2018/06/05 のログ
ご案内:「◆タナール砦(過激描写注意)」にネーヴェさんが現れました。
■ネーヴェ > 【継続待機】
ご案内:「◆タナール砦(過激描写注意)」にラボラスさんが現れました。
■ネーヴェ > (元より傷付いた者達が大半の死兵達は。着実に数を減らしていく。
そもそも、後ろに控えが存在しないのだから、如何に傷付こうと、斃れようと、退く事も代わる事も出来無い。
急場凌ぎの魔術による治癒――も存在しない。
術士は貴重だ。出来得る限り、彼等も砦から退かせたのだから。
詰まる所、後は。終わりがどれだけ先送り出来るかだ。
今夜、この場、この戦場の結末は。
無論それは、数え切れない程に繰り返されてきた、両勢力にとっての奪還劇、防衛戦、その一つに過ぎない。
獲った物は獲られた物。護った物は護り得なかった物。
さりとて、今正に戦いの渦中に於いて。どれだけの者が、お互い様だなどと思えるか。
――戦争という歪な状況の中、同じ行いを鑑みて、敵の事すら慮れる者など、どれだけ居るか。
今は唯。目の前の敵、目の前の闘い。それだけ、だ。)
でも、まぁ やる事――やるべき、事くら ぃはさ――
(それでも。将を見出した、というのは。
死地の最中ではあれ、一縷の望みだったかもしれない。
頭が墜ちれば――其処迄行かずとも、頭が退かざるを、ないし頭を護らざるを得なくなれば。
多少なり流れに変化が訪れるだろう。
これで弓兵が多く残っていれば、見出したその位置を伝え、集中的に矢を浴びせたかもしれないが。
残念ながら先手を打たれ、城壁上の狙撃者達は優先的に討たれつつある。
…一点突破。単騎駆け。実に非現実的で、非効率的で、到底有り得ない選択肢だと、鼻で笑うような。
そんな事を、己がするのかと。自嘲気味に引き攣らせた唇は。
だが、投じた槍を一振りで打ち払う将の姿に、直ぐ様引き結ばれて。)
意外。けど ――――それ なら、お相手 願おぅ か――――!!
(普通なら。狙撃に等しい攻撃を受けた段階で、盾持ちなりが将を護るべく立ち塞がるだろう。
が、この魔軍に常道は存在しないらしい。首級を狙う己とすれ違う魔の騎士達。
さらに手勢が投入されて、最早人間側の兵は……
いや。振り返りはすまい。寧ろ、そんな暇すら与えられはしないだろう。
頭上から振り下ろされる漆黒の刃に眼を細め、犬歯を剥いて低く唸れば。
打ち合う間合いよりも前、大きく太刀を振り回す。
全身が捻られ、旋回し、身を翻す形で、上からの切り落としを掠めさせ…
更に回る。大きな一回転。太刀の重量に己の腕力、其処に遠心力を加味させて…フルスイングで叩き付けん、と。)
■ラボラス > (戦場に於いて、最も倒れては為らないのは誰か
其れは、傷を癒し兵を救う、癒術師に他ならない
命の価値を問うて居るのではない、あくまで戦術論としてだ
癒し手が居なければ兵は目減りし、何時か戦線を維持出来ぬ程に衰退する
つまり、其れ等が退くと言う事は、最早後に残るは死に往く者達だけ。
残る者達も其れは重々理解して居る筈だ、理解して尚残った筈だ
死して名が残る訳ではない、知られる事無く死んで行く無名の勇士
だが、そんな彼らが命を賭して立ち塞がるからこそ――闘争とは、かくも貴き物也。
魔兵達は其処に慈悲など見出さない、中途半端な慈悲など、戦士にとって侮蔑に値する
故に、一片の容赦も無く奪い去るのだ、彼らがそうして来た様に、彼らが奪って来た様に。)
――――……貴様が奪う者か、其れとも奪われる者か…、…教えて貰うぞ。
(そして――己もまた、将として、高みの見物を決め込むばかりではない。
決して効率的とは言えず、現実的とは言えず、命を捨てる様な其の選択
だが、既に捨てたも同然の命ならば、乾坤の一擲を狙うのは決して浅はかとは言えぬ
そうして――其の様な無謀を挑むのならば、非効率的な選択で応えたくなるのが、戦士と言う物だ。
振り下ろした黒の刃は、紙一重で躱される。
其の儘、回転の勢いを止める事無く更に加速させ
手にした大刀を、ただ武骨に、渾身の力で以て叩き付けようとするならば
空を切った剣の切っ先をくるりと返し、太刀筋を正面から、受け止める。)
―――――――………! ぬ…ぅ…!!
(左腕手甲部分を剣の先へ押し当て、両腕の力で以て受け止める一撃
全体重と、遠心力と、刀の重み。 其処に加え、恐らくは見た目通りでは無いのだろう
尋常ではない、娘の異常な臀力が、強烈で鈍い衝撃音を響かせれば
踏み留まる両足が地面へと僅かに減り込み、元居た位置よりも数歩分押し飛ばされる事と為る。
成程、悪鬼の軍勢を交わしながら、此処まで辿り着くだけの力は在ると言う事か
妙に納得した表情を見せれば、ほんのわずかに、口元へと愉快げな笑みを浮かべて見せ。
――娘の打ち終わり、其の一瞬の隙を――見逃した。
もっと、打ち込んで来いと催促でもする様に。)
―――……悪くない選択だ、だが、其れでは未だ足りんな。
俺を狩るか、なら、貴様の全てを賭して挑め。 ……俺を、愉しませて見ろ。
■ネーヴェ > (退くべき者、退かせるべき者。
次に活かすべき、生かすべき者。
彼等の礎となれる事を、死兵達は恐らく、笑って受け容れた。
その心根は命尽きる最後の瞬間を迎える迄、変わる事はない。
此処こそが死に場所だと、定めたそれを変える事無く。一人、亦一人。
唯一救いは。
脆弱な人間という種族の、そんな陳腐な誇りを。
魔の側にも、汲む者達が居るという事か。
だから、終わらない。
寧ろ礼を以て最期の一撃は振り下ろされる。覚悟には覚悟での応えが返る。
倒れて尚剣を離さず。腕を失って尚身一つで立ち。…命尽きて尚その場に留まり。
――もう、その時は近付いている。
矢が尽きる、命が尽きる。刃が折れる、最後の瞬間が来る時に。
撤退距離はどれだけ稼げているのだろうか。彼等が王都に辿り着けば、如何なる報告がなされるのか。
剰りに急な接敵、未知の脅威。それがきちんと中枢に伝えられてくれれば良い。
然るべき対策と、潤沢な下準備と、何より…借りを返す、尊厳を取り戻す、という兵達や帥達の意思が。
整えられる時間が約束されてくれれば良い。
再び砦に、人間達の旗が翻る。それを夢見て頽れていく兵達。
後はせめて、一矢だけでも報いる機会が在れば、万々歳。だから。)
どぅだろ ね、どうせなら――そっ首、獲らせ て、貰おぅ か……!!
(打ち合った。盛大な火花が、金属音が、撒き散らされる。
だが――斬れない。より正確には、圧し斬れない。
一撃を受け止め、尚刃毀れ一つ無い黒剣の異常さと…圧される、のみで受けきるその男。
技量か、膂力か、それ以外か。何れにせよ千載一遇の初撃が、有効打たり得なかった事に。
舌打ちを一つ…だが、それ以上の不満は捨て置いて。)
言ったね、それな――ら……!!
(隙の大きさは自覚済み。だからこそ、初撃結殺が信条なのだが。
…見逃された、事は知ってか知らずか。一閃の勢いは尚殺さず、二回転目、その侭二撃目。
軌道はほぼ変わらぬ代わり、更に速度を増し――
ぶつける、間際手首を返した。
刃と刃による斬り合いではない。相手の刃へと、それを支える腕へと。
先の力達に、得物の重み全ても付け加えた打撃――斬撃ではない、衝撃をブチ込む一撃を。)
■ラボラス > (己は、魔族の将として此処に居る。
故に敵が人であった、其れだけの事なのだ。
戦場に存在するのは魔族と人ではなく、敵と味方のみ
其処に種族の差など欠片ほどの意味も持たない、ただ、別たれし相手を切り伏せるのみ
最早砦は陥落寸前、正面の扉は半ば魔族の行軍が踏み越え始めている。
其れでも尚、最後の一人が倒れるまで全ては終わらない。
既に力尽きた者達の屍を越え、始まる蹂躙の叫びは、きっと後僅かで勝利の咆哮へと変わる
そして、そんな砦へと侵攻して行く悪鬼達から離れた場所にて
此方もまた、命を賭した戦いが、繰り広げられる。)
―――――………ならば、其の言葉叶えてみせろ。
貴様が俺の闘争に相応しき戦士だと証明して見せろ。
(其の命の遣り取りを、心の底から、愉しんでいる。
其の時点で、或いは娘にも多少察せられるやも知れない。
己が将たる理由は策謀と戦略に長けた軍師で在るからだ。
だが――己は軍師たる前に、この戦場で散った無数の兵となんら変わらぬ
一人の戦士でも在るのだ、と。
一度目の回転剣技から、其の勢いを利用して再び放たれる二撃目。
同じ様に、両腕を構えて正確に、其の振るわれる切っ先を受け止めようとする
同じ様な太刀筋、力で押し切ろうとするかの強引な其れは、もし短絡的な意図であったなら
先刻となんら変わらず――否、先刻よりも遥かに容易に、受け切られて居ただろう。
だが、刃が当たる寸前、其の軌道が変わる。 切り落とそうとするのではない、鈍器としての一太刀。
衝撃を全て、剣と、そして剣を支える両腕に叩き込むならば、折れぬ剣の代わりに
腕部分を覆う手甲へと僅かに罅が奔り、足元が戦場の、決して柔らかくは無い地面へと更に減り込んで。)
――――……! 成程、力だけでは無いらしい…な…!
(次の刹那、左腕が一度降ろされた。
叩き込んだ衝撃で痺れたか、剣を携えるは其の一時、右腕のみ
其の切っ先で、今度は剣の勢いを横へと逸らしては
地面に減り込んだ足を引き抜き、一歩、娘へと間合いを詰めて踏み込み
――痺れている掌で、手刀の如くに娘の背中を、叩き伏せようとするだろう
長さが無い分、剣を振るよりも速く、考える隙間を与えぬ一撃
決して其の肉を断つ事は出来ぬが、似た様な事を娘もしたばかりだ
当たれば、その衝撃は、背中から肺と心臓へ突き抜けん、と)。
■ネーヴェ > (対して娘は、将でも何でもない。否、兵士ですらない。
それなりの力を持っていたが故に、護衛として、此処に訪れていたに過ぎない。
だがそれでも。此処は戦場であった、それだけの事であり。
その事実一つが、全ての答え。
――もう、振り返らない。
既に勝敗の決した戦、今正に旗が掲げ換えられようとしている砦。
最期の抵抗を、だが、悔やみ惜しんで顧みる事すら、兵達の覚悟に対する侮辱だと。
何処かで娘も漠然と、理解させられていたのだろう。
…そうでなくとも。振り返る余裕は無かったのだ。
今目の前に立つ魔軍の将を前にして。)
これで、壊れない とか…どれだけ っ――――
(愉しむ…という余裕も無さそうだった。
これだけの打撃を叩き付けて尚。矢張り、異質な剣は罅の一つすら入らない。
人理を外れた不壊であるならと、将本人を狙って尚…此方に漸く罅程度。
一撃、一撃。それに全てを注ぎ込まねば。人が魔将に太刀打ち出来る可能性など皆無。
膂力。速力。遠心力。質量。重量。…次は、何だ。
二撃目と三撃目を繋ぐ旋回の合間。秒、程度の数瞬で巡らせる頭。
謀り事も企て事も知らぬ知能を、今ばかりは本能に特化させ。)
だけ だよ、 それだけで 良い――っ…!!
此処で 終わらせる力、 になれれば――――
(せめて、片手が痺れたであろう、今の一瞬。其処に決着を賭ける。
あと一つ、付け加える事の出来る力が有った――――重力。
ほぼ横薙ぎを繰り返して来た今迄の二撃から、軌道に変化を加えるべく。
男に背を向けたタイミングで片足が跳ね上がり、低く振り回した己の刃を蹴り上げる。
浮き上がらせたその刃で、今迄で最大威力となる筈の、袈裟斬りを叩き付けんとして――)
っ!?っぁ゛、が ぁ、あ゛っ…!?
(それは、一切合切を斬撃に収束させた――させきった、諸刃の剣だった。
重力を得る為に重心を捨てた、その刹那に。己と男の距離が詰められていた。
あの鎧で、こうも速く踏み込めるか、等と考える暇もない。
振り向ききれない旋回の途上で、男の一撃が、透る。
衝撃。骨を軋ませ、肉を震わせ。肺を圧し潰し中身を吐かせ……
一瞬、鼓動すら、止まったのではないか。
足が浮いていた故に支えきれず、受けきれず。
男のように受け止めきれず――飛ばされた。地に叩き付けられる。)