2021/06/20 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区のどこか(過激描写注意)」にタマモさんが現れました。
タマモ > 頃合は夜、まだ日の沈んだ少し後ぐらいか。
雲は掛かっておらず、星々が、そして、満月か輝く夜。
王都マグメール、貧民地区、大通りから少し外れた、裏通りの奥。
少女の姿は、そこにあった。

見た目は変わらない、普段通りの少女だ。
しかし、獲物を見詰める、その瞳に僅かな変化があった。
見慣れた者であれば、注意して見て分かる、その瞳の赤味の増しよう。
普段は少し赤味が掛かる程度のそれが、今は真紅に染まっている。
まぁ、その点は、知らぬ者ならば関係ないか。

「………あぁ、今宵は、見事な満月じゃ。
この衝動、抑えられそうもないのぅ」

瞳を細め、その満月を見上げる。
その表情には、張り付いたような笑み。
闇の中に輝く紅が、周囲を、そして、大通りへと向けられる。
普段は、それを考える事もないのだが。
この満月の夜だけは、どうしようもない。
人間の…いや、人間を含む存在の、負の感情を糧とする妖。
その本質が、強く現れるのが、この満月の夜なのだ。

もっとも、その衝動が純粋な破壊には向けられない、それだけが唯一の救いか。
恐怖よりも、屈辱や悦楽の方が、長く長く味わえる。
ある意味、そちらの方が…とも思えなくもないが。

ふらふらと、貧民地区の夜道を歩く。
そんな少女が、もし現れるだろう、これだと思える獲物、その姿を見付けられるのは。
大通りなのか、この裏通りなのか、どこかの建物なのか。
それは、分からない。

タマモ > ゆっくりと、頭が揺れ、その視線が、ある方向へと向けられる。
紅の輝きが、一点へと向けられ、その瞳が更に細められ。

その場から、少女の姿が掻き消えた。
次の日、貧民地区、その人気のない通りの中。
そこを行く、冒険者が襲われ、何かがあった、と言われているが。
その本人からは、何ら情報は得られなかった、との事で。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区のどこか(過激描写注意)」からタマモさんが去りました。