2016/05/08 のログ
ご案内:「無名遺跡」にタマモさんが現れました。
タマモ > 真っ暗な、人工的などこかの中で目が覚める。
また、今日は変わった場所だ事…そう思いながら、手元に小さな狐火を灯した。
周りが見えるようになる、どうやら石畳やら石壁やらが見える。
…こういった光景となれば、記憶を手繰る限りではどこかの遺跡とやらだと思う。

「よりによって、こんな場所とは…」

ふぅ、と溜息が自然と洩れる。
あの子と違い、転移とやらでこの場所から直接に他の場所へと移動は出来ない。
つまり、出口がどことも分からぬこの場所から、徒歩で出なければならないのだ。
そもそも、何階であるかさえも分からない。
下っていって1階につくとは限らない。
上がっていって余りに高い場所に出て貰っても困る。
さて、どうしたものか…まだ見えぬ奥の闇を見詰めながら、軽く考え込んだ。

タマモ > 最近、あの子は不安定なようだと感じる。
何が原因で、何がそれを引き起こしているのかは分からない。
だが、前よりも高い頻度で自分が出れるようになってきた。
それ自体は、まぁ、自分としてはありがたい事なのだが…

「………九尾として、それは良しとは思えぬものじゃ。
常に上に立とうとせん者が、そんな事でどうするのじゃろうな?」

やれやれ、といった感じに肩を竦める。
何はともあれ、こんな何も無い場所に留まるつもりはない。
そこまで長く時間は取れないだろう、その時間をこんなつまらない場所に費やす気はないのだ。
ゆらりゆらりと揺れながら、歩みを始める。
目指すはこの遺跡らしき場所の出口。

タマモ > ず、ずず…どすんっ、重そうな石の扉に線が走り、ずれていけば、ばらばらになって地面に落ちる。
正直、どこへと向かえば出口に着くなんてものは分からない。
適当に進んで行けば、いつかはどこかに辿り着くだろう。
それが出口であるならば助かるが…どうやら、また部屋に繋がっていたみたいだ。
崩れた扉だった物の上を踏み越え、中に入れば、また溜息をつく。
それなりに大きな部屋、いくつもの大小様々なよく分からない形をした石像が並んでいた。
それを抜けた部屋の奥に、明らかに怪しい雰囲気をした宝石が設置された台座の上で輝いている。

別に宝石自体にそこまでの興味はない。
だが、まぁ、身を飾る物として悪くはないかもしれないか。
こんな面倒な場所を巡らせてくれた駄賃として頂こう。
そう考えれば、台座へと向かい近付いていった。

タマモ > ………甘いぞ?

ぽつりと呟くように、唇がそう紡ぐように動いた。
定番ではあるのだが、並んでいた石像が侵入者を確認すれば、各々ゆっくりと動き始める。
しかし…一歩踏み出そうとしたところで、先程の扉と同じ運命を辿っていく。
ばらばらとなった石像達は、石畳の上でただの石の残骸となれ果てた。

「分かっておれば、どうって事はないものじゃ。
所詮、人間如きの考える事じゃのぅ…この程度、妾に何の障害となるものか…」

ふん、と鼻で笑い、そのまま台座の前へと立つ。
無造作に手を伸ばし、宝石を手中に収め、懐へと仕舞い込む。
かちり、そんな音が聞こえたような気がする。
なるほど、台座にも何やら仕掛けがしてあったか。
次に何がくるのやら、そんな事を考えながら、くるりと踵を返して入ってきた入り口へと戻りだした。

タマモ > 別に慌てる必要はない、ゆっくりとした足取りだ。
懐へと仕舞った宝石は、一体どんなものだったのだろう?
…実際にはかなり大きな魔力が込められた魔法石だ、魔力を扱う者ならば、それなりに力となるものだった。
だが、少女は魔力を持ってはいない、感じれもしない。
完全に無用の長物であるが、それを気付く術は持ち合わせてないのだ。

さて、少女が部屋の入り口に差し掛かったところで、入り口の扉が固定されていた場所から、きりきりと音が立つ。
そこへと視線を向ければ、そこに嵌め込まれていた何か小さな部品が動いていた。
…何事もなく、少女は入り口を素通りした。
次の瞬間、ずどぉんっ!と部屋の中から大きな音が響き、振動が足元を伝っていく。
…なるほど、本来は部屋に閉じ込め、崩れた天井の下敷きになるような仕掛けだったようだ。
もっとも、いきなりその閉じ込めるべき扉が切り刻まれ、意味を成さなかったようではあるが。
そういえば、思ったよりも分厚く硬い扉だった気がする。

タマモ > こうして、遺跡とやらの中から不思議な宝石を手に入れた。
だからといって、これといった達成感を得られた訳ではない。
この程度の事ならば、さして難無く出来るのだから。
少女は歩みを再開する、これ以上にどこと進む場所は無さそうだ。
そうなると、元居た場所へと戻り、反対を進むしかない。
どうやら進んだ方向は遺跡とやらの奥だったようか、まったく、してやられた。

無駄な時間を費やしたものだ。
そう思えば思うほど、苛立ちが湧き上がる。
もしやこのまま、何も出来ぬままに闇へと沈んでいくのだろうか?
こんな場所に、色々と遊べるような玩具が居るとは思えない。
先に見える闇を睨み付け、延々と続くような歩みを続けていった。