2023/07/15 のログ
ご案内:「王立コクマー・ラジエル学院 廊下」にショコラータさんが現れました。
ショコラータ > 振り香炉―― 鎖の先に香炉がぶら下げられ、
それを振り回して煙を撒き散らす、宗教儀式とかで見るアレである。

それをブゥンブゥンと長いリーチでフリフリしながら、実技系の魔術科制服が長い廊下を闊歩していた。
甘い香りのするその煙は、学院のスタンダードで考えると媚薬か何かという見方になりそうだけど、そんな事はなく。
実際健全な『反幻術作用』を有するお香である。

以前、コクマーラジエル生のハンスが雑用として運搬中のそれを廊下にぶちまけ、彼の幻術が解かれる所に居合わせて。
試験のカンニング対策か何か知らないけれど、
そんな面白そうなアロマが比較的無防備に放置される可能性がある場所を見過ごすはずもなく。
ハンスの配達先をマークしていたら案の定、後日無事な薬瓶が届けられており、それをちょろまかして来た。
この流れでいくと自分が盗んだと容易に特定されそうなものだけど、ハンスは決して私を売ったりしないと知っている。
このエッセンスによってハンスのミレー族隠ぺいが私の目の前で暴露されており、
そんな人が人生をかけて守ろうとする秘密を暴いた実績があってこそ、このアロマが「使える」と判断したのだ。

――この学院には怪談が多い。
廊下に現れる見知らぬ扉とか、一つ多い教室とか、無かったはずの通路とか、段数の変わる階段、狭間のフロア等々。
そんな怪談が決しておとぎ話では済まない当世ならば、このお香で暴けるものもあるのではないかと、興味本位にブゥンブゥン。

ご案内:「王立コクマー・ラジエル学院 廊下」にコルボさんが現れました。
コルボ > ここは学院であり、魔術の手ほどきも行う。
常勤にも、非常勤にも魔術師はおり、かの図書室にも相応の蔵書が象牙の塔の如く収められて。

故に魔術的かつ偶発的な事故も発生し、力場も生じる。
例えば、教室の相がずれるなど。

高等な知見から原理を結論付けられ、明るみになれば真相もまた明瞭に理解することが出来る現象の数々。
うまく利用すれば様々な恩恵、技術発展が見込めるものも多いそれを活用しないのは、

ここが生徒達の学び舎、半ば技術的に確立されてないものを運用するには危険な状態故に。

なので

「ふぅー。あ」

ちゃんと理屈を理解して教室の一つを試験的に使用している男が、
幻術で隠蔽された扉が看破された直後に開き、顔を出し、貴女と目が合うと、

「……」

何も言わず幻の教室の扉を閉めようとする。

ショコラータ > マッピングとかしないが、そうした事を気にかける者は常に周囲をそうした目で見ているし。
特にこうしてアグレッシブに仕掛けている状況ならば、往路と復路の間違い探しが出来る程度には集中もしている。

そうして見つける、一つ多い扉。ちょっと延長されている廊下。少し広がった教室と教室の隙間。一つ多い教室。

「――おん? おっ!? おおっ!?わー、増えたわナニコレ全ッ然分かんなかった。私もまだまだ――」

あれ違う?という違和感をすぐ確信に変えて歓声を上げ。
境界の踏破を得意とする魔術一門の出であっても、気付けぬ隠ぺい術がざらにあると思い知る。
イイモノ拾った!とウッキウキ顔で香炉を掲げるが、今は私の所有物より未知の扉だ。
どーせ鍵でもかかってんのかしらねと考えながら躊躇いなく開けに踏み出したら――

「――は?」

向こうから扉が開いて出て来る知った顔。
ナニソレつまんない、代わり映えしない、よりによって何でコイツ?と、反射的に半眼になって。
さて開口一番どんな反応をしてやろうかしらとチョイスの一瞬。
しかしその間にもそっと閉じられようとする扉に――

「スタァーップッ! もう見つかってんだから観念しなさいよ!
 センセ良い部屋使ってたじゃないココは何!? もしかしてアレ!? 誰かいる!? 監禁!?
 黙らせられない子、黙らせた!?」

ガン!と扉の隙間に靴底の硬いローファーを突っ込んで、爛々と輝く目で覗き込む。
やっちゃってんじゃないのー?とは、口元を笑みの形にして冗談半分だ。
とにかく幻術まで使って隠ぺいしようとする物を、自分がそのままでは見つけられなかった物を、
暴露させたのがよほど嬉しい様子。

コルボ > おそらくは魔術一門の系譜にあって、その最中には記されていたかもしれない現象。
もしくは、今もまだ失敗事例や注意事項として家の蔵書に収められ、これから目にすることがあるかもしれない事項。

そう言う意味ではいずれ家に帰るのであれば、稀有な事例に身を以て接した幸運ともいえるだろう。

「まってまってまってまって。まてまてまてまて! ちげえからそういうことしねえから!
 監禁なんて都度様子見にこないといけないことするか!」

 しかし遭遇したのは平民。寄りにもよっての腐れ縁。
 それがあろうことかすげなく扉を閉めようとして、それを阻止されて貴女の頭を抑えながら必死に閉めようとしてしばし足元で攻防を繰り広げ。

「え、マジで、なんで扉消えねえの。開いてても消せるつったじゃねえか、ちょ、ショコラータお前何した!?」

 不具合:隠蔽看破を誘発する薬品滞留への対処不十分

「……っ。……ああもうお前にも関係あることだから入れったく!」

 不意に、動きが止まり廊下に視線を巡らせる。
 誰か、生徒の気配を感じて、不意を突くように扉を開けて貴女の襟首を掴むと引きずり込んで扉を閉める。

 ……男が扉の外を伺う間、貴女が室内を見ることが出来れば、貴女であれば、
 他の生徒ならまだしも貴女であれば理由が分かるだろう。

 本棚。無数に並び、奥が暗闇で陰るほどに立ち並ぶ本棚。
 その棚に収まるのは例外なく背表紙に記述のない本達。

 魔本。
 以前に男が集めていた本を保管していた場所へ、今まさに貴女はたどり着いて。

「こいつ等バカスカ発生してたからな。だから、万が一二度と取り出せなくてもいいように、
 こういうところに収めてんだよ。
 ……たまに依頼受けて、この部屋の変化状況を観察する為に泊まりこんだりもしてな」

 そう言って部屋の奥、入口側を男が示せば、そこには簡易的なベッドや整頓された書類が置かれた机などがあり。

 ……熟練の、お偉方に顔を覚えられた冒険者という名の何でも屋が行う、
 学院の中にあって行う依頼といえど、生徒に教えることにない依頼の一つを垣間見せて。

ショコラータ > 「ふぬぐっ!? あーもうそういうのいいから犯人は皆そう言うのよっ!」

頭を押され、割と必死な追い出しにはガッシ!と扉とドアの縁に手をかけ ぬぎぎー! 押し開こうと。
ムキになってグイグイ侵入しようとするが、頭部にかかっている手をそのままにする辺り、
この意外と職務には真摯っぽいと評価する男が、致命的な反撃には打って出ないと信頼しているのか。
必死、ではあるけれど、どこか楽し気に。
攻防の間にも双眸はキョロキョロと、何をどうやって隠していたの!?と周囲を探り始めている。

「ふっふん教えないわよ!まあ私だから!?これくらいは――あうっ!?」

押し合いへし合いするために、振り香炉は取っ手を前に、香炉を後ろにの形で肩に鎖をかけられている。
なおもホワホワと優しく煙を立てているそれが原因だと、わざわざ教えてはあげないが。
もしかしたら教員連絡網とかで、その手の物品か紛失したとの報告はあったかもしれない。

さておき、急に引っ張り込まれると ナニゴト!? と一先ず大人しく。
とはいえ一瞬の事で、コルボが外を気にかけるなら外はコルボに任せて私は中を。
そそくさとズカズカ入り込み、察した。

「――はぁーん、ココに貯め込んでんのね。やっぱりそうなるわよね処分なんて勿体ない。
 けどそっか、一つずつ内容確認するほど暇でもなくて、放置しての影響を観察くらいと。
 …ただ置いておいて何か変わる事、ある?」

いずれ書架の林で再開したなら再戦不可避かもしれない魔本採集。
キノコのように自然発生する魔本の状況が変わっていなければ、その一部は今もこの生徒のような者によって流出している。

宝の山だー そうかー ココなのねー と不穏に目を見開いたニヤケ顔。
しかし流出させているモノが周囲にどのような影響を及ぼすかは、
興味ももちろんだけれど損害評価的なところでも気になるようで、放置されていて異常性を発揮したケースはあるのかなんて。

コルボ > 「おま、くそ、魔術師、どんだけ足腰鍛えて。
 テメエこういう時威勢がいい奴は案外弱いもんだろうがバッチリ拮抗してんじゃねえよ!?」

 頭を掴んだ時に気安く触んないでよなどと、会った当初ぐらいであれば言われそうだが、
 強い。
 頭を中心にグイグイと押し返して来る。意外と体幹しっかりしてる。
 もしかしたらスカウト適正もあるのでは? オンリーワンな立ち回りが出来る子になるのでは?
 などと思いながら、否、思ってる場合じゃないマジでしっかり踏ん張ってきてる。

「ん、お前、それ……、まあいいや!」

 おそらくは香炉はともかく、薬品に対しては薬品に対しては届け出はないだろうか。
 ミレー族の隠蔽看破は命に係わる。だが、それでも、その煙が要因だとすぐに思い至ったのは、
 男が貴女への信頼、腕も視野も発想も一目置いているところにあって、
 真相に行きつかずとも『こいつ興味本位でまた結構なことやってるな』などと目星がつけば引きずり込んで。

「まー、処分の方向じゃあるが、肝心の処分の方法と、お前がいう通り人手が足りないんだよ。
 だから一旦保留の蓄積に回ってな。
 お役所仕事だから見ての通りこうしてなあなあで状況が却って悪化してんのよ。

 お前みたいに察しがいいのが学院にいればなー。」

 なんのかんのと引きずり込まれる時には抵抗せず、己の対処を察したように合わせてくれるのは気持ちが良くて、
 内心今度依頼に誘うかなどとさえ思いながら。

 ……正直なことを言えば貴女の評価が”平凡以下”と称されてるのは気に入らなくて。
 いっそ外部での実地研修の評価を提出しようかと考えている有様で。

「あるよ、ほら」

 その言葉と共に、いつの間にか、男は音もなく隣にいて、
 いつの間にか手にはフセットが、目盛に聖銀が穿たれたそれを握り、
 音も気配もなく奥から空を裂き飛来する魔本、それを、音もなく、驚く様子もなく、
 静かに魔本の軌道へ合わせて白銀煌めくフセットを一閃し、引き裂き、霧散させる。
 後から観察すれば気配も音も魔力さえも断つまで変化したそれを、まるで蟲を叩き落とすように対処して。

「たまに癖の悪い奴が周りから力を吸収してまた動き出す奴がいる。
 そういう”特級”以外は大人しいもんだ。ちなみに吸われた魔本は維持できなくて消える。

 だから数自体は減らせるし、一番の餌は同種っぽいから、こいつ等この教室からは出ないから、まー、いいかなって」

 逆を言えば、図書室が特級の巣窟になりかねないのだと言葉の外で告げる。
 まるで全部伝えなくてもお前なら分かるだろ? とでも言いたげな視線と共に。

「つーか、お前、前も言ったけど首突っ込むつもりじゃねーよな?
 ……今度首突っ込んだら」

 ニヤァ、と嗤って。

「……最初会った時ぐらいのオイタじゃすまさねえからな?」

 耳元に唇を寄せて、そう囁く。まるで年頃の学生が読む恋愛小説に出てくる、
 強い推しでヒロインをものにしようとする登場人物のように。