2023/10/17 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にササリさんが現れました。
ササリ > なるほど確かに。

「これは空き家でしたねえ。」

冒険者ギルドに紹介されたのは、もはや廃屋と言っても間違いない空き家。
宿ではなく、商売も簡易的にしたいという彼女の要望にある程度沿ってくれたものだ。

「………空き家なのか壊れかけた木の山なのかはちょっとばかり怪しいところでしたけど。」

とほほ、と気の抜けた顔で肩を落とす。


ギルドから紹介された廃屋を掃除して、片付けて。
僅かながら占いの館として出来上がったところである。

裏? まだぐっちゃぐちゃよ。

ササリ > 「というわけで、開店かいてーん。」

扉を開いて、怪しげなお香をちゃんと炊いて。
薄暗がりの室内には、水晶玉と異国のカード。
その中央に陣取るのは、謎多き褐色肌の豊満な女性。
どこが謎なのかは、具体的に言うと目元。

あとはスタイルと服装はミステリアス感を出すためのアレである。慣れ過ぎて自分ではおかしいことには気が付かない。

異国のカード? 何書いてあるかは私もわからん。 ふんいき。


「ここだとどんな占いがはやっているんですかねえ。
 やっぱりはやりの占いは、売れますもんねー。」

とりあえずこういうお店は、開店してもすぐに来ることは稀である。
隣のお店から頂いた小さなパンを、まふまふと口に運びながら。

ご案内:「王都マグメール 平民地区」にアルマースさんが現れました。
アルマース > 「はーあ、飲み過ぎたかなあ……楽しいとついねえ~……
 あれ、こんなところに店なんてあったっけ~……?」

怪しげなお香の匂いに引き寄せられたみたいに、ふらあっと占いの館の中を覗く黒いローブの女の姿。
高いヒールの足取りは石畳でも危うげないが、機嫌良さそうに鼻歌混じり。

つい昨日同じ道を通った時は、ただの空き家だった気がした区画。
占いの館――を何の気なし覗いたのは、ちょうど知り合いとさっきまで占いの話で盛り上がっていたのと、酒の勢いである。

「ねーえ、やってるー?」

開かれた扉を、こんこん、とノックしつつ。若干眠たい気だるげな声。

ササリ > 「んもふっ、ふっ。」

パンがのどに詰まるべったべたのリアクションをするミステリアス女子。
とんとんと胸を叩いて。

「………ふふふ、ここは占いの館です。
 今日からスタートなので、初めてのお客さん、といったところでしょうか。」

中央に陣取るのは、褐色肌で銀髪の女性。長い髪は腰を覆い、目元までしっかり覆いつくし。
怪しげな衣装はまるで上から布を羽織っただけのような。踊ればいろいろと見えてしまうような。
豊満な身体は匂い立つような色香を漂わせ………。

「……もちろん、やっておりますよ。
 何か気になることでも?」

問いかける。パンくずをほっぺたにつけながらだけど。

アルマース > 「えええ嘘でしょ大丈夫……?」

まさか人目も憚らず軽食をとっている最中に出くわして、指をさして笑って良いのか三秒ほど迷う。
本人が何も無かった風にふつうに説明を始めるし、本日開店と聞いて第一歩をぶっ壊すのもナア……という母性のようなものが湧いてきてしまう。
相手の調子に乗っかって何も見なかったことにして、中へ入ると向かいに腰掛ける。

「最初のお客かあ、責任感じちゃうなあ。
 気になることは色々あるんだけどさ――」

踊り子という仕事柄、露出の高い装いは見慣れているけれど、占い師らしいのからしからぬのか、判断できない感じの服装をちらりと眺めた。
が、ローブの下はあたしも似たようなもんだし、言うほど占いなんて行ったこともないしよく知らないのでまあいっか、と思う。

神秘性と色香とパンくずのアンバランスさよ。

「うーん、ふふ、じゃあ当ててみて。
 何を占いに来たのでしょうか」

何でここ入ったんだっけ、色々衝撃的で記憶がところどころ吹っ飛んでしまった気がする。
思い出すまで酔っ払いの絡み酒みたいなことを言いだして。

ササリ > 「もちろん。私はちゃんと魔術まで使える冒険者でもあります故、能力の方はご安心を。
 あと喉も大丈夫。」

ちゃんとお答えしつつ、こほん、と一つ咳払いをして、ついでに頬も拭った。
ミステリアスモード復帰。

「そうですね、なるほど、占いに来たもの………。」

そっと水晶玉を持ち上げて、相手の顔を透かし見るように水晶玉ごしに、じっと見る。
まあ、見るといっても前髪で視線は見えないけれど。

「………………。
 なるほど、健康ですね。膝とか腰とかそういうところが最近こう、みしみしって言ったりとかそういう。」

もはや按摩に行くべきなことを滔々と、それだ、とばかりに語る女。

ご案内:「王都マグメール 平民地区」にアルマースさんが現れました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にアルマースさんが現れました。
アルマース > 「冒険者としての腕と占いの腕って関係……ある?」

果たして能力に相関があるのかどうか、どれともあまり縁のない女にはわからない。
占いと魔術は何となく近いのかもしれないけれども。

「え? えー……健康かあ。
 じゃあそれでいいや。今後の健康運? 体が資本ではあるし」

思い当たる節は無かったが、先々何かあるなら聞いておくか~くらいに。

パンくずを取ってあげようかどうしようかそわそわしていたから、自分で取ってくれて良かったと思う。
水晶玉の向こうには手を振る女の顔が見えたかもしれない。

ササリ > 「いやまあ、ほらほら、魔法を実際に扱える人の方が占星術とかも詳しいじゃないですか。あとそういう魔力もあるかもしれないですし。」

直球で関係があるかを問われたのは久々だ。
しどろもどろになりながら両手をあわあわと動かして言いつのり。

「……ええ、お任せください。
 うんうん、………………健康な身体ではありますよね。
 肌もお綺麗ですし。」

手を振ってくれれば、手を振り返しててへへ、と笑う。
その上で、こほんと一つ咳払い。

「………そうですね、ガラスに気を付けてください。
 割れたガラスが見えます。ああ、いえ、この水晶が割れてるとかではなくて。

 踏みそうです。」

すごく単純な未来を予測した。

アルマース > 「なのかなー。あんま知り合いにいないんだよね~魔術師も冒険者も」

詳しいじゃないですか、と言われれば、そういうもんかと思うくらいにそっちの知識は無い。
それはそれとして慌てる感じのハッタリのきかなさに、神秘性、大事にして……とまた母性が芽生えそうになる。

「健康っちゃ健康かな。姐さんも客とこんな暗がりで二人になっちゃヤバそうな身体ってか衣装よねえ……」

肌を褒められれば、ありがと~とにっこりする。

「ガラスを踏む……靴に硝子の破片でも入れられんのかなあ。
 妬みを買うくらいの売れっ子になりたいもんねえ。
 ね、じゃあ男運は? いい感じの! 予言を! おねがあい」

頼み込んで果たして占いの結果が変わるものなのか。
たぶんそういうものではない気がするが、頼み込んでおけば何とかなりそうな雰囲気を感じたのかもしれない。

ササリ > 「では私が最初でしょうか。ふふふ。
 私はササリ。占い師です………。」

ミステリアスに微笑みながら、名乗りをあげる。
占い師です……ってところは若干どや顔を見せておく。目元は見えないけど。

「そうですか? ………確かにあんまり見ない恰好だなあとは思ってましたが。
 ………ヤバそうですー?」

なんて、ころころと笑ってみせて。余裕の表情だ。

「………ふふ、なるほど、
 まあ、病気というより怪我なイメージなので、そこだけは気を付けていただいて………。」

「………男。」

ほう、ほう、とうなずきながら、水晶玉を持ち上げて、じぃい、っと相手を見る。

「………どんな人が好みだったりするんですかー……?」

首をかしげて、じいー、っと見つめながら。占いは質問はOKだったはず。ええ。

アルマース > 「ササリ――」

ちゃん、と呼ぼうとして思いとどまる。
普通は『先生』とか、さん付けすべきところな気がするけれど。
黙っていれば確かにミステリアスで通りそうだけれど、彼女の何かがとてつもなくミステリアスを壊している気がしてならない……
結局語尾を見つけられないまま飲み込んだ。

「あたしはアルマース。アルマでいいよ、踊り子やってまあす。
 ……まあ魔法の腕もあるなら絡んでくる客くらいどうってことないのかな……?」

余裕の表情をそう解釈する。もしかしたらもっとミステリアスな理由があるのかもしれないが計り知れない。
未知数という意味ではとてもミステリアスなものを感じる……。

「良い芝とか見つけると裸足で踊りたくなるからなー。気を付けとくね。

 好みって難しいよねえ……単純に良い体してれば目が行くのはあるけどさあ。
 過去を振り返ってみるとあんまり全員に共通するものが無いし……」

自分でもよくわかんない、と頬杖をついて水晶玉をつつく。

ササリ > 「アルマさん。ありがとうございます。
 踊りは昔やってみたんですけど、ダメでしたねえ。踊れそうとか言われるんですけどねぇ。」

よ、よ、っと腕をそのころ覚えたのか、動かしてみる。水晶玉がころころと腕を転がり落ちて、割と器用なもの。
ただまあ、動くたびにチラチラと露出が増えてダメな感じになるのが問題ではあるが。
それでも落とさずに水晶玉を右手から左手に転がして、また右手へと。ある意味どっちの職業であっても商売道具である。

「そうですね、まあ、………ちょっと加減が難しいので、やりすぎることはありますねぇ。

なーるほど、なるほど。………………何となく見えますが、こう………。
お客さんか、いらいぬし……? 何か、こう、踊りの場所を提供してくれる人のような気がしますねぇ。」

もにゃもにゃ、むにゃむにゃ言いながら、さっきまで踊りのアクセントだった水晶玉越しに見つめながらそんなことを言う。

「なので、踊りですっごく盛り上げたら出会いがありそうな気がします。うん。」

アルマース > 「お? いけそうじゃない?」

水晶玉を転がすバランス感覚にちょっと目を瞠る。
簡単そうに見えるが、簡単そうに見せるのだってそれなりに練習が必要なはずで。

「へえ、強いんだ? いいね、占いなら一人でやれるし、面倒な客ぶちのめしたって迷惑かからないもんね」

やりすぎる、というのに愉しそうに赤い唇が弧を描く。
面倒な客に張り手を見舞う程度で雇い主や同業に迷惑がかかってしまうことを思えば、若干羨ましくもある。
自分が出入り禁止になるくらいで済むなら簡単な話なのに。

「お客さんか依頼主、ねー。やっぱ仕事に生きろってことかあ」

残念という風でも、嬉しげでもある口ぶりで。
何か心が決まったように、よし、と机を叩いた。

「実は受けるか迷ってた仕事があってさあ。
 せっかくこの辺に慣れてきたところだったのにちょっと遠くの仕事なんだよね。
 でも行ってみることにするよ。ありがとね。あ、お代っていくら?」

先に聞いておくべきだったことを思い出す。

ササリ > 「そうですかー? ふふ、じゃあ今度そっちもやってみましょうか。」

なんて、ころころと笑いながら褒められてむふーんと鼻息。
褒められたらどこまでも上る女。

「ええ、そうです。
 まあ、お客様にけがをさせたらダメなんですけどねー。
 そのせいで、昔サーカスにいたんですけどダメになっちゃいましたし。」

へへへ、と笑って。
団体に属していてもやることはやる女だった。

「……あー、なるほど。
 では、気を付けてくださいね? 外はまだまだ危険だとも言いますし。
 あ、お代は……こんど、踊りを教えてくださいな。」

なんて、へへへ、と照れ笑い。

アルマース > 「良いんじゃない? まああたしが言えることじゃあ全く無いけど、揉めるのはほどほどにね~」

自分にも覚えのない話ではなかったから、それはいけないねえ、とは口が裂けても言えない。
なるほどサーカスかあ、とバランス感覚の所以に納得の顔。

お代は踊り、というのに、黒い目が瞬く。
初めてのお客様割引だろうか。

「え? 良いの? 遠慮なんかしないよ?」

と言いつつ、考えるように室内に視線をひとめぐりさせた後……

「じゃあ、パンで死なないようにスープの差し入れも持ってくるよ、次のときに。

 それじゃね、おやすみ! 占いの館、繁盛しますように」

笑って立ち上がり、片腕で大きく弧を描いて礼をする。シルクハットを取って胸に当てるサーカス一座の座長の挨拶のような仕草。
来た時同様、ヒールの音を響かせて、ふらっと夜の街へ戻る。

ご案内:「王都マグメール 平民地区」からアルマースさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」からササリさんが去りました。