2022/08/09 のログ
リノ > 抱っこの必要性について、半ば無理やりの線だと思ったものの、
真面目な顔で、自信をもって言い切ったら、通った。

こんな理由で抱っこさせてくれる魔王様、ちょろ可愛い!
内心で、大喝采。その場で踊りだしたいくらいの気分だけれど、
そんなことをしたらせっかくのチャンスがフイになる。

「ありがとうございます。
それでは、失礼いたしまして…」

なので真面目な表情のままでそう言葉を向けてから、
魔王を抱き上げる。リノは無茶苦茶は高くないが、それなりに身長は高い方。
そして、今回は魔王を見下ろされないようにするのが目的なので、
高い位置でホールドした。

「さて、それでは門番めに魔王様の偉大さを伝えに参りましょう」

そんな言葉を向けてから、地下牢から砦の中へと歩いていく。
途中ですれ違う魔族達はどんな反応をするだろうか。

ダークロード >  
ふわりと抱き上げられる魔王の身体は子供のように軽い。…事実子供サイズなのだけど

さて抱き上げられている魔王といえば

「………」

あれ、これで良かったのか?と複雑そうな表情をしていた
これで我の偉大さ伝わる?

「…これで我の偉大さ伝わる?」

疑問に思ったことがそのまま口に出た

地下牢から砦の一階へと二人が姿を見せれば、砦の中の魔族達からの視線が注がれる
その視線から感じられるものは畏敬や畏怖、といったものではなく

ああ、あの迷惑なうるさいガキんちょを保護者が引き取りに来たか───といった風な…

「わ…我の偉大さ、伝わっとる…?」

なんだか恥ずかしくなってきて、顔を伏せてぷるぷるしていた

リノ > 「ええ、魔王様。伝わっておりますよ。
魔王様が、配下をつれて砦から出ていく所ですもの」

真面目な顔でもう一度言い切った。

いや、言い切ったからと言って、下々の魔族にしてみれば

『魔王だと主張するガキんちょに、はいはい、魔王魔王、と言いながら連れて帰る保護者』に見えるだろうし、

それなりに位がある魔族にしてみれば、
『シトリーが魔王と言って連れていくなら、確かに魔王か。
それにしても、こんなに弱くなって大丈夫なのかね?』と見えるだろう。

それでも、今一度顔を伏せてプルプルしながら訪ねてくる魔王に、真面目な顔で言いきって見せる。

「ええ、魔王様の偉大さは、伝わっておりますよ」

ちなみに内心は、『ウチのアホ可愛い魔王様を見て!ほら、こんなに可愛いの、見て!』だけれど、魔王には悟られないよう真面目な顔で。
でも、一部の上級魔族にはばれているだろう。その内心も。

ダークロード >  
「そ、そうか…」

はるか昔にその身に受けていた視線とはなにか違う気がするのだが
そうか、そういうならばきっとそうなのだろう
はるか昔の記憶だし、間違ってるのかもしれんし

「くく、ならば砦を一周してやっても良いくらいだな。
 門番のやつめ、我への非礼を腹でも切って詫びるのではないか?」

見事にノセられてドヤ顔で見下した視線を方方へと送る魔王

「あ、本当に一周なぞしなくて良いぞ。
 面倒だからな…!くくく」

すっかりいつもの調子に戻った魔王だった
…が

「(いや…やはり恥ずかしくないか…?これ…)」

尊大の態度の裏ではやはり抱っこされていることに気恥ずかしさが拭えないようであった

リノ > 「えっ?一周させてくださるので?…あぁ、面倒だからしなくてよい、と
かしこまりました」

一周してやっても良いと言われれば、それは素敵!と思ったものの、
結局面倒だからしなくてよいと言われれば、ちょっと残念。
でも、魔王様の命令は絶対なので、一周はせずに。

そして、程なく砦の門が近づいてくる。
その砦の門をくぐった時、
門番は二人の姿を確認した。

さっきのしつこかったガキんちょと、
それを抱き上げている名のしれた魔族。
門番は、門番なりにその二人の関係性を理解すれば

『ご苦労さん』

どちらへともなく向けた言葉はそれ。

「魔王様、あれだけ魔王様へ失礼を働いた門番が、魔王様にきちんと挨拶をしてまいりました。
魔王様のご威光は、この砦にも遍く知れ渡っておりましょうね」

そんなはずがない。
単なる挨拶である。
だが、欲情の悪魔は、真面目に言い切った。
あくまでも、言い切った。

ダークロード >  
やがて近づいてくる砦の門
そう、そこには自分を牢に打ち込んだ不敬の輩がいる
どの魔王の下僕か知らんが、この魔王ダークロードを知らぬ存ぜぬだけでなく投獄するなぞ
さぞ、このリノを従えた姿を見れば狼狽し平伏し、己の行いを悔いることだろうと
自分に言い聞かせた

「………」

投げかけられた言葉は一言

ご苦労、さん…?

それは明らかに自分でなく、リノに対してのものである
しかし魔王は激昂などしない、なぜなら

「───うむ」

ちょっと、わかってた
抱っこされた魔王に誰が傅くというのか
ちょっと謎の説得力にノセられた感はあったが
少し自分の過去の威光を過信し過ぎたのかもしれない

「いや、伝わるわけないじゃろ」

言い切るリノに小さく手の甲でぺちっとしながら、しょぼくれた声でツッコミが入った

リノ > 「あんっ♪」

小さく手の甲でぺちっとされれば、楽しげに上げた声。
そりゃそうですよね、という反応結果。
分かっていて言い切ったのだから、上がる声は楽しそうだろう。

とはいえ、事実と現実は直視しなくてはいけない。
なので、抱っこしたままの魔王様に顔を向けて語り掛ける。

「まぁ、確かに。この体制では無理がございましたね。
…とは言え、魔王様はまだまだこれから。
力を取り戻して、往時の強さを取り戻してから
改めて人間どもへ復讐をなさいましょう」

よしよし、と軽く頭を撫でながら、
それでは、魔王城に帰りますよ?と一声かけて、2人の姿は影へと消える。

今日も魔王様はとても可愛かった!
魔王様を連れ帰りながら、リノは今日も魔王様成分をたっぷり摂取して、
明日もお仕事がんばれそうだったとか。

ダークロード >  
「あんっ、ではない!反省しとらんな!」

上手に取り繕いおって、とむっすりする魔王
しかしその続く言葉は、正しい
そう、復活を遂げた後の最初の目標は…人間どもへの復讐!
ただ問題は完全復活に程遠かった、ということだけで…

「一刻も早く完全復活を遂げねばならん。
 我の封印を解く手段を一刻も早く探し出すのじゃリノ!」

偉そうにしたところで結局頼れるのは僅かにいる配下の魔族達のみ
そう、例えなんか胡散臭かったり手付きがえっちだからといっても
このリノ・シトリーは、そんな貴重な戦力の一人なのである

ならば多少は目を瞑ろうではないか
そんな魔王としての少しばかりの器の広さを見せながら
まだ少し痛いお尻を気にしつつ、抱っこされたまま魔王城へと帰還するのであった

──砦を出たらもう降りてもよかったのでは?
そんなことを頭を撫でられながら考えていたとかいなかったとか……

ご案内:「タナール砦・地下牢」からリノさんが去りました。
ご案内:「タナール砦・地下牢」からダークロードさんが去りました。