2020/04/19 のログ
ご案内:「薬屋のテント」にタン・フィールさんが現れました。
ご案内:「薬屋のテント」からタン・フィールさんが去りました。
ご案内:「魔物の巣の跡」にタン・フィールさんが現れました。
タン・フィール > 数十年前までは、近隣の村々からは恐れられた洞窟。

様々な目撃例や被害届の出ていた、魔物の巣とされる郊外の洞窟…。
けれども、ここ数年はぱったりと、それらの情報は途絶えていて、
近々、冒険者ギルドが、調査隊を組んで派遣されるのではと噂されていた。

薬師の少年は、そうした集団にあれこれあらされる前に、
薬の原料となる、魔物の抜けた体毛や牙、糞尿、食べかすなど、
魔物の残滓と痕跡を求めて、先んじて単独潜入に乗り出し…来た道も往く道も見失い、見事に迷った。

「うぅ…魔物が出ないのは助かるけど… 出口、見失っちゃった…」

情けない独り言を漏らしながら、頼りなげな瞳を照らすのは、これまた心もとなく揺れる松明の光。

こつ…こつ…と慎重な足音が、洞窟に響き渡る。

少年の歩んだ跡には、回復薬…精力剤…お茶に果実の甘酸っぱさ、媚薬の後を引く香、
様々なモノを惹き付ける香りが残滓として宙を漂っていた。

タン・フィール > 「…念の為、お薬の整理しとかなきゃ…」

袖口や胸ポケットに仕込んでいる、爪楊枝ほどの細長さの護身用の薬瓶。
緊急時には、床や壁に叩きつけて割ったり、相手に直接ふりかけたりして、
麻痺や睡眠、精神異常を引き起こす薬剤を組み合わせる、状態変化で切り抜けるのが少年の数少ない自衛手段だった。

重量や間合いのある刀剣や槍などの心強さはないが、
液状や煙で、僅かでも吸引したり、付着するだけで効果を発揮する武器というのも、戦闘する相手にしてみればなかなか厄介な代物のようで、

先日も人買いの傭兵団に包囲され、捕獲されそうになったのを切り抜けたのも、この薬瓶を組み合わせた集団睡眠だった。

「―――よっ… っと。
…ほっ…!と。
…しゅっ! っと。」

手品のように瞬時に袖から取り出し、空手だった掌から薬瓶が伸び…
手首を曲げれば、袖口に素早く収納される。
その動作を繰り返して、とっさに使用できるよう何度か出し入れすると練習をしていると、安心してくる。

徐々に、その一連の動作を自分自身で「ちょっとかっこいいかも…」などと思ってしまいながら。
手遊びをしつつ出口を探して…。

ご案内:「魔物の巣の跡」からタン・フィールさんが去りました。