2020/05/22 のログ
■ナイン > (無論、真偽など判らない…というよりも。もしそんな過去が有り、そして現在に繋がっていたのなら。
面白いというか、夢が有るというか。そんな、空想上の愉しみのような物だ。
…正直。往時の己は、実父と取り立てて仲が良かった…とは言えないと思う。
例え貴族だったとしても…典型的な、職務に忙殺される父親と。その心を知らない幼子、だった筈。
己が当主となる事を選んだ今になってから。もっと話をしておけば良かった等と思いもするのだが…今となっては詮無い事だろう。
今は、今。今生きている己と、その周囲で関わる者達の為に。今出来る事をこなすのみである。)
そうさな。勿論そういった身近な物だけでなく…幾つかの師団に出回り出している、新式の銃砲だとか。
中には自らで物を考え動いているかのような、絡繰り仕掛けの人形だとか…色々有るよ。
まぁ私のような素人目線で雑に言ってしまうと。今の我々には扱いが難しく、手に負い難い――とはいえ。魔道具に近しいのだとは思うけど。
何れにせよ個人で扱える、取引出来る程の物というのは。確かに、早々無い…のだろうな。
(少し、吐息。
それこそ今現在、己の立場で魔導機械という物を思い浮かべると。真っ先に列挙されるのが、軍事絡みの物ばかりだ。
剰え中には出所不明の侭此の国を脅かした上、数多のお家騒動を引き起こし、幾つもの貴族家が潰れた件すらも有る。
そういった危険な代物には、彼女は関わるまいというか――関わって欲しくないというか。
故に彼女が取り扱っていないと言っても、それを気にする事はない。
…確かに。安価で手近な、身の回りで役立つような物が。解析され、広く流布される事になれば良いのだが。
悲しいかな、其処まで行くにはもう少し。時間…否、年月が必要となるのだろうから。)
おやおや。そのつもりは無い…などと。私が言うとでも?
ぁ、は。…私が、私でなかったのなら。その誘いも歓迎してたのだろうけど…
(冗談には冗談で返しつつも。そうではない言葉には――さて。
本当に。互い、何も背負う物が無い、只の少女同士、友人同士でしかなかったならと。そう考える事は今も有る。
だが仮にそうだったのなら、その結果出逢うのは、己ではない己、彼女ではない彼女でしかない。
…だから、今が一番良いのだ。今こうして。ゆっくりと歩いていくような生き方が。
幸い己は若く、更に彼女は長命で。たっぷりと時間は有るのだしと。)
それはもう。此方こそ、末永く。…幾久しく両家が栄え栄えん事を、さ。
妹君にも…この件が纏め終わる迄は。もう暫く世話になり続けるだろうし、な?
………悪戯。…あぁ――悪戯、と。言って良いのか……なぁ。
(ほんの少し苦笑した。
彼女の、妹。正式な、護衛としての奴隷を購入する迄の間。代わりを務めてくれているのだが…大活躍だ。
連日連夜、彼方で暴漢を叩きのめしたかと思えば、此方で黒幕を吊るし上げ。
練りに練られた陰謀も、手広くばらまかれた裏金細工も、軒並み力で捻り潰している。
どうにも機械天使の一件以来、暗闘の続いている王城内、貴族界隈にて。
彼女のお陰だけで己の立場が向上しそう――というか、着実に対抗馬達が減りつつあった。
無論相手が手を出してきた、此方にとっては身を護っただけなので。同情などする気は無いのだが。)
…寧ろ、それはそれで。どうしても気になってしまうな。
あぁ、決して悪い意味で言っているのではないよ。貴女がそれだけ別枠扱いする事に、興味を惹かれる…というだけさ。
勿論、貴女の事だ。他とは違うとは言っても。判らない――だのではないんだろう?
(…取引相手としての。少女の、悪い所が頭を擡げた。そう言えるかもしれない。
安定した商品を選ぶのなら。敢えて例外に意識を向けるなどという事をせずとも良い。
それこそ事前に詳細を聞いておき、その中から選ぶ…最悪一度も店に赴く事なく、書簡や使者だけで済ませる取引も多々有るだろう。
敢えて詳細がはっきりしない物に、博打要素的な購入意欲を抱く必要など無いのである。
だが、別枠という物が、特別さを秘めている。そんな風に感じてしまうのは。期待値の高さと言うよりも、スリルや意外性への期待めいていた。
お陰で先日、オークション会場で。銭失いにならぬようにと、彼女に釘を刺されてしまったのだが。それとこれとは亦別問題。
借財ではないのなら。罪咎故か。のっぴきならない事情の為か。
少なくとも画像だけでは伝わりきらない過去の事情を聞く為に。画面へと向けていた視線が、真っ直ぐに彼女へと向き直す。)
―――― ……成る程。
昨年の、それこそ魔導機械密輸絡みで、王城では数多の貴族家が粛清されたけど。その一つなのか…もっと、前からの事なのかな。
何れにせよ、もしかすれば。……同じ立場として。一度なり擦れ違った事位。有ったのかもしれない…な。
聞かされた内容は。…半分以下位は、想像した物だった。
立ち姿一つというか。奴隷に堕ちて尚、画面の向こうに居る者達へと向けてくる瞳というか。其処に確かに、己と似通った物を感じていた為。
互い政争に敗れ、多くを失った貴族同士、という事になるのだろう…己は未だ残った物が有り。この奴隷は全てを失ったという差は有れど。
そして、失ったからといって其処で諦観するのではなく。未だ自己を保って立ち続けんとする気概の在処。それも亦、己には…解る、物。
引き続き彼女の説明が続く合間。こつ、こつ、と無意識に。爪指の先がテーブルを叩き。心中穏やかとは言えない、らしくなさ、を滲ませる。
やがて最後に。…瑕疵。成る程、そう言われても仕方のないであろう所迄を聞き終えた所で。
半分程残していたグラスの中身、流石に醒めてしまった血色のワインを、一息に呷ってから。)
―――― っ、く、は。
興味が有る、惹かれる――と言っても良いよ。
今日此の中から、選ぶとすれば。…私は、彼女を選びたい。
……堕ちきらなかった同じ、カルネテルの端くれに飼い直される。其処に反発されるとしても。
其処は、飼い主の責任という物なのだろうし……貴女が、躾けてくれてもいるのだろう?
(そもそも。己が彼女に求めたのは、昨今血腥さすら含み始めた権勢争いから。幾度か陥った我が身の危機からの護り手だ。
確たる武力と、王城等へ付き従わせても問題の無い所作。それさえ満たしていれば言い。いっそ此の二点以外は、完全なおまけと言っても良いだろう。
…それでも敢えて、最も不確定要素が大きいと言っても良い、元王族。現拳闘士。
気に入ったのだから仕方ない。…その目が。その意志が。)
■リス > 「そう言ったものであれば―――ええ。トゥルネソルには判り兼ねます。トゥルネソルは、基本軍事には不介入を貫きますから。
個人的なご依頼であったとしても、ええ、それが、ナイン様の懇願であっても、軍の戦には、人の戦には―――参加いたしません。
とは言えども、そうですね、平和利用できるようなものは、お墨と共に、回ってきます。
そういうのは、取り扱っておりますわ。」
先ほども話をしたような、魔石で光るカンテラなど、そいうモノだろう、魔力がなくても、代替の道具で、動く機械。
厳しい審査ののちに、第二師団から卸されるそれは、基本的には一般民間人用としては最先端、それは取り扱うのだ、この商会。
不慣れなのは、軍事利用用のそれだけなのである。
「自ら考えて動く……ゴーレム。そういうのがいるなら、人足としては素敵ですわね、従業員に任せられない危険な場所とか。
―――コスト次第ですが。」
彼女が話してくれた軍事用のそれ、確かに、ゴーレムなら疲れない、魔法で作ると魔力がうんぬんかんぬんだが、自分で動くようなそれがいればきっと、きっと。
でも、悲しいかな、居ないし、商人としては一台幾らが気になる、値段が高すぎるならあきらめ魔性になるのだ。
今だって、危険なのはドラゴンさんが、大活躍なので。
「―――ナイン様?」
ため息を大きく吐き出す彼女、自分の言葉が、何か不備を買ってしまったのだろうか?
彼女とは、公私ともに仲良くやりたいところだ、私でいうなら、仲の良い友人、公では今の所はある程度の信頼をもらってるパートナー。
その関係を崩したくない、だから、彼女の溜息に不安を覚えて、問いかける。
小心者なのである、この小娘は。
「ふふふ、言われると、わたくし寧ろへこんでしまうかも。
お嫁さんに怒られちゃうかもしれませんわ?貴族の一人も誘惑できないのかって。」
戯言は戯言のままに、IFとは、願望でしかない、なれば、現実ではないものとして、流して軽く笑うのが一番だ。
少しでも、思いが寄るのなら、その時はその時に考えて、じっくり話し合えばいい。
それが出来るのが、若さなのだから。
「あの娘にとっては、なんでもいたずらですわ?
覚えは在りませんか?政敵が―――不可解なほど、みっともなく馬脚を現したとか。」
今は、彼女に妹を貸し与えている、彼女は貴族であり、己以上に敵が多い。
だから、彼女からの依頼があり、彼女を守るものを探した。そして、それが見つかるまでの間、妹を護衛として差し出す。
妹は、護衛にはうってつけであろう、弓で射かけても聞かない肉体を持つドラゴン。それが、忍びの技を習得しているのだ。
力で解決できるなら力で、それが出来ないなら、情報で、権力で、詐術で、くのいちで―――ありとあらゆる手段を用いて、姉の友人を守るのだ。
少女は、遊びと称して城に忍び込むほどの忍びである。
第十師団長の執務室に入り、逃げることさえ朝飯前だ、匂いすら残さずに。
そんな幼女が本気になれば、彼女の政敵、名前も思い出せないような二流三流に止められるはずもない。
うまく捕まえて性的虐待をしたとする、それは、その帰属の瑕疵として公表されてさらに在らぬことさえ吹き込まれ、政治的な権力を奪われていく。
物理的に何とかしようとしたら、彼女も知っているだろう、笑って、撃退し、それを醜聞として広めてしまおう。
力を、技術を、隠形を、術を。えげつねぇ、此奴というレベルで行っていくのだ。
中には、全裸で少年と交わった状態でつるされた貴族だっていたという。
もみ消せないレベルでの話をいくつもいくつも、鼻歌交じりで行うのだ、娘の妹はいたずらと称して。
―――たまに、迷惑になってないか姉が不安になるレベル。大丈夫だろうか、と聞きたいが聞けない。
だって、ナイン様のの反応がすごく。
「―――。」
正直、興味をひかせる気はないが、興味を引かせることとなってしまうことに、歯噛みしてしまう。
ちゃんとした商品を適正価格で売るのが少女であり、今回のような懸案は寧ろ―――失策に近しい。
彼女がどう思うのかは知らないが、完全に素性の割り切れていないものなど、爆弾に等しいのだ、奴隷という鎖で縛っていたとしても。
完全、完ぺきという事はどこにもないのだから。
その言葉がないとしても、全力を出さないのは失礼にあたる、だから少女は、悔やむのだ。
ああ、まだ、商品になり切れていない彼女を商品として扱うべきではなかった、もう少し調べていれば。
しかし、調べの要である妹は彼女に貸し出していて、自分での調査の限界でも、ここまで。
十分と取れないものを出す悔しさを覚えるのだ。
「―――かしこまりました。 無
彼女は本来の名前を奪われて、今はリヤンと、呼ばれております。
お覚悟はあるようですが、重々ご注意召されるように。
お値段に関しては。」
少女は、やはりと思いつつも彼女の選択に了解を示す、自分が望まなくても商品として出した以上それは商品で。
彼女が―――客がそれをと願うなら、それは商売だ、思うところをすべて押さえつけて、今現在の彼女の名前を告げる。
本来の名前はあるのだろう、彼女の口からは、放たれないし、抹消されている。
妹が戻れば調べられるが、それではもう、遅いのだ。
値段は、己の不徳もある、瑕疵もある。なれば。
商品としての価値はその分低く設定し、少女は提示する。
ほかの奴隷の金額とは比べさせないように、伝えぬ。
伝えたら、彼女は高く払うから。
■ナイン > お、っと。…済まない。それは解っているのだけれど――私の周りには、どうしても。其方の代物が溢れてしまうのさ。
特に今は時期が時期というか、何と言うか。
貴女には聞かせまい、聞かせまいと。常々考えているつもりなのだけど。つい、それ等が出て来てしまう。
……我ながら血腥い物だと、な。そう考えたら――つい。
(人には人の、竜には竜の理が有るという事でもあり。彼女なりの為人…も有るだろう。
それは前々から聞かされている為に、物騒な事柄や代物に関しては、出来るだけ避けようと。考えているつもりなのだが…
真っ先に出て来てしまう例が、第二以外の師団に絡んでいたり。それこそ昨年の魔導機械襲来に関してだったりと。基本国の有事に関連付けられてしまうのだ。
時に彼女と共謀するような、悪童めいた悪さ、ではなく。文字通りの罪悪。罪科。
それ等に染まりきってしまい、自然と口を着いて悪びれもしない己自身に。溜息を着いてしまった…のだろう。
だから、不安を滲ます彼女の問い掛けに対して。苦笑混じりに片手を振った。
擁するに、悪いのは。切り替えの下手な己の方なのだ、と。)
…ともあれ、便利な事は間違いないさ。どんな道具も使い方次第、それこそ、貴女の言うような使い道も有るのだろうし。
此の国でも、自力で作り出せる物など殆ど無いから。結局コスト――はどうしようもないけれど。
ティルヒアのような技術力は、世界中探しても早々無い筈で…実際、今も。此の国の研究者やらは苦労しているよ。
(そう、今現在王城では、魔導機械について幾つもの研究が行われている。
ただ、中には彼女のような発想を持つ者も居るのだろうが…大半は、アスピダ攻略を考えての物だ。
その為、此以上細かくは語る事もなく。成果が出るには、商品とするには、難しいと。それだけを結論としてしまおう。
…築き上げてきた物を失いたくない、小心さは、少女の方も。亦同じ。)
ぁ…は。相変わらず聞けば聞く程…貴女の奥方が、随分な女傑に思えてくるよ。
その内、きちんと顔を合わせたいと思っているけれど――なかなか。難しいな。矢張り冒険者となると、今は忙しいのだろうし。
(くすくすと笑い乍ら酒杯を傾ける。
…正直。此の距離感、此の温もり、それを変化させてしまうのは。退くにしろ進むにしろ、なかなか時間と…それ以上に、勇気が必要になってくる。
だからこそ。あらゆる事象を、とりわけ己自身を、見定める。それだけの時が必要となってしまうのだ。
――勿論。どれだけ長くとも、有限ではある事を。忘れてもいけないが。)
有る。……凄く、とても、かなり、大量に――有る。
手段を問わない遣り口というのは。私自身が考えていたよりも、遙かに奥が深い物なのだと…やれはれ、思い知らされたよ。
(彼女の不安は解る。なので、大丈夫だ、とは口にしておこう。
…勿論。大丈夫なのは、護られる立場に在る己だけである。襲ってくる側に関しては、それはもう…可哀想な事になっていた。
早朝素っ裸で富裕地区の噴水に突き刺さっていた人物を引っ張り出してみたら、高名な貴族であったとか。
長年王都の闇に巣くってきた暗殺者集団が、一夜にして全員、冒険者ギルドの前に折りたたまれていただとか。
王家と癒着していたヤルダバオートの神官が、シェンヤンの宗教家の如く頭髪を根刮ぎ奪い去られただとか。
官軍の不和をより煽らんとする過激派の軍人達が、大事な計画書を幼年学校の教科書とすり替えられただとか。
聞くだけだと笑い話に近い気もするが、された側の人間にとっては、ご愁傷様――である。
物理方面でも頼りになるし、毒殺等を危ぶむ細かな警備も、先日見せて貰ったが。
…この無邪気なえげつなさこそが、最も恐ろしいのではないか。そう考えてしまうのも仕方がないだろう。
取り敢えず、一言で纏めれば。悪戯でも人は殺せるのである。社会的に。)
嗚呼。――解ったよ。
大丈夫さ、きちんと貴女が首輪を填めてくれていて。それでも御しきれないというのなら…それは私の能力不足だ。
(目を伏すようにして頷いた。
…多分、齟齬が生じた原因は。奴隷という物に対する認識の差、なのだろう。
彼女にとってこの奴隷は、商品だ。どれだけ大事に仕込み、育て、鍛えても。商品として世に出す為の研鑽だ。
対して少女にとっては…売り買いが終わった後は間違い無く、己自身の所有物となる物である。
彼女にとっては相手の為。己にとっては己の為。だから、最優先とされる事項に。ズレが生じてしまうのだろう。
少しだけ、彼女の声が変わった気がする。首を傾げたくなる程に。
だが、今はそれを問う事はしなかった。残る話をしっかりと、纏め上げる方を…彼女が彼女の、やるべき事をやり通すのを。優先する。
義務と権利。やるべき事に対する自負と自認。己はそれを大事にしたい人間だから。
告げられた値段にも。高い、安い、等と口にする事はない。
彼女が自分で、幾ら、と告げた値段なのだ。彼女が換算した価値ならば、其れに誤りは無いのだろう…と、信じる為に。
さらり、さらり。示された値を、小切手へと。己の名と共に。)
ご案内:「ダイラスの高級レストラン」からナインさんが去りました。
■リス > 『継続します』
ご案内:「ダイラスの高級レストラン」からリスさんが去りました。