2024/01/04 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区」からロイナさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にキーラさんが現れました。
■キーラ > 黒い革製の衣類に身を包んだ獣人が、バー……というよりは居酒屋のような喧噪の店を切り盛りしていた。
薄着な露出の多い肌だが、その肌は白い体毛に覆われており、肌というべきかは迷うかもしれない。
ぴょこぴょこと耳と尻尾を動かして、そこかしこを歩いている。
「はいビールとエールお待たせ~! お通し出すの遅れちゃってごめんね!
これお通しのたこわさと砂肝ポン酢! 追加の注文はまた声をかけてね~!」
忙しいというほどではなく、ほどほどに客が入っている。
店員の姿はその獣人しかないのだが、その獣人は不思議と複数人いた。
格好も身長も見た目も一緒だが、姉妹というわけでもなさそうで。
テーブルのそこかしこに酒やつまみ、料理を提供していた。
「厨房係ィ! 串揚げと唐揚げセットBテーブル!」
そう一人の獣人が叫ぶと「あいよー!」と厨房の方から全く同じ声が上がる。
しばらく時間が経てばその注文が出され、運ばれていき。
そんな風にある程度の賑わいを見せつつも落ち着いた時間がやってきたのか。
いつの間にか複数人いた獣人は一人となっており、会計用の椅子に座っていた。
「ん~、ふぅ。ひと段落したあとの一服は最高だわぁ」
その突き出した口から紙たばこを咥えていた。
いちおうは客の前だが、誰も気にしない辺りこれが普通らしい。
ついでに自分用に置いてある塩漬けの肉をかじりながら、次のお客、あるいは注文を待つのだった。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にビーンさんが現れました。
■ビーン > 冒険者としての仕事をしてすっかりヘロヘロ。
しかしながら、何とか金策も終えて、実家にお金を渡し終えた開放感が疲れていた体を動かしている。
小さなお腹はくぅくぅと啼きっぱなしである。
そんな時に華を擽ったのはなにやら若いお腹と体を刺激するさまざまな食べ物の匂い。
その誘惑に負けてついつい足は普段は足を踏み入れないようなバー?居酒屋?の扉を開ける。
そこそこの人の数ながらも賑やかな店内。
何よりも目を引くのは店内にいる露出の高い?黒革の衣類を纏う獣人。
それも同じ顔、体であればややきょとんとしながらも魅入って、店の入口扉を閉めた所で足を止めてしまった。
「わ…わぁ…?」
■キーラ > カランカランと扉の音を鳴らして入って来る客へとその顔を向ける。
「あらいらっしゃ……うっわ。
看板見てないの?ここ本当なら15からしか入っちゃダメなのよ?」
咥えていたタバコを灰皿に一度移して入ってきた少年へと目を向ける。
身長差は優に30cm。椅子に座っていても目線は獣人の方がずっと高い。
「ぷはぁ」と紫煙を吐き出した後、立ち上がればさらにその目線は大きくなる。
カツカツと革靴の音を立てて獣人が少年に近づき、威圧感があるぐらいに見下ろすが……。
すっ、と膝を折って少年の目線に合わせる。
「それで? ボクちゃんがどうしてもって言うなら何か出せるけどどうする?
その辺のお店より割高でもよければ、になるけどね」
もしも少年が頷くようなら、その首根っこを遠慮なく片手で掴んで少年を持ち上げる。
冒険者としてしっかり仕事をしているともなれば体重もそこそこはあるのだろうが。
そんな少年の身体でも片腕で軽く持ち上げられるぐらいには、この雌獣人は怪力のようで。
そのまま、カウンターへと「ぽふ」と軽く座らせるだろう。
■ビーン > 扉を開けた時に響く鐘の音も気にならないぐらいに店内で働いている獣人に興味津々。
魔術なのかななどと考え、思考の海に沈んでいた少年を現実に引き戻したのは女性の声。
「あっ…ごめんなさい。 なんだかいい匂いがして…。 着い体が。」
等とやや慌てながらにぱたぱたと手を振りつつも椅子に座っていた相手が立ち上がり歩み寄って来れば、威圧感のある相手を見詰めるが、近づけばやはり白い毛に包まれた体。
そんな相手がひざを折り、目線を合わせて来れば、垂らした前髪の下の大きな瞳でじっと見つめ。
割高という言葉にへにょっと眉尻が下がるが、今日は懐も温かい。
「このままだと帰る間にペコペコで倒れちゃうので、食べたいです。」
学生兼下位の冒険者。
鍛えれば強くはなるが、筋肉がつかないせいでほっそりとしたしなやかな体。
首根っこを掴まれひょいっと軽く持ち上げられれば、プラプラと揺れる足元と、普段より高くなった視界に目を輝かす。
持ち上げる相手にとっては軽すぎるかもしれない。
「わぁ…」
何処か嬉し気な呟きを漏らしながら自身を持ち上げる牝獣人をちらりと視線を向ける。
豊な胸に、鍛えられた体が作る体のライン。
そして、狼に近い顔ながらもしっかりと感じる知性と、白い被毛に包まれた体、初めて触れる種族故についつい熱っぽい瞳で見上げてしまう。
そんな折にカウンターへ座らされれば、もぞもぞとお尻の位置を調整してから大人向けの店故、高い位置にある椅子、足が自然とプラプラとしてしまう。
「えっと…がっつり、栄養たっぷりなお薦めを?」
聞きなれない、耳慣れないメニューが多く、ついついそんな適当な注文をしてしまう。
■キーラ > 思ったよりも軽い感触に、少しだけ疑問を浮かべる。
あまり食べていないのか、それとも食が細いだけなのか。
まぁ、そんな少年が注文したのは栄養たっぷりなものというのだ。
おそらくメニューのものが名前だけではわからなかったのだろう。
それなら腕によりをかけて提供するのがマスターの仕事というもの。
「はいはい、厨房係ー! ”ハイポーション飯”一丁!」
そう大声で厨房へと声をかければ。
「はぁ!!? アレ注文とかマジィ!?」
と、全く同じ声の大声が帰ってくる。
そうしている間に、少年の前にグラスが立てられ、そこに冷えた水が注がれた。
トクトクと音を立てて、波打つ水面。グラスは空気と水の温度差によって水滴が生まれている。
くたくたになっている体なら、まずは水分を取るのが大事だろう。
「ボクちゃんはこの店初めてだろう? よくもまぁ一人で入ろうと思ったね。
まぁそういう勇気だか怖いもの見たさか、食欲だけで入ってきたことに免じて少しは作ってやるよ。
それで……」
いつの間にか自分用にも水を注いでおり、そこにストローを差す。
この口では、さすがに水を口に入れるのは難しいらしい。
軽く一口飲んでから、もう一度その大きな口を開き。
「今日はどんな仕事をしてきたんだい? 一人で待つのも寂しいし、好きに話してみな。ボクちゃん」
と、カウンターに肘をついて、妖艶に横顔を見せて軽く視線を向ける。
■ビーン > 首根っこを掴んで持ち上げられるなんて言うのは大分久しぶりな気がする。
悪さをしての結果ではないが何となく居心地が悪い気がしないでもない。
なにやら豪華な名前の食事に、いくら余裕があるとはいえ、首からぶら下げて服の中に隠しているがま口君の中で足りるか少しドキドキする。
次からは予算を伝えなければと、既に応答が入り注文が通った事に若干遠い目をしながらも状況に身を任せる。
注がれた水、いただきますと呟いてからグラスの表面に生まれた水滴で指先を濡らし持ち上げながら一口。
渇いていた体に染み込む様でほぅっと一息。
語り掛ける言葉にコクリと頷き始めてであることを告げつつ、食欲につられてはいった度胸は褒められたようで僅かな笑みを浮かべる。
自分の頭も丸かじり出来そうな大きな口と、カウンターに肘をつき見せる横顔に妖艶さを感じるとなんだか腰のあたりがムズムズする気がする。
「いろいろとありがとうございます。僕の仕事の話ですか?えっと、今日はー」
下級の冒険者ながらも、学園で学んだことを活かしての雪が積もる冬山での薬草採取。
凍えそうになりながらも、魔術を使って指先を温めたり、雪の下で眠る薬草を探すのに、目当ての木の根元を掘ったり、
途中で狼に近づかれれば、姿隠しを使いながら木の上に上り、自分の匂いを辿り木の根元に近づいてきた狼の首を風の魔法で切ったおかげで、貴重な臨時収入になったことを、身振り手振りを使いながら話していく。
「一応凍傷にならない様に気を付けていたんですけど、薬草を傷つけられないから最後は手で雪を避けたりして、すっかりかじかんじゃいました。それで、換金して、家にお金を入れ終えて、その帰り道にものすごくいい匂いがして釣られてしまいました…あ、僕はビーンっていいます。 どうせなら名前で呼んでくれると嬉しいです…。」
そこまで話してからなんだか考え無しに居酒屋に足を踏み入れてしまったと少し恥ずかしくなり、赤く、冷え切っている指先で、恥ずかしさをごまかす様に頬を搔いた。
あと、ボクちゃんと言われるとなんだか、子供であるがよ入り子供っぽく感じてしまい、改めて名乗りをした。
■キーラ > 水でのどを潤しながら、少年の今回の依頼の話を耳に入れる。
ぴょこぴょこと揺れる狼の耳は少年の話に合わせて動き、しっかりと聞いている様子を見せていた。
雪山と聞けば寒そうに耳を畳み、狼に追われて木の上に登ったと聞けば怖そうに耳を震わせる。
「なるほどねぇ。この時期に雪の冬山たぁかなり苦労したわねぇ。
あ、じゃあお冷じゃなくて温かいお湯の方がよかったかな? ごめんねボクちゃん。
――――ん、じゃあビーンちゃんね?」
くすり、と笑うその顔はいたずらっぽく。ちゃん付けする意識は変わらないようだ。
そんな風頬を搔いている少年の手に、彼女の被毛だらけの手と温かいおしぼりが乗せられる。
ほかほかと湯気だって、非常に熱い。それでも今の少年には必要な熱なのだろう。
「はい、これでちゃんと手を温めて、汚れを拭いてね。
そんなんじゃ風呂にもまだ入ってないんでしょ? 食べ物食べるんだからちゃんと温めて汚れは取らないとね。
……あっと、そういえば私名乗ってなかったっけ? キーラよ。
キーラ・コリンズ。この店のマスターね、よろしくビーンちゃん」
「ニィ」と笑うつもりだが……その口のせいで「ギパァ」と肉食獣の歯茎を見せるようになってしまう。
しっかりと生えている牙が見え、ピンク色の歯茎と舌が隠れていた。
見た目だけじゃなく、しっかりと口の中も本物の狼と同様のようである。
同時に、少年を襲おうとした狼もこんな感じの口をしていたと思い出させるかもしれない。
「じゃあ今日はもう食べたら宿に帰って寝る感じなのかな?
ちゃんと休まないと凍えちゃうから、しっかりしなさいよね。
冒険者は体が資本なんだから。そうじゃないと私もお客が減るしね」
と、口を閉じたまま笑い直して可愛らしくウィンクをして見せた。
■ビーン > 離している最中にぴょこぴょこと揺れる狼の耳、尻尾、ついつい視線を誘われながらも身振り手振りで話を震わせ、
狼の所では大きく、小さな口を開けてみたりもするが、迫力は一切ない。
「えへへ。 でも、一仕事でお金を稼ぎつつ、僕ができる仕事だとその位しか無くて。 早く大人になればもっと稼げるんですけどね。いえ、熱いと一気に飲めなかったので冷たいお水で良かったです。ありがとうございます。」
しかしながら、大人になるにはどうしても時間を要すものである。
ビーンちゃんと呼ばれながら、差し出された湯気立つおしぼり。
あちあちと手の中でおしぼりを跳ねさせながら両手で包み込み指先を温めていくと、少し力が抜けたような表情を浮かべる。
そして、被毛だらけの手はおしぼりと違った温かさで離れていくと名残惜しくついその手を少年の視線が追っていく。
「はい─御風呂はまだですけどまずはご飯かなと。 キーラさん。よろしくお願いしますね。」
中々迫力のある笑みに持感じるがどことなく愛嬌のような物を感じてしまう。
其れゆえか、自分の命を喰らおうとした狼の大きな口とは別物のように感じるのは、
敵意がないからだろうかと、ついつい相手を見詰めつつにこりと穏やかな笑みを浮かべる。
「一人で眠るだけの寮に帰るだけですけど、はい。お仕事だけじゃなくて勉強もしないといけないので気を付けますね。 ふふ。お客さんにカウントしてもらえるのならまた来ても?」
と、僅かに悪戯っぽく微笑みながら、頑張りますとばかりに、胸の前で両手に握り拳を作ってジェスチャー。
そうして視線はついついウィンクを向けてきた相手の横顔を見詰める。
優しくて可愛い大型のもふもふと、筋肉と力強さを持つ相手につい見惚れてしまう。
「可愛い… あっあの、キーラさんがよかったら...ちょっと撫でてみてもいいですか?」
手はおしぼりのお陰で暖まり、少しちくちくとしたかゆみも収まって来れば、やはり気になるのは自身にはない被毛で覆われた体。
自分を持ち上げたその腕についついじっと見つめてからおねだりをする様にキラキラとした目で横に座る相手を見詰めていく。
■キーラ > 張り切る少年の姿に、どこか感じ入るものがあったのか目を細めて。
穏やかな笑みをして自分へ全く警戒心を示さない。そんな心意気が心地いいのかもしれない。
そう自分で思いながら、そわそわとする少年の顔。
目線をやれば、自身の身体、ひいては彼にとっては珍しいのだろうこの”肌”に興味を持っているようだった。
「へ~? 可愛いなんて、あなたがよく言えたものねぇ?」
なんて揶揄うように言って、「ツン」と少年の額を軽く突っつく。
人間とはまた違った指の感触が少年の額へと走るだろう。
同時に、わずかに被毛によるふわふわな感覚もまた感じる。
そうしてもう一度こちらへと見てくる少年の目前に、自身の前足(右腕)を見せて。
「好きにしな。お客さんだからサービスしてあげるわ。
頭とか触りたいなら、また次来てくれたら考えてあげる」
そう微笑み、好きにさせてやると言わんばかりに「ほれ」と腕を目前に。
毛繕い以外にも毛並みを整えたりしているのか、非常にフワフワとしている。
触ってみれば枕以上に暖かく、そして柔らかく、モフモフとしていた。
人間の身体とは違う質感。力を籠めれば被毛の下の筋肉を強く感じるだろう。
少年が感じる通り、非常に力強い。少年を片腕で軽く持ち上げる腕力を考えれば当然だった。
そうして少年が腕から顔を上げれば……革ジャンの下の乳房が目に映る。
ベルトとナイロンで隠したそこは大きく、激しい運動をすれば”見えて”しまいそうだ。
「……ん-? あんまり見てるとまた額を突くぞー?」
なんて、ニヤニヤしながらそれを見せるように、革ジャンを少し開いて見せた。
■ビーン > 地震に向けられる穏やかな笑みに少年もまた穏やかな笑みを浮かべる。
優しい一時のループがそこにある。
対そわそわしておねだりをしてみれば揶揄われる様につんっと突かれる額に目を閉じつつも小さく揺れる頭。
「えへへ。ありがとうございます。 ん…ふふ。常連になりたくなる宣伝文句…。」
等と音なの余裕に小さく笑いに差し出された右腕。
先ずは毛の流れに添うように指を滑らせれば柔らかくモフモフと暖かく、柔らかい被毛。
わぁ、と素直な感嘆の吐息を漏らしながら、型から肘のあたりまで撫でてから、次に流れに逆らう様に掌全体で二の腕を撫で上げていく。
小さな掌を擽る柔らかな毛先の感覚と、その舌にあるのは人間の身体とは異なる力強さを感じる筋肉。
ついついその筋肉の盛り上がりが作る山や、谷を撫でる指の動きはどこか艶めかしくもある。
「柔らかくて暖かくて、力強くてとっても綺麗…」
やわやわと、二の腕を撫でながらほぅっとどこか甘く呟きを向けた所で目に飛び込むのは豊かな乳房。
白い被毛の体を隠す黒革の服は激しく動けばその隠された場所も見えてしまうだろう…。
力強さとは対極の柔らかそうな胸に見惚れていれば、頭上からかけられる言葉に小さな体が跳ねて。
白い肌はみるみる赤く染まりながら相手の腕を撫でていた手を小さな掌が添えられ軽く握り。
見上げればにやにやと少し意地の悪い笑みが向けられていて
「えっ…あ…ごめんなさい。 僕に筋肉がつかないからキーラさんの綺麗な体に見惚れてました…。それに、ふわふわもこもこで温かくて凄く気持ちよくて…。」
そう呟きながらも二の腕を撫でる小さな手は離し難く、肘から自身の額を突く事が出来る右腕の先へと掌を滑らせていく。
相手の肢体を見ているとなんだか腰のあたりがムズムズとしてくるのは仕方がない事、持て余す若い精の高ぶりを感じながらもじ、と太腿をすり合わせてしまう。
相手からはお見通しであろうが少年自体も無意識故表層に出ているとは気づいておらず、むしろ触れさせてくれている相手の腕に夢中になり時に擽る様に指を被毛に絡めていく。
■キーラ > 少年の素直な言葉に、当たり前だと言わんばかりに意地悪な笑みのまま言葉をかける。
「くふっ、常連が増えるなら私としては嬉しい事だからいいけどね。
その分ちゃんと注文しないと怒るわよ? ツケも絶対に受け付けないからよろしく」
そこは経営者としてしっかりしているのだろう。
変にツケというものを許したら他の客が漬け込みかねないというのもある。
まぁ、それはともかくとして少年の様子を見つめながら、革ジャンで軽く胸を隠して。
「褒めたってなんも出ないよ。今のはただのサービスってだけさ。
ま、もっといろいろ見たいってんならもうちょっと大人になってから出直しな」
少年の絡めようとして来る腕を立ち上がりながら離していく。
名残惜しそうにこちらを見る姿を見下ろせば、「ぽふ」と少年の頭に手を乗せて。
「また次に来た時に触らせてあげるよ。今満足したら、次に来る理由が減るだろ?
とりあえず、まずは腹ごしらえしな。ここに来たのはそのためじゃないかい?」
そう言って「ゴト」と置いたのは……ニンニクがたっぷり効いている強いにおい。
これでもかと積まれた米に鶏肉とブロッコリーと、キノコやらの高たんぱく高栄養がこれでもかとぎっしり詰まれた丼。
ガーリックライスに山盛りの肉、肉。そして味付けにはひたすらガツンと来るニンニク。
さらには薬草なども一緒に炒めている。苦味や青臭さを全部ニンニクで打ち消したもの。
「ハイポーション飯」と言ったが……少年の体に全部入り切るかはわからない代物であった。
「全部食べられなかったら持って帰ってもいいからね。
無理して食べる必要はないけど、疲れた体には必要な栄養はたっぷりあるはずだよ。
ま、男なら体質何か気にせずこれを食べきれるぐらいまで成長してみな。
あたしをさっきみたいな視線で見るのはそれからさ」
ぽふぽふと柔らかな肉球で少年の頭を撫でて、またカウンターに座り肘をついて少年を見つめる。
■ビーン > 「ふふ。水いっぱいで粘るようなケチなお客さまじゃ愛想つかされちゃいますものね。」
相手の言葉にコロコロと笑いながら革ジャンで胸を隠されてしまえばやや名残惜しそうにするも、一番寂しそうな表情を浮かべたのは離れて良く腕。
頭を撫でるその手の平をサラサラとした少年の髪の毛が擽っていく。
「ふふ。とても素敵なサービスでした。 うぅぅ、そういわれると早く大人になりたいです。」
と、小さく肩を落としてため息一つ。それでも、頭の上に乗る相手の大きな手にはくすぐったそうに笑い、
撫でられた拍子に露わになる紫の瞳が相手を見上げ楽しそうに笑みを浮かべ、小さく頷く。
「んふふ─。約束を下のならまた来ないといけないですね。」
そして目の前に置かれる皿、たっぷりのコメに取り肉やら高たんぱくで高栄養なガーリックライスに山盛りの肉。
そしてニンニク責めとばかりの暴力的なまでの香りが食欲をそそり、ごくりとつばを飲み込めば細い首が僅かに上下に動いて。
「ふわぁ…おいしそう。 食べて鍛えても筋肉がつかないだけで、強くなってるんですよ?
ちゃんと食べられるしなんでしたらデザートも食べられるんですから。
いいです。キーラさんに僕がただの子供じゃなくてちゃんと男だって見せて上げます。」
と、言葉を返しながらふるふると頭を振ってみて撫でる手に抵抗しつつも、肉球をぷにぷにしてみたいと視線は正直に追っていく。
さても、プリプリとそんな抗議をしつつ、視線は横の相手かから目の前の山盛りの食事に。
先ずはスプーンを握りそれをガーリックライスの山に差し、掬い上げて口の中に。
ガツンっと広がる香ばしいニンニクの香り。
一緒に入っていた鶏肉も噛めば肉汁が溢れ少年の舌を刺激する。
むぐむぐむぐと咀嚼して飲み込み、その一口一口は小さいながらも地道に一定のペースで食べ進んでいく。
次第に内側からポカポカと暖かくなって来ればうっすらと汗ばむ肌、額に張り付いた髪の毛が邪魔になれば一度手を止め、ポケットの中から紐を取り出し、軽く頭の上で結わい髷を作り、袖で額の汗を拭ってから再び山を切り崩しに掛かっていく。
むぐむぐもぐもぐ。
コリコリとしたブロッコリーやキノコの歯応えが米や肉の歯応えで単調になっていたところに新たな刺激を与える。
冒険者としても、裕福でない家で過ごしていたこともあり、食べ溜めもできると思っているが実はそんなものではなく、体に混じる血の影響のせいとは露とも気づいていない。
栄養価の高い食べ物は久しぶりであれば目はどこかギラギラとして、上品にがっついていく。
一口一口は小さいが丼の中はみるみる減っていき、遂には綺麗に底が見える。
飢えていた体に急激に取り込まれた栄養のせいで熱くなる体を持て余しながら、取り出したハンカチで口元を拭い、コップの中の水で口の中をさっぱりさせる。
「ご馳走様でした。 味もとても美味しくて、量も満足です。 こう見えて僕も欲張りですから…」
等と、何処かうっとりとした表情で自身のお腹を摩りながら満足気に一息。
そして、最後に血色の良くなり艶の増した少年はどこか悪戯っぽく蠱惑的な笑みを相手に向けたのであった。
財布の中身が足りているかの心配は忘れている様である。
今の手持ちは中流階級の平民が過ごすのに必要なお金の5日分1000ゴルドといったところ。