2020/11/05 のログ
ご案内:「王城 地下広間(過激描写注意)」からルナリアさんが去りました。
ご案内:「郊外の森林」にリーシャさんが現れました。
リーシャ > ――街から離れたとある森の中。夜の帳が降り、辺り一面は夜の闇。
そんな闇の中に、小さな一つの灯りが揺らめいている。ランプの灯りだ。

「はぁ……すっかり遅くなっちゃった……」

ランプを片手に溜め息をつくのは波打つ長髪を揺らす町娘、リーシャ=エヴァンス。
日々の糧に乏しい赤貧の彼女はその日、森に入り木の実を摘んで回っていた。
思いの外収穫が多くのめりこんで森奥へと進んでいたら、気付けば辺りはすっかり闇の中。
頼りないランプの灯りだけを頼りに、おぼつかない足取りで夜の獣道を下っていた。

「早く帰らなくちゃ。ええと、確かこっちから登って来たのよね……?」

自分でも気づかぬ内に随分と奥まで来てしまったのか、辺りには道らしい道も無い。
夜の森は方向感覚を失わせ、まるで天然の迷路の様。少女はそんな闇の中を彷徨い続けている。
人気の無い森はひんやりと肌寒く、時折聴こえる鳥の囀りすら恐ろしいものに感じてしまう。

夜の森は、獣、魔物、森を根城にする賊など、うら若い少女にとっては様々な驚異が存在する場所だ。
――気の所為だろうか。何かの視線を感じた少女は小さく身震いし、帰路へと進む足取りを早めた。

リーシャ > 暫く歩いていると、視界の開けた草原の広場へと出る。
鬱蒼と木々が生い茂る森の中、先程までより月灯りが多く差し込み
若干の明るさを広げる場所に出た事で、少女はほっと胸を撫で下ろした。

「こんな場所、初めて見た……」

まるでその場所だけ人工的に整えられたかの様な杜の中の広場。
伐採された木々の切り株の内ひとつに腰を掛け、暫しの休憩を摂る。
切り株の周囲には、目当ての物とは違う木の実が乱雑に散らばっている。
近くに小動物でも巣を張っているか、はたまた通りかかった冒険者が
一時の休憩に使った名残なのか。そんな事を考えながら月を見上げる。

「はぁ……………………」

少女は郊外で小さな宿屋を営む身だ。
今日も今日とて客足は無く、人気の無い広い建物に独り戻るのも億劫で、再び溜め息をついた。

吐いた息が白い。それに気付くと同時に、肌に染み込む様な寒気を感じ少女は両手で腕を擦った。

ご案内:「郊外の森林」にリアさんが現れました。