2022/09/09 のログ
ご案内:「まれびと街道~山賊街道(王都~ゾス村~港湾都市)(過激描写注意)」にエレン・ローズマリーさんが現れました。
エレン・ローズマリー > 暴力 経営 優美
商売というものはいろいろなものが関わってくる。
優秀な下がいれば、殆ど腰を落としているだけで済んでいるというのに
此処最近では物騒な案件が増えている。

商品を運ぶ荷馬車や船は護衛代が嵩み、それでも失敗をしたら
護衛代の代わりに食料品から高級酒まで消え失せる。
それを眺めているだけで終わらせては、踊り子の店から酒場まで彩りが失せてしまうものだから
港湾都市にいる面子はいろいろと協力体制を取りやすいところもあった。

商売の敵同士は、商売の敵の敵を共に滅ぼせる関係性を持つ。
昔の、互いの領域を妨害しあっていた頃などかわいいものだったと口をそろえて言う。
個人が自店の調理場の奥部屋で一人で食事をすることが、もっとも安全である
そう述べる者らが、今では無人の調理場で集い対策を話し合うことすらあるのだから。


「時代は変わっていくものよね。」


そう言いながら、 ガラ ガラ ガラ ガラ と馬車が夕暮れが過ぎたあたりの道を走る。
複数の馬車 家紋入りの貴族擬き馬車である。
護衛の馬連れもいる中で、エレンは同業や血の気の多い者らと共に、一人小柄な風貌
しかし見劣りする部分がないかのように、数人ずつが詰まった馬車の中で窓辺のカーテンを開けると
それは三日月でも満月でもない瞳月。
瞼をぱっちり開けたような太ったアーモンド形の瞳と呼べるものが空で白く光っている。


「拷問 自白 人質 処刑。」


そう言いながらカーテンを閉めるエレンの瞳は、怪しく笑んで赤い瞳を薄く光らせる。


「楽しみね 討伐が。」


そう言って、この劣りのように走る馬車の列が、賊に襲われ始めるのはきっともうすぐ。

エレン・ローズマリー > エレンは経営者であり 経営資金 お父様への献金 それを除く自身への利益
それは投資であったり、奴隷を購入してみたりと細々としている者の豪遊というわけではない。
こういう場所で必要経費ではなくポケットマネーとして、冒険者も装備の更新も兼ねて提供を行っている。
腐った騎士団とはおおよそ違う 潰す それを意識するような行為。

王都だけがアスピダを注視しているわけではない。
無駄に刺激せずしのげればそれでいいものの、本丸は引きこもり、壁と門の前で乳繰り合っている
それの余波を当てられ続けるのもたまらない。
適当に情報が引き出せれば共有化し、その情報を売りつけることで還元できる。

況して、自身は貴族の妾柄。
貴族へ逆らう意思云々など、余計なやっかみもなくいけるだろうと
始まった襲撃 違う蹄の音。
馬車列全員から、ビリビリと感じる殺気の 意思 意思 意思。
弄ぶ舌なめずりではなく完全攻略を目指す意識レベルの高い殺意。
それは経営者として 実に喜ばしい殺気だった。


「ふふっ。」


エレンは笑み、襲撃に対応する者らのうち、ゴンッと天井で聞こえる着地音。
それにまずは、脇から引き抜いた縦二連の拳銃に小さな指先を掛け、躊躇いもなく引鉄を引いた。


―――ッッ!
―――ッッ!


二つの音が、重なり合って発砲。
火薬とは違う別の作動と発動の音を出し、天井に穴をあけてから濁音混じりの絶叫と共に
天井穴からは赤が垂れ落ちる。
男が見れば股間を抑えたくなる光景だろう。
最も、腹か股かもわからないヒット。

今だ走り続ける馬車の群れと、周囲に感じる違う蹄の群れ。


「走りながら“致す”のって初めてよ、私。」


これもまた、処女を切ったということになるのだろうかと
クスクスと笑いながら、争いの音 弩の矢が ガスゴスと触れ合う音が壁に伝わる。