2020/05/29 のログ
リス > 言葉で語るべきものもある、語らぬべきこともある、今は無粋を紡ぐよりも、ただただ、甘くおいしいワインを楽しむ方がいい。
 一番の目的は、今会話して行っているこれなのだから、それを逸らすこともあるまい。
 彼女が吐息を零してこちらを見ているが、不満は見て取れないので、同意を得たと考えていいだろう。

「特にナイン様は――権力。
 私は、財力―――。私の母の知己に、少し可笑しい人がいましたが、こういうことを言っていたことがあります。
 この世には、様々な力がある。 腕力、魔力、知力、財力、権力、魅力、精神力、努力、気力……どれもこれも力を表すものであり、この世を変質させるものである、と。
 今の話をしていたら、ストン、と落ちてきた気もします。」

 結局のところ、力とは物理的なもの、魔法的なもの、社会的なもの、心理的なもの、様々あり、その違いによってできることは違うように見えて、同じなのである。
 権力があれば軍を率いることができるし、それは物理的な力となりうる。
 腕力で誰かを従えさせて魔法を使えば、魔法的なものとなる。

 そういう事なのだ、と少女は笑ったうえで。じ、と半眼で彼女を見やる。
 好きなものを、言って良いのかしら?と、遠慮してるだけであり、遠慮をなくせばどうなるか、先ほども思い知っている筈だ。

「拘り―――その、大事なものだけは、どうしても曲げられない、曲げたくない―――あは。戻ってきて、しまいましたね、ルールの話に。
 大丈夫ですわ、早々致命的なことになる前に辞めるでしょうから。」

 審美眼、は拘りになり、こだわりは、ルールへと―――結局は、其処に帰ってくるのね、と笑うしかない少女。
 でも、その自分のルールこそが、自分たらしめるのでしょうね、と思うのだ。
 そして、それがぶつかったとき、喧嘩になった時、少女はきっとある程度以上になると止めるのだろう。
 それは、別れの時というべきこととなる、理由は―――少女が、人ではないから、一定以上になると、それこそ、竜が動くこともあるだろうし。それは望むことではない。
 個人と個人のじゃれあい、以上の喧嘩には、出来ない、と。

 三姉妹のそろい踏みは―――たぶん、色々な面倒くさいあれこれを潜り抜けて初めてと言うべき、偉業か。
 それが成った時は―――拍手してもいいかもしれない

「気にしないで良いわ、ナイン、商人としての言葉も、友人としての言葉も紡いだわ。
 そのうえで、ナインが決めたというのであれば、それに対して私は、うんと、答えるだけだもの。
 だから、商会に遊びに来てくれるのを、待っているわ?
 連絡くれるなら、おうちでも、良いのよ?」

 その際は、お茶菓子も出てくるわなんて、ウインク一つして見せてから考える様子に、首を傾ぐ。
 何か、あるのかしら、という疑問が。

「ハウスメイド……。
 適正的に言うのであれば―――ふふ。実は。うちの商会で取り扱っている奴隷は、基本的にはその辺りは必修させてますわ。
 うちの店員は、全員奴隷ですもの。
 護衛となると、それに合わせた技能を持つものを厳選しますが。
 ハウスメイド、掃除とかそういった技術なれば。
 それの上で、保守というのであれば。

 物理的なものであれば、牛のミレー 魔法的なものであれば、エルフ。
 先ほどの魔法的なものを考えてというなら、エルフの奴隷が一番お勧め、になりましょう。」

 奴隷は商品である。
 だからこそ、教育は行っている、何も知らないものを売りつけるのは、それを求められる時。
 基本的に欲しいもの、希望があって買い物に来る、それに即したものを提案するのが商人。

 ハウスメイドであれば、すでに教育は済んでおりますわ、と。
 

ナイン > (そう、目的は取引で、語らいで、食事。――最初の一つがなければ、有る意味デート、そんな時間なのである。
やがて肉料理が済んだ所で。今度は己から、あっさりとした飲み口の果実酒を注文しつつ。
引き続きやって来る魚料理は――山でも有るものだ、と感心めかされてしまうが。清流に住まう川魚であるらしい。
若干は残らざるを得ない臭みも、野菜や果実を用いたソースで、上手い事消されている模様。
矢張り、彼女お薦めの店だけあって。常よりもずっと食が進み、健啖になってしまいそう。)

 可笑しい人、というのは気になるけれど。――その通りだと思うよ。
 力は力。数多種類が有って当たり前。…等しく、他へと影響を及ぼせる代物であるのなら。
 差し当たって今日求めている物も。私を護ってくれる、他者の力、という物なのだから。

(人任せにする、というのも。ちゃんと、一種の力と呼べるだろう。
様々な手段によって間接的に振るわれる力。影響力だの、訴求力だの、その他諸々。…詰まる所、力、と故障される物全て。何らかの力なのである。

さて。まじまじと向けられた視線に関しては。いっそ、何故言わないやら、と小首を傾げてしまおうか。
…ただまぁ、其処は。そもそも話題の基幹に有った、次に屋敷へ招く際に、何を準備して迎えれば良いか――という。
その話題の延長線上なのだと、有る意味油断しているからでもあるのだが。)

 それだけ、大事な物だから。仕方がないよ。
 結局我が身を律する事が出来るのは、己自身であって。…その基準も亦、己で定める物しかないのだから。
 なりかねない、と…やれやれ。怖い事を言ってくれるよ。

(首を竦めた。確かに彼女自身は、己とどっこいどっこいのひ弱な少女でしかないのかもしれないが。
万が一彼女が傷付く事になった場合を想像すると…周りが怖い。
それこそ、三姉妹揃い踏みでなくとも。妹君のどちらか一人が出て来るだけでも、大惨事確定であり。
ましてドラゴン総出となってしまえば。己どころか此の国その物が火の海だ。

…流石に其れは。己も亦望まない。そもそも、不和を解決する手段としての喧嘩であるべき、そう考えているのだから。
――亦、妙な例えになってしまうが。夕陽の河原で殴り合って、少年同士が友情を再確認するのと。似たような認識なのである。
そんな事を言い出すと亦、発想が女衒のそれだとか、何故か言い草が男らしいだとか、からかわれそうなので。実際には黙っておくのだが。)

 助かるよ。…私も、思う事は口に出せていると思うから。
 それでは、一人目は直ぐ。暫くダイラスに居る内から買い取って…仕込ませて貰うとして。
 二人目――以降は。本宅の護衛にしたい者も有るから、王都に戻ってから。買い取りに出向くとするよ。

 …そうさな、序でに亦、こうやって。楽しませて貰えるのなら…有難いし。

(別段理由を付けずとも。商会へ、邸宅へ、普通に遊びに行けば良いのかもしれないが。
きちんと口実だか名目だかを付けた方が…立場上、矢張り融通を利かせ易くなるのだろう。
有る意味、二人目以降の購入を、此の場で即決しないのは。此も理由なのかもしれず。
脳内では既に、遊びに行く際の予定をシミュレートし始めていた。…先日知った、第二師団補佐殿お気に入りのケーキ屋だとか。
手土産にするのは良いだろうか…等と。)

 あぁ…成る程。成る程。そうだとすると、幾つか、手間が省けて助かるな。
 では矢張り――先ず二人目は、エルフにしておこうか。
 魔術が使えるだろうというのも有るし…元来頭の良い種族だ。事務方面でも手助けしてくれるだろうから。
 …っくく、私にとって、恐れるべき暗殺手法の一つとして…忙殺されかねない仕事量、という奴も有るからな?

 その上で。家事家政等も任せられるのなら、好都合だよ。
 ……どうやら此で。候補は皆決まりそう、かな。

(追加購入候補として。彼女の挙げたエルフ、ミレー、その二人に決めておこう。
三人となれば、早々、不測の事態に陥る事は無いだろう。

これでやっと。本日の商談と、後日の予定とが纏まった。そう考えるべきだろうか。
ぽん、と手を打って。店員を呼び、後々届くであろうデザートを。一品追加して貰う。
…此処迄で充分過ぎる程頭を使ったので。糖分を追加しておきたい、と。)

リス > 「ふふ、ナイン様……如何です?」

 食事が細いと聞いている少女が、おいしそうに食べてくれる、それだけでこの店を選んだ甲斐があったと言える、お酒を注文する様子を眺め、そのお酒を持ってくる給仕を横目で見て、グラスに、注がれる綺麗な白ワイン。
 魚料理にぴったりのチョイスに、さすがですわ、という感想を一つ。

「そうですわね……、人の中に当てはめれば、狂人という表現がぴったりと言っておりました?魔導の一つのテーマ……熱、でしたかしら。に、すべてを捧げて研究しているらしいです。
 この国のヒトではないですし、母の過去の知り合いという事らしいのですが。
 手にしてしまえば、すべて等しく力、という分類になるという事なのでしょう。」

 何と言っても、力というものは何処にでも在る物だ、意識してなくても試行していたりと、不思議なものである。
 それで世界が回っていると言えば、そういう事になるのだろう。
 半眼で見て、何も言わないでいたことの結果は、屹度別の時になって発揮するのだろう。
 その時に覚悟していてね、と言わないのが、少女の小狡さか。警戒をさせないのだ、と。

「素敵なことですわ、正直に言いまして。

 ―――こわいこわいどらごんですもの。」

 それは、己があるという事の証左であり、彼女が筋の通っている人物という事の証拠でもある。
 その思考に素敵を感じ取り素直に言葉にした後は。
 喧嘩に関しては、茶化して返答して見せる。彼女と同じ意識で、お互いを知るための喧嘩であればいい。
 三姉妹とかドラゴン反乱に関しては、口にしない、それがあり得ることとしたくないから。

「それでは、リヤンは一両日中に、ナイン様の元へと。装備は後日、遅くても一週以内に。
 エルフ、ミレーの両名のほうは、お待ちしておりますわ。
 そちらは来ていただく時のために装備もそろえておきますわ。」

 購入が確定したのはうれしく、しかして、仕事は仕事、するべきことはしておかないといけない。
 だから少女は正しく伝え、買いに来ることを心待ちにする。
 商売だけではなく逢瀬もまた、楽しいのだから。

「とても、とても甘いものを、お願いしますね。」

 追加する一品に、軽く注文を入れる、少女も糖分が欲しいので。
 だから、今回のデザートはすごく豪華になるのだろう。
 商談の終わった二人は、後は少女のように、お茶とお菓子と一緒に、ただただ、気の置けない雑談やうわさなどに興じるのだった―――
 

ナイン >  あぁつまり……偏執的というか、先鋭的というか、そういう事…なのかな。
 しかし、熱――ふむ。熱、ね。確かに、それはそれだけでも。色々と有りそう…だ。突き詰める人間にとっては、それだけの価値が有るのだろうな。

(少し、素人が考えてみただけでも。熱を加える、もしくは奪う、と両極端な使い道が有り。
どちらを選んだ場合も、此亦対象とする物によって、効果は千差万別なのだろう。
…熱、という一つだけですら。縦横無尽の用法を持っているのだ。ましてざっくり纏めた「力」ともなれば、況やというべきか。

――言わぬが花とは言うものの。如何なる花実が咲くのかは、後にならねば分からない。
…その時になって。悔いるか、驚くか、或いは…受け容れるか。)

 っは。魅力という奴を感じてくれるなら。…それも、力という事に。しておこうか?
 ……そう、魅力。…なかなかに、侮れないものさ。色々な意味で。

(冗談めかせ、片眼を瞑ってみせるものの。実際、他者を惹き付ける力というのは。充分強い力なのである。
それこそ、彼女が竜の姫として。数多のドラゴン達に傅かれているのも…それと同種の力と。言える筈なのだから。
己も亦。動かそうと思えば、軍の一個師団くらいは…となってしまうが。大喧嘩の果て、ドラゴンVS軍隊等という事態が起きる事は…無い、だろう。
己も、彼女も。其処の所は弁えているし、お互い、意義を理解しているのだから。)

 早ければ、そうだな。…リヤンの装備を受け取る際に、次の話も始めよう。
 こういうのは当人を連れていかなければ、きちんと詰め切れない所も有るのだろうし。

 ……ふふ、勿論だとも。体重だの何だの気にせず、たっぷり甘味に酔い痴れる…立派な。悪い事、という奴だろう?

(そうして。
商談が終わった後は、幾つかの日常会話や。もう少し踏み込んだ相談事等を重ねつつ。
フルーツと菓子の連作に、もう一つジェラートも加えたデザートに。舌鼓を打つ事となる。
食後のカフェまでしっかりと愉しんで……さて。其処で終わりになったとは思えない。

引き続き長い夜を、彼女と過ごすその為に。場所を移す事となったのだろうか――。)

ご案内:「ダイラスの高級レストラン」からナインさんが去りました。
ご案内:「ダイラスの高級レストラン」からリスさんが去りました。