2018/05/17 のログ
■フェイレン > 震える膝を律し、ゆっくりと起き上がる。
床についた血の痕をブーツで踏みつけて有耶無耶にすると、自分の血液がさっと冷えていく感覚がした。
目を閉じ、開ければそこに立つのはいつも通り、貴族の手駒である己の姿だ。
視線を感じ、天使像を振り返る。すべてを見透かすようなこの瞳が、今の自分には煩わしい。
――もう、ここへは二度と来まい。
心身の軋む音に気付かぬふりをしながら、哀しい誓いと共に扉に手を掛けた。
この場に似合わぬ血の匂いもやがては消えてゆくだろう。
寂れた礼拝堂に冷たい孤独が舞い戻る。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区/教会」からフェイレンさんが去りました。