2023/12/28 のログ
ルクス > すらすらとこちらの言葉に対してたくさん言葉を並べていく。
鼓膜を程よく揺らす少女特有の高音を感じながら、思考を重ねて。
元気が取り柄。というか、元気が武器というか。
とはいえ、青年もこうやって誰かと話すのは不得意でもなければ嫌いでもない。
述べられる言葉を、こちらからも返していく。

「そりゃあ悪いことが起きるよりはいいことが起きる方がいいわなぁ。
 早とちりってほどでもないさ。実際、オレは困ってたわけだし?むしろ助かったってもんよ。
 それに、さっきまでずっと一人で作業してたもんでね。
 誰とも話してなかったから、お嬢ちゃんが話しかけてくれて嬉しいさ」

程よく色のある小麦肌を見て、運動もよくしているのだろうかと感じる。
身長は自身が見下ろす形にはなっているが、年齢からすると平均的な方なのだろう。
この国に来て然程たってもいないが、このぐらいの年齢だと学校に通っているのか。
だとしたら、まぁこうして顔が広いということは悪い身分でもないだろう。
……そんな風に考えてから、勝手に彼女の素性を考えてしまったことにかぶりを振って忘れる。

「あぁ、まぁ串も揚げも冷めたときより出来立てのほうが熱々で美味しいもんな。
 そこにパンをかじればもう涎も止まらないってもんだし。
 ……やべぇ、考えたら考えるほど腹が減って来たわ。このまま倒れそう」

ぐぅ、と自身の腹が鳴っているわけでもないが、ついお腹を抑えてしまう。
空腹感というのはいつになっても抗いがたい。
もっとも、青年はそれには慣れている方だが、少女の元気さに胃袋が元気になってしまったのかもしれない。

「お、いいのか?ご同伴に預かれるなら願ってもない事だけどよ。
 持ち合わせがあんまりないから、返せるのはそんなにないが……。
 ……っと、そういやお嬢ちゃん、名前は?オレはルクス。ただのルクスだ」

両手いっぱいの中にある料理に目を輝かせて、わずかに口の端から銀色の唾液が見えている。
食欲が見れば見るほど、そして熱を感じれば感じるほど刺激されてしまう。

クロエ > 頬の傷と鍛えられた体。
それを持った顔は精悍ながらまだ若い。
加えて、作業で一人でずっといた、という言葉。

これまでなにをしてきて、今はさてなにをしていたのだろう、とちょっと想像するのは楽しい。
もっともそれは想像までで、あえて詮索するような少女でもなかった。

「あはは、そっかそっかー。
 一人ぼっちの孤独な作業……久しぶりに人と会話したぜ……みたいな?
 でもなんかちょっとカッコイイ感じもあるねー。孤独な戦士って感じ?
 なんちゃってなんちゃって!」

きゃいきゃいと楽しそうにはしゃいでいる。
ほとんど直感で思いついたことを垂れ流しているだけにも思える言動ではある。

「あー、パンも合わせるといいかもねー。たしかに確かに。
 男の人だと、エールとかもグビッといっちゃったりするのかな?
 あたしはそういうのやったことないけど、楽しそうだよねー。」

パンかー、と少し想像したらしく、うんうんとうなずいている。
よだれを垂らす、まではいかないが楽しそうな顔からは食欲をそそられているのは確かそうだ。

「うんいいよー、食べてもらって。ちょっとあたしもチョーシに乗って買いすぎたなーって思ってたし。
 これ全部詰め込んだら、ちょっと後がヤバヤバそうだしー? やっぱ体型とかは永遠の悩みだよねー。
 で、そだそだ。お金とかも別にいいよーって思うんだけど、おにーさんがイヤっていうならちょっと考えよっか。」

一緒に食べよう、というのはある種の打算のもとに行われた提案であった。
両手いっぱいの食事を一度に取れば……おお、想像してみよ!
きっと、健康的なこの少女も丸々としたナニカに成り果ててしまうことであろう。

「っと。名前ね。あたしはクロエ。クロエ・ギャレイル。
 よろしく、ルクっさん!」

名乗られれば、きっちりと名乗り返す。
ただし、勝手に愛称をつけているのだが……

ルクス > はしゃぐ少女の手足を見て、少しだけ目線を空へと移してからもう一度少女を見る。

「そんなカッコイイもんじゃないさ。
 単純に泊ってる宿の手伝いで朝早くからいろいろしてただけだよ。
 ……まっ、孤独と言えば孤独かもしれないけどな!」

何も考えてなさそうな様子なのは、事実何も考えていないのだろう。
だがこのぐらいの子供がそういう風に生きられるのはいい事だと思う。
この国にはなにやらよろしくない噂が多いが、それでもこういう子がいることは喜ばしい。

「味の濃いもの単体だとどうしてもすぐに飽きちまうってのもあるけどな。
 あぁ、エールもいいな。炭酸水とかでも全然いいなぁ。
 やったことないならラムネと一緒に食べて見ろよ。結構合うもんだぜ?」

食欲を刺激できていることを感じて、案外感性は自分に近いのかもしれないと思う。
庶民なのか、貴族なのか。まぁどちらでもいい。
身なりや健康、露店でこんなに買えるとなると案外貴族かもしれないとは思うが。
この人間性だけでそういう風にもらっている人種でもおかしくはなさそうだ。

「はは、女の子特有の悩み……ってほどでもないな、男でも体型で悩むこともあるし。
 とはいえ、それで悩めるのはなかなかに贅沢なもんだぜ?
 いい事だけどな!或いはその分だけたくさん動けばいいのさ。
 ボール遊びなりランニングなり。そうするだけでも案外違うもんだぜ?
 ――――知らんけど」

らしい言葉を並べてから、最後に不安な締め方をして。
まぁ丸々となっていてもこの少女の快活さならやろうと思えばすぐに問題はなくなりそうな気もする。
いや、案外こういう人間性はものぐさな時はトコトンものぐさになるものかもしれない?
自分は運動は好きだから問題はないが…………。
どうにも、女というものはまだまだ疎いのがこの青年だった。

「ギャレイルか、よろしくな」

愛称は別に気にしないが、こちらはいきなり名前で呼ぶのは憚られた。
マナーとかそういうのじゃなく、そこまでこっちから近づいていいものか、と。
そういう風に思ってしまうのが陰キ―――若干暗い心になっている。

「まぁ金がいらないってんなら……あぁ、そういやさっき言ってた作業な。
 銭湯を沸かす準備なんだ。恩返しにはならないかもしれないが、後でなり今度なりその銭湯でも利用してくれよ」

クロエ > 「なるなる、宿のお手伝いね。それはそれでイイ感じじゃない?
 お金が目的だろーとなんだろーと、人を手伝うってイイことだしさ!
 宿だってお仕事いっぱいあるしねー」

日常の風景といえば、そうかもしれない。日銭を稼ぐためのせせこましい努力かもしれない。
それでも、その中にポジティブな何かを探し出そうとする。
人がいいのか、それとも単純なのか。はたまた……

「あー、味濃いと喉乾くしねー。果実水とかもありかなー。
 じゃあじゃあ、パンと飲み物も用意しないとだね!」

あれもよいか、これもよいか、と少女は指折り数えるようにして色々と考え始める。
物は目の前にないが、実に楽しそうである。

「運動すればっていうのはそうなんだけどさー。それでも限界ってあるワケね。
 甘いものも食べたりしたらもー、大変!ってなものなのよ。
 そこはいーっぱい精密に大雑把に計算しながらいかないと、気づいたら――ひえええ!ってなるやつなの。
 駄目、絶対。
 
 とはいえ。んー……まあ、そうだよねー……食べれない人は食べれないわけだし。
 それって贅沢ーってのはよーくわかる。
 じゃあその分、買えてる人間は無駄にしないようにしないと駄目!ってワケね。
 やっぱり、これ二人でしっかり残さず食べないと、だよね!」

表情がくるくると変わる。
真面目くさったり、絶望になったり、しかつめらしくしたり、元気に戻ったり。
百面相でもしているのだろうか、という印象を抱くかもしれない。

「んー、堅いかたーい!クロエでいいってばー。
 苗字呼びなんてめっちゃ久しぶりに聞いちゃったよー!」

相手の思惑はよくわかっていない。ただ、極度に広い博愛を持つ少女は距離を測るような態度はあまり好まなかった。
といっても、相手がそれを続けるのであればそれはそれでいい、とも思ってはいるのだが。

「と、じゃあどっかで座って、飲み物とパンも用意して、食べよっか!
 ん、銭湯!おっきな浴場とかもあるみたいだけど、お宿の銭湯とかもいいねー。
 じゃあ今度、どこかでいかせてもらおっかな」

きょろきょろと辺りを見て、座れそうな場所を物色する。
その合間にもきちんと男の発言にはしっかり打ち返してくる辺り、しっかり意識は割けているらしい。

ルクス > 感情表現がとても豊かで、見ていて飽きないとはこのことだろう。
こんなに元気な娘を持った親御さんはきっと可愛がっていることだと感じる。
実際に自分に娘がいたら、こんな風に育って欲しいものだと感じてしまうほどだ。
だがまぁ、少々騙されることがないか心配になるような部分もあるが。
それもまた美徳だと思うほかない。

「そんなに買い込むと、それこそ丸くなるから今日のところは魚だけでいいんじゃないか?
 果実水ぐらいなら全然大丈夫だけど、パンは結構腹に溜まるからなぁ」

少しだけ、彼女向けにそうアドバイスしながら百面相する彼女の顔を見る。
初対面、それも背がずっと高い、顔に傷まである自分のような男を前に自然体にしている。
大物なのか、恐れ知らずなのか。その緑色の瞳からは推測は出来ない。
ただ、話していて気持ちのいい存在なのは間違いない。
友達もたくさんいるんであろうことを察せられて、微笑ましく感じる。

「お、そうかい?じゃあクロエ嬢ちゃん。よろしくな」

相手がそういうのであれば、それを受け入れるのも度量というものだろう。
そうでなくてもそうして欲しいという気持ちが前面に押し出されているのだ。
断るのが失礼だと、そう思う若干な生真面目さ故。

「あそこの木の下のベンチでいいんじゃないか?日差しは強いけど、少し時間が経てば日陰になりそうだ。
 お、わかってくれるかい。大き目な浴場もいい、だけどたまにはこじんまりした銭湯もオツなもんさ。
 その銭湯にしかない飲み物や料理だってあるかもしれないしな?」

場所を軽く指さしながら、彼女が持っている料理に合いそうなパンと水を買う。
メインは彼女が買ったのだ。こういうのはこちらでやらなきゃ男が廃るというもの。
日差しはまぁまぁ強いが、不快というほどではない。朝が寒かったことを考慮すれば、これぐらいがちょうどいいだろう。
木製のベンチへとともに歩きながら。

「そういやクロエ嬢ちゃん貴族なのかい?なんか爪とか塗ってるからいいとこの出なのかなと思ってよ」

クロエ > 相手の考えていることを見透かすような超能力の持ち合わせはない。
それでも、相手の好意的な目線、というのはある程度感じ取ることができる。
そういう目線で、好意的にアドバイスをされていることも判る。
そういうやり取りは、嫌いじゃない。

「むむむ……それは、確かに死活問題大問題。
 仕方ない、今日は控えめにいくかなー!でも、ちょっとだけならほら?」

何の愛想なのか、無意味に愛想笑いを浮かべて見せる。
結局のところ、食べるか食べないかは自分で決めることなのだが……

「うんうん、よろしくね、ルクっさん!
 おっと目ざとい。いい目をしてますね、旦那さん。なんちって。
 確かにあれなら、イイ感じの大きさもあるし食べ物も置きやすそうだねー。」

指をさされた先には簡素ではあるが、しっかりした作りの木の椅子が置かれている。
お誂え向きに、ちょうど誰も座っていないと来ている。
そこそこの大きさもあるので、いわゆる「お店を広げる」状態になっても大丈夫そうだ。

「ん?あたし? あー、うん。貴族だよ。
 といっても、下のほーのだけど。
 だからまー、あんま気にしないでね」

貴族かどうか、という問いは久しぶりかもしれない。
なにしろ、自分自身が身分などあまり気にせずつっこんでしまうのだ。
その性質のせいか、平民だと思われている場合すらあった。

それはそれでクロエには好都合であった。
貴族ということで変な色眼鏡で見られたり、変に畏まられてもあまりありがたくはないのだ。
だから、最後の言葉は思わずついて出た言葉でも在った。

ルクス > 「別に気にはしないさ。クロエ嬢ちゃんがそういうの気にするタチじゃないってのはもうわかったしな。
 ただ、それはそれとして気になっちまうのも許してくれよ?
 なんせ、こんな風に話しかけてくれる人なんてあんまりいなかったからさ」

全く申し訳なさそうにしてない様子でそう告げる。
こうも声をかけて親切にしてくれる人は今までいなかった故に。
だからこそ、そんな相手の事を知りたくなってしまった。
まぁ詮索したともいうが、それは相手の受け取り方次第。
単純な興味本位であったのは間違いない。

「(ま、クロエ嬢ちゃんは貴族なことに若干何か思うところがあるかもしれないけど。
 いや、そんなに深い考えはないのか?うむむ……)」

また一人で勝手に顎に手を当て、何かを悩んでいるような表情を見せる。
彼女ほどではないが、青年も少し考えていることが顔に出やすいようだ。
そうこうしているうちに、木製の椅子へとやってくる。
賑やかさはそこそこ、互いの声が聞こえなくなるようなほどではない、ちょうどいいぐらいの客の姿。
それを視界に軽く入れながら、メインである彼女が買った魚たちがそこに広がっていく。

「おぉ、どれもこれも美味そう―――いや、間違いなく美味いな。
 まだ食べてなくてもにおいと見た目ですぐにわかった。
 とりあえず、一杯やるか!」

と、果実水の入った瓶を開けて、軽く持ち上げる。
レディファーストという言葉にあやかって、彼女が先に座ることを視線で促して。

クロエ > 「ん。まあいいけどね、そんくらいの質問なら。別に乙女の秘密ってほどの話じゃないしー。
 ただ、お貴族サマーってほどの家じゃないのにそれで引かれちゃうとあたしも話しづらくなっちゃうってだけ。

 まあでも?これが3サイズー、とかの質問だったらちょっと考えドコだったかもしれないけどね。
 衛兵さーん、なんちってね? 

 それにしても、そっかー。話しかけて貰えなかったんだ。
 んー……顔に傷あるっちゃあるけど、別にそこまで怖い、とかないしなー。
 ルクっさん、さっきの話聞いてる感じだとさー。ずっと作業で引きこもってたりしてない?
 今みたいに外出て、色々やった方がいいって!
 あー、お手伝いがいっぱいありすぎてどうにもならないー、とかだったら難しいかもだけどさ。」

質問したことに対して、悪びれずに応える男。
そうであれば、とクロエはクロエで冗談めかせて応える。
まあ仮に本当にそんな質問をした場合……どういう答えをするかはまた別の話だが。

そんなノリで話はするが、話してもらえなかった件は割とバカ真面目に考えてみたりする。
ついでに正しいのかどうかわからないアドバイスまで付け加えた。

「はいはい、じゃあお先に失礼しまーす。」

そうして他愛無い会話を続けながら椅子のところまでたどり着けば。
なんとなく相手の意図は察して、遠慮なく先に座る。

「うんうん、我ながらいい感じのチョイスでしたねって感じ。
 ルクっさんも飲み物持った?
 乾杯ってほどじゃないかもだけど。まあまあ、今日出会ったよ記念って感じでいっとく?」

相手が座るのを待って、飲み物を手に持ちにこやかにそんな提案をした。

ルクス > そんなデリカシーのない質問はさすがにしない……と思ったが。
さて、酔っていたり極端に疲れているときはもしかしたらするかもしれない。
そうなったが最後、自分は御縄に就くことになる。それだけはならないようにしないと。

「はっ、こんな美味しいもの食べられなくなるぐらいならそんなことは聞かねぇさ。
 つか、そこまでオレも失礼な奴じゃねぇよ。酒の場ならまだしも、シラフでそれを言うようなドスケベなんかそういねぇだろ。
 ……いねぇよな?そういう手合がいるなら相談に乗るよ?」

何か言ってて若干ありそうな気がして、心配そうにそう声をかけてしまう。
次いで出て来た、自身のことを考えてくれているのは分かる言葉。
少し考えるような、硬直をしてからゆっくりと口を開く。

「まぁ一人が嫌いじゃないってのもあるからさ。実際に引きこもりがちではあるけど。
 それで苦じゃないからそのままって事が多いのかもしれないな。
 ま、いろいろ考えておくよ。オレのことを考えて言ってくれたんだし」

嬉しそうに笑みをこぼして、彼女の提案に頷く。

「おう、ちゃんと持ったよ。
 まぁ別になんてことのない日だけど、景気がいいことだ。
 せっかくだし乾杯と行こうぜ。こういうのは気分よ気分!」

結構適当なことを言っている自覚はあるが、要は楽しければなんでもいいのだ。
ましてやこうして新たな友人まで出来た。それを喜ぶ日としても最高だろう。
彼女の持った飲み物の容器に、自身の容器を軽く当てて。

「かんぱーい!そしていただきまーす!」

楽しそうに叫びながら、舌鼓を共に打つ。
あぁ、今日はいい日だ。そう感じるに足るだけの出会いだった。

ご案内:「王都マグメール 平民地区」からルクスさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」からクロエさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区 冒険者ギルド」にさんが現れました。
> 冒険者ギルドの扉が開かれて、一人の女が入ってくる。
女性としては身長が高く均整の取れているボディ、上から99、66、95と言った所。
その恰好は軽装で、レザーベストに、レザーパンツ、頭部には布で作られたキトンヘルメット。
老朽化し始めている床を踏んでも足音を余りたてない歩法は、シーフ特有の体重移動。
柔和な印象を思わせる垂眼に、柔らかそうな唇を持った彼女は、優し気な笑みを湛えている。

「はぁい、おねぃさん、帰ってきましたよ~」

ひらひら、と、馴染みの冒険者達に、受付の人に左手を振りながら、受付に。
右手には袋が握られていて、その中は、見えないけれども、こんもりと膨らんでいてないかが沢山入っている事を想わせる。
するすると、沢山いる冒険者ギルドの冒険者の中を滑るように進んで受付の目の前に。

「と言う事で~。ご依頼の品物をもってきましたよぅ?」

楽し気に、唇を吊り上げながら、どさり、と其れなりに重そうな音を響かせながら、受付カウンターに袋をあずける。
受付の人は、確認をしますのでお待ちください、と割符を渡して、奥に引っ込んでいく。
待っている間は暇ね、と、ゆるぅり、と振り向く。
ぷるんと、レザージャケットを押し上げる胸元を揺らしつつ、酒場で待ちましょうかと歩く。
酒場は、依頼報告の待合室も兼ねている、その内声もかかるだろう。
蜂蜜酒と、軽食を注文し、ストールに腰を掛けて、他の冒険者の事を見回してみる。
今日も、大盛況ねぇ、と他人事のような感想。

> 食事が届いた、ギルドの出してくれる食事は、他の酒場よりも美味しいのが多い。
理由は、冒険者達が狩ってきた新鮮な食材を、ギルドの腕利きのシェフが調理してくれるから。
之が楽しみで帰りの道は行きよりも急ぎになるし、絶対帰って食事したいという思いが良きる理由にもなる。
さらに、早く帰るから、携行食や保存食の節約にもなる。
其処迄ギルドが考えているのだとしたら、ギルドは可也やり手じゃないかしら、なんて考えて。
あーん、と小さな唇開いて、ぱくり、もぐ、もぐ、と出来立てで暖かな食事を堪能する。
喉が渇いたら、蜂蜜酒を一口、ほんのりした甘さが、舌を楽しませ酒精が体を中から温めてくれる。
暖炉の火が付いている暖かな室内で、この食事は本当に生き返るわぁ、と、目を細めて酒精混じる吐息を吐き出し感嘆を表す。

冒険者達の騒ぎを背中に受け止めて、幸せそうに食事を続けて。
しばらくすれば、お腹も満足を感じて、蜂蜜酒の残りを、くい、と飲み干した。
そんな折に、受付の方から声を掛けられて、立ち上がる。

「ますたぁ、これ、お会計ね♡」

代金のゴルドを、開いた胸元から取り出して、はい、とテーブルの上に置く。
直ぐにウエイトレスが確認に来て、問題ないことを伝えてくれるので、じゃあね、とひらひら手を振って受付に。
依頼の終了の確認と、報酬を受け取った。

―了―

ご案内:「王都マグメール 平民地区 冒険者ギルド」からさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にチェルシーさんが現れました。
チェルシー > 平民地区の冒険者ギルドに併設された酒場。
冒険者や一般の客で混雑をする中、カウンター席で夕食をゆっくりと味わう。
その背後ではバカ騒ぎやその日の成果を自慢する声が聞こえるが、それを気にせずに。

そして食事を続けて考えるのはこの国までやってくる理由となった依頼。
それを無事に終えて報酬も受け取り、普通なら戻る事を考えるのだが。

「新天地で少し稼ぐのも良いかもしれないね。
でも問題は……なんだか嫌な予感がするのが」

依頼終了後に軽く眺めた範囲ではいい仕事が並んでいた。
しかし何故か勘が仕事よりも早く戻る事を訴え。

それが何故かわからず、少し考えこむようにしながらも食事を続ける。

ご案内:「王都マグメール 平民地区」からチェルシーさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にクローネさんが現れました。