2015/10/25 のログ
■ロザリー > 「───エクスプロード」
直前に勘のいいオーギュストが外に逃れ、それをロトが追ったのを見た
魔法自体はそれなりのもの、ただしこれだけ大掛かりな魔法陣で増幅されたその威力は、
自身に降りそそぐ瓦礫もろとも、教会を轟音を立てて吹き飛ばすに足りるものであった
エドガーとヨゾラには一応忠告はした
爆煙が晴れれば、空が見えることだろう
「教会の外に出たがっていたようだからな…余計な手間を省いてやったぞ」
ドレスについた埃をぱたぱたと優雅にはたきながら、その瞳を人間どもへと向ける
■オーギュスト > 「あぁ、そうだよなぁ、お前はそういうタイプだよ!」
愚直なまでに命令に忠実なタイプ。
こういうのが一番厄介だ。小細工も利かないし、交渉も出来ない。大軍でひき潰すのが一番良いのだが、生憎部隊はまだ到着していない。
「って事は、こうするしかねぇよなぁ」
再び構えを取り、大剣を構え、ロトに向かい突進する。
ここからは力と力のぶつかり合いだ。
前進し、粉砕するしか活路は無し!
■エドガー > 「………ほぉー、流石だねぇ。
いやはや、実力者というものは…その行動一つ一つが目を見張るものがある。
そうは思わないかね、ヨゾラ君?
おや、独り占めかね?まぁ、君がどう美味しいとこどりをするのかも気になるがね。」
人間の作戦を潰し、2つの魔法を同時に使用するロザリア。
戦況を正しく理解して迷わず撤退する人間の騎士。
最速で次の手を講じて実行する人間の少女。
最後まで人間を追い詰めようとする魔族の少女の執念も恐ろしいものだ。
「はっはっは、怖いね。 おぉっと!老いぼれにはちょっとキツイね、この土煙は。」
態とらしく咳き込みながらも、特に焦る様子もない。
随分と開放的になった教会に、苦笑交じりに戦況を眺める
■ロザリー > 「退屈ならばあの人間の娘でも攫って玩具にでもしてみればどうだ」
既に戦況はある程度傾いた、口元に僅かな笑みを讃えてヨゾラへ言葉をかける
「ロト、際は見極めるのだぞ」
アイオーンの加護の下という不利は変わらない
夜明けというタイムリミットもある以上、戦況が優勢といえどのんびりとしていられないのもまた事実だ
人間二人程度ならばというのも食い下がられれば、討伐隊の到着もあり得る
■ロト > 「…主よ、時間は稼ぎますので、適当に撤退を為さって下さい 私もその内 撤収します では。」
脱出と言うか 追う間際に主君へそう言葉を残し、
教会から脱出した男を追って愚直に追走する少女、
入り口の壁に補佐する者を召喚して、追ってはいたがー
後ろから大規模的な魔法が展開されると ぴたっと足が止まり。
「…」
あの場に居ても仕方はなかったようだ、
エドガーやヨゾラは強かろう、問題あるまい多分。
では、今目下 この男の作戦?と言う動きに載っていればよいか、とお頭が弱いふりをしておこう。
「 貴様 美味しそう 」
突進してきた男 物理的な攻撃と攻撃の応酬か!
翻弄する様に振る舞ってみよう、愚直に時間稼ぎをする様に。
■ヨゾラ > 「あー、酷いわねえこれ。人間ってほんっと爆発とか炎上とか好きよね。」
瓦礫が降ったりやんだり。爆発を起こしたり。
といっても、どうにかして上手いこと逃れたのか立ち位置から身なりまでそのまんまである。
「そうねぇ…私が美味しいとこを取るなら、
んふふ。ヒミツ。でも、ね?これって絶好の機会だとは思わない?
ロザリアちゃん、今なら楽に背中から近づいて首を撥ねられるわよ。そうしたらキルフリートは自分の物。」
魔族が魔族を殺そうとするとか、ブラックジョークを言うあたり、非常に同胞観念が薄かった。
「んんっ。ごめんなさいね。私あの子はタイプじゃないの。
面白そうなご提案なんだけれど、どっかいっちゃったみたいだし?
連れてきてくださるなら考えるけれど。」
ロザリアにそう返す。残念ながら、教会の外側へ退避されてしまっている。
追いかけるのは容易いが。さてどうしようか。しかし面白い提案ではあるのだ。
「あらあら。もう終わっちゃうのね…楽しい時間はすぐ終わるんだから。はぁ。」
ロードの言葉を聞いて、わざとらしい溜息。
どうやらお開きの様だ。
■マリー > 「ああもう、お優しい事だね!」
苛立ち紛れに吐き捨てる。あんなの喰らったら間違いなく即死だ。逃げてよかった。
……とはいえ、体中が死ぬほど痛い。
先程からの人間の限界を越えた速度、反射のカラクリは、これもまた電気。
雷の能力を使って、人間の神経反射を経由せず亜光速の反射を用いる。
体を駆け巡る電気信号は、通常の神経を運用する以上どうしても減衰し、速度が遅くなる。
だから神経を使わず、雷の能力でその電気信号を代用し、まさに雷速で反射を発生させる。
また、最速で電気刺激を送る事で、体自体の活動速度も叩き上げる。
それがマリーの「雷速反射」なのだが……問題点として、異常なまでの負荷がかかるのだ。
使えば使うほど体は損傷し、命を削って行く。まるで死に急ぐが如く加速する。それが「雷速反射」なのだ。
でも、この命を削ってでも成し遂げたい目的がある。
この命を削ってでも守りたいものだってある。
だから……死ぬほど痛くても、戦うのだ。
「でも……これで詰みだよ。ボクの切り札は、躱せない。受け切れだって、するものか」
空を見上げる。空には、炎による熱気で発生した雲がある。
……条件は、整った。
だから距離を取りなよ、とオーギュストに告げつつ、自分は天に手を翳す。
「この技は一瞬だ。避けれないし、受けれない」
マリーの切り札。
それは「自然の落雷」である。
雲を生み出し、そこに電気を流し。落雷の発生条件を整えた上で……マリーの能力で、その落雷の落ちる先を誘導する。気付いて避けようとしても、雷速反射で追尾して逃がさない。
人が魔術で発生させるような、遅くて弱い電撃とは比べ物にならない。
その速度は亜光速。その威力は地を砕く。
「指向性の自然落雷」。
準備は整った。後はただ、この手を振り下ろすだけ。
「喰らって逝きなよ。……『天雷一鳴』ッ!!!」
そして手を振り下ろし……吸血姫に、天の裁きが下った。
■オーギュスト > どうやら目の前の騎士も時間稼ぎに移行したらしい。
何か頭の悪い事言ってるが付き合うべきか?
いやまぁいいか。
とにかく、あいつの切り札とやらを見よう。
ダメダメだったら逃げればいいし……
と、そこで。
彼女の『切り札』を見て――
「――さて、どうでるか」
■ロザリー > 「………」
撤収する?
魔族の村を焼き滅ぼし、女子供を凌辱し、連れ去った者がそこにいるのだ
「そうは、行くものか…。あの男を裁かずしてこの場を去るなど」
最悪自分一人で残っても構わない
自分ならばあの程度の人間を始末することなど容易く───
「─────!!?」
その時、閃光と衝撃
膨大な熱と、轟音と共に、白雷が吸血姫の体を切り裂いた
■エドガー > 「ふぅ…水の一杯でも欲しくなるね。
ははは、なかなか面白いね。だが、非常に効果的で効率的なやり方だ。
…そして、臆面も無く言い切れる君の度胸に恐れ入る」
けらけらとヨゾラのジョークに笑う。
そして、どうやらそろそろ終わりそうな気配。
それと…人間の少女が何か切り札を出そうとしている。
「…なるほど。
いやいや、実に面白いことをするものだね。
まさか、自然の力を利用するとは思ってもみなかった。
…さて、生きてるかね、ロザリア君?」
見たことのないやり方に、男が興味を惹かれたかのように声を上げる。
そして、見事に雷を喰らったロザリアへと問いかけてみる
■ロト > 「…」
あれは雷だ、雷自体避け方は幾らでもある。
が指向性の場合 どうにかできる代物か?正直出来ると断言できない。
暫し見惚れてしまった、うむ、無理もない。
成程 「切り札」と言えば「切り札」だ。
…
男と対峙している理由がなくなった。
ただ 時間稼ぎはせねば。じりじりと男から逃げる素振りを見せてみよう。
■オーギュスト > なるほど、ここか。
ここが分水嶺。最大の戦果を上げるにはどうすればいいか。
案の定、目の前の騎士は時間稼ぎを続けるらしい。このタイプは愚直で戦闘になると強いが、思考の切り替えにタイムラグが入る事が多い。
「心震え、失われた時間の輝石を、螺旋の相に還さん!
翻りて幾重にも我が時を刻め! ヘイスト!!」
貯蓄していた魔力を使い、ヘイストを発動。
女騎士に挑みかかる――というフェイントをした後、一気にロザリアに向け突進!
■ロザリー > 「……今、のは…───?」
肉体から白煙をあげ、その膝をつく
落雷魔法などという生半可なものではない
その程度ならば、いくら加護で弱まっているとはいえど魔力障壁で造作もなく弾いていた
であれば、自然現象
迂闊、たかが人間の娘が自然天候の操作など考えもしなかった
「く……っ」
止む無く残った魔力を肉体の回復にまわす
そんな中、ロザリアの蒼碧の瞳は自身に突き進むオーギュストの姿を捉える
■ヨゾラ > 「んふふ。別に不意なんか打たなくったって吸血鬼の1人や2人くらい軽々殺せるのよ、私。
実際キルフリートを手に入れる事にそこまでの興味はないし。」
そんな慢心的な事を言ったところで、何かが迸った。雷撃。
見事な雷撃。追尾性とスピードを跳ね上げた、魔術離れした霹靂。
普通の膂力では避けようもないスピードと追尾力。普通では避けられない。普通では。
ではどうやって良ければいいかと言うと、割と簡単な事で。
そもそもその時間軸に存在していなければ当たらない。不死身だし避ける必要もないけれど、一応避けておこう。
「ラプラスの悪魔」が予測した須臾の間だけ、その時空から消える。
そして、通過した辺りで何もなかったかのように戻ってくる。
「人間ってやあねえ、敵と味方の区別もつかないんだから。
あー、どうせ生きてるでしょ、吸血鬼なんだし。」
水を差すように呟いた。
「でも、トドメさされちゃいそうだけれど。やっぱりこうなるのねぇ。
私の予想通りだわ。あの男に捕まって可哀想な事になるんでしょうね。」
かといってそれを見ているだけなのだが。
■ロト > 時間稼ぎ終了。
演技も終了したいです。男と戦うのは正直気が乗りません的に
真面目に時間稼ぎをしたが 主君あっての己なので―
「詠唱長い。どうにかせんか!」
来るのかー…っていうか逸れた ではどこへー戻った道を?
男の姿が瞬く間にロザリアの方へと行くのを見てた。
…「ちょい、え、えー!!」
加速魔法か、ヘイスト…魔力自体はまだある、
急ぎ タンっと取り急ぎ ロザリアの元へ急ぐ!
■エドガー > 「ふふふ。
さぁて、最高のタイミングだ。
精々、最低な横やりでも入れて来ようかな?」
男が動いた。
人差し指を、一本上に立ててから、それを下へと振り下ろす。
「重力倍増、そうだね…思いきって10倍にしておこうかな?
さて、どうするかね?人間の騎士殿。突っ切ってみるかね?」
ロザリアを囲むように、重力の囲いを作りだす。
たまたま其処に会った瓦礫が、一瞬で潰れた。
男はにこにこしながら、その場に立っている
■マリー > 「はぁっ、はぁっ……」
膝をつく。
失敗だ。
ロザリアには「天雷一鳴」は命中した。
だが、それ以外には……まず、後ろの方で傍観している奴。危険だと判断し優先して誘導したが、何故か躱された。
そして、それ以外も、狙ったのだが……雷速反射の反動で体が悲鳴を上げ、コントロールしきれなかったのだ。
だから、ロザリア以外に当てる事が出来なかった……一網打尽と言っておきながら、とんだ失態だ。
だが……ロザリアには、命中した。
後はあの騎士を見守るしかできない。一応魔力をため込みながら、僅かな時間を休憩に回す。
■オーギュスト > 重力の檻、いや鎧か。
一瞬踏み込みそうになり、慌てて止まる。
この状況で使える手は――!
「――イチかバチか、ってなぁ!!」
そしてこの男は。
アダマンタイトの大剣を『思いっきり空中に投げる』!
空中には伝導率の高い金属の塊。
上空には未だ「天雷一鳴」の影響で稲妻を放つ積乱雲。
そして――
「まばゆき光彩を刃となして
地を引き裂かん! サンダー!」
初級も初級の雷魔法。
だが――再び自然の落雷を誘発する事は出来たようだ。
そして、地上には重力の鎧、否、「重力の道」!!
もし重力を解除しなければ、その恐るべき重力の力に導かれ落雷は再びロザリアを貫くだろう。
■ヨゾラ > 「んじゃまぁ、そうねぇ。戦利品でも頂いちゃう?
あら、何だかんだロザリアちゃん守るなんて気が利いてるわねぇ。」
当然と言えば当然だろうが、熱くなっていた奴程疲弊している。
「んじゃあまぁ、私はどうしましょ。兎に角暇だし、何かやる事ないかしら?もうすぐ終わりそうだしねぇ。」
誰に向けるでもない呟き。
「…へぇ、人間の癖に見事ねぇ。
あの吸血鬼ちゃん、流石に死んじゃうんじゃないの?」
天候に地形、相手の技さえ利用した一撃。10倍の重力の中降下する落雷。
例え死ななくても、可哀想な運命は辿りそうな流れが見えてきた。
■ロザリー > 周囲に重力の檻が展開される、なるほどエドガーの仕業か
余計な真似を、と強がりたいところだがこの損傷具合ではそれも虚しい
借りができたな、と後ろを振り返ろうとした刹那
「……あ───」
再び、白雷がロザリアの胸を貫く
糸が切れた人形のように、吸血姫がその場に崩折れる
■ロト > 急いだ、間に合わなかった。
二度目の白雷、色々とやって居たようだが無理な気が…
崩落ちる様を見た、ヘイストとは違うが似た様な魔術?で大分詰めたが、そこまでだった。
■エドガー > 「おぉ、なるほど。
なかなか機転が利くのだね。
流石の実力だ、恐れ入るよ。」
感心するように手を叩く男の顔から、笑みは剥がれない。
再び、ロザリアに危険が迫っているというのに、さも遊戯に興じているかのような態度だ。
そして、その雷が再びロザリアを貫く。
「ははははは、これは失敗してしまったねぇ。
だがまぁ、私が重力しか弄れなかったならば、首を持って帰り…君たちは最大の功績を得られただろう。
だから言っただろう、ヨゾラ君?【最高のタイミングで最低の横やりを入れる】とね?」
守ると見せて人間に結果的は肩入れし、そしてその最大の功績…ロザリアの首を人間が取るのは阻むのだ。
次の瞬間、崩れ落ちたロザリアの姿が消える。何の変哲もない転移魔法だ。
何も無ければ、目の前に転移させたロザリアを抱えあげようと
■ロザリー > 倒れ伏す直前、視界の端に捉えたロトへと魔術を飛ばす
体の魔術刻印に刻んだ魔術の一つ
【逃げよ】
【吾と運命を共にする必要はない】
【心配は無用、この程度では滅びぬ】
と、ロトの頭の中へ念話を飛ばすのだった
■マリー > 「にが、すか……!」
再び手を掲げる。
この状況で、切り札まで切って、逃がしましたでは意味がない。
パリ、と手のひらに雷光を集める。
「天雷一鳴」は、一度きりの切り札ではない。
発動条件こそ非常に面倒だが、一度天空に雷雲を用意できれば……その雷雲が機能し続ける限り、ほんのわずかな魔力で連射出来るのだ。
今なら余計な事も出来まい、何かをされる前に纏めて仕留める……!
「喰らえ、『天雷一鳴』!」
もう一度。今度はエドガーに、吸血姫を巻き込んで。
天雷の裁きが下された。
■ロト > …崩れた 主君。それを守れなかったのは痛恨の極み。
ただ、その姿 消えたのはどういうことだ!?とエドガーかヨゾラを見たが 見ても分らん。
大分詰めた距離だったが がくっとその場に崩れ 手を地面にずだんっと地響きを少し揺らす位に打ち付け、
…
「拝命 賜りました」
では 、と神速の移動魔法で持って 溜とか詠唱とかせずに、
フッと姿を暗ましてしまったーその行先は闇の中。
■ロザリー > 強制的な転移魔法
普段ならば魔法障壁が弾いていただろうが、今のロザリアは限りない消耗状態である
倒れ伏した姿勢のままにエドガーの転移魔法に運ばれ、抱き上げられる
「っ……ぐふっ」
喀血が切り裂かれた胸元を汚す
ダメージは大きいが、不死者の肉体は滅びてはいない
ご案内:「王都マグ・メール-郊外の小さな町」からロトさんが去りました。
■ヨゾラ > 「ふふっ…。流石、年食ってるだけじゃあないのね。
良いわ、最高ね、貴方に横槍の得はあげる。」
気絶したのか死んだのかはともかく、この最高のタイミングで、人間からすれば最低な横やりが入った。
思わず失笑して手を叩く。
「んふふ、ロザリアちゃんに恩を売るのかしらね、貴方。
それとも、男だし、犯っちゃうのかしら。良い女だしねぇ。」
奪い取る気も毛頭ない様で。
ただ、この吸血鬼を虐めるのもまた興が乗りそうだが。
「…人間も諦めが悪いものね。」
蚊帳の外と言った具合。「天雷一鳴」とやらは、今度はこちらに指向性は向いていないらしい。
白雷の行方はどうなるやら。
■オーギュスト > 「ジジイ、一つ教えてやる。
俺は温厚な人間だが、二つだけ許せない事があってなぁ」
アダマンタイトの大剣は未だ帯電していて使えない。
ならば拳だ。エンチャント・ウエポンを無理矢理素手の拳にかけ、マリーの落雷に合わせるように突進する!
「一つは飯の時に煩いテーブルマナーを押し付けられる事、もうひとつは俺から女を奪おうとする事だッ!!」
容赦なく、エドガーの頬を殴りつけようと
■エドガー > 「ふふ、君も良い判断だ。
弱っている今ならば、きっとロザリア君を殺せる…とまではいかないが、勝利を掴むことはできるだろうね。
だが、弱っている身体で無理をするのは得策じゃあない。」
再び先ほどの雷を呼び、間違いなく息の音を止めようとしてくる人間の少女へと話しかける。
だが、当たらない。間違いなく当たるはずだった雷は…途切れた。
まるで、そこから先を何かで消したかのような具合に。
「成程。拳で殴りかかってくるか。
私は君のような男は嫌いじゃないよ?是非、個人的に話をしたいくらいさ。」
続けざまに拳を繰り出してくる人間の騎士。
だが、その拳は途中で止まるのだ。壁に阻まれているかのような具合に。
「空間魔法と言う奴さ。私の周りだけを、魔法で空間ごと断絶しているのさ。
さて、どうだろう?ここらで手を引く気は無いかね?痛み分けといこうじゃあないか?」
■ロザリー > 「……ぐ、っ……。
はぁ、はぁっ……その男は、その男だけは、吾が……っ」
抱きかかえられながらも、オーギュストを睨めつけ
もはや憎悪のみが体を動かそうとしている
「降ろすのだ、エドガー…、まだ…吾は、人間如きに遅れなど……」
■マリー > 「こ、の……!」
空間魔法。聞いたことはあるが、最上位の魔法で遣い手はほとんどいないと聞いていた。
古代からの魔族、伊達ではないという事か。
そして……空間魔法を使えないマリーに、空間魔法は非常に相性が悪い。
マリーのもう一つの切り札も、あの騎士の拳が止められている以上通じないだろう。
ヤケクソで「天雷一鳴」を連射する事も可能だが……それだと、騎士を間違いなく巻き込んでしまう。
「ふ、ざけ……!」
歯噛みする。ふざけるなとぶん殴ってやりたい、舐め腐った態度を後悔させたい。
が……現状、その手段がない。なんせ、天雷一鳴は間違いなく、マリーの最大火力の一つだからだ。
「くっそぉ……!」
立てない。力が入らない。
体を震わせながら、状況を睨み付けるしか、マリーに出来る事はなかった。
■ヨゾラ > 「まーた蚊帳の外かしらぁ。
つまらないわねぇ。もう大体終わってしまったし。
ぜーんぶ美味しい所とってかれたし。上手い具合に戦線終了、ってところかしら、ねぇ?」
諸々の状況は収束に向かっている様な気がした。データも十二分過ぎる程に取れている。
それに、ここまでの戦況になるとは思っていなかった手前、
予想以上に良いものが手に入ったと思うのだが。
やっぱり過ぎれば退屈は退屈なのだ。
■オーギュスト > 「おいおい、何言ってんだ爺さん」
不機嫌そうに断絶した空間を拳で叩きながら言う。
ここで退く?
「ありえねえだろ。――その女は、俺の戦利品だぜ?
横槍だがなんだか知らんが、ジジイはすっこんでな!」
そしてガンガンと断絶した空間を叩く。
勿論、空間魔法を破る手段など彼にはない。
空間が虚しく音を立てるだけだろう――
まさに、それが目的なのだが。
「「「ディスペル・マジック!」」」
声が響き、この空間のあらゆる魔法が解除される。
そう、ロザリアの力が切れれば、召喚されていた魔獣やデーモンたちも消える。
すなわち、グールの相手をしていた三人の神官が、ようやく駆けつけたのだ。
空間断絶の魔法が途切れるのは一瞬で十分。その隙に手を伸ばせばいい!
■ロザリー > オーギュストの手が伸ばされればそれは好機でもあった
最後の力を振り絞り、手元に黄金の剣を出現させる
「死ね…人間ッ…!!」
自身に伸ばされる手、それが届く距離ならば、この剣は男の心臓を貫くに届くはず
■エドガー > 「ふぅ。君も君で諦めが悪いね。
何かね?そんなに人間に犯されたいのかね?
それでは、君の臣下のあの子は非常に落胆するだろうねぇ」
人間もそうだが、ロザリアも諦めが悪いと男は溜息をついた。
このまま人間の慰み者になるというのであれば、駆け付けた魔族の騎士はどう思うだろうか
そう態とらしく口にした。
「ヨゾラ君、其処の二人とヤり合えばいいじゃないか。
二人とも、相当の実力者だよ?私は、こうしている間は手が出せないのでねぇ」
空間を断絶するということは、相手からの干渉を阻むと同時に…此方からも干渉できなくなるのだ。
退屈そうにしているヨゾラへと提案してみる。
「はぁ…全く、困ったものだ。
引き際を弁えたまえよ。 それとも…これの相手でもするかね?」
断絶した空間が掻き消えると同時、ロザリアが剣を突き出す。
それがどうなったとして、男は数m後退するように転移した。そして、同時に
当たりに振ってくる、鎧を着た単眼の巨人が5体程。
「空間魔法で此方へと引き寄せたものだ。どうするかね?
君と神官だけでなんとかするのかね? …言っておくがその解除魔法では送り返せないよ?」
■ヨゾラ > 「おあいにく様。と言いたいところだけれど。ちょっとだけやってみようかしら。
男の方はその吸血鬼ちゃんに御執心みたいだし、さておいて、そっちの女の子と遊ぼうかしらねぇ?」
エドガーの提案に笑って。
「といっても、もう立つことすらままならないみたいだけれど?」
暇だったらしい。一瞬体が虹色に煌めいたかと思えば、
取り敢えずと言った具合に、体を震わせる赤毛の少女の方へと歩いて。
しゃがんで見遣った。
■オーギュスト > 「ぐ、ぐぅぅぅっ!!」
黄金の剣は、オーギュストの胸を貫いた。
――心臓のすぐ脇、もう少しずれていたら即死だっただろう。
だが、ロザリアはこちらに飛び込んできた。千載一遇の好機だ!
「こんの……じゃじゃ馬がぁ!」
そのまま、ロザリアを抱えこちらも飛びずさる。
戦闘は続行不能。慌てて神官たちが駆け寄り回復魔法をかけるも、当然、あんな巨人の相手なんざしていられない。
――だが。
「――教えておいてやるよ爺さん。
勝ち誇りたいんなら、お前は最初から手を出すべきだった」
時間はこちらの味方だ。
もし彼らが最初から全力で自分達に立ち向かっていれば、オーギュストもマリーもあっという間に逃げ出すか、殺されているかしかなかっただろう。
だが、彼らは遊んだ。
自分の興の為、全力を出す事を惜しんだ。
「――運命ってのはな、常に生き汚い『人間の』味方なんだよ」
朝日がゆっくりと顔を出し。
到着した第七師団の精鋭部隊が、彼らを守るように展開を始める。
■マリー > パリ、パリ、と雷光を手に宿す。
もうすぐ「天雷一鳴」の要の雷雲は機能を停止するだろう……が、後一撃なら、天の裁きはまた下る。
動けば落とす。
障壁にだって応用できるのが雷だ、現状マリーに出来るのはあの騎士を援護する事のみ。
巨人だろうが何だろうが……雷を耐えれるとは思えない。
「悪いけどさ、ボクも連れてってくんないかな……」
騎士団に要請する。ダメージを受け過ぎた……流石に、一人で帰還は出来なさそうだ。
これにて帰れる。
……はずだったが。
「あ、え……?」
近くに魔族が寄ってきた。天雷一鳴の通じなかった相手。マズい……!
■ロザリー > 諦めが悪い、その通りだ
人間に犯されたい?そのようなことはありえない
臣下が落胆する?それはそうだろう
「(いやだ…吾は、このような人間を前にして退くなど…)」
その憎悪はロザリアの根源から湧き続ける
不死者となる以前に、人間に対して持っていた憎悪と同じもの
少女の心はヴァンパイアとなると同時に凍りつき、今もそのまま、時が止まっている
だから、その憎悪に火がついてしまえば止まらない
「───!」
剣をオーギュストに突き立てようとしたその時、その目が眩む
朝陽が、山の合間からこちらを差したのだ
人間ならば、狙いを外すほどのことはなかっただろう
が、ヴァンパイアにとっての太陽光はそんなものの比ではない
「あっ…!?」
腕を惹かれ、男に抱え込まれてしまう
■ヨゾラ > 「ほーら結局こうなった。
結局キルフリートの御嬢さんも無謀な真似をしたわねぇ。だから言ったのに。」
勿論それを助ける訳ではない。こうして水を差すだけだ。
こっちはこっちで、退屈が凌げそうだし。
「さぁて、と。もうお終いみたいねぇ。ハァーイ、霹靂魔法の御嬢さん。
御機嫌よう。おねーさん今とっても暇しているのだけれど。どうしようかしら?」
嗜虐性の片鱗を見せる笑み。赤黒く濁った、魔力の滾る様な瞳が弧を描く。しゃがんかと思えば、
これまた取り敢えずと言った具合にその胸倉を掴み上げようとするだろう。
■マリー > 「あ、ぐあっ……」
抵抗できずに掴まれる。
感じるのは底知れぬ不安。そもそも、天雷一鳴を回避した相手にどうすればいいのか。
「知らない、よ……離せっ……!」
じたばたともがき、騎士団に救いを求める。
「たすけ、ヤバい……!」
この状況を脱する切り札もあるにはあるが、デメリットが強烈すぎる。事此処に至っても、軽々に切れるカードではないのだ。
■エドガー > 「はっはっは、君は大した男だ。
確かに、勝利を得るならば最初から全力でやるべきだった。」
くすくすと笑いながら男へと賞賛の拍手をする。
「ならば、持って行きたまえ。
だがまぁ、取扱いには注意したまえよ。
面倒臭いのが、臣下に居るのは君も知っているだろう?」
先ほどの魔族の少女と言い、不死者の軍勢と言い
面倒なのが居ると男は笑みを浮かべて忠告をしよう。
「まぁ、これも一つの勉強だね。
ロザリア君、精々人間に可愛がってもらうといい。」
軽く手を振りながら、男は何もしない。
既に興味はヨゾラと人間の少女へと向いた
■オーギュスト > 第七師団の団員たちが、オーギュストに肩を貸しつつ馬車へと推し込める。
同時に、ロザリアの首、手足に魔力を封じる腕輪をつけ拘束。
撤退準備を始める。
「――あー、そこの賞金稼ぎ。まぁ、頑張って振り切れよ。
生きて王都に来たら、第七師団の兵舎まで来い、今回の礼はしてやるよ」
あまりに無慈悲に。
ばっさりと。
マリーを見捨てる発言をすると、部隊に撤収を命じる。
これ以上高位魔族の相手はたくさんだ。
暫くは休憩が必要だった。
――何せ、極上の愉しみが、この手の中にあるのだ。
■ロザリー > 「う……っ」
ダメージと、アイオーンの加護の下、これ以上の抵抗は…
いや、しかし抱えられたこの状況ならば、その心臓を貫けるのではないか
が、その細腕に黄金のナイフが具現化し握られることはない
さきほどの一撃が、文字通り最後の一撃であった
「(………)」
エドガーの声が耳に届いたか届かなかったか、
ロザリアはそのまま気を失い、拘束される
その後は撤退するオーギュストの騎士団に身を委ねることとなるだろう
ご案内:「王都マグ・メール-郊外の小さな町」からオーギュストさんが去りました。
■ヨゾラ > 「あら残念。あんまり喋るとおねーさん貴女をボコボコにしちゃうわよ。」
軽々と持ち上げた。魔族の膂力は伊達ではない。
少女を片手で持ち上げる等、抵抗もなくば容易いのだ。
「ううん。ほら、あれよ。おねーさんね。最近あれ、電気責め?って言うのにハマってるの。
貴女のアレと同じね。んふふ、見てみる?」
ピリッと、電気が流れて迸る。
ただ、こそばゆくて。痛くも気持ちいいくらい。人間の体には大凡ダメージになり得ない、
けれど、痛覚を確かに刺激する嫌がらせの様な電気量。
「ねー、思った通りだったわぁ。ロザリアちゃんが攫われて。
んで、この子はこの様。あーあー。可哀想ねえ、あの子。人の話聞けば良かったのに。」
あんまり憐れんでもない様な物の言い方で。
その一団とロザリアが行く末も見ず。されど見ているかのように嘲った。
ご案内:「王都マグ・メール-郊外の小さな町」からロザリーさんが去りました。
■マリー > 「ま、待て、待って……!」
ふざけるな、完全に捨て置かれた……!
兵舎まで行ってやるよ、そこに天雷一鳴をブチ落としてやる。
だが、今は現状を脱するのが先だ。
恥ずかしい格好だが、服を破いて一瞬体を離す。
そして……
「クッソ、なんでこっちまで使わなきゃならないんだよ!」
使うはもう一つの切り札。
流された電気すら利用して……瞬間で、電気のトンネルを自分の周りに展開する。
そして、そのトンネル内で発生する磁場によって、体を強制加速。
電気を纏ってそれに乗り……
「『紫電一閃』!」
自分を、リニアの原理で遠くに打ち出した。
狙いも、大雑把に王都の方、と言うだけの粗雑なもの。
だが、この場を離脱するという目的のみならば最適解であり……マリーの体は、王都に向けて打ち出され、見えなくなった。
ご案内:「王都マグ・メール-郊外の小さな町」からマリーさんが去りました。
■エドガー > 「まぁ、一度頭を冷やす良い経験になるのではないかね?
怒りに我を忘れると、どのような結果になるか。
感情だけでは、何事も成しえないということを知る経験だ。
ふふ、羨ましくないと言えば、嘘になるがね。」
撤退していく騎士団。
ロザリアが攫われたことに大して落胆も悲観もしていない男。
だが、この後のことを想像すると、男として羨ましくも思うと口にした
全ては遊戯、暇潰しに等しいことなのだ。
「あーあー…見捨てられたね、君。
ははははは、流石に同情するねぇ
ロザリア君を攫えたもの、君のおかげだというのに………おぉ!」
ヨゾラに胸倉を掴まれている少女へと言葉をかけたところで、
突然、その身体が射出される。超高速で飛んで行く様は、男には愉快に見えた。
「…良く飛んだものだ。着地は考えてなさそうだね」
■ヨゾラ > 「あら残念。玩具が手に入るかって思ったのにー。」
逃がしてしまった。何とも素早い一手だった。
見えていないわけではないが、完全に捕縛したと思っていた。
やっぱり、観戦だけに留めておけばよかったのだろうか。
良い暇つぶしにはなったが、色々と残念な結果に終わった。
「あーあ、くっだらない。興醒めだわ。御先に失礼。
全く、結局いいとこ全部人間に取られたわねぇ…。」
吐き捨てる様に呟く。そうして、残ったエドガーにひらっと手を振ったら、
最初に作って置いた魔法陣と共に何処かへと消えた。
ご案内:「王都マグ・メール-郊外の小さな町」からヨゾラさんが去りました。
■エドガー > 「はっはっは、御機嫌ナナメかな?
まぁ、そういう時もある。次に期待したまえよ。
おや、そうかね。また会おうじゃないか、ヨゾラ君」
苛立ちを隠しもせずに何処かへと飛んでしまうヨゾラへと言葉をかけてから、
自分は適当な瓦礫に腰かけた。
「人間も魔族も、宝石の煌めきが分かるようになれば、
少しは変わると思うのだがね…無理かな?それは…」
廃墟と化した街の光景を眺めていた。
自分以外に何も居ない空間というのは、寂しいものだった
■エドガー > 「あぁ、もう良いよ。御苦労だったね」
そういえば、と転移で呼び寄せた巨人を元の場所へと飛ばした。
これで正真正銘、独りだ
■エドガー > 「さて、そろそろ行こうか。
こんな所に居たとして、何も無いだろうからね。」
ゆっくりと腰を上げると、そのまま徒歩で廃墟から立ち去っていく。
朝日を眺めながら、今日は何処へ向かおうかと思いながら
ご案内:「王都マグ・メール-郊外の小さな町」からエドガーさんが去りました。