2020/08/06 のログ
■竜胆 > 彼女は聡明だ。正直に言って、自分の言って居る事をちゃんとかみ砕いてでも、自分の理解できるように理解しているのが判る。
そして、その上で、思考をしている、自分がどうするべきなのかという事を理解している、未だ、1歳に満たぬ経験で。
外見の年齢に精神は引っ張られているが、経験はそれこそ、生まれた直後の子供のもののはず、それでこれだけの事を考えているのだから、十分聡明だ、といって良い。
人との常識は、彼女の生みの母親の方で学んでいるのだろう、ならば、竜としての常識をここで、学ぶ必要がある。
とは言え、何方かと言えば人傾れな竜の多いこの家、竜としての常識を教えるには―――まあ適材と言えるか、人の常識との相違点をちゃんと説明できるだろう、どの竜も。
そう考えたので、に、と竜胆は口の端を引いて笑いを零す。
彼女は、どのような竜として、成るのか、もしくは人を、選ぶのか。楽しみだ、と。
「その言葉には、同意ね。生まれは高貴でも、その所作や生活が下品であれば、下品でしかないわ。
生き方は、生き様は大事よ。竜もそれは、同じ事。
そう、ね。自覚、の方が正しい言葉だと思うわ。
忘れないようにするだけではなくて、ちゃんと使いこなす努力もしなさいな、貴女であればそこまで言わなくても良いと思うけれど。
あと、発展も。」
使いこなし、御する、それは大事だ。そして、御する事が出来るならば、次にはそれを如何に使うか。
如何に発展させるか、が大事だと竜胆は思う、使えるようになった力は技術であり、技術ならばそれは、使うべきものだ。
便利に使うのも、手段になるのだ、と言いたい故。
「そ、人に国があり、その国ごとに人が違うように。竜にも種類があるわ。
人に見わけが付かなくても、ね。まあ、此処の特性があるから、それに当てはめた、人の区切り、だけど。
あと。
普通に竜と竜で交わった時は、うちの家族のような面白い事にはならないからね?」
トゥルネソルが特別なのだ。姉妹事に、個体種が違うのは。
基本は、同じ竜種同士でしか、子は成せないし、種族も親と同じである、これは、人との交わりが理由の現象だ、と。
それを説明しながらも、熱くなったカップを置かない彼女に、置けばいいのに、となぜそこだけどんくさいのだろうと、不思議に思い首を傾ぐ。
「まず、手を見せなさいな?幾ら、竜が頑丈だとは言え、傷がつかない存在でもないわ。
女の子は、手や顔、其処に傷があるとだめでしょうに。」
両手を包み込むようにつかむ彼女、はふ、とため息一つ零して、白い掌を開くように。
彼女の小さな手のひらに握られるのは悪い気はしないが、先に瑕疵の無いかの確認をしよう、と。
ご案内:「竜胆の部屋」からフィリさんが去りました。
■竜胆 > 継続します。
ご案内:「竜胆の部屋」から竜胆さんが去りました。
ご案内:「竜胆の部屋」に竜胆さんが現れました。
ご案内:「竜胆の部屋」にフィリさんが現れました。
■フィリ > …とは言え勿論、彼女には到底及ばない。周囲の大人達にも。
見た目相応くらいには考えられている…というのなら、それで充分褒め言葉になるだろう。
ただ、学ぶ事や考える事。知識という財を蓄える事が好きなのだ。それが良い方向に作用している、とでも言うべき筈。
お陰で。人見知りめいた部分はともあれ。会話の内容などで、人間相手に困る事は。あまり無い。
特に、一度ダイラスへと赴いた事が大きかっただろう。彼処は王都よりも更に。様々な人々が集い、色々な物に触れられる場所だから。
そう、識らない物を識ろうとするなら。矢張り直接触れる事、実際に出会う事が最重要。
王国の竜達が集うこの屋敷へ、居を移す事になった…その理由の中には。間違い無く、住人との接触が含まれている。
そうやって人と、竜と、出逢い関わり何を学ぶのか。まだまだ、全てはこの先次第。
「――終わりよければ…ではぁりません、が。最初がどぅぁれ、結論を出すには、途中式が重要なの…でしょぅ。はぃ。
そぅ…ですね。そぅ思われます。…同じ、生きてぃる存在なの――ですから。
と、ともあれ、っ。…習熟が急務――ぃぇ、焦ってはぃけませんが、重要でぁると…は、思われるの、です…
正直を言ぇば。こぅやって、ご迷惑をぉ掛けしてしまぅ事が。…幾度も在りました……から。」
まるで爆発物処理の如くに、そろそろとテーブルに戻したカップ。やっと一息つきながら。神妙な顔で頷いてしまう。
確かに、熱ければ離せば良いし…逆に冷めた以上、そこまで慎重に扱わなくても良いのだが。
一度混乱してしまうと、其処からなかなか思考を立て直す事が出来無いのは。間違い無く、経験不足故だろう。
そしてパニックが長引けば長引く程。ますます、制御を外れてしまう力が、何を起こすか分からない。
発展させるその為にも。先ずは地盤固めをどうするか。…一応。先を提示される事は。目標が出来るという事にもなるが。
「――特別と言ぃますか。…特殊、と言ぅのでしょぅか。リスぉ母様と――ゼナぉ義母様とが、特例でぁるとぃぅ事は。重々承知してぃるの…かと。
その、何と言ぅのか…竜と人。人と魔。…とてもとても特別で。それこそ普通、物語に出て来るよぅな…と。思われますので――
竜だけでも。色々とぃぅのも、確かにと。…竜、龍、それだけでも違ぃます。ドラゴン……も、一つの意味だけでは、ぁりません。
……そもそも。人とぃぅ存在も、きっと。色々、変わっているの――です…はい…」
何となく想像する。神だの魔だのと比較すると、どうしても見劣りするようでいて…なかなかどうして。人間という生物種は、決して侮れない存在なのだ。
現にこうして。複数種の鎹となっている事などを示されると。ますます納得してしまう。
先程、血の濃淡は関係無いと言われたが。混じった物の有無自体は、矢張り。意味を持っているに違いないと。
両手を押し抱くような姿勢で、彼女を見上げ頷いていれば、一つ、指摘。
一応あくまで手にしていたのは取っ手なので、大丈夫ではあると思うものの。心配もまた無碍にはしたくない。
ゆっくり、掌を拡げていく。
「――大丈夫…です、ぉ姉様。
…ぇぇ、私も…其処は、竜ですので。…見た目は人その物なのですが、結構、頑丈なのではと…?」
そういえば、まだ話していなかった。
というより今回、魔術に秀でていると聞かされていた為に、そちら方面での相談ばかりへと意識が向いて。
もう一つの、竜としての特異性に関しては。…次回以降の持ち越しか。或いは、フィジカル方面担当の人物に、聞く事となりそうだ。
■竜胆 > 彼女であれば、屹度、素晴らしい人にも、素晴らしい竜にもなれる。知識があると言うのは素晴らしい事だ。
人も、竜も、幼ければ幼いほど、頭が悪い。野性に近い物だ、経験をして、知識を得て、そして―――大人になる。
彼女は、既に幼少と部分からは既に抜けているのではないか、とおもう。確かに経験は少ないが、経験は出来るのだから。
経験を積ませるのであれば、様々な所に行くのもよかろう、と思う、危険な所―――戦場も含めて、の話。
竜胆は、そう思うのだ。
「そうね、そうね。今はまだ、答えなどを出すのは早すぎるわ、だから、ちゃんと、式を組んでいきましょう。計算も、魔法も、式は重要だから。
人間関係だって、その途中式は、大事よね。
ふふ。
フィリ、幼いころは、迷惑をかけるのが仕事よ?そうやって、周りの物に対応させる術を考えさせて。
そして、周りの物の対応を見て、自分が行ったことへの対処法を覚えるの。」
貴女ならば、出来るわ、と、目を細めて紅茶を啜る。彼女のカップ、中身を一度捨ててしまう。地面に落ちる前に、それは蒸発して消えていく。
女の、竜としての力で。そして、空になったカップに、新しい暖かなお茶を。
そっと差し出して、飲んで落ち着きなさいな、と。
彼女のパニックが続かぬようにと、年長として、落ち着いた対応をして見せよう。と言っても、姉妹の姉程度の年齢差ではあるが。
「特別……か、一寸だけ、違うわ?
私たちの父母が、最初よ。人と、竜が、交わったから、なの。
先程、フィリは物語を引き合いに出したわね。物語で、『人』だけが、竜を、魔を、神を殺す。
人と交わったから、私たちは違うの。
人は、可能性の生命体なのよ。
人と交わったから、『こうなのかもしれない』と、生まれたのが、私たち三姉妹。
竜は、己の力以上は出せないけれど、人は出せる。フィリも、己の力以上が出せる。
もし、フィリが誰かを愛し、子を成したら、屹度それは、可能性を持つ、存在になるのよ。
竜かもしれない、人かもしれない、愛おしい相手と同じ種族かもしれない。
難しいけれど、きっと、そうなの。」
彼女の言う事を補足する。人が、弱いだけの存在ではないのは、この世に、王のように繁栄しているのが、証拠だ。
人が、人として、強く有る部分なのが、可能性。それがあるから、このようになるのだ、と。
竜胆は、人を見下してはいるが、人を侮っては居ない。むしろ、怯えているからこその、攻撃的な姿勢とも、言える。
そんなことは恥ずかしくて、他の存在には、言えないが。
「大丈夫なら、良いの。確かに、人より頑丈でしょうけれど。無敵では、無いわ?
どれだけ頑丈なのかも、判らない物よ。
少なくとも、フィリは貴女の母並みには固いみたいだけれど、ね。」
瞳を細めて、竜胆は彼女に返答して見せる。
そして、不意に唇を、開いた。
「―――フィリ、貴女は、何竜?」
自分で、其処を認識しているのか、と。