2023/09/02 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区・冒険者ギルド」にヴェルソートさんが現れました。
■ヴェルソート > 「ん、ぅ…最近ちょっとサボり気味だし…なんかちょうど良い依頼ねぇかな。」
呟きと共に、片方しかない腕の指先を口元に添えて…依頼が張り出された掲示板を見上げて考える仕草をする。
顎髭がうっすら整えられた顔つきは、柔和な男性のイメージであるが、胸尻のメリハリのついた体つきや柔らかな肉付きは女性を思わせ、口調は粗雑さが見えるものの、動きや仕草はマナーの教育を修めたものの所作が滲む…そんなアンバランスな風体の隻腕は、どうしても目立つ。
「遺跡調査…俺一人じゃ無理、遺跡やモノの鑑定はできるけど罠の対処ができない。 妖魔退治に馬車の護送…でき…なくもないけど、流石にソロはなぁ……やっぱ外に出ない依頼のが良いんだろうか。」
そうなると、途端に報酬がしょっぱくなる…まあ当たり前ではあるし、金に困っているわけではないのだが…あくまで冒険者は副業なので、できれば面白い依頼を受けたい気分ではあった。
一人掲示板でうんうん悩む「娼館通りの歌姫」を知っている冒険者は…珍しいとか、なんでわざわざとか、ひそひそと何か話しているかもしれないが…幸か不幸か、依頼を眺める歌唄いの耳には、入っていなかった。
■ヴェルソート > ひめ!と同居人の少年に指さされて抱腹絶倒された記憶も新しく、しかし…そう呼んだ娼婦の姐さん方に文句をつける度胸もない。
そんな恐ろしい事をしたら最後、逃げ場を失い玩具にされる未来が容易に想像できるのだ、あなおそろしや。
まぁ、そんなことに関係なく、自分を見て何やら噂する者たちがあまり良い事を言う記憶はない。
できればもっとチヤホヤされたい歌唄いである。
吟遊詩人というのは芸術家である以上、承認欲求は人一倍あるのだ。
みんなもっと俺を大事にしてチヤホヤすればいい、とは常日頃思っているが…されたらされたでそれはそれで怖い気はする。
「ま…とりあえずはどうしたもんかね…孤児院の手伝いとかが無難かなぁ…あんまりというか、旨味はすくねぇけど。」
まぁ、孤児院で歌を披露するくらいなら、仕事としては楽なのだけど…それはそれでどうなんだろう、冒険者…してるのだろうか。
■ヴェルソート > 「…んー、駄目だ、ピンとくるのがねぇ。」
今日は帰るか、そう結論付けて…隻腕の男は静かに、ギルドを後にした。
ご案内:「王都マグメール 平民地区・冒険者ギルド」からヴェルソートさんが去りました。