2019/05/05 のログ
ご案内:「王城・魔導研究所」にリスさんが現れました。
■リス > 王城の入口の正門で、少女は籠を片手に衛兵と話をしていた。
ここに来た用向き、そして、誰に会いにいくかのアポイントメント確認、それを話し終わったあと、身分証である商人ギルドで発行されている手形を見せて、軽く持ち物検査。
王城に入るには、これくらいの事は最低限のことなのだろう。
書類に名前を書いてから、少女は王城の中に入る。
そして、王城の廊下をてくてくと、歩いていくのだ。
何度か来たこともあり、道も覚えているので、場所と道に問題はない。
しばし歩いていけば、目的の場所に到着をする。
そして、そこの入口を軽くノックする。
あらかじめ伝えてはあるので、そこに彼女がいるのは知っているが、ノックは礼儀とも言える。
彼女自身は、もっと気軽にきたまえ、ノックなどは要らないよ、と言ってくれるのであろうけれど……それでも、である。
そのへんは、几帳面なのかも、しれないわね、と自分で自分のことを考えて少女は苦笑。
ご案内:「王城・魔導研究所」にミリーディアさんが現れました。
■ミリーディア > 珍しく予定の入っていた此の時間。
普通ならば来客を迎え入れる準備をするものであろうが、今更感も在り普段通りに柔らかな椅子に身を沈めていた。
色々と散らばっている物も在るのだが、下手に片付けると場所が分からなくなる物も在るのだ。
特に意識を向けている必要も無いだろう、何故為らば…
「予定よりも随分と早い到着だね、流石と云うか何と云うか。
儂だったら時間丁度でも自信が無いと云うのにな」
そう扉の向こうの相手に言葉を向け乍、其の扉を開いてみせる。
開いてみせる、とは云っているが魔法を使う手抜き開放ではあるが。
■リス > 「あら、商売は、時間が大事ですもの。
例えば、生物を運ぶのも鮮度とか考えないといけませんし。
お約束をして下さる相手を、お待たせするというのは、良いことでは、ありませんわ?」
開く扉、少女の空色の竜の目は、その魔力の流れをつぶさに観察する。
水が流れてるわ、というような感覚で見るのは、魔導の知識がないから、その流れ方を見ているだけ、という子供のような感想。
そして、足元にキラキラ光るのは、おそらく魔力のこもっている品物なのであろう。
とはいえ、魔力のこもってないものでも書類とかいろいろ大事なものそうなものがあるので、極力踏まないように歩き、彼女の座る椅子の近くまで。
「こんばんは、ミリーディア様。
お久しぶりで、ございます、今回のお土産は、前回お話した通りに。
デザートワインでございます。
芳醇な香りと、舌を楽しませる果物の甘さが、ワインらしくないですが。
ふふ、私はこういう甘いお酒、大好きですわ。」
そう、言いながら籠の中から6本のお酒を。
赤ワインが二つ 白ワインが二つ ロゼワインが二つ。
どれも、少女が試してから買い付けたもので、甘いもの大好きであるなら大丈夫だと自信のものである。
入れ物として、籠に入れなおして、彼女に差し出そう。
■ミリーディア > 「成る程ね、考え方の違いかもしれん。
生体実験等の急を要したりする時は確かに気にするが、待ち合わせは……如何しても、な」
扉向こうに居た彼女へと視線を向け乍に言葉を返す。
良し悪しは兎も角として要不要を分けて考えている、其れを伝える様に。
律儀な彼女とは其の部分が大きく違うのだろう。
何かを追う様な視線は特に気にした様子は無い。
其れが何をしているのかは何と無く解っているからだ。
「ああ、今晩は。
態々すまないね、分かっていながらも、つい期待をしてしまう。
此れに関しては如何してもな……儂の悪い癖だ」
椅子に座った侭で彼女が見せる様に取り出す6本の酒を見る。
記憶ではどれも甘口で在り、彼女が考えている通りに自分の好む物だ。
困ったものだろう?と肩を竦めてみせ乍も、差し出された籠を受け取って。
■リス > 「ふふ、そうですわね。
場所や状況によっては、遅れる方が、礼儀という場合もありますし。」
礼儀や作法などは、その場面に生きる者のためのルールである、彼女のような研究者や、権力者は、向こうから来るので、そう言うものは必要ないのであろう。
それは悪いことではなくて、一般的な認識の違いでもある。
例えば、王様や隊長が一番最初にきたら、後から来る部下や臣下はいたたまれないものになるので、後から来るのがルールとなるだろう。
その程度の認識の差であり、笑い事で済ませていい程度の事、なのである。
少なくとも少女の中ではそういうものである。
「ふふ。
贈り物は、喜んでもらうためにするもの、ですわ。
商人としては、喜んでもらえるなら、幸いですもの。」
そう言いながらも、さて、と話題を切り替えるように、少女は笑って声を出してみせる。
まずは、大前提の話で、言ったほうがいいかしら、と。
「先日は、素晴らしい方を紹介いただき、ありがとうございました。
あれから娘と、仲良くできるように、努力してますわ。
まだ、手探りの状態、ではありますが。
で、あのお方に、お聞きさせて頂いたのですが。
うちの娘たちのことに関して、お話しを、と。」
聞いている話もあるが、まずはこちらの話もある。
最初には、彼女が知りたがっていた娘のことに関して、知りうることを伝えなければなるまい。
とはいえ、砦の件ではなく、彼女ら自身のことに関して、であろう。
共通の認識を作った上で、話をしたほうがいいと思ったゆえに。
■ミリーディア > 「確かにそうした意見も在る事だろう。
儂としては面倒だが、誰しもに其れが通用する訳では無い。
まったく面倒でいけないな」
種に依っては全く考えない者達も居るし、逆に人間の様に難しく考える者達とて居る。
其れは環境や生活の中に於いて生まれるもので在り、其の種で在るからそうだ、とも云い切れないのだ。
自分にとっては彼女に伝えた通りに面倒にしか思えないのだが。
「ああ、其れはもう十分に嬉しく思うさ。
美味しい物は在って損は無い、其れが自分の為に贈られた物で在れば尚更ね」
言葉を続け乍、其の籠を傍らへと置いておく。
話題の切り替えを感じれば、沈めていた椅子から身を起こす。
「役に立ったの為らば良かった。
彼女も久々に他人との会話を堪能出来たと喜んでいたよ。
少しばかり複雑そうな顔もしていたが、其れは予想出来る。
そう、其れも頼んでいたのは確かだ。
其れ次第では面倒事も無く事を進められる可能性も在るからね」
予想だけでの会話依りも、理解した上での会話。
何を決めるにしても其れが無ければ半端なものにしか為らないからだ。
■リス > 「面倒と言い切れるのは、羨ましい限り、ですわ。」
少女は楽しそうに笑い飛ばす、彼女がそう言っても良い立場に居るからなのであろう。
自分のような小市民から見れば、そういうことは一度は言ってみたいものである。
とはいえ、それをすると信用がガタ落ちするだろうし、冗談として終わらせておくに限る。
「あとは、お店から買ってくだされば、なお嬉しいですわ?
キッスのサービスぐらいはしますよ?」
商人である、紛れもなく。贈り物は贈りものとして、そこは割り切る。
でも、お客様としても来てくださいね、という意味を込めてしまうのは、サガだからであろう。
冗談交じりとしても、言うだけは言うのだ、だって言うだけならタダだし。
「あら、少し困らせてしまったでしょうか。
気を付けないといけませんわね。
まず、最初に私と、彼女の娘は。
人間年齢で言えば、上から二歳が二人、一歳が一人、ですわ。
そういう意味で言えば……娘たちには、まだ人の常識が浸透しきってないのですわ。
あの外見なのは、精神的な年齢がそのまま、体格に現れているだけっということなのです。
知力と精神は成熟していても、知識と経験が圧倒的に足りないのです。
アッシェは、本質からして、竜であり、それが人の姿をとっているので。」
まずは、娘のことに関して、自分の知る情報から、伝える。
このあたりをちゃんと話しておかないといけないところ、であるからで。
「で、娘の性格ですが。
竜雪は、あれでいて、気が弱く、あまり慣れた人の目に出たがりません。
そして、怯えた反面、敵意などには、攻撃で返す性格です。
とはいえ……あの子はアッシェのもとでずっと育っているので、私も余り会う機会が薄く、親として恥ずかしいですが、わからないことも多くありますわ。
竜胆……これは、竜のプライドが服を着て歩いている子ですわ。
引きこもり、面倒くさがり、性欲は強く、執着心も強い。
気に入らないことはなんでも力で解決をする……ですが。
彼女は、体が竜にしては弱いらしく、実力のある冒険者レベルで止めることができるようです。
ラファル。
これは、竜の野生がそのまま、形作った子で、一番奔放で無垢ですわ。
とはいえ、とある冒険者に教育を頼みまして。
多分三姉妹では一番無害ですね、常識もあるはずです……完全にとは言い切れませんが。」
とりあえず、自分から説明するべきところはこのようなところかしら、と。
ただ、彼女が知りたいこと、自分がいい漏れていることがあるかどうかわからないので、視線で問いかけてみた。
■ミリーディア > 「昔からの性格だ、此ればかりは変え様も無い。
寧ろ律儀に通し続けられる君に感心を覚えるがね。
其れで疲れない訳では無いだろうが発散も出来ている、確りとしたものだ」
理解し、其れを行う事は簡単ではない。
此の年齢にして、そう考えれば伝えた通りに感心するもので在る。
硬過ぎず、砕け過ぎず、そうした柔軟さは大切なものだ。
「ああ、今度出掛ける事が在れば寄らせて貰おう。
情報としては伝えられているが、実際に目にするのとは違うもの。
百聞は一見に如かず、だろう」
彼女は商人だ、其の点も考えておくべきである。
ショッピングに強い興味を抱く様な性格では無いが、彼女の店と考えれば別と考えるのもありだ。
そして、友人の事も含め彼女から伝えられる情報に耳を傾ける。
どの様な存在で在るか、どの様な性格で在るか。
本質的な竜の能力とは少々異なる様だが、其の点は想定範囲内で助かる。
其れに問題としている点の上では然したる影響も無いものだ。
重要なのは後の性格面。
聞いた感じでは、矢張り問題なのは彼女の番と其処に強く繋がった長女の様だ。
此処で暮らす彼女、其の周辺で暮らしていればある程度の常識を知り、其れに準ずる思考も持てる。
種のプライド等に関しては仕方無いのだろうが。
其れを考えれば、彼女は当然の事、次女と三女は問題無い。
少しの間を置いて小さく吐息を吐く。
「当面で必要な情報としては十分だ。
今は人間の立場として居る以上、問題の有無は重要でね。
そうなると、先日の件に関してリス君に相談するのは酷かもしれんな」
視線での彼女の問い掛けには、そう答える。
否、そう答えるしかない。
共に居ないのであれば彼女には如何し様も無い事だからだ。
然し無関係ではないのだから、伝えるべき事は伝えるべきだろうか。
最近は悩ませてくれる事柄が多い、困ったもので。
■リス > 「生まれついてのものは変わりませんとも。
私の場合は皆がいてくれますから、発散は……ね?」
発散の仕方は、まあ普通ではないだろう。
少し前はもう少しひどかったものである、彼女も知っているだろう。
そういう意味では今は少女も丸くなってると言える。
「はい、おそらく満足させられるようなものはないかとは思いますが。
甘味は私が選んでますので、専門店に負けないと思いますわ?」
とはいえ、流石に有名パティシエの作る一品ものには叶いませんけれどと。
質は高くてもやはり総合商店は、専門店に叶わぬ部分はあるのだから。
「竜雪の件は、三女から聞いておりますわ。
あの子の情報収集能力は、ご存知か、と。
……あの子の仮面とフードは、人見知りで、目を合わせないため、とのものです。
彼女の言い分ではありますが、剣を持って問い詰めてきたから反撃した、と。
相手も同じく竜に連なる存在らしく、手加減はできなかったとのことです。
あそこに出向いたのは、酒の材料に必要なものを手に入れるため、だそうで。」
彼女の言いよどむ所。それに関しては、自分も聞いている。
すぐに連絡を取って、長女に事情を聴いても置いたのだ。
「そして、二回目の件に関しても。
魔法というのはよくわかりませんが、彼女が一回目の遭遇の時に使ったものが残っていたから、回収に向かったところ。
先日の存在がいたからと。」
どういう存在か、というのは詳しくは聞いていなかったが。
大体の話は、理解している、と彼女に伝えよう。
■ミリーディア > 「……そうだな、仕方の無い事だろう。
確りとした発散の拠り所が在るのは羨ましい事だ」
此れだけは純粋にそう思う事を述べた。
尤も自分の場合は発散する程に溜まるのか、とも云われそうだが。
見えない所で色々と在るものなのだ。
「其れは見てのお楽しみだ。
買い物序でに君に会うと云うのも在りだな。
そうか、為らば今の在庫が切れたら求めに行くとしよう」
普通過ぎる目的の上での外出は目的次第では詰まらないものだ。
然し、其れ次第では楽しみ様も在るだろう、そう考えた上での返答。
そして甘味の話が挙がれば、其の反応は即答と云うものだった。
「あそこは戦場だ、其の格好で怪しまれるのは当然だろう。
……反撃と云う事は、此方の騎士から手を出したものと捉えられる。
然し儂が見た感じでは構えを取っていた。
あの構えは居合いの類の筈、其の騎士の対応は必ずしも間違えとは云えないのだよ。
理由は解った、状況も明確に判断出来た。
仕方無いな、今回の件に関しては適当に誤魔化して伝えておこう。
彼女には、今度から下手な事は起こさず争いは回避、及び逃走する様に伝えてくれ。
王国の騎士と君の娘が一悶着起こした何ぞ、知れ渡ったら面倒だ。
会えるか如何か分からないが、其の騎士には儂から其れを伝えよう。
二度目に会った時、あの後に事が解決しているならば良しなんだが」
あの件の事、彼女は認知していた。
其れならばと此方の見解と、後の対処等を伝えておく。
■リス > 「発散なら、お付き合いしますわ?
こういう、気のないお話とか、お茶でも。」
彼女にもそういう場所は必要なのであろう、だからこそ、友人が……紹介してもらったあの人がいるのだし。
誰だって、木石ではなく感情があるのだ、何がゆえに貯まるかは知らねども発散の機会は等しく必要であろう。
「ふふ、おまけは、しませんわ?」
対価として、現金以外のものでの支払いを認めるが、基本的にはおまけとか安売りはしませんよ、と。
そうでなくても基本的には安売りをしているのだし、と、少女は軽くウインクを。
「ええ、仮面をつけて戦場に行けば、普通はそうなりますわね。
構え……?イアイ?
判りました、ありがとうございます。
娘にも、それは伝えておきますわ。
あのあと、解決していれば……?」
剣術に……戦いに疎い少女は、実際に見ていないものの上に、居合という東方の剣術を知らず。
彼女の言葉に首を傾ぐ。何となく、反撃ではないのだろうか、とこちらから仕掛けたのだろうか、疑問が湧いた。
が、許してくれるとのことで、それ以上の問はやめておこうと思った。
それでも、彼女が最後にこぼした一言が、不穏に思えたのだ。
とりあえず、お咎めがない、それが今のところの安心材料かしら、と。
■ミリーディア > 「今、こうして言葉を交わしているのも悪くないものさ。
小難しい話も在るが、其れ以上に疲れも癒える、と云えば良いのかね。
誰かが居ると云うのは良いものだ」
此の場に来るのは大半が研究員。
人との対面時は常に業務上の話ばかりなのだ。
故に今の彼女の存在は伝える通りのもので。
「其れは残念だ。
まあ、値切りやおまけを求める様な面倒な事はしないがね」
残念との言葉とは裏腹に、其の表情はそうとは云わず。
彼女のウインクに対し、冗談めかして肩を竦めてみせた。
「ああ、そうか、分からないか。
居合いとは、刀と云われる刀身に反りの在る剣に依る技の一つだ。
簡単に云えば、鞘から抜きながら斬り付ける技術だな。
だから、構えを取った時点で危険視されるものなのさ」
発する言葉のニュアンスで理解をしていないのは解る。
素人なのだから当然だ。
だから説明は簡潔に伝えておく。
要するに両者に非が在ると、そう理解出来る様に。
「此方としては、問題を増やしてくれなければ其れで良い。
聞いてないのかね?
彼女は二度目、終わった後に騎士を抱えて何処かに連れて行ったんだ。
騎士の無事は確認出来ていたし、砦に放置したのか、言葉を交わしたのか、其れは分かっていない。
其の時には騎士の方から向かっていたから判断は難しかったよ」
自分としての素直な考えを短く伝える。
続けての事柄は、此方も全てを理解している訳ではない。
然し彼女も聞かされてないのは不思議なもので。
無駄な心配や疑念を抱かせぬ意味で伝えておいた。
■リス > 「ふふ。
会話というものは潤滑油、ですからね。
できる限り、ちょくちょく顔を出させてもらいますわ?」
とはいえ、市井の身なのだ、できる限り、といっても仕事があるからままなるまい。
それでも、顔を出来るだけ出すだけ、だすはしておこう、と。
「確かに、ミリーディア様であればその様なみみっちぃ事はされませんわね。
失礼いたしましたわ?」
残念という言葉の、残念そうではない口調。
彼女はお金持ちに属する相手だ、貴族様である、そもそも値切りの言葉を出すほうが、悪かっただろう。
ちょっとだけごめんなさい、と苦笑を。
「なるほど……。
竜雪も、ラファルも、刀を使ってましたが、それ専用の剣の技術ということですわね。」
商人として武器自体はわかる。
技に関しては素人なので、彼女の説明で何となく一方的に追われて居た、というわけではないことが分かる。
それだけなら、種族のこともある、五分五分の所であるだろう。
今後を気をつければいいと言ってくれてるのがすごく助かるところだ。
「流石に、連れ帰ったことに関してはなんにも……。」
そんな事をしていたのか。
脂汗がにじみ出る、それは流石に聞いてないのだ。
ぇぇぇぇぇ、と言いたい気分であった。
とりあえず、ありがとうございます、と教えてもらったことに対しては礼を言おう。
■ミリーディア > 「其れは有り難い、是非頼もう。
場所的には心地良いんだが、其れが問題なのさ。
其れに何度か通えば顔パスで通用する様にも成るかもしれないな」
彼女には仕事が在る、其れは解っているから無理は要求しない。
後の言葉は冗談交じりに、小さく笑い乍伝える。
「別に失礼とかではないよ、金が在っても無くても、そんな面倒な事はしないってだけでね」
当然の事の様に伝えるも状況次第では如何なのか。
如何様な手も使える身からすれば、そもそも金銭的な拘りが無いとも云える。
其れを彼女に伝えるのは難しいものだろう。
思案するも、其れ以上の答えは見付からなかった。
「そう云う事さ、詳しく知る必要も無いだろう。
こう出来る、程度で良い」
結局の処は状況が全てを物語る。
種族的なもの、性格的なもの、技術的なもの。
其れ等を完全に把握し考えるのは難しい。
彼女としては知り得るべき点だけでも理解してくれたので、其れで良いだろう。
「何もして無かったから説明不要とも考えた可能性もある。
場所も魔族の国の中で放置して安全な場所では無かったからね」
場所の説明も無かったのだろう。
そう考えれば、其れについても付け足して伝えておいた。
良い方向で考えれば、安全な場所に連れて行った、其れに加えて事情説明をした。
悪い方向で考えれば、同じく場所を移動し、其の後は……説明は不要だろう。
どちらにしても安全面は確保したのだから、完全に悪く考えずとも良いか。
其れに関しては、如何考えるかは彼女次第となってしまう。
■リス > 「では、ご迷惑には、ならない程度に、と。
顔パス、なんて恐れ多いですわ……でも、顔なじみはいいかもしれませんわね。」
一市民ですし、ここはいろいろ部外秘の研究もしていそうだから。
せいぜい、よく来るお客様、程度でいいわと少女は思うのだ。
「あは、懐が広くて嬉しい限りですわ。」
彼女であれば、望めば誰かが買ってきたりとか付けとか、いろいろな手段があるだろう。
お大尽様な考え方は、商人としては嬉しいのだ。いいお客様にもなり得るから。
あとは付き合い方しだいである。
「商人は、武器そのものの知識があればいいので。
技とかそういうのは、剣士とかその道の人で。」
それが分というやつである。
そもそも、聞きかじった程度の技術など、生兵法にも程があるのだし。
それでドヤ顔で解説するのは商人としては良くないから。
「……相手も同じ半竜だから、かしら、安全と考えたから、かしら。
とにかく。
この件は私が娘に話しておきますので、軍としてはご容赦願いたく思いますわ。
責任問題が発生するなら、私が持ちますので、娘にはどうか。」
彼女の言葉に、少女は言葉を放つ。
娘の不始末は、自分の不始末でもある。
放り投げるわけにはいかないし、だからこそ、何かあれば、伝えて欲しいと告げる。
■ミリーディア > 「別に迷惑には為らないだろうね。
此処は研究施設でも在るが、魔術や魔導機械の相談も受けている。
理由なんてものは色々と作れるんだ」
其れが理由で彼女と同じ一般民も偶に訪れるのだ。
顔パスと迄は成らずとも、其れで十分だろうと。
「……彼女の件も在る。
彼女の場合は色々と必要な物も在るだろうからね。
其れを御願いするのであれば、応えるのも当然と云うものさ」
彼女に会わせた吸血鬼の友人。
なるべく周囲に深い関わりを持たず、なるべく静かに暮らしている。
然し必要な物も色々と在ろう、其れも踏まえての言葉だ。
「其れには同意だ。
儂とて扱うに到るかは別問題で知識を持つ程度さ。
実際に見せろと云われても難しいものだ」
難しいもの、出来ないとは答えない。
出来たからやるなんて、そんなものは自分にとっては面倒でしかない。
今の様に説明が出来る、其れだけで十分なのだ。
「其れは相手次第だろうね。
尤も、騎士ってのはお堅いのが多いが上には弱い。
何とかなるだろう、そう心配する事はないさ」
そう、彼女はそう云う性格なのだ。
だからこそ出来る限りで何とかしてやろうとは考えられる。
其の意図を汲んだ上での答えを返しておいた。