2020/09/30 のログ
ご案内:「王都の路地(過激描写注意)」にタン・フィールさんが現れました。
タン・フィール > 「~~~♪ うーん、今日はやすくって、イイものいっぱい買えたぞーっ! どんなお薬、つくろっかなー…っ」

王都の市場の知る人ぞ知る一角で、薬の素材となる良質な薬草や果実などを安値で仕入れたご機嫌な薬師の少年。

それらを紙袋にぱんぱんに詰め、細腕でしっかりと抱き、少し危なげな足取りで自宅たるテントへの道を歩いていたが、
インフラの整わぬ荒れたレンガ道の路地にさしかかったころ、隆起したレンガの一片につまずいてしまう。

「~~~っと…ぅ、うあっ!!?」

べちょ、と間の抜けた音をたてて路面にうつ伏せに突っ伏す小さな体。
紙袋を最後まで離さなかったために、それがクッションとなってケガの類いは無かった。

素っ裸に桃色のシャツをワンピースのように羽織っただけの小ぶりのお尻もぺろんと丸出しにしてしまいつつ、
怪しげな色と香りのキノコや木の実、動植物の干物や酒瓶などが、
放射状にさまざまな素材が散らばってしまう。

周囲には、甘さと酸っぱさと苦さと辛さ、果実や香水、熟成した牛肉や花、さまざまな香りが滅茶苦茶に広がって
異様な香気の空間と化していた。

「いてて…うー…やっちゃった。」

床に散らばった素材を見て、うつ伏せのままふにゃ、とうなだれた。

タン・フィール > 「え~~っと…これと、これは…よし無事。
…あー、こっちのヘンな果物、つぶれちゃってるや。
…じゃ、さんびょうるーるで、っふふ。」

ひとつひとつ、座っては広い、立ち上がり、またしゃがみこんで品物を拾う。
幸い割れ物の類は紙袋の中に詰めてはいなかったが、
外皮の柔らかい桃のような果物など、柔い素材はいくつか潰れてしまったようで、
床に接触した面を裏返し、もったいない、とばかりに頬張った。

ただの桃とは違い、体力回復の効能もある果実は僅かな酸味と渋味を残しつつ、
十分に少年の子供舌を唸らせる、練乳とみずみずしいレモンを混ぜたような不思議な甘味で、

本日仕入れた素材のどれもが、このような不思議な味覚と効能があるならば、
家に戻ってからの調合が楽しみで仕方なく、次第に素材集めもうきうきと楽しげに、鼻歌交じりに捗っていく。

「ふふ~♪ おくすり、どんなのつくろうっ! えーっと、これで全部…? いや、まだ、なんか足りないかな。」

ひととおり拾い終わったつもりでいるが、何かが足りない予感がして、
拾い忘れや見落としたものがないかきょろきょろと周囲を探る。

路地の曲がり角にまで転がり弾んでいった、こぶし大のイボイボのキノコは少年からは死角になっていて…。