2016/06/27 のログ
マルティナ > 「あむっ、ちゅっ、むふっ……。ご、ごめんなさい、でも、全然止まらなくてっ、こんなの、はじめて…!」

流石に魔女のジブリールといえどもこれだけの射精は楽に処理出来るものではないようだ。
しかしそれが分かったところで全く射精の衰える気配はない。
尻穴の脱糞アクメまでも重なっているのだ。
ジブリールの身を案じるのであればこのまま引き抜いてしまえばいいのだが、それは許しがあって初めて出来る事。
こんな状況だが、律儀にも奴隷宣言を守ってはいるのだ。

ジブリール > 「いい、のよ……これはご褒美、だから……満足するまで、抜いては、だめよ?」

どぶ、どぶっと吐き出され続ける粘液を受け止めて、くらくらと酩酊するような感覚を覚える。
腹は限界ギリギリまで膨れており、さすがの少女も呼吸が荒くなる。
その上でなお彼女に命ずるのは、自分を気遣うことの禁止。
なにせ少女は死など得ず、傷すら瞬時に治る魔性のものなのだ。
彼女の精液を一滴残らず受け止めるという誓いを違わないために、ただひたすら抱きしめて、甘い香りとすえた臭いの混ざった空間を楽しむ。足元はもはやふたりの立つ所以外すべてが汚泥に覆われている惨状だった

マルティナ > 「はふぅぅ……、脱糞セックス、す、すごすぎるよぉ……!チンポも、お尻も、頭も、全部壊れちゃうぅ……!」

無尽蔵に続くダブルアクメに脳が焼ききれそうな感覚になってくるが、快感に対する耐久力は大幅に強化されているので実際には壊れるような事にはならない。
だが滅多にない、ほぼ未知の感覚ともいえる今の状況。
心身共に負担は軽くはなく、射精の勢いはそのままだが体力の方が先に尽きようとしていた。
ひときわ強くジブリールの体を抱きしめる。

「ご、ごめんなさい……、すご、すぎて…も、もう、意識が……トんじゃ、う……」

射精と脱糞はそのままに、意識だけが切れてジブリールへと体重の全てを投げ出した。

ジブリール > 「く、ふっ――まる、てぃなっ♪好きよ?あなたの、ことっ――♪」

多量の精液を受け止めて、その上で彼女のことを抱きしめて。
幸せのループを体験しながら、途切れゆく彼女の体力を感じる。
いずれ彼女が気失えば、それとともに魔法は効力を失うだろう。
そうすれば、少なくとも彼女の排泄は収まって、その後自然に射精も収まるはず。
故に、意識を失いゆく彼女を抱きとめると

「ん、大丈夫……私は逃げないし、ちゃんと受け止めるから……安心しておやすみなさい、マルティナ……?」

そう告げると、結局彼女の最後の一滴までを絞りとる。
腹は限界まで膨れ上がった臨月の妊婦の様相で、肉棒が抜け落ちると破水のようにボタボタと精液が溺れ落ちていく。
ぴっちり閉じていた割れ目ははしたなく広がっており、子宮口も完全にこじ開けられた状態でぱくぱくとひくついていて。
事実、少女の体もまた、肉便器として使い捨てられたかのような被虐の快楽を得ており、その表情はうっとりとしていた。
ともあれ室内の浄化を終えると、先ずは一旦調教室から外へ。
そのまま彼女を寝室まで連れ込もうとすることだろう。

マルティナ > 体力や精神の限界まで犯される事はたびたびあったが、ここまで満足して意識を失うほど交わる経験はそうそうなかった。
故に体力を使い果たすほど消耗しているはずなのに、意識を失ったその顔は穏やかな表情であった。
会って間もないジブリールをここまで信用し身も心も預けて、安らかな眠りに入ったのである。
次に目覚める時が一体どこでどんな状況なのか、知るよしもないがジブリールが相手なら大丈夫だろうという思いがあったがための、限界までの性交であった。
穏やかな寝息を立てながら、なすがままジブリールに運ばれていくのであった。

ジブリール > 彼女をただ、そっとベッドの上に横たえる。
安らかな眠りに笑みを浮かべる彼女が、何とも可愛らしく見える。
穏やかな寝顔を撫でると、不意にその体に呪文を走らせた。
どれだけ元の体から弄られたのか――それを何となく把握しておくために。
無論、それで全てがわかるわけではないが、彼女にこれ以上の変質があった時に、少しでも力になれるように、そんな意図を持って、彼女の体を"覚える"。
治すとかは彼女が望まなければしないが、致命的なことは遠ざけるに限るのだ。

「――さて、それでは私も隣に……マルティナ、私の初めての親友。いい夢を見なさいね?」

そう呟くと、呪文の展開を終えて少女もまた眠りにつく。
起きれば朝食をともにして別れることになるだろう。
その後、どうなったかは二人のみぞ知ることである――。

ご案内:「ジブリールのアトリエ」からマルティナさんが去りました。
ご案内:「ジブリールのアトリエ」からジブリールさんが去りました。
ご案内:「富裕地区のどこかにある拷問部屋」にチェシャ=ベルベットさんが現れました。
チェシャ=ベルベット > チェシャ=ベルベットには意識が落ちるとたどり着く夢がある。

まだ今の主人に仕える以前の話、
まれびとの国より遠い地で自分が殺めた女主人に飼われていた頃の記憶だ。

生まれた時から親はおらず、物心ついた頃から奴隷として生きてきた。
天鵞絨のような髪と見目の良さ、不思議なほど見通しがよいことが
幸か不幸か女主人の気に入ったらしい。
自らの性が目覚めるよりも前に未亡人として体を持て余していた主人の相手をさせられた。
だからそれが良いことか悪い子とか、嫌なことかいいことなのかはよくわからなかった。

ただ女のたるんだ皮膚と肉、脂肪、それが自分へのしかかってくるのは苦しく、
自分勝手に動きまわる主人は女の醜悪さを体現したような存在であったので
いつもチェシャの心はささくれだっていたように思う。

最初は反抗するつもりも、殺す気もなかった。
女は他にも似たような少年少女を奴隷として囲っており、
自分の豪勢な暮らしを支えるための部品として彼らを小間使いのように使っていたのだ。

中でもひときわ体が小さく弱いミレーの少女が混じっていて
ドン臭いせいもあってか主人からよく叱責されては罰を受けていたし
それを見ていた周りの奴隷からも馬鹿にされていじめられていた。

集団の中でヒエラルキーができていて、一番弱い個体を群れのバランスを取るために
迫害するのはよくあることだと今ならわかる。
当時は多少なりに哀れに思って誰も見ていないところでは自分の分前などを
彼女にすこしばかり分け与えてやったりもした気がする。

そうするといつも薄汚れてべそをかいていた少女も少しばかり微笑むのだ。

チェシャ=ベルベット > そんな少女が死んだ。
主人の折檻があまりに行き過ぎたせいだった。

何日間も食事を与えず、家畜小屋と同等の不衛生な檻に詰め込んで
ほうったらかしにしておいたせいで彼女は死んだ。
奴隷仲間は彼女が死んだと知らされても、まぁ当然かと平坦な様子しか見せなかった。
こんなことになるならもう少し優しくしてやればよかったかもね、など適当な後悔を自分のために吐き出した。

たぶんその時に、チェシャのうちに何かが芽生えたのだと後から見れば思う。
ここにいる誰もが直観的に醜く見えて、女主人も奴隷仲間たちも信じられなくなった。
同じ空気さえ吸いたくないと思うようになり、どうにかしなければという焦燥が自分を苛んだ。

そのためにはどうするべきか、一度か二度逃亡を図ったがあえなく失敗して
同じようにひどい仕置を受けてしまいこれはまずいやり方だと学んだ。
ならば、ひとしきり女主人の気にいるように振る舞って仲間内でもうまく立ち回り
屋敷の中で自由と権力を得ることにする。
もともと気に入られてはいたからそっちのほうがずっと簡単であった。

女主人が常用する寝入るための薬をくすね、夜伽の前に用意した酒の中へ溶かして飲ませる。
行為が終わった頃に眠気を催し、ぐっすり寝入った頃に予め用意しておいたナイフで胸を一思いに突き刺した。

緊張と罪悪感と、気味の悪さ、興奮がごちゃごちとチェシャの体を巡っている。
人を一人亡き者にするというのは予想以上に面倒で大変だった。



こうしてチェシャは女主人を屠ったのだが、それを奴隷仲間に知らせても
みな感謝するどころかむしろチェシャを非難した。
彼らはすっかり奴隷ぐらしに慣れていて、女主人の粗末な庇護を失ってしまっては
どう生きていけばいいかもわからなかったのだ。
余計なことをしやがってと罵られ、突き刺すような軽蔑の目を向けられる。
今までさんざん主人のいない影でお互い不満や愚痴を言い合ってきた者達までチェシャを責めた。

チェシャの心は尚更硬く凍りつき、怒りも哀れみも湧いてこず
ただ目の前の奴隷たちをよく喚く肉だなぁとしか思えなくなっていた。

血のついたナイフを乱雑に放り出し、後始末もせずチェシャは屋敷を出て行った。
とにかくあの場から去りたくて、昼も夜もわからずただただ何処かへと歩き続けた。

だがそのうち疲労と空腹でいよいよ歩けなくなり、地べたにうずくまるように倒れ伏す。
自分の生に意味など求めるほど自分の何かができていたわけではない。
ただもう今生の世にひどく疲れていて、ここで死ねるのならそれでもいいとさえ思っていたのだ。

全部糞だった。この世の何もかも。
絶望と虚無感に包まれながらまぶたを閉じる。
だがどういうわけかチェシャの運命はここで尽きていなかったのだ。

チェシャ=ベルベット > ばしゃりと冷たい液体がチェシャの体にかけられる。
そこでやっと現実に引き戻されるようにチェシャは目を薄く開いた。

ひどく薄暗くじめじめと淀んだ空気が肌にまとわりつく。
レンガ造りの屈強な壁にかけられたロウソクの明かりだけが頼りだった。
ところどころ薄汚れたシミが壁や床に張り付いているのは、たぶん誰かが汚物や血をぶちまけたせいだろう。

そうして鈍い痛みに襲われる自身の体を省みる。
両手を鉄製の鎖と手錠で縛られ、天井の梁から吊り下げられており、
全身には衣服も何もまとっておらず背には鞭打たれ火を押し付けられたような火傷痕があった。
真新しい傷口にしくしくと皮膚が痛む。
頭から水が滴っており、たぶん先ほど起こされた時にぶっかけられたのだろう。

目の前には黒尽くめの男が手桶を持って立っていた。
ここの拷問官だろう、顔を深く布で隠し年や肌をこちらに悟らせないようにしていた。

「気がついたか」

目の前の人物がチェシャへと話しかける。
声も高低が発音としてたやすく変わってしまうような、男か女かもわかりづらいくぐもったものだった。

チェシャ=ベルベット > 確か自分はとある貴族の家へ男妾として忍び込んでいたはずだ。
だが、途中までうまくやり通せたと思っていた役割は
実は貴族の男の手のひらの上で踊らされていたに過ぎず
ちょっとしたヘマでたやすく暴かれこうしてはれて虜囚となってしまった、らしい。

最近はいろんな相手に出会いすぎて少しばかり気が緩んでいたせいかもしれない。
後悔先に立たずではあるが、それでも決して相手にはいいようにされないと虚勢を張る。
幸い殴られなかった顔は綺麗なままで、鋭く刺すような視線を目の前の相手に注いだ。

「まだお前の主人について喋る気はないか」

再度拷問官が問いかける。いったい囚われてからどのくらい経ったのかはわからないが
それなりに自分は耐え抜いてきたらしい。
決して主人を失望させる結果をもたらしてはならない。
あの人間よりも遥かに高みにある尊い主人を自分のヘマごときで失墜させてはならないのだ。

無言のまま、拷問官の足元へつばを吐いた。

チェシャ=ベルベット > 反抗的な態度をとったチェシャに拷問官は怒りも喚きもせず
冷静に隠し持っていた鞭で鋭く白く平べったい腹を打つ。

ぱしんと肌を叩く音が響き、痛みがチェシャの体を突き刺した。
ぶらぶらと吊り下げられた体が揺れる。
痛みに呻きはするものの、ただそれでもチェシャは何も言わなかった。
じっと、何かを待っているように唇を噛み締めている。

「強情なやつだ」

再び手桶に水を汲むとチェシャの顔めがけてぶちまける。
何度やられても無駄だというように、顔をぶるぶると振るうが
今度かけられたものはどうやら水とは違うらしい。
いやにぬめって粘着く液体が髪や肌に張り付いて気持ちが悪い。

「趣向を変えよう。痛みはお前にとってなんでもないらしい」

訝しむチェシャに拷問官は滴り落ちる液体を手に取り、その肌に塗り広げ始める。

チェシャ=ベルベット > 「そんなことで口を割ると思うなんておめでたい頭だな」

催淫剤か何かが含まれていたらしい液体に、肌を火照らせ
悶たいのを必死で堪えるチェシャ。
悪態を受けても拷問官の冷徹さは変わらなかった。

今まで受けた仕打ちに対して甘く穏やかとも言える手の感触に
怖気を感じて体をゆすり、逃れようとする。
だが自由を奪われているのではどうしようもない。
やがてチェシャの雄の印がゆるやかに立ち上がると、そこを執拗に指と手のひらでなぶり始める。

「は、へたくそ……」

いくらかの快感は得ているもののここまでならなんの問題もない。
常日頃からその身に馴染んでいる性的な行為に比べればずっと楽なものだ。

だがいよいよ肌から染み込んでいた催淫剤が許容量を超え始めると
発情期と同じかそれ以上の性的衝動が身の内から湧き出てくる。
はぁはぁと息を荒げ、じっとりと額が汗ばみ喉がからからに乾いてゆく。
相手から与えられる刺激もじれったく感じてしまうほどに。

チェシャ=ベルベット > やがてチェシャが出来上がってきたと判断したのか
拷問官は、チェシャの薄い腹に朱色の顔料を人差し指で塗りたくり始める。
魔術に使われる香料の匂いを嗅ぎ取ってひくりとチェシャの鼻がひくついた。

円形の魔法陣を白い腹の上に描き出し低い声で異界の言葉を紡げば
陣がひときわ熱く輝き始める。
まるでじんわりと湯で温められるような感覚にぎょっとして目を見開いた。
そして信じられないことに男の手が魔法陣の中心を触ると、ずぷりとチェシャの腹の中に埋まってゆくのだ。

「っひ!っ……ぎぃ!!」

同時に腹の中を蠢くような感覚が遅い、思わず悲鳴を漏らす。
内蔵をかき回されるような乱雑な動きが吐き気を呼び起こしてひどく気分が悪い。
だが男は平然と突っ込んだ腕を動かしてゆく。

「擬似的に女の腹をつくってやるのさ。下手に動くと他の臓器に傷がつくかもな」

脅迫か忠告かは分からないが拷問官の言葉に信じられない思いで
なるべく何も感じていないように振る舞うが
臓腑をかき分け、配置をたやすく並べ替えられているような恐ろしい行為に
さすがに恐怖心を抑えることが難しい。

さらにだんだんと不快感だけだったその刺激が甘くしびれるように感じ始めてくることもおぞましかった。
相手の指が嫌に熱く、触れられているというだけなのにそこからむず痒く心地が良いものを感じるのだ。

やがて自らの中に何か一つの袋が出来上がったのが伝わると、相手の腕が腹の中から抜ける。
未知の臓器が自らの中に息づいているのを感じてチェシャの背筋がぶるりと震えた。
その臓器がひとりでに、何かを求めてひくついているのだ。

チェシャ=ベルベット > 次に拷問官が取り出したのは一抱えほどの壺だった。
壺の中に手を突っ込んで取り出したのは芋虫によく似た魔物の子供だった。
ぎちぎちと顎を開き、閉所から引き出された不満を露わにして身を捩り触手を伸ばす。

「忌むべき魔族の術もこういう時には役に立つ」

そう言うと拷問官がチェシャの腹の魔法陣へゆっくりと魔物を押し付ける。
魔物の短い手足が肌に吸い込まれ、先ほどと同じように自分の中へと深く吸い込まれていく。
ぐっと、異物が自らの腹をふくらませる感覚にばたばたと脚を動かした。

「う、ぇ……っ!な、に……っ」

「子宮の中でこいつを飼うと、気が狂うほど好くなるそうだ。
 反抗的な敵国の女をこいつで飼いならして好きに弄んだと言われる技術さ」

本来あるべき器官ではないはずの子宮が自分の中に魔術で再現されるだけでも信じられないが
そこに無理やり魔物を詰め込まれるはめになるとはさすがに予想もしなかった。

「や、めろっ……、変態めっ……気色悪いっ……!」

内壁にぶにぶにとした魔物の手足が、体がぶつかって蠢くたびに
びくりと言いようもない快楽が背筋をかける。
内臓が押しつぶされているはずなのに吐き気よりも甘い喘ぎのほうが止められない。
やがてチェシャの体温が気に入ったのか、閉所に落ち着いて体を丸めた魔物が全身から体液をじわりとにじませ、触手を用いて自分の住み心地がいいように借り腹を弄ってゆく。

「ひぃ……っ!あ、っ…んあっ……!やめろっ、やだぁ……!」

拷問官が魔物を残して手を引き抜けば、そこには少しだけ膨らんだ少年の白い腹がかすかに揺れ動いていた。
魔物の体液からなる媚薬が内側から染み込めば内から沸き起こる性衝動に耐えられず
性交しか考えられないほど自我をかき乱されるだろう。
そうしてずたずたになった精神の前で楽にしてやろうと甘く囁いてやればどんな相手でも素直になるのだ。

それが拷問官のやり方であった。

魔物が被害者の体に馴染むまでしばし時間がいるだろう。
苦悶と未知の快感に身をよじって喘ぐチェシャを残し、拷問官は地上へと向かう階段に足をかける。

「もし壊れていなければまた会おう」

そういって男はチェシャを地下に残し遠ざかっていった。

「ふっざけ、んなぁ!っとれっ!これ……やだ、やめろっ……んぁああっ」

吊られた体を揺らし、ありったけの憎悪を込めて叫ぶが無駄な抵抗であった。
じわじわと魔物が自分の中に根付いて心を削り取っていく。
発情期と同じかそれ以上にものごとがうまく考えられなくなっていく恐怖に
チェシャはこらえていた涙をいよいよこぼした。

足元の床へ涙と汗と、愛液や精液がぼたぼたとこぼれ落ち
やがて地下には少年が獣さながらによがりくるう声だけが響き始める。

ご案内:「富裕地区のどこかにある拷問部屋」からチェシャ=ベルベットさんが去りました。
ご案内:「北方帝国シェンヤン「八卦山」/周辺の村」にタマモさんが現れました。
タマモ > 北方帝国シェンヤン、八卦山から一番近い場所にある小さな村。
現在、その村は混乱の最中だった。
何人目だろう、切り裂かれて倒れる道士、その側に立つ少女。
指から滴る血をそのままに、次の獲物を探すように周囲を見渡す。
魔力をそれなりに持つ者を感知すれば、今度はそこへと向かう、そんな感じだ。
ちなみに、逃げ惑う村人は誰一人として手を出していない。
いちいち相手をしていては、道士に逃げられてしまう。

…成り行きはそう複雑なものではない。
八卦山に居る自分を倒そうとやってくる道士、戻ってこない連中は、どうやら自分ではなく他の妖怪にやられたのだと思われていたらしい。
それを知れば、少々思い知らせてやろうと、目に付いたこの村にやってきたのだ。

タマモ > 残る数は…もうそう多くはないようだ。
いつもはこの村で、八卦山への襲撃の準備をしているのだと思う。
それを不意打ちのような村への襲撃、狙い澄ましたように道士だけを探り当てて襲ってくる少女。
纏まって対応しようとする間も与えず、一人一人確実に殺されていった。

道士といっても、やはりピンからキリまで居る。
狙う順番は、魔力の低い者からだった。

「………ほれ、見付けたぞ?」

残り少なくなろうと、なんとか集まろうとする一人の元へと辿り着く。
向かう先を阻むように、音もなくふわりと着地をした。
目の前に現れる敵に、身構える道士。その瞬間、身構える道士に押し潰されそうな程の重力が、ぐんっ、とかかる。
…大体、この道士というものは印を組んで術を使うか、気の力とやらを込めた体術か、そのどちらかが多い。
こうしてやれば、そのどちらのタイプであっても一瞬でも止めれる。
その一瞬で十分、手元の爪が閃き、目の前の道士も胴体から二つに分断された。

「ふふ…残り、3人といった感じか?」

目の前の道士が地面に倒れるのを見るまでもなく、視線はまた他に向く。
その表情は、実に愉快そうに歪んでいた。
この人数ならば、殺すでもよし、喰らっても腹に無理はいかないだろう。

タマモ > …と、見回している、その隙を付こうとするかのように、一人の少年が少女へと駆け寄って来た。
その手には、大人には小さいだろうが、子供の手には大きな短刀。
…こちらへと向ける言葉を聞くからに、道士の一人がこの村出身で、向かってくる少年と親しい者だったらしい。
要するに、敵討ちといったところだ。

「………愚か者が、命と引き換えに身の程を知るか?」

ぽつりと少女は呟き、後数歩のところまで来た少年を一瞥する。
ゆらりとその体が揺れ、ぐわっと伸びる手が、少年の頭を掴む。
…それだけだ、それだけで少年の動きを止めるのに十分だった。
いきなり頭を掴まれたのに驚いたのか、その手から短刀が地面に落ちる。
殺される、周りの誰もがそう思っている事だろう。

タマモ > 「………」

沈黙。その手に軽く力を込めれば、少年の頭を爆ぜる事も容易い。
だが、手は掴んだまま、言葉もそこで止めたままで動かない。

頭に過ぎった何か、大したものではないような気がしたが…
軽く舌打ちをすると、掴んだ少年を、親であろう男女へと向かって放り投げた。

「ふん…今、興味があるのは魔力持つ者だけじゃ、お主等如きに興味は無い」

それだけを投げ捨てるように言い放つと、たんっ、と地面を蹴ってその場から飛び去った。
向かった先は…まだ残る魔力の持ち主の一人。

タマモ > 結局のところ、その残った3人はどうなったのか。
考えていた通りに、喰らったのだ。
更なる姿と力を手に入れ、少女は八卦山へと戻っていく。
これで、自分が弱いのだという話は消えるだろう。
…考えてみれば、そう思われていた方が、餌から自分でやってきたのだと後々気付く。
まぁ、腕に自身がある者ならば来るだろうし、問題はないとは思うが。

ご案内:「北方帝国シェンヤン「八卦山」/周辺の村」からタマモさんが去りました。