2020/03/07 のログ
タン・フィール > 「…念の為、お薬の整理しとかなきゃ…」

袖口や胸ポケットに仕込んでいる、爪楊枝ほどの細長さの護身用の薬瓶。
緊急時には、床や壁に叩きつけて割ったり、相手に直接ふりかけたりして、
麻痺や睡眠、精神異常を引き起こす薬剤を組み合わせる、状態変化で切り抜けるのが少年の数少ない自衛手段だった。

重量や間合いのある刀剣や槍などの心強さはないが、
液状や煙で、僅かでも吸引したり、付着するだけで効果を発揮する武器というのも、戦闘する相手にしてみればなかなか厄介な代物のようで、

先日も人買いの傭兵団に包囲され、捕獲されそうになったのを切り抜けたのも、この薬瓶を組み合わせた集団睡眠だった。

「―――よっ… っと。
…ほっ…!と。
…しゅっ! っと。」

手品のように瞬時に袖から取り出し、空手だった掌から薬瓶が伸び…
手首を曲げれば、袖口に素早く収納される。
その動作を繰り返して、とっさに使用できるよう何度か出し入れすると練習をしていると、安心してくる。

徐々に、その一連の動作を自分自身で「ちょっとかっこいいかも…」などと思ってしまいながら。
手遊びをしつつ出口を探して…。

ご案内:「魔物の巣の跡」からタン・フィールさんが去りました。