2019/01/02 のログ
ご案内:「◆王城深奥(過激描写注意)」にナインさんが現れました。
■ナイン > ――間に合うかな。ホーレルヴァッハ殿から、目当ての物を受け取れたなら。
速やかに第五師団の方に。遠征に発つ迄に、供与する。
勿論、仲介というか、中継ぎでしかないけれど…提供者がグリューブルムだという、既成事実が重要だから。
(城の中。政に一枚噛まんとする貴族達の会話。…有り触れた光景だ。
少女もまた、そんな者達の中に。少しでも家名を取り戻す為に加わろうとしていた。
幾つかの約束事を既知の者と交わし。その白い背が遠離るのを見送った。
白い、のは当然だろう。相手は身一つ。正しく、一糸纏わぬ有様だったから。
少女も亦同様に。浅くクッションに沈めただけの繊身に、薄絹一つ纏わぬ侭。
おかしい、とは…この場ならば言われないだろう。
此処は。企み、謀り、そんな会話を全て掻き消してくれるような。喧噪、狂乱の真っ直中だから。
少し傍らへと目を遣れば。連れ込んだ奴隷を下腹に押さえ込み、喉迄使わせている侯爵が居る。
息を奪われ苦悶する奴隷の尻には、別の侯が齧り付き、その秘華をしゃぶり立てている。
少し奥では地方の領主が、現地から持ち込んだという薬を配り。
試した結果惚けてしまった何処ぞの令嬢を、反応の薄さを愚痴り乍らも貫き続けている。
初めて此処に来たらしい誰かのご婦人が。前から後ろから突き上げられる背徳に悶えている。
一際高く一切を掻き消すような嬌声は。王家の娘が愛玩動物…大柄な犬に自ら尻を犯させて。
根刮ぎを擦り潰される感覚に、同じ獣へと堕ちている故の物。
常人ならば卒倒するか。剰りの爛れた有様を、これこそが国の腐敗だと責めるでもするか。
だが、少女はそっと溜息をついただけ。
慣れてしまった…とは言わないが。同じように乱れる事は、もう。受け容れてしまったから。)
ご案内:「◆王城深奥(過激描写注意)」にセイン=ディバンさんが現れました。
■セイン=ディバン > 「……」
男にとって、もはや王城は庭のようなものだ。
何度も侵入しているし、侵入がバレたことこそあれど……。
『どんな姿の誰某が侵入した』という情報までは掴ませていない。
男の目的を果たす上で、城への侵入は必要不可欠なことなのだが。
「……はぁっ」
しかして、慣れはしても気分は良くない、とばかりに。男は息を吐く。
今回も、魔族の国への侵攻作戦のための重要書類を破棄し。
のみならず、貴族たちの懐からお財布を頂いたりして。
無闇矢鱈に混乱を振りまき帰ろうとしているのだが。
それでも、この権力闘争、陰謀渦巻く貴族世界というのは男には堪えるものであり。
特に、なぜかは知らないが。今宵は特に酷い有様過ぎた。
「……とっとと出よう」
部屋、廊下、中庭。ありとあらゆるところで行為が行われている。
内心、『これじゃあ貧民地区の乱交部屋と変わらんじゃないか』と思うものの。
男はそれを横目に、『城に仕える執事』を演じつつ逃走経路を歩く。
正直、股間が反応しないでもないが。痴態に混じり、長居すれば素性がバレかねない。
とっとと脱出するに限る。そう思いながら曲がり角を曲がれば。
「……あれ? ナインちゃんじゃん」
そこで、知り合いの姿を見かけてしまい、声をかけてしまう。
そうしてから、『しまった』とも思うのだが。
■ナイン > (まだ、まだ。淫蕩に狂う者達は其処彼処。
太り肉の商人が、金を出した事を名目に。
痩せっぽちな貴族家の少女を、文字通り圧し潰し乍ら精を注いでいる。
此処ならば何も言われないのか、男と女、両性備えた貴人が犯しながら犯されて。
注ぎながら注がれる、相乗した快楽に悲鳴すら上げている。
紛れ込んでしまったか、はたまた潜入任務だったのか…目を白黒させていた女軍人が。
気付けばすっかり堕とされて、自ら男に跨がり腰を振っている。
此処では最早。狂わぬ者こそが異常であって。
人間的な着衣の存在など、違和感にしか成り得ない。
正直を言えば真っ当な給仕やら侍女やらも、存在していたのは最初だけ。
途上からは彼等も剥かれて立派な、客達の肉玩具として用いられている。
だから。
どれだけ目立たぬように行動を心掛けていたのだとしても。
所謂黒い羊でしかない男の姿は。容易に目に留まってしまう者だった。)
……………………
(ばっちり。闖入者と目が合った。暫しの沈黙。
丁度。他の貴族達との会話が切れたタイミングだったのは。彼等の視線が逸れていたのは。運が良かった…かもしれず。
さて。巡らせたのは思考…ではなく、間違いなく悪巧み。
数瞬の間を置いた後。にっこりと微笑みを浮かべてみせた。
花開くような、と傍目には表現しても良いのかもしれないが。当然それは、裏を含みに含んだ毒花のそれだ。
そんな、絶好の獲物を見付けた、と言わんばかりの、とてもとても良い笑顔の侭で。
腰を据えたクッションの上、脚を組み換え上体を起こしてみせれば。男を手招いてみせた。)
■セイン=ディバン > 「……ったく。善人、貴人の仮面被りながら乱交してっからタチ悪い」
廊下を一定のペースで歩きながらぼやく男。
これなら欲望を常日頃から出しているゴロツキどものほうがまだ見目が良いぞ、と言いつつ。
周りの『そーいった行為』を邪魔しないようにはする。
本当なら犯されている可哀想な存在は助けたいのだが。
今ここでそれをすれば、あっという間にお尋ね者だ。
「……?」
さて、そんな中。曲がり角を曲がり、ちら、と見えた少女の姿に声をかければ。
相手は微笑み。瞬間、男の背中にぞくり、と寒気。
っていうか、何であの子全裸ですか? そう考えるのだが。
手招きされてしまえば、執事を演じている以上は無視も出来ず。
「オホンッ。……どうなさいましたか?」
男も、完璧な笑顔を見せながら相手に近づく。
さて、相手は気付くだろうか。男の股間。ズボンを押し上げ巨根が屹立してしまっていることに。
■ナイン > どう。って。…決まっているだろう?
執事は、主に仕えるのが仕事じゃぁないか。
(さて。誰の言葉だっただろうか。
笑顔とは本来、捕食者が哀れな獲物に喰らい付くような。
牙を剥き出し敵対する者を威嚇する為じみた。攻撃的な表情なのだという。
そんな笑みを満面に貼り付けた侭。言葉の裏には「良いから来い」という無言の圧。
取り敢えずは男との距離さえ詰まったのなら。
齧り付くように全身で抱き付く幼い娘を、貫く侭で挨拶回りを重ねているらしい、何とも器用な別の貴族に。)
嗚呼。最近漸く、一人。加える事が出来ました。
見てくれは…まぁ野暮天ですが。仕事働きに関しては重宝しているもので……後は、こういう所でも使えるかどうか、と。
(しれっと並べる嘘八百。
少女の従者なのだと紹介されてしまったら、他の者は疑いもしないだろう。
どうせ、今細かな所を疑うような、真っ当に頭を働かせている者など。滅多に居ない筈だから。
そうやって、闖入者その物としか言いようのない執事姿の男への、奇異の視線を散らした所で。
も少し近う寄れ、と人差し指で男を招き――耳元で、囁いてやろうではないか。)
やれやれ。こんな所でも手伝いか?
つくづく仕事を選ばないらしいな、セイン。
――何をしていたとは、まぁ、聞かずにおいてやるけれど。
(先と同じ密談程度の細い声を。男の聴覚にだけ届けようか。
きちんと先日の遭遇を。その際聞いた男の素性を。忘れてはいないのだと。)
■セイン=ディバン > 「えぇまぁ、そうなのですがね?」
あ、やばい。なんかロクでもねぇことに巻き込まれたぞ?
そう直感しつつも、相手の笑顔に応じ、男も苦笑する。
周りから見れば、さながら執事が高貴なる貴族に捕まり、玩具にされる、という光景か。
相手の挙動の一つ一つをしっかりと見ながら。相手が口にした言葉には。
「……あんだけフロでアンアン言っておきながら。
よくもまぁいけしゃあしゃあと……」
咄嗟のウソにしちゃあ随分と言ってくれる、と小声で漏らすものの。
もしもこの場でこの相手が『こいつ知り合いじゃないです。侵入者です』と言われてしまえば。
憲兵が凄まじい速度で飛んでくるので、あくまでも小声にしておく。
招かれれば、はいはい、といった表情で相手に近づき。
「……い~え? 今日は個人的お仕事ですよ。
ちょいと、人間世界の敵なお仕事を」
くすくすと笑いつつ、相手の言葉には正直に話す。
魔族側のお仕事ですよー。なんて笑いつつも。
「で? 何の用っすか?
もしかして、俺のチンポが恋しくなった?」
小声モードのまま、相手に囁く男。
当然、男としては長居はしたくないのだが。
逆にこうして相手に声をかけられた以上、行為に参加しないのも怪しいだろう。
■ナイン > ――言わせた張本人が良くも言ってくれるじゃないか。
本当に、あれだけ啼かされるとは。思ってもみなかったぞ…?
(囁き声の侭での怨み節――とは言えないか。
風呂で、というか宿の彼方此方で、たっぷり交わり啼かされた。
それは紛れもなく事実であったし…恨んでなど居ないのだ。
思い出したからなのだろう、些か熱と色とを帯びる頬を。軽く、男の頬と触れ合わせて。
その分より、耳と唇との距離を詰めきったなら。)
奥方の為に?
…隠し立てをしない所には好感が持てるが、まぁ…聞いてしまうと。さて、どうしたものか。
乱れていて、狂っていて。それでも私は。此処に居るのは人間達だ。
黙って見過ごす訳にはいかない……な…?
(もっとも。明確に、今此処に危機が在ると。人類の敵がのうのうと紛れ込んでいると。
声を大にして張り上げるつもりは無い、というのは確かだろう。
その気でいるなら、とっくの昔に。目と目が合ったその瞬間に行っている筈なのだから。
何処迄が冗談か。敢えて戯れたか、下世話な言い草で退かせたがったか…などという男の言葉に。
は、と嗤うような息を吐けば。)
半分は正解。
此処で、何もしないなんていう無粋は赦されないし…どうせ乱れざるを得ないなら。
ろくでもない連中よりは、お前を選ぶ方が良い。
(実際。ろくでもない、と言われる輩ばかりが目立つ。
先程商談めいた密約を交わしていた貴族は、気付けば余所の人妻を組み敷いている。
城仕えの女達が、壇上で縛られ、犯され、演目の如くその痴態を晒させられている。
本来少女が従えていた侍女も居た筈だが――今頃、何処の誰に喰われているともしれず。
それ等の中で、最もしがらみのない相手…なのかもしれない。闖入者であるこの男が。
上体を離すのと入れ違いに足先を伸ばし。確かな膨張を見せる男の下肢を。素足の指先で擽って。)
もう半分は。――今度は、お前のホームグラウンドではない所で。という事さ?
(悪い貴族に捕まって、云々。男の想像は…これまた半分。正解だ。)
■セイン=ディバン > 「ははは、それは失礼」
小声での呟きを拾われ、男は引きつり笑いを見せる。
耳良いなぁ、と思いつつ。思い返せば。
あの激しく、深い交わりに、ついつい股間に血が集まる。
急に触れた相手の頬に、男は驚き飛び退ろうとするが。
それをしてしまえば怪しまれるため、不動。
「いや、どっちかっていうと、本当に魔族全体のためっていうか。
……普段は隠し事バリバリすんだけどね。
ナインちゃんは信頼してっから。隠し事しないって決めたのさ」
相手の追及には、快活な笑顔で答える。
そして、相手の言葉に、男は背中に汗を流す。
事実、騒がれてしまえばあっという間にチェックメイト、であるから。
しかし相手がそれをしない、と分かれば。
男は相手に向かい、真っ直ぐに視線を向け。
「なぁるほど。確かに。
俺もこうして捕まっちまったら。
気心しれた相手とセックスしたほうがバレ難くていい」
相手の言葉に、相手同様周囲を見る。
本当に。貴族というのは趣味が悪いと思う。いや。
実際は趣味が悪い人間など身分問わずいるのだから。
そこは偏見だな、と考えを改め。
意識が外に向いているうちに、相手に股間を責められれば。
「……そいつぁ参った。
確かに。戦術においてホームグラウンドではない場所での戦いは愚の骨頂だ」
引きつり笑い、再び。相手の言葉に汗が流れるが。
さりとて、もはや逃げられない。男は覚悟を決めるが……。
それでも、表面上は余裕を残したフリ。
「……お望みとあらば。周りのド変態どもに負けないように。
カモフラージュのためのセックス。励みますよ?
お好きなプレイを、お好きなように。ね……」
■ナイン > 何、お前が失礼極まりない奴だという事は。
もう、嫌と言う程思い知っているから。気にするな。
(しれりと真顔で言い返した。
そうやって、余裕めかせている…つもりではあるのだが。
正直な所、男と同じかそれ以上に。少女の方も、内心の余裕はあまり無い。
それこそ僅かにでも触れ合う部分が有ったなら。どれだけ心身に熱帯びているかが直ぐ様露呈する程に。
宴に当てられ、男との事を思い出し。その二つを重ね合わせて――明確に。
少女は女として。寧ろ、牝としてと言うべきか…胸を高鳴らせる程に煽られているのだから。)
それはどうも。
――しかし。残念と言えば残念だな。
私の方はもう少し。隠し事の侭、秘め事の侭で居たかったのに。
(確か、温泉宿で語ったのだ。名前だけ、それだけで良い。
唯の一人の女として、単なる一人の男と、肌を重ねるだけのつもりなのだと。
それが思ったよりも早く。人間側の腐敗を象徴するかのような場で、彼等の一員だとバレてしまった。
秘密の共有が出来なくなった、という事が実に残念なのだと唇を尖らす様は。
こう見えて、未だちゃんと、年頃の仔娘でしかないのだという証左。
但し一度頭を振ったなら。そんな様は直ぐに振り払うのだが。)
そういう事。…捕まった相手が、私だった事を感謝するんだな?…今日は未だマシな方でな。
此処には相手の手足をねじ切り、足掻きの一つも出来無いようにして犯すのが好きな者も居る。
屋敷の地下で化け物を飼い、女子供が貪られる様の鑑賞を趣味にしている奴も居る。
おっと、屈強極まる男をこそ、逆に孔という孔を犯してやりたい、と嘯く輩も居たかもな?
そういう連中に捕まるよりは、未だ救いが有ると思えるだろう?
(何処迄本気やら、本当やら。だが、悪趣味な貴族達の多さという物は、現状でも充分に確かだろう。
…趣味の悪さという物自体は。身分にも、種族にも関係なく存在する物だが。
問題なのは、富裕層という物が得てして、その悪趣味を実践し得るという事だ。
彼等程ではないにしろ。同時に、初心な生娘であった事など、遙か昔でしかない少女。
ぐ、と。男の牡を踏み躙るように、足先に力を籠めて。)
捕まれば、さて、何をされるだろうな…出征の景気付けにもなるのだろうし。
……ふ、ふ。バレないように。この狂宴に馴染めるように。きちんと躾けてやる――セイン。
(足にて嬲るその度、見え隠れを繰り返す少女の下肢は。とうに確かな潤みを帯びて…滴りが。雌の匂いが強くなる。
片手を伸ばし、するりと男の首からタイを引き抜いて。衿を引き寄せながら、さらりと一言。
脱げ、と。)
■セイン=ディバン > 「え、酷くない?」
そこまで失礼なことしたかなぁ、と思い返す。
……なるほど。最初の出会いを思い出せば。
大変失礼なことをしたな、と。どこか他人事の様に考える。
近い相手との距離。当然、男の内心は焦ってもいるし、高揚もしている。
それだけでもなく、緊張もしているし、ときめいたりまでもしているし。
まぁ要するに、尋常ではない精神状態、というやつ。
「ははっ。そうは言ってもだ。
ナインちゃんは、ある程度身分高いってのは想像できてたぜ?
その喋り方とか。平民のそれじゃないじゃん?」
残念だ、という相手には、男は笑い声を漏らす。
年頃の女の子、だとは思っているのだが。
さりとて明らかに年齢平均よりも落ち着いた物言い。
そして振る舞いの数々からは、この相手がある程度普通ではない環境にいるということは想像できていた。
とはいえ、まさかこうして城で出会うことになるとまでは予想はしていなかったのだが。
目の前で一瞬見え、すぐに消えた唇を尖らせる様子は、本当に可愛らしいな、と。内心だけで呟き。
「……へぇ。そう。
……そうだねぇ……」
呟かれた相手の、凄まじい言葉に。瞬間、男の全身から殺気があふれ出す。
この場にいる貴族全員。諸共皆殺しにしてやろうか。
そんな事を微かに考えてしまうが、当然そんなことできよう筈もない。
ここで男が大暴れしても、救える人数などたかが知れているのである。
そんな中であれば、相手に捕まったのは事実幸運であったか。
この少女が目の前にいなければ、男はもしかしたら、大虐殺を行っていたかもしれないのだから。
「ん、っく……。
まったく。ナインちゃんのおっかない一面を見ることになるとはね。
……はいはい。仰せのままに、お嬢様」
足で刺激を強くされれば、息が漏れてしまう。
目の前の少女が、あるいは興奮しているのだろう、ということは男にも分かる。
だが、ここでそう簡単に相手を犯しては、それこそ怪しまれるので。
男は、ここはまず命令に従おう、と。やれやれ、という表情のまま。
しかし堂々と衣服を脱ぎ捨て……。全裸をさらけ出す。
相も変らぬバケモノサイズのペニスは、既に天に向かってそそり立ち。
先端からは、雄の香り漂わせる先走りが滲んでいた。
■ナイン > (くく、と軽く笑っただけで。肯定も否定もしなかった。
とはいえ何が失礼か、など。それこそ捉え方は千差万別。
男には分からない、少女にしか分からない、そういう事も有るだろう。
大体、世間一般の常識という奴に照らし合わせたのなら。
女性の入浴中に乱入してきたという段階で、紛れもなく失礼極まりないのだが。
其処ら辺の細かい指摘で話を長引かせるよりは。目の前に、男にのめり込みたいと。
普通では、真っ当ではいれらない。男に限った事ではない、誰しもがそうなのだ。)
あー…それは、そう、だよな。
でも良いんだ。普通で居られるなんて、贅沢さ。
望んで籠に囚われてやったんだから、それらしく謡わなければならないだろう?
(年頃の。そうやって過ごせるのなら、楽である事は確かだが。
出来得る限り今のように。貴族の、一族の、当主。そう在る事を望んだのは少女自身。
微かに見せてしまった、素…というか、隙というかには。気付いてか否か。
少しばかり視線を泳がせはしたものの。あくまで、言葉を変える事はしなかった。
取り分け今回は無理というものだ――どれだけ狂い爛れていようとも、周りは皆、同じ舞台の貴族達なのだから。)
そうさ。それが人間だ。
――いや、人に限った事じゃない。
生命持つ物、意思在る者、皆同じだろう?
……其処をどう解釈し、線引きをするかが違うだけで。
(貴族の蛮行に男が抱く怒気は、紛れもなく正しいものだ。
だが同時に、魔族の被害者達からしてみれば…同胞を殺され、犯され、貪られてきた者達からすれば。
そんな魔族と結ばれ、彼等の為に動く男を赦しはしないだろうし、その怒りも亦正当な物。
故に男の怒りに関しても。否定はしない、肯定もしない。
そもそもこの場にも。加害者が居るという事は、同時に被害者も居るという事だ。
須く撫で斬りしてしまう事は、救いでも何でもないだろう。
誰にとっての幸運か。少女自身は、知ってか知らずか。唯々在るが侭に頷いて。)
郷に入れば何とやら、という奴さ。
…嬲られるのも、好きなんだという事は。分かっているだろう?
(でなければ、宿の時も。
彼処まで身を任せなかっただろうし、その後の嬌態を見せ付ける事もしなかっただろう。
するもされるも、という収拾の付かない性癖を、あっさり、公言してしまうのだが。
周囲で気に止めるような者は居なかった。…否、当に彼等彼女等からすれば、公然の事実なのか。
そんな細かい事など気にしない、という事でしかないかもしれないが。
直に男が服を脱げば。相も変わらずに仰々しい、異形めいた牡もまた晒される。
はしたなく鳴き声を上げる何処かの令嬢が、一瞬、嬌声を途切れさせるような。
年若いなりに威勢良く、二人のミレー族を交互に責め抜いていた若者が、思わず自らの下肢を見下ろすような。
既に見覚えていた、実際に体験もした少女ですら。目にしたその一瞬だけは、堪らず足の動きが止まる程。
間を置いて零す吐息は。矢張り、どうあっても熱帯びて。)
――――安心、しろよ。
血を流させるのは…そういうのは。戦場で、充分だと。思っているから。
(だからそれこそ。少女自身は、猟奇的な犯し方迄するつもりはないのだと。
釈明のように。言い訳のように。
幾人もの乙女達の、好奇と情欲の視線が絡む中。するりとクッションから滑り降りて、男の前に立ったなら。
見上げる笑みの歪み具合は…直ぐに。見えなくなってしまうだろう。
先程奪い取ったタイを、丁度目隠しとして。男の顔に結びつけてしまうのだから。)