2016/05/05 のログ
ご案内:「魔族の国」にタマモさんが現れました。
タマモ > 目が覚めたのは、タナール砦とかいった場所の付近だった。
何日か前に行った場所、魔族の一人を堕とした場所。
確か、人間と魔族が互いに取って取られてを繰り返しているはずだ。
前のように魔族側が取っているとも限らないならば、この反対側である魔族の国のどこかの方が良いだろう。そう思った。

雰囲気はさすがにまったく同じとは言わないが、そう気にするようなものでもない。
ふらりふらりと歩いていけば、集落…村だろうか?そんな場所が目に付いた。
なるほど、では今日はあの場所にしようか。
少女の歩みは、目に付いた村へと向けられ進められた。

タマモ > 魔族とはいえ、様々な種はいる。
だが、こうして普通に村で暮らす、という印象を持てるような相手には会った事はなかった。
もちろん、今の自分でなくとも。だからこそ、余計にそんな事が思い浮かぶ事がなかったのだ。
魔族は人間よりも強い抵抗を見せ、自分を楽しませてくれるもの…そんな感じである。

「………はて、人間かミレー族か、この地はそんな場所じゃったか?」

だから、こんな言葉が村が近くに見えてこう呟かずにはいられなかった。
軽く首を傾げる、どう見ても、そこらで見た記憶のある普通の村だ。
…仕方ない、つまらないなりに楽しませて貰おうか。せっかくここまで来たのだから。

タマモ > 初めての魔族の村だというのに、足を踏み入れてみれば、そう大きく変わるような点はなかった。
村だからだろう、ご立派な建物がある訳でなし、目立った施設もなければ、大きな賑わいもある訳がなかった。
そして、向けられる好奇の視線も。

…つまらない。

村の中央まで来ても、その考えは変わらなかった。
せめて、少しくらいは気を向けられそうなものがあれば、良かったのだけど…無い物は無いのだ、どうしようもない。
ふぅ…溜息をつき、ゆらりと右手を軽く上げる。

「………何もかもを燃やし尽くしてしまうが良い」

呟く言葉、同時に、ちりちりと小さな火花が散りながら四方八方へと飛び散って…
一瞬だ、次の瞬間、村にある建物という建物が、一斉に炎に包まれた。

タマモ > 何が起こったのか、それをすぐに理解した者は少ない。
中には建物ごと炎に巻き込まれ、そんな事を考える間も無い者も居ただろう。
耳に届く様々な声に、静かに耳を傾ける。
いきなりの炎上に慌てふためく者。
炎に巻き込まれ、のた打ち回り助けを求める者。
それを何とか助けようと手を尽くす者。
被害者を少しでも減らそうと、声を上げて駆け回る者。
ただただ泣き叫ぶ者。
…変わらない、それさえも、何も変わらない。
少しは何か違いを見付けようと思っていたのに、こうされても何も変わらない。
周りの状況とは打って変わって、一人、のんびりとその光景を見詰めている。

タマモ > お主等が出来る事は、せいぜいその絶望や失念の感情を妾に喰われるだけ。
それだけの存在、それ以上に成り得る事はないだろう。

唇の端を吊り上げ、笑う。
村においては、どんな種だろうと関係ない、つまらない存在なのだ。
それならば、消えてしまえば良い。
自分を楽しませも出来ない存在が、己の前に存在する意味はない。

炎上する建物から、また別の火花がちりちりと舞っていく。
それはまるで求めるかのように、まだ生きた魔族達へと降り注ぐ。
途端に、今度は残った魔族達が炎に包まれる。
無駄に力を使い、色々と試そうが、きっと結果は同じなのだ。
それならば、いらない。

タマモ > もうしばらくすれば、この場所には燃え尽きた物だけが残る荒地となるだろう。
だから何だという訳でもない、元々ここには何もなかったと思っておけば良い。

「次はもう少し大きな所であれば良いのじゃがのぅ…?」

くすくすと笑い、ぽつりと呟く。
もはやこの場所に興味は無い、まだ燃え続ける村の中、次なる場所を求めて歩き始めた。
捜し求める場所に辿り着けるか、意識が途切れるその時まで。

ちなみに、この場所を探ろうと、その犯人には辿り着かないだろう。
いくら魔力を手繰ろうとしても、その魔力そのものを感じないのだから。
見る事が出来る者ならば、別なのだろうが。

ご案内:「魔族の国」からタマモさんが去りました。