2020/08/11 のログ
ご案内:「竜胆の部屋」に竜胆さんが現れました。
竜胆 > 時間間違えました……っ。待機。
ご案内:「竜胆の部屋」にフィリさんが現れました。
フィリ > 学ぶ為の手段、それ自体も。色々と存在するだろう。何も、師の下に付くだけとは限らない。
それこそ学舎に通う事などは最たる物だし、少女が――もとい彼女も含めお互い、日々文字や書物に触れている事も。趣味と実益を兼ね備えた、立派な勉学と呼べる筈。
ましてや今後は、実践する機会というのも、着々と増えてくる筈で。…最初の一回目が、先程の為体だったから。此方は随分と手間取りそうなものの。
そんな実践の中に、戦場という選択肢が含まれてくるのなら。
矢張り先んじてもう少しだけでも、力の制御を行えるようになる事が、最低限の前提条件だ。
命のやり取りされる場所、文字通り命懸けの場所で。万が一制御を外れた暴走が起きてしまったら――それは。どれ程恐ろしい事か。

「――ぉ互ぃ、進み続けてぃるのでしたら。早々距離の詰まる物ではなぃ筈――と、思われます。
特に、ぉ姉様の場合。サボるなどとぃぅのは中々、想像も出来ません。…好きこそ物の上手なれ、なの…です。

…自覚は……無ぃと言ぇば嘘になるの、でしょぅ。…甘ぇたくて。わがままを言って。けれどそれが、私は時に――
例ぇそのつもりが無くとも。甘ぇたぃその人達に、害を及ぼしてしまぅ…それも。一度や二度、ではなく。

はぃ、だからこそ急務なの――です。無意識に、私の言葉が。…ぉ母様達等を傷付けなぃ為にも。
同じ発話、単語でも。意味が変わる、意図が違ぅ――何を籠めたぃのか。伝ぇたぃのか。より明確に意識して…
それと共に。確たる、伝ぇたぃ物を。私の心が、思ぃ浮かべられるよぅに。

とても。とても具体的な対策でぁると思われます。…ぉ姉様が保証して下さるのなら。尚更に。

――ぁ、と。…宜しぃのですか?それでしたら、はい――正しく。ぉ言葉に甘ぇてみよぅと思ぅの…です。」

お菓子。確かに、その単語一つ取るだけでも。好き嫌いだとか色々な点で。思い浮かべる品は個人によって千差万別となる事だろう。
何か特別に食べたいお菓子が有るのなら。その種類名を具体的に挙げなければならず。
更に、「特に何処何処のお店で行列必至の物が一番美味しいと思うので、どうせならそれが良い」だとか。
「焼きたてはとても美味しいのだけど、本当に焼いて直ぐだと、猫舌には辛いので。少しだけ冷めてから」だとか。
彼女の例えが身近な物だったからか。次々、イメージを詳細に固める為の具体案が思い浮かんで来る。

そう、師の教え方が良いのであって。決して、少女がお年頃の少女に相応しく、甘いお菓子大好きだから――ではない筈だ。断固として。

「――そぅですね。下克上、もとぃ、シンデレラストーリーとぃぅ俗な物にも。人並みに興味はぁるのですが。
…私にとっては、ぇぇ…もぅ少し。地に脚を着けてぃたぃ気はするの、です。
――流石に。リスぉ母様のよぅに手広くは…何と言ぃますか。私はそんなに。腕も、心も、大きくはぁりません…はい。
竜胆ぉ姉様は…もしかすると。リスぉ母様と近しぃ…のでしょぅか?」

親と子が似るのなら。姉と妹もまた似て然り、だから。
ひょっとすると、今後師として仰ごうと考えている彼女も。手広くやっているのだろうかと。首を傾げてしまう。
…ちなみに少女の方は、大概に恋愛脳なので。逆に優しく抱かれたりしたら、其処にくらっと来てしまうタチ。
ハーレムだとかそういう物は。作る側ではなく、加えられる側になるのだろう。間違い無く。

「――もぅ少し突き詰めれば。…より、本来の…昔ながらの、竜。翼を持たないワイアーム、ヴィルム、ドレイク、等が思ぃ付くと。思われます。
とはぃぇ…判断基準は、人間の記述なので。本物の竜でぁる方々からは――また、違った意見をぃただけるかもなの…ですね。
はぃ、其方に関しても、纏めてぉけば。……総合的な結論とぃぅ物が出るのでしょぅ…きっと。」

多分。頭でっかちな分、そちらに栄養を取られている。などという可能性も有る。
…もしかすると、人に化けたドラゴンという存在は。育ち方やら発育やらが、年齢よりも個人の性質や環境に左右されるのかもしれない…彼女の、下に居る妹など。
少女にとっては年上なのに、彼方の方が見た目幼い訳で。
ひょっとすると、これは。学術的な大発見になり得るのではなかろうか。

「――纏めて、ドラゴン、とぃっても。色々とぁるの――でしょぅ。東の龍等も、また、親戚のよぅな物なのかもしれませんし…
竜胆ぉ姉様と、近しぃとぃぅ発想は。とても好ましく思われます。…そぅですね、当然かもしれません。血を分けた…家族、です。

………そぅ、ですか、矢張り。……義母姉様然り、ラファル叔母様然り…泳げなぃ方が、異端、なの でしょぅか。」

小さく呻く。確かに、同じ存在云々を言うのなら。それこそリヴァイアサンという、海の象徴のような存在の因子が。少女自身にも受け継がれているという事になるのだから。
もしかすると、いつか。泳ぎ方も、教わりたがるかもしれない。…少女も、彼女自身も。乗り気になれないかもしれないが。

竜胆 > 学び方はいろいろと有るが、それを選ぶのは彼女であり、それと同時に―――その学び方が合うか如何かは、彼女しか判らない。彼女が自分を師として仰ぐなら、それなりには努力をしよう。
 ただ、教えると言う事に対して自分は明るいわけではないので、其処は容赦してもらおう。
 とは言えだ、先程も言ったが、彼女には戦場は経験してもらう必要があると、竜胆は本気で覚えている。

「進み続ける、と簡単に言っても模索して探すのと、導かれて走るのは、速度が違うものなのよ?
 とは言え、ええ。ええ。貴女の言うとおりに、休むことはないわ、早々追いつかれるつもりも……ね。

 ――そう?それを受け止めるのが大人の役割なのだから、子供は黙って迷惑かけて為さい。
 
 言葉も、魔法も、全ては貴女の想像力に起因するのよ。
 だから―――急務と言うのなら。頑張りなさいな。

 ―――と、さっそく?ふふ、言ってみなさいな。何を、食べたいの?」

 早速の甘えるという言葉に、彼女は、欲しいお菓子があるのかと首を傾いで見せた。正直に言えば、お菓子は、竜胆自体も食べたい所だ。
 紅茶に飽きているのだ、だからこそ、彼女に乗っかるというか、出汁にしているともいえる。

「シンデレラストーリー。物語にはよくあるわね。夢に見るには、とてもいい、甘い、シナリオ。
 貴女は今はそれでもいいと思うけれど。
 胸は、それこそ趣味だから、ね?ほら。うちの妹なんてまな板よ、まな板。

 近しいかどうかは、別にハーレムと言う目標は得てないけれど。
 好きになったものを巣に引っ張り込むぐらいはするわね。」

 手広く、と言うだろうか。
 人の恋愛観に依っているわけではない、ただ、このんだ相手を抱き寄せたり、引き寄せたりはする。
 そして、この家には部屋が沢山あるので、そう言った相手を連れ込んで住まわせるのもできる、だからする、程度。

「……そうね、まずは、自分の大きな分類から探していくのがいいわね。
 でも……ふふ、貴女が自分の種をしっかりと決められるとね。
 頑張りなさいな?」

  
 正直に言えば、化けているという時点で、姿を偽っているのだだからこそ、様々な姿となる。それが必要ないのは、恐らくフィリや竜胆、リスなどの人の姿を持っている。
 その辺りは生まれの姿としてあるが、純粋なドラゴンなどは自分の好みで、変化するものだから、美男美女になるというもので。
 とは言え、基本的には、トゥルネソルの竜は、精神的な年齢が、外見の年齢になるもので。
 ラファルよりも年下のはずのシロナクロナの双子の方が外見年齢は大きいのだし、彼女もまた、そうなのだ。

「別に異端ではないわ?誰だって、学ばなければできないことがあるわ。それだけの話でしょう?泳げないと言うのは精神的な物が殆ど。
 水を必要以上に恐れているというだけよ。
 それに、必要とすれば、自然と覚えるでしょうし。」

 嘆く彼女に対して竜胆は軽く言う、三姉妹に関しては家庭の事情。
 彼女には必要性が薄いから覚えなかっただけ、それだけの話ではないか、と。

フィリ > 分からない。という事は。結局の所、試してみなければいけないという事だ。
幸いこうして、叔母である彼女と対面してみたのなら。母から薦められていた以上に、様々に参考となる事へと触れられた。
ならば今後も引き続き。様々な事を教授して貰いたい、そう願う。
…戦場へ引っ張り出されても、同じ事を言えるのかは――いや。知識への執着は少女にとって、謂わば種としての本能なのだから。
散々泣き言こそ言うかもしれないが。それでも、彼女から離れる事はしない…かもしれない。

「――それは、その通りなのですが。かとぃってぉ姉様は。追い付かせる気など無いと――思われるの、ですが?
…ほら、矢張り。そぅだと思ぃました。…なるべく、引き離されてしまわなぃよぅに。…いつか追ぃつけるよぅに。願ぃたぃものです。

とは言え……子供だから、大人に、手を引ぃて下さぃと。そのよぅにぉ願ぃするのは……少し、情けなくもぁるの――です、はぃ。
どぅせ子供らしくとぃぅのでしたら、…ぉ菓子を強請るほぅが、可愛げもぁると思われますし……ぅ、ん…と。それでしたら…
矢張り、紅茶には。スコーンが好ましぃの、です。……たくさん、甘酸っぱいジャムを載せて。

………ぁりぁりと、思ぃ浮かべられるのですが。はぃどぅぞと、魔法で形作るのは――難しそぅ、です…まだまだ。」

少しだけ。竜ではなく人の側、もう一方の母のような。肩肘張った負けん気が。片鱗を見せたのかもしれない。
決意を示すかの如く、両手を握ってみせるのだが。直後、実際のお菓子の話が出て来ると。どうにも…力を籠めた侭ではいられずに。
思い浮かべる菓子の甘さに、意識が引き摺られてしまう模様。
…実際に、その想像力を以て、自ら美味しいお菓子を生み出そうとした事が。言葉からして、ひょっとすると…過去に有ったのかもしれない。

「――はぃ。夢物語も、物語なの、です……読み解き、愉しむには。とても好ましぃ素材なのではと。
実現するのも、大変良ぃのですが…私としては。端から眺めて愉しみたぃ、そのよぅにも思われるとぃぅ……ぇ、ぇと。胸は、その。

ぁ…ぁ、矢張り、ぉ姉様も。引き込む側…なのです、ね。それは、物語の竜に……見受けられる事なので。大変、自然なのではと。
………そぅ……巣に、引っ張り込む、ですか――――」

胸のサイズに触れられて。思い切り瞳が彷徨ってしまう。自身についても、叔母達についても。迂闊な評価はしなかった…思い切り自爆しそうなので。
だが、それと同時に。何やら良からぬ事に思い至ったというか、想いを馳せてしまったような気もする。
矢張り、血の薄い濃いには関係なく。竜は竜であり、少女にも、その性質が受け継がれている――のかもしれず。

「――その為には。更に、比較すべきサンプルが。必要なのではと思われるの――です。ラファル叔母様にも、また。ぉ会ぃしなければぃけません。
義母姉様方にも、きちんと、挨拶しなければぃけませんし……ぅ、ん、これは。まだまだ、忙しくなると思われ――ます。」

引っ越してきて、ようやく。自分なりの部屋…巣を作ったり。落ち着き始めた風ではあったのだが。
本格的に学び始めるとなれば。また、動き回る必要が出て来るらしい。まだ見ぬ知識。尽きない興味。それらに、目を耀かせては。
最初この部屋に足を踏み入れた時よりと比べ、かなりしっかりと。頷く素振りを見せた。
目に見えるような変化ではないが、これもまた。時の流れとは逸脱した、成長の一形態なのかもしれない。
肉体年齢と精神年齢とが、必ずしも一致しないのも…また。竜に限らず、人の姿を持った、別の存在達の。特徴と言うべきか。

「――得手不得手は、誰にでも。存在するのではなぃでしょぅか。……ぃぇ、ひょっとすれば、ひょっとして、私も…ですよ?
海に入ってみたのなら、どぅにかなるとぃぅ可能性も皆無ではなぃかと………プールなどでは、駄目だったのです、が。」

彼女の指摘に。半ば以上賛同してみせる。
例えば草食動物は。いつ肉食動物に襲われてもおかしくない、という必要性に則って。産まれてから直ぐ、立って走れるようになる。
竜である少女も、もしかすれば、海というご先祖の生地に赴いたなら。本能を取り戻す可能性も有るかもしれない、と…それが。自然かもしれないと。
今の所は。プールで泳げないどころか、湯船で水に顔を浸け続ける事ですら。なかなかに怪しいのだが。

竜胆 > 別に戦う必要はないのだ、必要なのは、戦場を知る事、見ること、聞くこと。本を読むのと違う知識を得て欲しいだけである。
そのうえで臨むならば、戦えばいい、厭うならば厭えばいい。それだけの話なのだ、竜胆としては。
離れないと言うのならば、守る必要がある、から守ればいい。これでも、守りの魔法なども使う事が出来る。

「それはそうでしょう?後続に追いつかれるなんて、死にたくなるもの。貴女の才能が素晴らしい物であることを祈るけれど、それはそれ、これはこれよ。
 追いついたらそうね、何かご褒美を上げましょう。

 そうね、本来なら―――私が手を差し伸べて、その手をつかんで、引っ張っていけばいいのね。
 じゃあ、スコーン……持ってきましょうか。

 でも、ね。魔法で作る必要がないわ?魔法も手段なだけで。」

 そういって、竜胆は軽く指を鳴らす。そうすれば、しばらくすれば、様々なジャムと、暖かなスコーンが厨房から運ばれるのだ。
 それはそれで魔法のようなものなのである、紅茶を片手に竜胆は、ふふ、と笑って見せる。
 負けん気に関しては、竜胆は喜ばしい物と思う、なぜなら、屈しないという事は負けないという事であり、自分で高みを目指すための土台だと考えたから。
 彼女のお菓子の作成に関しては―――特に意見はない、おいしくないものを魔法で作るよりもプロの美味しい方が食べたいわ、とだけ。

「物語は、それこそ。想像力を鍛えるための学習と言う考えもできるから。その人がどう思い、どう行動したかを考えて、それをなぞることも想像力を鍛えられることだから。
 あと、フィリ?見て学ぶのも必要だけれども、大事なのは敬虔よ。端っこで見て居たいなんて、そんな怠惰は良いのかしら?
 私が、それを許し続けると、思うの?

 引っ張り、込んであげましょうか?優秀な弟子は、欲しい物だし。それに、魔術師は、基本的に寝食を共にして学ぶものよ……?」

 すでに、弟子入りすると言うので、そういう状態になってもおかしくないわね、と。そもそも、家族だから、今は既に同じ家の中にいるが。
 反応が面白いので、一寸からかい気味に、女は自分の口元を扇で隠して笑って見せる。

「ふふ、ふふふ。フィリ。サンプル、なんて、言うわね?
 いいわ、良いわ、その言葉、とても素敵よ、評価してあげるから、邁進なさいな。」

 女は、ひょい、と彼女に一本のカギを、それは、この部屋のカギであり、全てとは言わないが、ある程度の本は読んでいいわよと。
 彼女に対する最大限の、御褒美。

「お風呂や、シャワーは、大丈夫でしょう?水が絶対にダメという訳ではないと思うの。
 ただ、貴女は知らぬものの恐怖におびえているだけよ。
 とは言え、海ならいけると思うなら、海に行ってみましょう。」

 必要というもののほかには、やる気と言うのもある。やる気があるなら、自分で必要ない物でも覚えることができる筈。
 竜胆は軽く笑ってみて、うなづいて見せる。
 あまり外に出たくはないが、弟子が望むなら、それは仕方ない事、という割り切りがあった。

フィリ > とはいえ少女は、彼女程大人ではなく。融通を利かせられないから…きっと。
戦う為の場所に赴けば、戦ってしまう事になる、――実体験という、何よりの知識獲得手段に拘るから。ではなく。
そういう場所で、そういう人達と関わったなら。必然、そういう理由が出来てしまうのだ。
求められたい、役立ちたい、と……愛されたいとも思うから。両親だけ、家族だけ、ではなく。もっと大勢の人達に。

「――ご褒美。とても、良ぃ響きだと……思われます。…発起させられてしまぃそぅなの…です、とても。
…ぅ、ぅん…竜胆ぉ姉様に、引っ張られると。それはもぅ、何処にでも……連れ去られて、しまぃかねなぃの…ですが。

有り難ぅ御座ぃます。ぉ願ぃ、聞ぃてくださって――ぇ。ぇぇと、はぃ……?
――ぁ。そ、ぅ…ですね。その通りなの、です。……つぃ魔法の事、それにばかり。意識が向ぃてしまぃ――がち、なのでしょぅ。」

ぱちりと瞬き。其処から、幾許かの間を置いて。かぁ、と頬を赤らめる。
確かに。出るか出ないか分からない、どころでは済まず。うっかりとんでもない何かが出て来てしまうかもしれない、制御不全の魔法云々よりも。
トゥルネソル商会には、然るべき技術を有した、立派なシェフだのパティシエだのが居てくれる。
安心安全、そして確実。現実的なその手段を用いる方が。どう考えても良いに決まっているではないか。
…一つの命題。目の前の興味。其処に意識が持って行かれてしまうと、他の事が疎かになる。幼さ故の、割き得るリソースの少なさを露呈して。

何はともあれ。これ以上ない最適解、お抱え職人特製の出来たてスコーンに。ベリー等のジャム、クリーム、その他諸々。
まだ湯気の立つそれを。早速一つ、目元を緩めつつ手に取って。

「――その仰り方は。何だか、読書感想文の宿題を。思ぃ浮かべるの――ですが。
ですが、その通りだと思われます。…想像するしかなぃ事も。世の中には、多々存在しますので。…其処に、物語は。彩りを、形を。与ぇてくれる…の、です。きっと。
併しそこは。…そぅですね、内容によると言ぃますか――見てぃる内が華、とぃぅ事柄も。確実に有りますので…はぃ。
勿論。実際に触れるべき、事でぁれば。遠慮する気は無――ぉ姉様?竜胆、ぉ姉様?そ、その言ぃ方をされますと……勘違ぃして、しまうの……ですよ?」

頭を下げ、菓子を囓り始めた口元が。引き攣って。堪らず、また頬が紅くなる。
話題の繋がり的に。このタイミングで。そういう風に告げられてしまえば。弟子云々よりも、ハーレムやらの方を。どうしても意識してしまうという物だ。
甘く蕩かしてくれるとは限らないが、彼女との間に、そんな事へと至る妄想を。瞬時に脳内で組み立ててしまったのだろう。
どうして良いやら解らなくなりそうで、わわ、と声に出てしまいつつ。瞳を書架の方へと彷徨わせた――途端。
投げ渡された小さな物が、額にぶつかり、手の中へと落ちてくる。

「っ、っ――?
ぁぁ、っ、ぇぇ――と、ぁりがとぅござぃます、ぉ姉様――…良ぃのでしょぅか、一足先に、ご褒美をぃただぃてしまぃました…」

鍵。この部屋への。少女には未だ手の出しようのない、貴重な書に溢れたこの場所へと。
それはもう、少女にとって、何より嬉しい物を貰えた。そう言っても良い代物。
…言葉通り、これはご褒美だと思うから。順序が逆だが、引き続き努力邁進していく事を、もう約束せずには居られそうにない。
丁寧に押し抱き、胸ポケットへと仕舞い込んだその鍵は。今後、少女が常に持ち歩く事になる筈で。

「――良ぃですね、海。……入った事はなぃのですが。景色として、真夏の海は…とても、興味深ぃの、です。
竜胆ぉ姉様や、リスぉ母様、色々な人と出かけると。それはそれで――」

思い浮かべた。水に慣れる。それが最大の目的なのだとしても。夏の海だ、大勢で行けば、きっと良い思い出となる。
王都の母も招いて両親共にでも良いし、母の正妻である女性とも、これを機にもっと親交を深めても良い。
勿論その他、トゥルネソル家の大勢とも。

未だ見ぬ波打ち際に想いを馳せつつ。
その日はこのまま、彼女と共に。ティータイムを愉しむ事となる。
尽きる事を知らないように、様々な話は何処までも長引いて。最終的には、義母の妹であるメイドの少女が、呆れて夕飯へと呼びに来るまで。ずっと長居し続ける。
……今まで生きてきた中で、最もたくさん言葉を発した一日となった筈。