2023/09/11 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にリュエールさんが現れました。
■リュエール > 「はぁ~……ここがマグメール王国の王都マグ・メールか」
都全体をすっぽり囲うような城壁に囲まれた大きな都市。
旅装のローブを纏った女旅人が独り言ちて、遠くに聳える王城のシルエットを眺める。
額に手を当ててどこまでも見渡すような蒲公英の色合いの瞳がぐるりと周囲を一周、感慨深そうに息を零す。
「吟遊詩人の歌を聴いて一度来てみたかったんだよねえ」
明らかに今日やってきました、と言わんばかり。
旅人は荷物を肩にひっかけて、きょろきょろと周囲を見渡しながら、中央へと繋がる通りを歩いていく。
何もかもが新鮮に映る。やっぱり新天地は心が躍る。
だけど。
「どうにも、ねえ」
なんだか嫌な雰囲気もある。例えば外周の城壁周辺だとか。
これまで色んな国を渡り歩いてきた旅人は、大きな国には軒並み外周よりには犯罪者や貧民が集うスラムがあると知っている。
きっとこの国もそう言う場所があるのだろう。
治安の悪い場所もきちんと覚えておかなきゃなあ、と独り言が多い。
とりあえず宿。それから店。腹ごしらえもしたい。冒険者ギルドにも行かないと。
この王都だけでも、周りきるにはどれぐらいかかるだろう。
ウキウキしながら、長いローブの裾から覗くミスリル製の足鎧をがしょがしょ鳴らしていた。
■リュエール > 広場に差し掛かる頃、目立ってきた飲食物を売り出す屋台を見る。
パンに肉と野菜を挟んだ物と水を買い、空いているベンチに腰を掛けてがぶりと大きく口を開けて咀嚼。
あ、意外と美味しい。甘めの照り焼き風のタレがパンに染み込んで、野菜がまあまあフレッシュ。トマトの酸味が効いてる。
「おいし!」
ぐびっと水を飲んで、変な味もしない。
物価としてはちょっと高いけど、なんか内戦中?らしいから仕方ないのかなと思う。
そうして広場を行き交う人々を何気なく観察。
不安を抱いてる雰囲気はないし、平和な日常過ごしてます、って感じ。
気になるのは、目立つ首輪やら手枷足枷みたいなものをつけた人もいる。
その割合が、猫のような耳や尻尾を持つ子が多い。
「あれがミレー族? 奴隷に適した種族? なんだっけ?」
事前に得た、いびつな情報を思い出す。
奴隷がいるのは当然というようで、旅人のように物珍しそうにしてる人はいない。
これがこの国の日常かあ。としみじみと思いながら、肉サンドを頬張る。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にグライドさんが現れました。
■グライド > 「――――――……適した、ってのは大分偏った言い回しだな。」
(突然、横からそんな声が響くだろう
あくまで落ち着いた、低い声音。 振り返れば、巨躯の男が其処に居る
中身の無いパンを齧りながら、旅人と言った風情の女に視線を向け
ひらりと片掌を振って見せながら。)
「結果的にそうなったってだけだ。
……奴隷なんてのは、大概そう言うもんだぜ。」
(適して居るからでは無く、ただ、歴史の中で、割を食った種族と言うだけ
ミレー族であれば奴隷としてよい、そう、国が決めただけに過ぎない
この国ではなくとも、他の国でも時に、そう言ったことは起きうる筈だ
手に持っていた酒瓶を、ぐい、と軽く煽れば、視線を街中を歩くミレー族へと投げる
長く続いている、この国ではもう、当たり前の光景)。
■リュエール > 「んぇ?」
独りごとに返事がいた。
サンドをかじってるせいで変な声になったが、声がした方へと振り向けばそこには目を瞠る大柄な男。
褐色の肌に黒髪、布の服を纏う袖口から覗く傷跡、雰囲気も相俟って戦闘経験者と旅人の目には映る。
モグモグと咀嚼し飲み込む間に手を振っていた男が注釈を入れてくれた。
「ふぅん。聞いた話では魔力もあって身体能力も人より高くて、
国を裏切った罪の種族だからで国が奴隷指定してる~ってコトだったけど。
やっぱり吟遊詩人の歌も酒場での情報も色々盛られてるモンねえ」
結果的にそうなったとしても、そうなるには理由があるのはわかる。
それを当たり前に受け入れている国。偉い人がそう指示したからじゃないの?とは思うけど。
この国について偏った知識しかないのだと改めて思いつつ、ぐびっと水で喉を潤してから、改めて男を見上げる。
「気を悪くさせたなら悪かったわね。それで? お兄さんは公的な案内人か何か?」
で、気さくに話しかけてきた貴方は誰?って感じで酒瓶を持つ男へ首を傾げた。
■グライド > 「具体的な事情なんざ、俺様も知らねぇよ。
何せ、そうなったのは昔の話で、其の辺りの事情をまともに知ってる連中も居ねぇ
ただ…、……よその連中にまでそう思われちまうのは、不憫だからよう。」
(女の聞いた話、と言う物が間違って居る訳では無い。
己もまた、其れを否定し反論するだけの知識が在る訳では無い
ただ単純に――奴隷なんて物は、奪われた弱者でしかない、そう言う考えが在るだけだ
手にしていたパンを全部口の中へと放り込み、酒で流し込んで仕舞う頃
其の儘立ち去るやもと思われた女が、其処に留まって居るのを目にして。)
「―――……いんや、そんな御偉い人間じゃあねぇよ、しがない傭兵だ。
いかにも旅人って風情で歩いてるもんだから、つい、な。」
(新手の口説き文句って訳でもねぇぜ、なぞと戯言紡ぎながら
酒瓶を掲げ、女へと告げて見せるのだ。『マグメールへようこそ』…だなんて
其れこそ、案内人めいた言い回しを真似て)。
■リュエール > 「昔の話か~…歴史系ってなると長命種族のほうが詳しそうね。
奴隷の外聞に対して不憫に思うなんて、貴方優しいのね? ミレー族に友人でもいる?」
ならなおさらごめんなさいね、と付け足しつつ。
この国には色んな種族が集まってると言う。
だからはるばる異国から旅をしてきた。
二十そこらしか生きてない女旅人にとっては他国の歴史など知る由もないが、知る機会があるなら話は別。
知識の収集なんて高尚な目的はないけれど、得られる知見と広がる視野は旅をするほど面白いと感じる。
それはさておき、食べ終わって水を飲み干し、ごみをまとめて小さくすれば、水瓶は使えそうなのでそのまま荷物袋に突っ込む。
「傭兵。へえ! どおりで貫録があるわけね。
いかにも旅人というご推察の通り、あちらこちらをフラフラ旅してるわ。
冒険者も兼ねてるけどそっちはオマケ。あ、リュエールよ」
傭兵だと職を明かす相手にこちらもすんなりと。口説き文句云々は冗談として受け取りさらりと流す。
マグメールへようこそだなんて案内人みたいに振舞う様子に女も笑い、ベンチから立ち上がった。
「それで、独り言に注釈をいれてくださる案内人のような傭兵さん?
そこそこ腕っぷしに覚えがある女旅人向けの宿がありそうな通りはどっちに行けばあるかしら」
上背のある相手を見上げるように、黄色の瞳が上を向く。
腹ごしらえも済んだし、さっさと宿を決めてしまいたい。
案内人みたいな言い回しをする男を揶揄うように、にんまりと口元には笑みを浮かべて。
■グライド > 「ミレーが如何って訳じゃあねぇが、俺様は辺境のド田舎の出でな
ガキの頃に、其れが当たり前っつー教えで育っちゃ居ねぇのさ。
其れに、戦場に出りゃ、ミレー以外の奴隷もごまんと見るしな。」
(ミレーに対する、特段の肩入れが在る訳では無い
ただ、奴隷と言う物に対する考え方も視点も、或る意味で公平なだけ
誰しもが奴隷となり得るし、そのいきさつも大抵は理不尽
そんなものだ、と肩を竦め乍ら、再び視線は女へと向く
凡そ推測は付いて居たが、矢張り旅人で在ると確証を得れば
成程な、と納得した様に頷いて見せ。)
「グライドだ、傭兵なんてやってるもんだからよ
戦場がありゃ、色んな所をふらふらして回ってる訳だ
そう言う意味じゃ、同類かも知れねぇな。」
(冒険者がおまけ、と言うのも似た様な物かも知れない
傭兵の小遣い稼ぎがギルドの依頼で在る事も多く、そう言う意味では、話も通じやすかろう
故に、宿の相談と聞けば、少しばかり考えた後。
噴水の淵から、ゆっくりと立ち上がって、女を招く様に歩き出し。)
「ちょいと時々治安は悪いが、冒険者ギルドも近いし、便利な宿がある
飯の美味さは、俺様のお墨付きだ。 寝台もまぁ、悪かない。 ……其れで如何だ?」
(――評価は完璧だ。 何せ、己も利用している宿なのだから。
実際に気に入るか如何かは女次第では在ろう、が
宿の方向を指し示すだけではなく、戻るついで、案内してやろう、と)。
■リュエール > 「へえ~。
ほんとに奴隷産業が盛り上がってる国なのね。正しいのか歪んでるかはさておき」
誰しもが奴隷に落とされる理由として理不尽なものがあるというのなら、身よりもなく知人も少ない己のような旅人は特段気を付ける必要がありそうだと考える。
顎に手を当てて重い荷物やらを運ばされている奴隷やら、店の前を掃除してる奴隷やら、買い出しをしている奴隷やら。
それでも奴隷に対してひどい扱いは、目に見える範囲にはなさそうだと周りを見ながら思う。
視線は再び男へと戻る。こうした偶然の出会いもまた旅の醍醐味の一つだ。
「グライドね、宜しく。
あたしは戦場はごめんだけど、今日知り合った貴方が明日戦場で戦死してるなんてことがないよう祈るわ。
同じようにあたしが奴隷に落とされないよう祈ってちょうだいね!」
ローブの下で腰に手を当てながら冗談めかすように快活に笑う。
宿に案内しようという男に本当に案内人みたいねと肩を竦ませながら、宿のある通りではなくお勧めの宿と断言されれば歩き出さずに数歩離れる背中を見る。
ついてこないとなれば足を留めて振り向くだろうか。
少しだけ困ったように眉尻を下げながら笑っている。)
「素敵な提案だけれど知りたいのは宿ではなくて宿場通りなの。わかってくれるでしょ?」
なにもこの国についての知識は奴隷云々だけではない。ここに住む男ならわかる筈。
王都の衛兵詰め所の場所すらまだ知らない女一人の仲間はなし。知人もなし。
ローブの下にかくれてはいるが豊満とわかる胸元はローブの上からでもわかるはず。
自分の顔がそう悪くないという自負もある。どれだけ自分が獲物になりやすいか。
軽く会話をした初対面の男にホイホイ何も考えずについていくような軽率な真似はできないのだと)
■グライド > (――そう、奴隷に成り下がるのは何も
この国の人間だけでも、戦場の敗者だけでも無い
女の様な旅人もまた、他者にとっては狙い所となり得る
危機感を持つに越した事はない、昨日見かけた旅人が、翌日貴族に奉仕している、と言う光景も
この国では、決して在り得ぬ話では無いのだ。)
「傭兵だからな、何の保証も出来ねぇよ。
明日にはあっさりと土に帰ってるかも知れねぇ生き方だ。
だが…祈って貰えりゃ、少しは生き延びやすくなるかも知れんな。」
(足を、止めた。
付いて来る様子の無い女に振り返れば、其れもまた、納得を示す。
危機感を持つのは良い事だ。 其れは、己に対しても。
口元に弧を描き、判った、と一言返せば、酒瓶持った手で、一つ方向を指し示し。)
「向こうに冒険者ギルドがある。 その周りは宿場も、他の店も多い。
俺様の言った宿もあるし、他にも選べる位にゃ或る。
ギルドで金を貰った連中に、金を使って欲しい訳だからな
ま、余程辺鄙な物じゃ無けりゃ、大抵の物は其処で揃うだろうよ。」
(そうして、酒瓶の中身を一気に煽れば、中身を空にする。
無くなっちまったぜ、なぞと、何処か業とらしく言葉にしては
――今しがた指し示した方とは、逆に向かって歩き出し。)
「何かありゃ、其の辺歩いてる、騎士連中にでも声を掛けな。
まぁ、大抵の事は助けてくれるだろうよ。
俺様は、また何処かで酒でも買って来るさ。」
(――一緒には、付いて行かぬと安心させる様に。
ひらり、女に向けて片掌を揺らして見せた)。
■リュエール > 振り向いた男が、旅人の警戒心を納得をしてくれたのはありがたい。
そして通りを一つ指さして説明してくれる言葉を聞き、困ったような笑みはぱっと花が咲いたような笑顔に変わる。
「ありがと! 早速行ってみるわね」
冒険者ギルドの場所が知れるのは行幸だ。
この国や王都の詳細な地図があればなお助かるところ。
中身を空にしながら案内人のようにあれこれと教えてくれる辺り、根が良い人なのだろうと。
実直、紳士というべきか。今の所男への印象はそんな感じ。
腰辺りまで伸びる長いピンクブロンドの髪を揺らし、軽く手を振る。
逆方向に歩き出すその大きな背中を見送る形で。
「色々ありがとう、じゃあねグライド!」
手を振って見送る。
男もまた手を振って返すのを受け取って、踵を返す。
足元の紐付き鞄を持ち上げて肩にかけ、彼が言っていた冒険者ギルドのある通りを目指して歩き出した。
早々に、幸先の良い出逢いだったなあと思いながら足取りは軽く。
相変わらず足鎧をがしゃがしゃ音を立てながら、広場から遠ざかっていった────。
■グライド > (己はもう、この国に慣れて居る。
だが、警戒すべき点を一から十まで他者に教え込むのは不可能だ
自らが、充分なだけを警戒心を持つ事に過ぎる事は無い
後ろから送られた声に、また、ひらひらと酒瓶を掲げて応えれば
今度は相手が足音響かせ、歩き出した其の辺りで
声だけが、其の背中へと届けられる事だろう。)
「よう、楽しい一日を!」
(――案内人めいて。 とはいえ、間延びした言い方では在ったが
互いに背を向ければ、後は離れて行くだけだ
人込みに紛れ、其の姿も見えなくなり、先刻までの日常に戻り行く
行きつけの酒屋までは少し歩かなければならないが――まぁ、こんな日だ
其れも、偶には悪く無い――)
ご案内:「王都マグメール 平民地区」からリュエールさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」からグライドさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区 奴隷市場」にオウルさんが現れました。
■オウル > ――平民地区にも存在する暗部。
貴族に有らず貧民地区の住人に有らず平民地区の何処にでもいる人間達が行き交う平民地区にも奴隷市場がある。
少年の今夜の仕事は奴隷市場の見回り。
奴隷を買う、奴隷を売る、興味本位で覗く者、はまだ良いが、迷い込んでしまった者を安全な場所へと誘導する仕事である。
普段は貧民地区との境界線で行う仕事であるが、此処最近妙に賑わっていると聞いて冒険者ギルドから緊急で発令された仕事なのだ。
自ら踏み込んだならいい、ただ迷い込んだ者くらいは手を差し伸べようという事で、口に棒つきの飴を咥えながら歩いている――当然眠気覚ましのミント味だ。
「どこかで血なまぐさい事でも起こってんのかな?」
『ギルド』絡みで慣れているから奴隷に落ちた者達の声も視線も気にならない、何なら顔見知りの奴隷商人に頼まれれば臨時に奴隷の世話係りだって請け負う、払いが良いし。
今もミレー族だの元貴族だのバリエーション富んだ奴隷たちが売り買いされている中を何ともいえない表情を浮かべて、決められたコースを歩いている。
そう、バリエーションが富んでいる、富みすぎている。
あと妙にミレー族の奴隷が多く、彼ら彼女らにつけられた値段が高い気がする。
――気のせいだと思うんだけども……。
暫くは巡回。
決められたコースを何度か歩いた後に交代要員が到着。
その交代要員の人に幾つか内緒話をした後に冒険者ギルドへと戻るのだった。
ご案内:「王都マグメール 平民地区 奴隷市場」からオウルさんが去りました。