2023/12/03 のログ
バランガ > 幾度か酒場に居る姿を見たことはあるものの、部下を労いがてらに連れてきている時であったり、既に他の男が横に居る時であったり
そういう意味では今回はちょうどいいタイミングだったといえた

「かかかッ、ワシみたいなおっさんやと一人のんびり飲むんもええもんやが…
 ま、嬢ちゃんみたいな若ぇ美人さんじゃさもありなんじゃなァ」

イイ女、には一切の否定がない、かかか、と笑いながら惜しげもなく見せびらかされてる女の肢体を眺めるスケベジジイ
丁度その頃合いに頼んだ酒が二杯、テーブルに届けられる

「ワシみたいなジジイで機嫌がようなるとは思わんが…ま、奢りやさかい、一丁乾杯といこうや」

図々しく堂々と、よっこらせ、とクローネの隣に置かれた椅子に腰をかけるとタンブラーを握って掲げて見せる
身なりはそこそこのスケベジジイとなれば、今回の会計を押し付けても心の痛まない相手ともいえる

クローネ >  
「アタシより若い女なんてそこらにも転がってるでしょ?」

いっても20代なかばの女。
酒場を見渡せば、10代だろう若々しい女の姿もあろう。
まぁ、美人と言われるのは悪い気はしないし…。
正直好みでもなんでもないオヤジだが、まぁ酒代もってもらうにはうってつけか、なんて浅知恵が働く。

「じゃあオッサンの酒に付き合ってあげるからアタシの酒代金もってくれるぅ?」

朝から飲んじゃってるからそこそこつくけど♡
なんてクスクスと笑みを浮かべながら、まぁ奢りなら良いかとタンブラーを合わせる。
乾いた音の乾杯の後、口元へ運び、呷る。
可愛げはないが良い飲みっぷりである。

「で、なんで一人?ってこんな雨じゃ店なんて開けれないか。
 寂しいね~、いい年のオッサンが一緒に飲む相手もいないのに昼の酒場に来るなんて」

酒が入っているのもあるが、嘲笑を向けながらそんなことを口にする。性格が良いとは言えない女である。

バランガ > 「おう、乾杯!…ん、っぐっぐ…ぐっ…っぷはァ!あァ、っぱ美人と飲む酒はイイやねぇ…かははッ、姉ちゃんもええ飲みっぷりや!
 こういうんは、ほれ、ケツの若ェ子じゃ出来んやろ」

若い女は転がっているが、今目の前にいる女の方が上等だ
なんて褒めたところで喜びはしないかもしれないが、悪い気もしないだろう打算

「朝っぱらから飲んどったんかい…ま、ええわいええわい。寂しく一人で飲まなアカンかったんが
 こうして美人の姉ちゃんと飲めるんやさかい、そんくらいワシがもったるわ!…おう、次ン持ってきてくれや!」

嘲笑を向けられてもどこ吹く風、巡り巡って女を誉めそやす言葉で落ち着く流れ
目の前の女は美形ではあるが、性格が悪いのはこの数分で分かっていて
それでもこの顔と身体ならお釣りがくるというのが男の算段

タンブラーが空になるタイミングに次の一杯―――今までのより度数が少し高い、良い酒が運ばれてくる
朝から飲んでるのであれば酔いもまわってきているだろう、このまま酔いつぶせりゃァなと思いながら
椅子は少しずつ距離を狭めて、女の匂いが届きそうな距離で会話と乾杯を繰り替える心算

「ほい乾杯!…そうやワシャあバランガっちゅうが、ちょいちょい見かけとったがお嬢ちゃんはなんちゅうんじゃ」

クローネ >  
豪快な飲みっぷり、気風の良さ。
いかにも下町の商人、といった気質のオヤジ。
人によっては気持ちのいいオッサンだ、などと思うのだろうが。

「(うーわ、テンションあがってるよこのオヤジ…)」

女の内心は冷ややかなもの。
まぁ、それでも酒代をもってもらうってのなら、少しくらい付き合ってやるか、といったようなもの。
周りの客もこの女がどんな女かは分かっている。
席についた男、バランガを不幸だと思うかどうかは…見る者にも寄るのだろうが。

「ん…酒のグレードあがってんじゃん?知らないからねー?高くついてもさぁ」

まぁそれはそれとしていただくのだが。
冒険者の身分で高い酒は、まぁ実入りの良い仕事があった日くらいのもの、深酒に近づいていくも、せっかくのいい酒を断るのももったいない

「ああ、アンタがバランガ?よく此処で飲んでるから顔は見たことあるなーって、アタシはクローネ。覚えても覚えなくてもイイよ~?」

男の問いかけにはそう返し、タンブラーをぐぶりと呷る。
酒の火照りもあってか、女の側によれば寄るほどにその体臭が香る。
少女の芳しいような香りとは違う、熟した女の、香水が入り混じった雌の香りが。

バランガ > 「構わん構わん、こんくらいで困るような商売はしてへんで。結構飲んでんやろ?せやったら安酒やのうでええのを飲むべきや」

女の本性を知っている周囲の客からすれば、男に対してご愁傷様を唱えるのだろうが
男からすればこれで逃げられても残念やったな、くらいの話でしかなく
同時に逃げられんように手管を使おうという話でもある
どちらも知るものからすれば、良いマッチアップでありどちらが勝つのか興味本位で愉しんでる者も居るだろう

「クローネか…ま、美人に似合ったええ名前やな。ほな、クローネとの出会いに乾杯や」

女から見ればテンションの上がったスケベジジイに奢らせている状態だろう
実際その通りなのだが、乾杯の度に酒の度数が上がっていっているのだからそれだけではなく
香水と酒精、汗の交じり合った熟した雌の馨しい香りを堪能しながら

「ちなみに、ワシァこう見えて宝石商でな…ま、今の手持ちは疵ありやけど…ほれ、こんなんや、見てみい」

なんて言って腰の袋から取り出した宝石を見せてみる
上物とはいえないが売ればそこそこの実入りにはなろう代物なのだが
これの本質は加工で付与された魔術、シンプルに催淫と魅了の効果を持つもの
目の前の極上の雌にどれくらい効くかは分からないが、アルコールの力も借りての狙い

クローネ >  
「へぇーえ、羽振りがイイと思ったら宝石商?」

なかなかの金持ちじゃん、と。
酒もたっぷりまわってきただろう、座った眼が取り出された宝石を見据える…。
普段でもそれを警戒したかどうかは怪しい、が。
今はそれに加えて、随分と酒もまわっていた。
男の取り出した宝石による効果は……男の思った通りの効果を女へと齎していた。

「ふぅ、ん? まぁ、アタシそんなに宝石なんかに興味は───」

「(…あれ、なんか無性に……そんなに飲んだっけ…?)」

体が妙に熱い。
まさかそれが宝石を見たことによって与えられた効果だとは思うべくもない。

「あっつ…オッサンに載せられて飲みすぎたかなー…? そろそろお暇しよっかな…」

立ち上がると、酒も手伝い足元がふらつく。流石に飲み過ぎか…と、女自身はまだその変調に気づかず…。

「マスター、上の部屋の鍵貸して。休んでから帰るから。……吐きゃしないっての、汚すかよ」

顔馴染の店主の嫌な顔なぞどこ吹く風である。

バランガ > 「行商なんかも兼ねとるが、ま、人を雇っても十分やってけるくらいには稼げとるわな」

そうじゃぞ、まあまあの金持ちや、と笑う
十分酒を飲ませ酔わせ、気分を良くさせてからの手は簡単だが効く
どうやら反応は十分ありそうやなァ…と、女の状態を見てほくそ笑めば

「おう…そうか、結構付き合わせてしもうたなァ…すまんすまん
 嬢ちゃんが話上手やさかい、ついつい一気に飲みすぎてしもうたわ」

おいおい大丈夫かい、なんて声をかけながら足元をふらつかせた女を支えるといった風で腰か、尻なんかを触りながら

「そいじゃあ、ワシも上の部屋でちいと休ませて貰おうかね…おう、マスター…クローネの分もワシにつけといてくれや
 ああ、汚してもうとったら、その分も色つけてくれてええで」

嫌な顔をした店主に笑いながらそんな風に声をかけると十分以上の額の貨幣を先渡ししておくことにして

「ほれクローネ、階段から落っこちると危ねえから、ワシが後ろから行くさかい
 はよう部屋に行って休むとええで」

ご案内:「王都マグメール 平民地区・酒場」からクローネさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区・酒場」からバランガさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区 冒険者ギルド」にシロナさんが現れました。
シロナ > マグメールの冒険者ギルト、様々な冒険者が集まる場所で、少女は其処の食事処で食事をもぐもぐ食べている。
 今日は日曜日、安息日故に学校の方はお休み、皆で遊びに行くのも良いのだけど、今日は小遣い稼ぎのためにギルドに来ていた。
 学生だから、と言うのは冒険者ギルドは関係ない、ちゃんと登録しているし、冒険者としても動くことができる。

 今回は、ゴブリン退治の依頼を受けた、普通に考えれば、一人で受けられるような依頼ではないけれど。
 シロナの生い立ちや、実力を鑑みた結果、受付さんはOKを出してくれた。
 パーティを組めるなら組んでくださいね、という声もあるので、少し食事の間待機して、誰か来れば行こう。
 様々な冒険者は、酒を飲んだり食事をしたり、ベテランの冒険者達を見回しながら、如何しようかなーと考える。

「場所は……と。」

 場所は、ゾス村の近くであり、依頼は、ゾス村。
 あそこ翼なんかあるよねーと、他人事ながらに他人事で、サンドイッチをぱくもぐしゃー。
 ちらり、ちらりと。ギルドの受付の方を見るのは、誰か良さそうな人が来ないかな、とも考えての事。

シロナ > 「パーティを組むなら……そうだなぁ、斥候とか、魔法使い、僧侶当たりの人がいると、嬉しいんだけどなー。」

 そう言う人はたくさんいるのだけど、居るのだけど……ベテランの人々だ。
 彼らに声をかけていくのが一番だけども、依頼の報酬はベテランの人々に対しては少ない。
 新人に近い、低ランクのシロナの小遣い稼ぎと言うのも有るのでついて来てくれるのは、それこそ、冒険者としては規格外。
 暇つぶしとか、新人育成とか、本当に一握りの善良なベテランの人だ。甘いとも言える。
 冒険者は自己責任と言う所も有るから、声をかけて来てくれることを望むしかない。

「もぐもぐ。」

 冒険者御用達の大盛ランチをもぐもぐむぐむぐしつつ、酒を注文―――するのはやめて、アップルジュース。
 移動はどうしようか、走った方が早いか。
 乗合馬車にしてみようか、時間は有るし、冒険者の依頼を受けていたと申告すれば単位は問題ない。
 声をかけてみようかな、くるぅり、と紅い瞳で、もう一度酒場の中を見回してみる

ご案内:「王都マグメール 平民地区 冒険者ギルド」にシャーニィさんが現れました。
シャーニィ > 「なんだと!?」

受付で大声を出す、謎の娘。
見た目は……見る人によって何故か異なるが違和感を感じるようで誰もそれを気にかけない。
そんな娘は、とりあえず大声の方で目立っていた。


「しょくぎょう? 特技はなにか?だと?
 それはまあ……なんでもできるぞ!なに? それではだめ?
 むむ……ぼうけんしゃ、とやらは難しいな……」

どうやら受付の登録で揉めているらしい。
冒険者としては初歩の初歩のところで詰まっているようだが……

「んん……ああ、そう、そうだ。
 チョンウェンめが言うには、まほうつかい、なるものではないかとだな……」

だいぶ雑な会話。
それでも受付嬢は頑張って聞き取りをして、優しくも登録を続けてあげているようだ。
その親切は続いているようで……

「ぱーてぃー? なかまをつくれ、と?
 くぉお……またか、また壁か」

娘は苦悩っぽい声を上げながら受付を離れ、歩いてきた

シロナ > 「もぐ。」

 もぐもぐする口が止まる、桜色の唇に付着したケチャップをぺろりと舐める。
 視線は、入り口の方から、受付の方にするり、と動いて行く。
 其処に有るのは、自分と同じくらいの年の位か、竜の眼には、それが人ではないことが見て取れる。
 本来(邪神の時)の彼女であるなら、幾らでも誤魔化せただろう、今の彼女であれば、シロナでも見て取れた。

 何か受付でもめていて、そして、こっちの方にやってくる。
 魔法使い、という単語が聞こえたし、視線をすこし奥に向ければ、先程の受付のお姉さんが、ウインク一つ。
 あぁ、成程、と納得する。

 シロナは、テーブルから立って、苦悩している少女の方へ。
 桜色の唇で、シャーニィに向かって声をかけて見せた。


hello(へよー)、お嬢さん、お困りごとかな?
 アタシで良ければ、力になるよ?」

 にっ、と唇を引いて笑って見せる褐色の少女。
 目の前の彼女よりは小さく、まだまだ幼い子供の雰囲気を残すものの。
 身長よりも大きなハルバートを片手で持って近づいて、力は強いよアピールをして見せた。

シャーニィ >  
元より、ナニカを従わせた記憶はあれどナニカと対等に共同した記憶はとんと持ち合わせない。
ただ幸いというべきか、それを忌避するほどの傲慢さは今の自我は持ち合わせていない。
そうはいっても、はいそうですか、と話を持ちかけるほどにこなれているかといえば……である。

というわけで、カノジョは非常に困惑していた。
そんなところに――

「……む?」

おそらくは自分に話しかけてきているであろう、少女。
……いや、本当にただの少女か?
一般的なヒトとはナニカ違う感じがする……が、力あるものだった残滓は特有のおおらかさで些末なことだと投げ捨てる。
大事なのは今、発せられた言葉の方で

「困っている、といえば……うむ、そのとおりだ。
 今、そこの女に”冒険するならパーティーを組め”などと言われたのだが……
 アテなどないしな。アレは”自分で探すのもお仕事のうちですよ”などというし」

そこまで甘やかしてはいけない、と思ったのか。
それでも目配せしている辺り、受付嬢にはだいぶ配慮が在った。

「ともあれ、そういうことだ。
 なかま、とはどうつくるものだ……?」

そうして、とても残念な質問を目の前の少女に投げかけた。

シロナ > 困惑している彼女も此方に気が付いた模様、そして、自分を見て……何かを悟ったのか悟ってないのか。
 様子を見るなり特に変化もなさそうなので、自分からは何も言う事は出来ないし、それは、大事な事、と言うわけでもない。
 今現状の問題点は、別にあって、その話の方に注視することにする。

「うん、冒険をするために、新人はパーティを組みなさい、と言う奴だね。
 冒険者って、新人の死亡率は高いから、ギルドも未来の有能な人が直ぐに死ぬのを止めたい所もあるからね。 
 序に、死なれるとギルド全体の評判も落ちるし。」

 その辺りは、彼女は興味もないし、流してしまうだろう話だ。
 にっこりと笑いながら、シロナは彼女を、深紅の竜眼で見つめる。
 もう、彼女の正体とかは、今は如何でも良い話となるからだ。

「仲間を作る方法はいくつかあるよ。
 まず一つ、これだ、と思う人に、声をかけて仲間になってくださいって言う。
 相手が仲間を欲して居るかどうかが判らないし、見知らぬ相手だから、下心とか判らないのが難点。
 二つ目は、あそこの掲示板に、パーティを希望している張り紙があるから、それを見て、パーティを組む。
 これは、欲しているのは確実だから、入りやすいけどね、書面だし、最初のやり方よりも相手が判らない。
 ホント最悪の想定だけど、囮とか生贄の為に、張り出しているという事も、無くはないよ。
 三つ目、地元の仲間で、冒険者志望を探して、パーティを組む、これが一番いいと思うんだけど……ね。
 ジモティじゃないとできないのが、難点と云えば難点。」

 仲間の作り方、聞かれたのでちゃんとレクチャーするシロナ。
 言わなかったけど、ギルドの職員に紹介してもらう、と言うのも有るのだけど。
 今回それをギルドの職員がしなかったというのは、シロナを紹介する積りなのだろう。

「丁度アタシは、戦士で、ゴブリン退治の依頼を受けて、パーティを探してたんだけど。
 アタシなんてどう?
 アタシはシロナ・トゥルネソルって言うんだ。」

 にっ、ともう一度笑いつつ、右手を差し出してみる。
 握手と言わんばかりに手を開いて。

シャーニィ >  
こちらをじっと見て話を始める目の前の少女。
ナニカ意図があるのかは分からないが、少なくとも今のところ悪意は感じられない。
邪神であったものは素直に話を聞く

「ふむ、む……吾、死ぬことなどないのだが……いや、うん。
 しかし、道理はわかるな。ヒトは脆いし、よく死ぬ。それを気にするわけか。」

だいぶ妙では在ったが、納得をする。
眼の前の相手が、見た目よりはモノの分かった相手でありそうなのも理解する。
といっても、シャーニィにはヒトの年齢など正確に推し量れるものでもないのだが。

「む、む、む……3つも、か……
 声をかける……掲示板……地元……いや、地元は無理だな……」

一つ一つ反芻して割と真面目に考えようとする。
一応、居候としている場所はあるがそこで探すのは……真っ先に思い浮かんだ顔があったがアレは役に立たなそうだ。

「声、声を……いや、どうする? なら、掲示板……? 囮?生贄? ええい、許せるか、そんなモノ!
 ……ん、んん?」

一瞬自分の世界に入りかけたところで、思いがけない提案。
なるほど、目の前の相手がかってでてくれる、と。

ほんのすこし、相手の竜眼を覗き込む。

「……うむ。悪くはなさそう、だ。
 願えれば、幸いだが……うん、んん?
 ああ、吾はシャーニィ。ええ、と……まほうつかい?なるものだ。」

差し出された手に、ぎこちなくこちらも手を差し出す。

シロナ > 「うん、うん、でも、その器は壊れるでしょ。
 そういう事、人は脆い、死ぬ。
 こういう風に、カバーしていても、死ぬときは本当にあっさりと死ぬ。
 だからこその、パーティなんだよ。」

 彼女はやはり人間ではないようだ、話の流れを聞いてわかる。
 シロナは人竜だし、家族には、人ではない存在もいるし、冒険者していればそう言う存在も多く関係ある。
 なので、彼女の理解の仕方が少し違うのも、飲み込むことができるのだった。

 彼女は、自分の解説を一つ一つ、しっかり確認し、理解しようとしている。
 自分の中で考えて、答を出そうとしているのを急かすつもりも無いのだ。
 だから、彼女が考えている間静かに待っていて。

 そして、彼女が思考から戻り、自分の方に視線が。
 彼女の視線と、シロナの紅い竜眼の視線が絡み合って。

「ん、じゃあ、よろしくお願いします、だね。
 シャーニィちゃん、軽く食事をしながら、自己紹介しようか。
 パーティを組むなら、自分の得意分野とか、前衛後衛、そう言った色々と決めないとね。」

 きゅ、とシロナは褐色の手でやさしく握って見せる。全力ををだすと、普通の人は手がもげるから。
 アタシが前衛なのは決まってるけどね、なんて、お茶目なウインクを一つして見せる。
 ささ、どうぞどうぞ、と。
 自分がサンドイッチを、もぐもぐしているテーブルに招く。

 前に座るか、隣に座るかは、任せる積り。

シャーニィ >  
「む、そうか。器の強度は考えたことがなかった。
 いや、多少の試しはしたが……確かに限度もあろうか。」

単純に襲われたから魔獣を撃退した、といった類なのだが多少の耐久は自信がある。
とはいったものの、言われてみればかつての器ほどの耐久があるとまでは思えない。
その限界値は、自分にも謎だ。

なるほど、この相手はだいぶ頭が回るようだ。
味方にして悪いことはないだろう。

そんなカノジョはどうも自分の答えをしっかり待っていたようで。
なるほど、話の捉え方も上手い。
ヒト……でもなさそうだが、むしろそちらのほうが都合がいいまでありそうだ。

「ん、お。うむ。よろ、よろしく、お願いします。
 む、そうか。イロイロ決めねばならぬのか……そうか、わかった。」

そして、また向こうからの提案。
思い思いに動けばよかろう、という絶対者特有の雑思考をしていたところに地に足の付いた考え。
もうこれは、素直に従うしかなかろう、と邪神も思うのであった。
……素直すぎ、といえなくもないが。

「では、失礼する。」

少女がいた卓の席は、隣か正面かが空いているようだが……
どちら、とも指定されていない。これは、試されている……?

隣の方が近くて良さそうではあるが、横にいて上と下で見上げて見下ろしだと大変だろうか。
正面ならお互いに見やすいだろうか。 しかし、信用していないように見えるか?

しばし、不審者のように2つの席の間をうろうろし――
結局、見やすい方がよかろう、と正面に座る。

「して、紹介、とな。
 ……なにを語れば良い? 名前は先程言ったわけだが……」

コミュ障の初めてのオハナシ、みたいになってきた

シロナ > 「うんうん。」

 自分の言い回しで理解してくれたのか、それで良いのだ、とにかり、と笑って見せる。
 握手をして、直ぐに手を離す。

「此方こそ、よろしくお願いします。
 そ、お互い知らないことだらけだから、先ずはと言う所。
 お互いの癖とか判って行けば、決まりごとは減らしても良いけれど、さ。」

 最初に関しては、本当に必要なのだ。
 思い思いに動けばいいというのはあるが、それで、フレンドリーファイアをしては仕方はない。
 だから、最初だけは、決めておかなければならない。
 なので、少しの間だけ、ね、とお願いするように手を合わせる。
 シャーニィは口調や行動から、上に立つ存在なのだろう、其処に合わせるのも冒険者と言う事だ。

「じゃあ、アタシから言うよ。
 名前は、もういいよね。
 アタシは、人竜でファフニール種、邪竜の系譜だね。
 お母さんの方で、淫魔の血も入っているから、何方かと云えば、魔の方に近いんだ。

 で、ジョブとしては、戦士で、前衛だよ。
 竜としての力が強いから、闘気を使って、戦うよ。ブレスで、ハルバートを強化して敵をなぎ倒す役割がメインかな。
 素手でも、爪や牙で戦う事も得意としてるんだ。
 
 他にも、淫魔のスキルで、魅了とか使えるけど、淫魔特性としては、沈静。
 エロイ気分の人を落ち着かせる方が得意だね。
 闇属性の魔法を使う事が出来るよ。

 エナジードレインもできるんだ。」

 まずはお手本と言う事で。
 シロナは、自分の出来る事、やれることを先に伝えて見せた。
 こういう風に、と先輩風ぴゅーぴゅー。

シャーニィ >  
「ふむふむ、そういうものか……
 確かに、まあ……癖、というか……うん、相手はある程度知らねばならぬか……」

先日であって、結局世話になることになった相手を思い出す。
とにかく癖の強い存在で、悪いものではないとは思うが……なんというか、やりづらい、というのはあった。
一瞬だけ、ゲソっとした顔をする。

それと比べて。
こちらのシロナの話はとかくわかりやすい。
理にもかなっているし、とても好感が持てる。
自分が違和感を抱かなければ、素直に従って良さそうである。

「ほう、邪竜とな! それに、淫魔、か。なるほど、そのやや不可思議な気配はそういうことであったか。」

割とあけすけに出された情報に素直に感心する。
言われてみれば、たしかにそのような気配であった……ような、気がする。した。
細かい違いを考えるのは苦手なのである。

「しかし、魔に近い、か……そこまで口にしてよいのか?」

自分は気にしないが、ヒト的にはどうなのだろう?
しかし、目の前の信頼に足るモノが口にするからには問題ないのであろう。

「ふむ、ふむ、ふむ。なるほど、な。
 闘気と武器とをな。そういうやり方もあるか……それに、魅了か。
 いかにも、竜と魔、といった戦い方だな。
 実にいい。わかりやすく、強くある」

丁寧な説明を真面目に一つ一つ聞きながら感心する。
なるほど、こういうように語るべきなのか。
だいぶ細かく話しているが自分にできるだろうか。
主に、大雑把な性格のせいで。

「では、こちらの番、か。
 吾は……うむ。今となってはいつ頃か吾も分からぬが、かつて滅びた邪神のカケラよ。
 当然として、そちらと同じく魔に寄り立つ者である。
 それゆえ、魔に関する感知は多少はできる。

 で、と。じょ、ジョブ、とやらは魔法使い、に当たるようじゃな。
 魔力そのものをぶつけることもできるが、闇にまつわる術を中心にある程度の魔術は扱える。
 流石に、昔ほどではないが……

 あとは、器の話もあったがな。魔力を身にまとわせて殴ることもできはする。
 シロナの闘気の扱いに近いか? それで体の強度をあげることも可能だ。
 ちょっとした魔獣くらいなら殴り飛ばせるぞ。

 ――といっても、吾は術理として体術を学んではおらぬ。
 負けるつもりもないが……たとえば、シロナ相手に勝てるかはわからぬな。」

だいぶ正直に、自分で把握して話せる範囲を語る。
相手に対する敬意もそこにはある。
かつての自分では考えられないことだったかもしれない。

「……と、こんな感じで、よいだろうか?」

……とはいったものの、はじめてのじこしょうかい。
本当にコレで良かったのか、不安はあるので素直に聞いてみた。
 
 

シロナ > 「そう言う事、有る程度わかってしまえば、ね。
 ある程度知れば、連携も取りやすくなるし、知り合えばどう動けばわかるのだろうし。

 ―――大丈夫?」

 彼女の様子、急にげっそりし始めた、何事かあったのだろうか。
 これからパーティになるのだし、問いかける。
 気に成る事があれば、問いかける、それがちゃんとした仲間と言う事でもある。

「うん、まあ、余り大っぴらにしてはいけない種族、だけどね。」

 とは言え、生まれに関しては変えられない。
 何故なら、トゥルネソルの人竜は親と娘の竜の種族が一致しない。
 更に、隔世遺伝で受け継いだ淫魔の血など、どうすればいいのだ。
 気にしても仕方ないことは、気にしない方が良いという事と、考えている。
 それでも、シャーニィの質問に対しての返答になるのだ。

「だから、魔に近い方は内緒にしてほしいな☆
 大事なのは、生まれや種族ではなくて、この国でどう生きるか、だしね。
 アタシは、この国で悪さをする気は―――ちょっぴりしか無いし?」

 一応これでも、トゥルネソルと言う商会のお嬢様でもある、この肩書は、今は要らない所でもあるので割愛した。

 悪さのちょっぴり、と言うのは、淫魔的な方面。
 人差し指と中指を唇に当てて、ちゅっ、と、リップノイズからの蠱惑的な投げキッス、ただ、時と場所も弁えて。
 仕草だけにとどめておく、魅了の魔力もフェロモンも使う事はしないでおく。

「なので、シャーニィに求めるのは、魔法的な火力。
 範囲魔法での掃討とかをしてくれるなら、アタシが前で敵を押しとどめるからね。」

 そう言ってから、よろしくねと、言いながらも。
 彼女の説明を聞くことにしよう、色々と悩みながら、考えながら、言葉を選ぶ姿を、静かに見つめる。

「成程、成程。
 己の体を魔法で強化して戦う事の出来る、オールラウンダーと言う事だね。
 魔法の強化は強くあるけれど、体術は専門ではない。
 ただ、魔法での強化がすごいなら……片手間でも良いから、護身術程度に近接戦闘を覚えれば、もっといいよね!

 流石に、格闘で負けるようだったら。
 アタシはもうシャーニィ様の下僕になるしかなくなるよね。
 ドラゴンのプライド的に。」

 正直な彼女の自己紹介を聞いて、こういう事で間違いはないよね、と確認する様に。
 ただ、格闘に関しては、戦士ギルドで全力で技術として学んでいる。
 それで、魔力のバフありとしても、負けたら戦士として色々と拙いところある。
 とは言え、軽く笑いながら、冗談にならない冗談を返答する。
 実際に負けたら本当に彼女の参加には居るのは間違いはない。

「えっとね。
 流石に、邪神の欠片は、隠しておく方が良いよ。
 アタシと比べ物にならないぐらいヤバいし、人によっては明確に襲ってくる。
 魔に属するというだけでも、ギリギリアウトラインだからさ。

 本当に信頼できる相手と、二人きりの時に、こそっと囁く位、にした方が良いよ。
 それでも、ヒトによっては、信頼を切って、敵に回る事が有るくらいの事だから。」

 素直な質問に対して。
 此方も忌憚なく、此処を修正して置こうと。
 そのほかは、良い感じだよ、とサムズアップ。

シャーニィ >  
「ああ、いや――吾の今の住処を提供した男がいるのだが……
 それが、ええと……なんといったか…… そう、変人、というヤツだ。
 
 ナニを考えているかもよくわからないし、考えを言ったら言ったでやっぱりナニを考えているかわからない。
 いや、わかるが理解ができないというか……そんな感じでな。

 ソレとシロナとの差を感じて少々、なんともいえない気持ちを抱いただけだ。
 つまり、大したことではあるが大したことではない。」

かつて混沌と言われたはずの邪神のカケラは、シロナの問いかけにそんなふうにぼやいた。
できれば、このマトモな相手との縁は手放したくないものだ、と心底思うのであった。

「ふむ……かつての邪……おっと、これは不味かったのだったな。うむ、むむ……難しいな。
 ともあれ、吾の生まれは生まれであるが約定を破るほど愚かでもない。
 特に、シロナ相手であれば尚更な。言わぬべきことは言わぬとしよう。」

割と生真面目にシロナの答えと感想を聞く。
ヒトの狭い世界で生きるにはイロイロとあるのは、流石に想像がつく。
とはいえ、そのへんの機微自体はよくわからないので言ってもらえるのはたいへん助かる。

「まあ、些少であれば悪事でもなかろう?
 長じれば本来は生きるための活動であろうし。」

仕草で意図していることは伝わった。そこに余計な魔力が乗っていないこともわかる。
……冗談程度の魅了であれば抵抗も容易いであろうが、それもしなかったことに一定の誠実さを感じる。

先程聞いた種族的には、淫行の類はあっておかしくない。
今も昔もそちら方面にはさほど興味はなかったが別に忌避感を持っているわけでもないし特に気にはならないし肯定する。
……とはいえ、ヒトの世界的にはやはり問題なのだろうか?

「かつての吾であれば……とは思うが、流石に今の吾ではな。
 うむ、それが欲しいというのなら魔法を使うことにする。無論、必要に合わせて格闘くらいはするが。」

かつての自分の秤ではそうだったかもしれないが、今の自我の自分は有象無象の魔獣と眼の前の人竜の少女を一緒くたにしたりはしない。
それは無礼というものだ。

「……それに、万が一。シロナに勝つことが在ったとしても下僕などいらぬ。
 かつての吾ならともかく、今の吾はシロナにそのようなものは求めない」

と、思わず素直な気持ちを口にする。

「まあ、なんだ。
 秘密も教えてしまったことだしな」

言ってしまってから、なんともいえない気持ちになってナニカごまかすかのようにそう付け足した。

シロナ > 「それは、家庭の問題ってやつ……になるのかな。
 アタシが首を突っ込めることではない、ね。」

 話を聞いて、なんかこう、今は何も言ってはいけない気がした。
 彼女の方から話を切り出して、相談してくれるなら、その時には、ちゃんと相談しよう。
 とは言え、彼女の見せる雰囲気に、虚脱感が見え隠れする。

「ふふ、まあ、そういう事だね。
 そう言う相談とかも、アタシは知った手前、受け付けるから。
 唯、その際は、他の人がいない場所とかで、お願いね。」

 彼女はとても頭が良いらしい、邪神の欠片と言う事だけあるのだろう。
 彼女が困ったときには、相談に乗るのは、大丈夫だよ、と笑ってみせる。
 冒険の時とかなら、相談もしやすいだろう。
 暫くは彼女とメインでパーティを組んだ方が良いのだろうと、考えた。

「あは、ありがと♡
 ま……趣味と言う物も、有るのだけど……ね♡」

 淫行に関しては、色々とある。
 ただ単に気持ちよいことが良いし、心と心を重ねて愛し合うのは好きだ。
 一般倫理観で言うならよくないことになるのだろうけど、それはそれで。
 黙っていてくれるのは嬉しい事だと思う。

「最初の内だけ、話で良いよ?
 お互いの癖とか、やり方が理解できて来れば、魔法だけとは言わないよ。
 お互いやりたいようにやれるようになるのが、最上だからさ。」

 そう言う事だ。
 彼女のやりたいようにやれるように、自分が動きやすい様に動く。
 それが一番のチームと言う事になるのだと思う。
 がんばろーね、と笑って見せた。

「それならそれで、だけど。
 一応戦士としてのプライド、ドラゴンとしてのプライドからの言葉、だから。

 ―――因みに、シャーニィは、アタシに何を求めたいの?」

 彼女は魔王としての邪神としての意識は薄いのかもしれない。
 部下が要らないとなると、何が欲しいのだろうという純粋な興味から首を傾いで問いかけてみる。

「可愛い。
 あ、アップルジュースを二つ頂戴!」

 こう、可愛らしい様子の彼女を見ながら、ウエイトレスに注文をして。
 木のジョッキに、並々注がれた新鮮なりんごの果汁のジュース。
 それが届けば、一つを彼女にさしだす。

「これから、パーティとしてヨロシク、ね。
 乾杯。」

 こう、ジョッキを当てて、お祝いしよ、と。

シャーニィ >  
「か、てい……というのか?
 なんにしても、頭が痛くはあるがまあ奴も悪いやつではなし。
 問題はない」

めんどくさいだけで、実利は得ている。
本当に、アレの人格さえどうにかなれば、というのは否定しないが人格矯正までするのは流石にどうかと思うところである。
要するに、困ったようで困っていないようななんとも言えないやつである。

「う、む……よろしく、たのむ。
 なにしろ、吾はまだ今の世も、ヒトの世もあまりに知らなすぎる。」

邪神としてはどこかおかしくはあるが、そんなことすら自覚できていない。
この自我はまだ未熟なのだ。

「趣味、か。それならそれで、まあよいだろう。
 そもそも吾はそちらの方は、知はあれどあまり関わってこなかったことでもある。
 それを知ったふうに口を出せるわけでもない。」

はて、自分の趣味は何だったか、と少し思ったりもするがナニも思い浮かばなかった。
どちらかというと……いや、考えても詮無いことか。
 
「ふむ、ふむ……なるほど。ちーむ、か。
 かつての吾は己一人でやってきた……ように思うから、不思議なものだな。
 うむ、がんばろう。」

笑いかけられて、少々驚いたが悪い気はしない。
ヒトというのは、細々と気持ちを揺らすものだったな、と思い出す。
自分も習うべきか……と思い、ややぎこちない笑顔を返す。

「プライド、か。確かに竜族というものはプライドが高かったな。
 紛うことなく、血を引いている、というわけだ。

 ……む。求めるモノ、か…… うう、む……」

問われて、考える。自分がシロナに求めるもの。
端的に言ってしまえば、知、である。しかし、それではあまりに即物的だ。
敬意に値する相手には相応しくなかろう。
なんといったものか……

「……これもシロナであればこそ、隠さず言おう。
 吾は、本来はヒトを滅ぼすために蘇ってきた。いや、それがヒトであったのか、もはや今の吾にはわからない。
 蹂躙しよう、根絶やしにしよう――そのように誓った相手は、もはや姿も形もなくなっていた。
 それだけは、わかった。

 それゆえ、今の吾は……ナニをしていいのか、それがわからなくなった。
 今更、憎むべきものが消えた今の世を滅ぼしに向かおうとも思えぬ。
 そうはいっても、再び眠りにつく気もせぬ
 
 ……だからこそ。今を生きるために、今を知らねばならぬ。
 それには……それを聞けるような相手が、欲しい」

そこまで言い切ってから、一旦口を閉じる。
やや様子を伺いつつ、また口を開いた。

「……ゆえに求めるのは……そう。友誼、といえばいいか?
 それが、真にそういうべきものか。吾にはわからぬが……」

都合がいいといえば、都合がいい話である。
そんなものは友誼といえない、と言われれば、その通り、と答えるしかない。
自我も知識も半端な邪神のカケラには、それしか言えなかった。

「……あ、ああ、うむ、うん……」

そして差し出されたジョッキを掴んで、不慣れな様子で持ち上げジョッキを当て合う。

シロナ > 「ま、何か有った時には、相談して頂戴。
 アタシが出来る事は少ないけど、話を聞くこと自体は、出来るから、さ。」

 彼女が困っている様子では無いし、問題ないというのなら、それはそれで。
 彼女が困った際の手助け程度位なら、出来るだろう、と。

「アタシも余り詳しい、と言うわけでは無いけど。
 ほら、小娘だし?」

 知らないことは悪い事ではない、彼女が可笑しいと感じてないことを、シロナが判るわけでもない。
 なので、邪神としての可笑しさを、ツッコミを入れる人はいない。
 和やかに話は進むのだ。

「因みに。
 今のうちにちゃんと言っておくけどアタシは、同性の方が好きよ。
 シャーニィの事もタイプ。
 と言っても、アタシは無理にすることは無いし、ちゃんと口説くから、覚悟してね♡」

 彼女はそう言うのは趣味にないらしい。
 とは言って、だまし討ちする積りも無いし、彼女はそれで偏見を持つ人ではないだろう。
 なので、素直に白状をしておこう。
 彼女は、自分の射程圏内、口説いたりコナ掛けたりするに足る相手、と。

「お互いに、頑張って行けば、ちゃんとしたチームになる事が出来るから、さ。」

 チームとして大事な事は信頼、実力、そう言った物を積み重ねて行こう。
 まずは、ゴブリン退治から始まるよね、と笑って。
 ぎこちない彼女の手を握り、もう一度握手。


 彼女の目的、求めるものを聞いた。
 それは自分が思う物よりもとても壮大で重大な話だ。
 軽い質問、興味本位で聞いたところ、思った以上の話でもあった。
 ううむ、とシロナは笑顔を引っ込める。
 彼女の話は、興味本位だけで話を聞いてはいけない事と理解したからでもある。
 

「…………成程、ね。
 それは、大変だなぁ、アタシは、未だ年若だし?
 シャーニィの思うような答えを教えられるとは限らないけど。

 それでも、アタシは、共に考えたり、悩んだりすることはできるよ。
 アタシの知ってる人で、貴女の欲しいものを持っている人を教えたりすることもできる。

 いいよ。
 友誼、結んじゃおう ―――友達に、成ろうよ。
 アタシは、シロナは、シャーニィとお友達になるよ。
 助け、助けられる、それが友達。
 今は、シャーニィがアタシを助けられないとしても
 後になって、シャーニィがアタシが困った時に助けてくれればいいし。

 ―――でも、気を付けてね?」

 アタシは、口説いて友達のままでいられなくしちゃうかもしれないから、ね。
 甘く笑う少女は、矢張り、淫魔と言って良いのだろう。

「乾杯」

 こつんと、不慣れな彼女と乾杯をして。
 軽く腹ごしらえをしつつ、お互いをもう少し語り合い。
 ゴブリン退治に、パーティとして出かけるのだった。

 ドラゴンに邪神の欠片。
 ゴブリン達が、気の毒なぐらいに蹂躙されたことは間違いなく。

 初めての依頼が成功したのは、確実な未来―――

シャーニィ >  
「そうであろうと。少なくとも、今の世についてはそちらが先達であるからな。
 それに、だ。すべてに正解を求めたいわけでもない。
 そんな物があるとも思っておらぬしな。」

邪神の欠片らしい知と、半端な自我。
それはただ、なにかを掴みたかった。

「うん、ただ……きっとシロナとなら、なにかを掴めると思うのだ。
 だからまあ、よろしくたのむ。」

なごやかに話を続け……

「うむ、ともあれシロナとであればうまくやれそうだ。
 冒険、とやらも楽しみになってきた」

そういって少しだけ板についた笑いを浮かべる。


「ふ、む……なるほど。
 ははは、まさか先に言ってくるとはな。
 いや、いや。確かに吾はそちらの方に今は気が向いておらぬが。
 それを否定するつもりもない。」

毒牙にかけようという相手に正直に話をする、というのは狩人としては失敗なのかもしれない。
だが、正直にそれをいう相手にやはり好感を抱く。

それは疑いようもなく、そういう気持ち、ではなかったが。
それでも、確かにナニカの心の動きであった。

「といっても、だ。
 吾はこう見えて、元々は強大なるもの。
 一筋縄で行くとは、思わないでもらおうか?」

そう、珍しく少しだけ冗談めかせて口にして

「乾杯」

そうやって語り合ったのだった。

……なお、彼女たちの未来はおそらく明るく。
そして、ゴブリンたちに未来はなかったことは言うまでもない。

ご案内:「王都マグメール 平民地区 冒険者ギルド」からシロナさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区 冒険者ギルド」からシャーニィさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にタマモさんが現れました。