、そういうふうにに酒を持ってきてくれるならもう少し愛想よくしちゃおっかな?」
ニヤリ、と大きな牙とギザギザした歯が見える獰猛な笑みを浮かべて。
どう見ても愛想笑いには見えないが、本人は楽しそうだ。
「あ、わかっちゃう?さすが、魔法を使い慣れてる男は違うねぇ。
でもあんただってやろうと思えば出来るんじゃない?
もしかしたらもう使ってるかもしれないけど……なんてね」
■ゼオン > 「なっが。まーいいや。10回と言わず来そうだし同じか。」
常連になったらと言われて、なら常連どころじゃなく来るのだから大丈夫だろうと頭を搔いて。
仲間と群れて横暴と周囲から思われる行為をすることもある。
だが一人であればそれは別の話。何より目の前のイイ女に息巻くのは面白いとも思わない。
というか視線の高さ的に目の前に露出の多い塊が二つあるのだから
また来ようと男なら誰でも思うはずだ。
「なぁーんか、あそこは国家転覆とか革命とか面倒くさいだもんなぁー。
だったら余所行って国作ればいーじゃんって思うし。
実入りはあるんだろーけど、なぁーんか、体使って事務仕事してる感じってか。」
ただ掃討するだけ。ただ金をもらうだけ。生き甲斐とは無縁の展開しか思い浮かばないから、
興味はないのだとワインをちびりと喉に流しながら。
「そうそう。そういう遠慮ない店大好き。客に気ぃ使ってる店最終的につまんねーんだもん。
……ぉ、姐さんエロい顔で笑うじゃん。」
獣人の、人とは違う鋭い牙が並ぶ笑みに、男は酒精に充てられただけとは言えない笑みを返す。
軽薄で軽率で、だからこそ、嘘を吐いてる、気を使ってる様子などみじんにもなく、
本当に”エロい”と思っているのだろう。
「人の気配はしねーけど魔力だけは流れがあっからさ。
すげーな。やりたくても出来ねー奴、大体無理に体も気配も全部欲張って失敗する奴よくいんのに、
姐さん仕事用にめちゃめちゃストイックな感じに仕上げてんじゃん。
んー、俺ヤる時はもっぱらエッチする時ぐらいだなぁ。
大勢に責められたいとか抑え込まれたいって女に使うこたあるよ」
■キーラ > 「足を運ぼうと思うようになったらその時点であたしゃ多分覚えてるよ」
カウンターに肘をついて、軽く前のめりになれば大きな塊のほかに、すらりと伸びた脚とくびれ。
さらには大きな……おっと、これ以上はセクハラどころではなくなる。
ともあれ抜群の体付きをしていることは明白で、ここも人気の秘訣かもしれない。
……そうでなくてもここまでの獣人の店主というのはあまり見ないだろうし。
「金稼ぎやらにはちょうどいいんじゃない?なんか最近は大変らしいけどさ。
どっちにせよ、イベントの多さって意味だったらやっぱこの国が一番だろうねぇ」
そう世間話をしながら、フリフリと大きな尻から生えている尻尾が左右に揺れる。
靴を脱いで、後ろ足を伸ばして軽く背中を掻く様子はまさしく犬のような仕草だった。
「はっはっはっ!言うじゃないか。つまらない店なんてどこも一緒さ。
でも面白い店っていうのはどーしても店側はギャンブルになるから、あんまりできないよねぇ。
おっ、エロいと言うか。この色男め」
本気なのはわかるが、だからこそつい面白がって彼の事を肘で軽く突く。
そのまま、何も言わずに彼のグラスにまたワインを注いで。
いつの間にかおつまみも追加されていた。というかもう昼飯ぐらいに積まれていた。
「ココの使い方が違うのさ。ついでに体の使い方もね」
褒められて気をよくしたのか、前のめりになっていた身体を
直立させると腕を組む。
その時に”たゆん”と軽く揺れたが……自身の頭を指さして語り始める。
「そもそもリソースの分け方がみんな下手くそなのよ。魔法なんていうけど学問としてちゃんと見ないと。
いつだって馬鹿を見るのは現実を見るのと妥協が出来ない奴らなんだから。
ちょっとだけ我慢して目をつぶれば、複雑なことになんてならないのにねぇ。
なかなかスキモノなのは男に限らず女にもいるのねぇ。知ってたけど。
あたしは勘弁かなー、いくら自分が頑丈で体力自慢だったとしても、考えたりやることが多くなるのは面倒くさいし」
■ゼオン > 味方をする理由も冒険者というものは単純明快。そうでない男も無論のこと。
要はたまらないのだ。もっと言えばお近づきになりたいとも思う。
そうでなくてもこんな気風の良い仕草で引き締まったヒップまで見えてしまうのだから。
「この国って姐さんも余所から来たクチ? 俺は国外組でさぁー。
イベントって意味じゃマジで楽しいわこの国。
表でも裏でもわんさかだしな。」
二足歩行であれば自然と太ももを大きく広げて背中を足で掻く仕草に獣人そういうのいけるんだと
体の柔らかさと絶妙な角度に目が行きもする。
「だってさ、人の顔色は見てんのに顔見てねえのってつまんなくね?
別に常に客の相手しろってんじゃねーけど、酒飲んでのにずっと店の空気新規臭いんだぜ?
だったら俺姐さんがやってるような店来るよ。
エロいよー、俺スケベだよー。いい女とヤれんのが一番幸せ」
そう言うつまらない店で暴れるのは店の方が商売として筋を通していないのだと。
おつまみが盛られてる辺り掴みはいいんだろうと思いつつ、え、多くねって顔にもちょっとなる。
生ハムとチーズを絡めて姐さんの口にあーんでもしてみる。
「体の使い方はすげぇ上手いのは分かる」
魅せ方がすごいのこれと。そうは思いながら頭を指さしているのを見れば。
「学問って言うけどさー、俺そんな学んでねーぜ? 理屈ってかやってたらそのうち掴めるっつか。
そも、自分がやりたいこと出るじゃん? その後にやって出来ねえじゃん?
じゃあ出来るようにするか要らないところ省くじゃん? 出来上がってはい完成。
出来ねえもんは出来ねえんだからしょうがねえって思う……、
あー、魔法を学問じゃなくて”魔法”って見てるのか失敗する奴等」
体系化された魔術ではない、法則を掴んだ技法ではない。
おとぎ話に出て来る魔法と混同しているから無理をして皆は失敗するのかと
姐さんと話をしていて発想に至って。
「ヤる時に体増やすのもヤるこた同じだよ。
胸も尻も可愛がりたいけど手が足りない、腰掴んだままでいたいけど手が足りない。
目的自体は一個なんだよ。」
一つの動作をそれこそ微細にするのではなく、力の加減だけして目的に沿って意識を傾ければいんじゃね、と。
■キーラ > ま、冒険者に限らずそういうのがやはり基本なのはわかっている。
それに気分を悪くするわけでもなく、これもまた武器として思うのが彼女のやり口なのだろう。
だからといって、簡単に好きにさせるワケもないのだが。
「いんや、生まれと育ち自体はこの国だよ。いろいろワケあって旅してたのさ。
そうでしょー?危ないことも多いから安定をお望みなら、まぁアスピダの方がマシかもしれない。
でも食材もモノもここほどいろんなものが見つかるところはないしさぁ。
やっぱそういう意味じゃこの国って特異点みたいな所だと思うんだよね私は」
語りながら自分の酒を一気に飲み干して、厨房から伸びてきた手にそのグラスを預ける。
「あぁ、そりゃつまんないわ。まぁ顔色をうかがうのは誰も出来るし人付き合いじゃ必要だけどね。
顔を見てないのはよろしくないねぇ。私は常連の顔ぐらいはちゃんと覚えてるつもりだし。
ま!顔よりもにおいのほうで私は記憶してるんだけどね!こんなナリだし。
知ってるー。ついでに目がケツがおっぱいに向いてるのもわかってるー。
見せつけてんのはサービスねー。お代は次またお店来てくれたらいいよー」
あーん、と彼の差し出されたつまみを遠慮なく彼の指事食べる。
人肌の温度よりも暖かい粘ついた唾液が指に絡みながら口を離して。
「ま、あんたみたいな男ならエロい女のツバぐらい飲めるっしょ。それもサービス」
場合によっては無礼にも当たる行為。あるいは恋人にするような行為だが。
この男はそんなことを気にするタマでもなければ、むしろ喜ぶ手合だと思って。
「そゆこと。認識ってのは魔法に限らず大事だよ、イメージもね。
だけど”これぐらいは出来る”のと”ここまでは出来ない”って言う風にやってかないと失敗するのよ。
私の場合は計算とか理論立てて魔法を教えてくれたけど。
大体の人って感覚とイメージだけでやるもんじゃない?あんたもそのクチかもしれないけどさ。
そうなると行き詰った時の原因を解明しようとしない人が多いのよねぇ。
一時期私も魔法の講師やってた頃があったんだけど、それでやめてく人が多かったのよ」
こんな体の講師がいたら、別の意味で生徒は多いかもしれないが。
ともあれ、見た目で判断するのもおかしいが、意外と知識にも彼女は秀でているようで。
「はー、なるほどねぇ。そういう考え方はなかったわ、発想豊かで人生楽しそうねアナタ。
ついでになんか新メニューの案とか出せない?」
■ゼオン > 今更初心というわけでもない。そういうのを武器にしていると仕草に見えるのがまた魅力的、と言うのも男の考え方で。
というかどういう声で”遠吠え”するのか誰だって興味が湧くと言うものだ。
「へぇー。つか王都にこんだけ魔族が紛れ込んでんのにバレてねーのも含めて、
流れ込むこと自体は拒まねえお国柄なのかね。」
種も、食材も、文化も。人や文化が必ずしも抱く排斥や身内の感情が薄い。
それは縄張り意識、仲間意識が強いチンピラがことさらに感じている。
……しいて言うなら、ミレー族。あの”女の孔は具合が良い種族”に全部負の側面を押し付けてるようにも思えて。
だからこそ、ミレー族に絞られるからこそ、姐さんのような獣人も分け隔てなく、
他の国では中々ないほどに馴染んでいるのだと思って。
「姐さんは常連への目線が同じ高さ、だけど、
つまんない店は下から見てるくせに態度は上だからめんどくせえのよ。
違いますー、エロいマズルも舌も腹筋も全部見てますぅー。
えー、んじゃあマジで次良い酒手に入ったら持ってくるわ。」
薄着をしてるだけあって伺える体温の高さが指に絡みついて唾液が残滓を残す。
それをふき取りもせず、次のつまみをつまんで舐ってみせて。間接キス。
「あー、決めた。姐さんとヤれるまで通う。てかヤッても通う。」
距離を詰めて来るかのような行為、挑発的な仕草と物言いに決意を示す。
大分ろくでもない決意なのはさておき。
「そそ。やれるからやってるだけで、どうしたらできるんだって言われてもってたまになるしさ。
境目考えねえで魔法に無理押し付けてんのお前等じゃん?
お前等それ魔法にやるけど友達とかに同じこと出来る? って思う。
俺もそだねぇー、やったらできた。出来ねえから別の方法でやるの繰り返しっつか。
うん、だって姐さんの生徒って、違うじゃん。魔法目当てじゃないじゃん。
魔法で増えた沢山の姐さん目当てじゃん」
そいつ等ドーテーかよ、などと言ってしまう有様で。
「楽しんでるよー? 面白いことしかしねえし俺。
だから今日姐さんとこうして話してすげぇー楽しいからマジで人生謳歌してるって感じ。
新メニューってか、姐さんが普段まかないで食ってる奴で美味いのねえの?
店の人間にとってお出しできないつもりでも客からしたらクソウメェ!?
ってのは結構あるよ」
■キーラ > 「まーそういう店は多いだろうね。でもこれもこれで問題があるんだよ。
店側が客と同じ目線だと、それに腹を立てて騒ぎ出すクソ客とかよくいるし。
客は神様でもないし店は神様でもないけど、どうしても”金を払う側だから”っていうところを押し付けてくる奴らは多いんだよねぇ
本番はサービスには入りませんのでー。もらったら店で美味い物食える権利ぐらいしかありませーん。
ま、それでも十分サービスなのは変わんないけどね。期待しないからとびっきりの酒持ってきな」
立っているのに疲れたのか、椅子を取り出して座りカウンターに頬杖をつく。
「常連の決意ありがとーございまーす!ろくでもねぇ客がまた一人増えちゃったぜ!」
からからと、そんな決意を表明する彼を楽しそうに笑って。
冗談だと受け取っているわけでもない。ただ、まぁ。
別に自分に損はないのは確かなので。愉快な気分になるのは仕方ない。
「付き合い方になるのかねぇ。そこらへんの魔法の認識ってさ。
ま、それを道具と見るか法則と見るか、学問と見るか友人と見るか。
それはその人の考え方ひとつで変わるんだろうね。実際世の中にゃ”気”なんていう風に表現してるし。
知ってるけど生徒が多いとその分収入も増えるからね。
割とそういう生徒ばかり集めてたところもあるかなー、今はやってないけど。
まぁ童貞ぐらいがいいんだよ、ガッつき過ぎはよくないけど大人しい奴は好きな女を誰かに取られても文句は言えねぇんだから」
大分ヒドイことを言ってる気がするが、彼女の中ではそういうのも見て来たのだろう。
まぁもしかしたら実体験かもしれないが。
「あたしの賄いって生肉丸かじりだけど、それをメニューにするのはさすがにNGっしょ。ここじゃなくても出来るし」
■ゼオン > 「しょーもなっ。金払う側だから酒場じゃ気前よくばら撒くもんじゃねーの。
あんま羽振りよくすんなってアニキに怒られたことあるけどさ。
んでも姐さんとこうして駄弁って飲んで面白いのがさー、下らねーことやってできなくなるのって面白くなくない?」
軽率なチンピラで、面白いことしかしたくないからこそ、じゃあ面白くなくなることはしない、という考え程度はあるのだと。
所詮そこで面白くなくなることをするのは酒か金か力に酔っている、それか自分をごまかしている人間で。
「逆に本番ではこちらがサービスしますぅー。つか酒も食い物も空気もうめえ。
オッケー。姐さんが呑んだ時に驚くような酒探すの面白そうだから頑張るわ」
ろくでもねえ客呼ばわりに怒るどころかよろしくおねがいしまぁーす! などと合いの手を入れて乾杯迄してくる始末。
男にとっては面白いか面白くないか、だからこそ楽しいか楽しくないかも重要になってくる。
それは気に入った相手にも含まれていて、悪い気はしない姐さんの顔に嬉しそうに笑いもする。
「全部でいいんじゃねえの?
体の一部じゃない便利なものだから道具だし、
筋道立てねえと意味ねえから法則だし、それ学ぶための学問、は人によっちゃセンスありきになるけど。
ただ、友人にしちゃ近いから、友達ってか、マブダチ? 息合わせたら出来ねえことなんてねえ! ってなるし
できねえもんは出来ねえわ、ってところもさ。
気かぁ。この間知り合ったエロいエルフの姐さんの気もすげぇ緻密で面白い動きさせてたなぁ。
ザ・ベテラン! つーか。
あー、大人しい奴は女取られても何も言わねえけどいつまでもうじうじしてるだけよ?
姐さんだって元生徒に今でも狙われてたりしてな?」
童貞ディスり談議が新たな酒の肴になりつつ、生肉と言われるとへぇーと声をあげて。
「ステーキレアでも喰うけどそれとはまた別の感じなんだろ?
やるなら……、ローストビーフ? 姐さん好みの肉汁たっぷり的な。
新メニューならこの店の、姐さんのカラーに寄せたいし」
■キーラ > 「チンピラ根性丸出しだねぇ。あたしは嫌いじゃないわ。
そういう風に楽しいから生きてるってのは大事だと思うし、笑えるならそれでいいし。
面白みがないところにいっても私は楽しめないしねぇ。
あ、でもあんたがもし私が面白くないって思ったことしたら容赦しないからよろしく」
釘をさす。というよりはちゃんと相応に面白おかしいことをしてくれと伝えて。
自分は他人を楽しんでいる様子を見るのは好きだが、自分が楽しくないのは一番嫌なのだ。
「ははっ。ま、そん時はせいぜいサービスに期待させてもらおうかね。
おっ!そうやって頑張ってくれるのはありがたいね。持ってきたらほっぺたにチューぐらいしてあげるよ」
その乾杯に楽しそうにこちらも応じる。本質はお互い似たり寄ったりかもしれない。
その過程や目的は大幅に違えど、酒飲んで楽しく食べれることに一定の満足は得られる感性は。
「全部一緒くたにするにはちと複雑な部分というか、簡単に滅茶苦茶なことも起こしちゃうからねぇ。
才能って言っちゃアレだけどさ、出来ないものができないはずなおに。
何でもできちゃう奴もいるんだよね。そういう奴って逆に振り回されてるし。
場合に寄っちゃ悪友にもなるから難しいよねぇ。
お、じゃあそんときゃ気持ちの整理が着けられるように私が前に出てやろうかね。
いつまでもうじうじしてそんなままだと逆に可哀想だし。
まぁ成長出来てるならそれが一番だけど、そういう区切りがないと前に進めないやつもいるし」
カランと、氷をどこかから取り出して、それをガリガリと嚙み砕き。
「ローストビーフねぇ。アレ仕込み面倒くさいんだよ、やったことあるけど。
あー、でもスペアリブとかはいいかもね。最近いいスパイスも市場に出回るようになったし。
ほかにいろいろ……」
そう話を続けて、結局夜になるまでこの談義は続くこととなり。
もしかしたら青年は予想以上に分身の数を増やしているキーラの姿にまた、別の驚きを見せるかもしれないが。
それはまた別のお話。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」からゼオンさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」からキーラさんが去りました。