2020/07/20 のログ
ご案内:「路地裏」にダソさんが現れました。
ダソ > 「ーーーいよい…しょっと…っ」

肌色のぷるぷるとした巨大なゼリー状の水たまり。
それは液状の竜巻となって一瞬で逆巻き、立ち上り、素っ裸のヒトの子供の姿を形作る。
その正体は、高度な人間への擬態能力を持った、癒やしのスライム。

「~~~~♪  ーーーーっ♪」

王都を訪れて一月ほどで慣れてきた、スライム形状からヒトの姿に化けるのにも慣れてきた。
ここ数日、公園や路地で人間を観察していた折に、自分が象ったのと同じ年頃の幼子が、
「はなうた」というものを歌っていたのを目の当たりにして以来、スライムもそれを真似して、暇さえあれば口ずさんでいた。

「~~~~~~~~~♪ ふふーん、 んーーーー♪」

変幻自在の声帯と、人ならざる肺活量を持つスライム体からは、
真っ当な人体では発することのできないはずの高音まで透き通って歌い上げられて、
人の…いわゆる一般的な感性で捉えれば、美しい歌声が響く。

素っ裸の少年が、美しい歌声を振りまきながら路地を闊歩するという、
目撃してしまうと妖精にでも化かされているかのような光景。