2016/08/02 のログ
タマモ > 結局のところ、今日はここまで、であった。
人数があればどうしようもないが、そうでもない。
それならば、と台座から降り、近付いていく。
何人目かの冒険者としての存在、それを手に入れる為に。

ご案内:「無名遺跡」からタマモさんが去りました。
ご案内:「東屋」に淫魔リズリーさんが現れました。
淫魔リズリー > 今日は雨 鬱陶しく降る雨を嫌うように、何もない東屋を陣取って奥に置いてある木の椅子に腰掛けて外を眺めている。

「ったく、雨なんてついてないわね・・・雨と雪は嫌いなの。髪の毛が濡れちゃうじゃない」
髪の毛をクルクルと指先で絡めながら、のんびり時間を過ごす。
この雨に当てられて、逃げ込んでくる哀れな旅人がいるかもしれないし、と一抹の期待を抱きながらゆったりとした時間を過ごすのである

ご案内:「東屋」にヴィヴィアンさんが現れました。
ヴィヴィアン > と、雨音に交じり聞こえる、ばしゃばしゃという水を散らす足音。

「もう、なんなのよこの雨、サイアクだわ……。」

悪態をつきながら、リズリーのいる東屋に転がり込んできたのは
深いスリットの入った、ゼブラカラーのドレスを着た女――。

長く美しいホワイトブロンドの髪の毛は、ぐっしょりと水を吸い毛先からぽたぽたと水が滴っており、
厚ぼったい唇に曳かれたはパールシルバーのルージュは、少し流れ掛けているものの……。
顔の造りは非常に整っており、その派手な装いも相まって容易に『娼婦』であると察しが付くだろう。

その娼婦は入ってから数秒ほど外を眺めながら髪を梳かしていたが、ふいにあなたに気づくと。

「あ、人がいた。ごめんなさいね、変なとこ見せちゃったかしら。」

にこり、屈託なくと笑ってみせて。

淫魔リズリー > 「・・・あら?」

うつらうつらと半分ほど眠りこけていた頃、水音を立てながら何者かが姿を見せた。どうやら随分雨に打たれたのだろう、見たところ花売りのようだ。濡れて肌に張り付く服を見ながら、んーっ、と体を伸ばし。

「気にしないでいいわよ こんな雨だもの。 どうせならこっちにおいで。風邪ひいてしまうわ?」

ヴィヴィアン > 「ええ、そうさせてもらうわ。
 こっち、ちょっと雨降り込んでくるのよね。」

娼婦という職業上か、そして聞こえた声が女ということもあったのか、
女は、これ見よがしにドレスをまくり上げて、水を搾りながら東屋の奥へと向かう。

「角……? え、まぞ、く……?」

最初は、東屋の奥にたリズリーの姿が、影になって見えなかったらしく
無警戒に近づいた娼婦であったが、その姿が人間ではなく魔族であると知るや否や……。

「っ…………!」

とっさに、太ももに隠してあった小さなナイフを取り出し、構える。

淫魔リズリー > 「・・・あら、失礼しちゃうわね ひと目でわからなかったのかしら」
足をぶらぶらさせながら、頬杖をついて椅子に腰掛けながら警戒するヴィヴィアンを冷めた目で見つめる。

「こんなザーザーと降る雨の中、気分は最悪だし暇してただけなのに・・・わざわざナイフを抜くなんて・・・」

足元の影から、ヴィヴィアンの四方を囲むように闇が広がっていく。急いで逃げ出さなければ、このまま隔離空間へと閉じ込められることになるだろう。

「言っておくけど、今の私・・・相当機嫌悪いから、壊れちゃっても知らないわよ?」
くす、と笑みを浮かべれば、闇が全てを包み込み掌握しようとする・・・もしこの威圧に耐えて一目散に逃げることができれば、闇から逃れることができるやもしれず・・・。

ヴィヴィアン > 「あ――!」

――――ゾクッ。

まるで、この空間それ自体が目の前の魔族の言葉と共に凍り付いてしまったかのような錯覚。
全身の毛が、細胞が恐怖で粟立ち、冷たい汗がさあと背筋に噴き出す。膝がかく、かくと笑う。

リズリーと対峙する、この娼婦の女は裏の顔として暗殺者という一面を持っていた。
故に、リズリーの発するまるで底が抜けたような凄絶な気に気づいてしまった事は不幸だったかもしれない。
タダの娼婦なら、ここまでの恐怖を感じる事も、なかっただろうに。

(逃げなければならない、逃げなければ殺される、逃げなければ――。)

そう、思考する前に既に足は反射的に動いていた。動いていたが……。

「あ、あああ、あ……。」

2、3歩、まるで白痴のように『あ』という単音を連呼しながら僅かに後ずさりするのが、
女にとっての精一杯。そのまま、後ろに尻もちをつくように倒れ、カタカタと体を震わすのみ。

ご案内:「東屋」からヴィヴィアンさんが去りました。
ご案内:「東屋」から淫魔リズリーさんが去りました。