2023/07/08 のログ
ご案内:「夢現の領域」にタマモさんが現れました。
タマモ > 夢現の領域、そう名付けられた領域。
そこは、いつなのか、どこかなのか、はっきりとしていない。
なぜならば、その領域を形作るのは、そこに招かれた者の記憶に起因されるものだから。

そうせずに、己が思い浮かべる場所、とも出来るのだが。
自分の記憶に強い場所の方が、色々と楽しめるもの…と、そう言った理由もあるからだ。
…まぁ、ただの気紛れと言ったら、それまでだが。

「とは言え、招けるか招けぬか、運次第なのがあれじゃのぅ」

今はただ何もない、真っ黒な闇の中。
ぽつりと佇む少女は、そう呟いた。

そう、この領域、なかなか楽しめる効果なのだが。
招き入れる対象が、己には選べない、と言う欠点があった。
相性と言うか、偶然性と言うか…ただ、それはそれで、面白い。
今回は、誰が相手として現れるのか、誰も現れないのか。
そうした運試しも、少女の好むところではあるのだから。

ご案内:「夢現の領域」にサウロさんが現れました。
サウロ > 「…………?」

(強烈な違和感が起こったのが一瞬。
 何かに引っ張られるような、招かれるような、落ちて嵌っていくような謎の現象。
 自室の机で書き物をしていた矢先に、一瞬だけ寝て、がくんと体が揺れて目が覚めるような感覚。
 周囲を見渡してもいつもの自室の部屋。サウロの記憶と寸分たがわぬ、所属する自由騎士団の屯所の中で与えられている一室だ。

 疲れているのかもしれない、と席を立ち、差し水に水がないので調理場まで取りに行こうと部屋を出れば、
 明かりもない真っ暗な廊下が続いている。人の気配もない。
 何かがおかしいということに気付いた時には、サウロの視線の先に、彼女がいただろう。
 卵色の髪に、ふさふさとした尾っぽを揺らす、異国情緒のある着物を纏う小柄な少女。

 ──彼女の領域に招かれるという超常的な現象を理解する間もなく、サウロは身構えた。
 身構えたつもりだが、身は強張っていた。
 彼女にされたことを、まだ身体と記憶が覚えているようだ。

 彼女にとっては真っ暗な空間がどこかの建物の中に変化したことがわかるだろう。
 騎士団や憲兵のような組織が集う駐屯所のような建物の構造は、サウロの記憶に由来するものだが。)

「君は……どうしてこんなところに、」

(サウロにとっても夢か現かわからない領域で、その主と正面から対峙することになり、警戒しながら努めて冷静に問いを掛ける。)

タマモ > どこまでも続く周囲の闇が、どこかの風景に変わった。
詳しくは知らないが、どこかの一室らしい。
それは、この領域に、誰かが招かれた事を意味する。
まぁ、その誰か、なんてのは、すぐに理解出来るのだが。

「おや、これはこれは…今日は、運が良いらしい」

そんな誰かが、己に気付き、身構える。
それを視線の端に捉えながらも、こちらは警戒した風もなく、ぽつりと呟き。
ゆっくりと、そんな相手へと視線を向けた。
………見覚えは…あぁ、確か、あるはずだ。
名前は…忘れた。
実のところ、名前を聞いていない、と言うオチなのだが。
浮かばないのはいつもの事、と気にしていないのだ。

「あー…さて、何でじゃろうなぁ?」

警戒を強める男を前に、少女は、くすくすと笑う。
それはそうだろう、構えるも、その身が強張っているのは、感覚で分かるからだ。
ゆらりと、相手の方へと向き直り、軽く一歩。
そこからの反応で、さて、どうしようか、と。

サウロ > 「……っ、……ここは、何処だ」

(一歩踏み出す少女に、反射的に一歩下がる。
 お互いに名前は名乗っていない。
 名前を尋ね合っていないし、友好的な雰囲気でもないので、当然かもしれないが。
 部屋の中は机が二つにベッドが二つ、誰かとの相部屋と思しき場所はさして広くもない。
 窓から差し込む月明かりと、机の上のランプだけが光源の薄暗い部屋だが、
 不思議と彼女の姿ははっきりと視認できる。
 この空間はサウロも良く知る場所だが、現実の場所とは思い難い。
 そこで思い出したのは、彼女は別の次元のような場所へ引きずり込む能力があるのだということに。
 ここが彼女の作り出した空間で、自分が選ばれたというよりは、無作為に誰かをひっかけていた、と取るべきなのか。

 前回のことを深く思い出さないように首を振る。
 そうしないと、その声を聴いているだけで記憶と一緒に体験した感覚まで揺り起こされそうになる。)

「……君に、聞きたい事がある」

(距離を詰めるなら、思わず下がってしまうが、冷静に、と理性を保とうとしながら、そう告げて。)

タマモ > 「うん?いやいや、ここはどこだ、と言われてものぅ?
それは、お主の方が、良く分かっておると思うんじゃが…」

男の問いに、軽く肩を竦め、そう答える。
実際、この場所は男の記憶から、引っ張り出したもの。
伝えている通り、場所、としては相手の方が詳しいのだ。

そんなやりとりをしながら、軽く意識を周囲に向けてみた。
自由騎士団の屯所、とはさすがに分からないが、どんな場所かは、男の記憶から分かる。
ふむふむ、なるほど、と頷きながら。

「………おっと、いかんいかん。
して、どうかしたか?」

そんな中、声を掛けられ、意識を相手へと戻す。
距離を置かれたら、更に一歩、そうして、距離を詰めようとしていれば。
いずれは、壁にでも追い詰められるだろう。
相変わらず、構えもしない、一見、隙だらねな様子を見せながら。
まぁ、追い詰められる…その一歩手前で、足を止めるつもりだが。

サウロ > 「違う、ここは僕が知ってる場所じゃない」

(言葉遊びをするようにのらりくらりとはぐらかされる。
 聞きたいことを分かってわざとそうしているのか、ただ普通に尋ねられたことに対して答えているだけなのか。
 形こそサウロの記憶のままであるが、そうであれば常に誰が人がいるはずだ。
 その人までもが、この空間で再現されるかはわからないが。

 考え込む、というよりは何かを理解しているようにも見える姿は、異様に思える。
 窓際近くまで下がりきれば、それ以上は避けようもなく。
 隙だらけな姿をしている少女にこんなにも身が強張るのは、それほど鮮烈な体験だったと言う証だ。
 何とも思っていない、そんな風にも見える姿に、翻弄されているようにも思えるが。
 数度短く息を吐いてから、碧の双眸を細めて少女を見下ろして。)

「──……君と以前会ってから体が、……その、あの時のように、少女の姿になることがある。
 これは、君の力の影響で、間違いはないか?」

タマモ > その言葉に、軽く思案するような、そんな仕草。
少し考えた後…ぽむ、と手を打った。

「いいや?ここは、お主の知ってる場所じゃぞ?
ただ…知ってる場所なだけで、実際に、そこに居るとは限らんがのぅ?」

何かの違和感で、それを感じ取ったのだろう。
だから、少しだけ、知りたがっている答え、そのヒントを伝えてやる。

余程、頭を使わない相手でなければ。
それで、何となしには分かるだろう。

そして、窓際まで追い詰めれば、足を止め。
続く言葉に、また少しの間…思い出したのだろう、また、ぽむ、と手を打つのだ。

「あぁ、なるほど、そうなったのじゃな。
ふふ…また、あの時のようになりたいか?
そうでないのならば、今回は、逃げてみると良いやもしれん。
もし、この場所から、逃げ切れたのならば…
今回は、何もないかもしれんし、お主の問いに、答えるやもしれんぞ?」

笑みを浮かべたまま、ぱちん、と指を鳴らす。
すると、それに反応したかのように、この部屋の扉が、きぃ…と、勝手に開いた。
ここからがスタートだと、そう伝えるかのように。
そして…

「それか、妾と戦ってみるのも、手やもしれんな?
妾に勝てたならば…同様となるじゃろう。
勝てたのならば、じゃがなぁ?」

と、変わらず、身構えもしないままに。
もう一つの条件を、提示してみせた。
どちらを選ぶのかは…男次第だ。

サウロ > (否定、からのどう捉えるべきか悩ましい回答に、サウロの眉が寄せられる。
 知っている場所ではあるが、そこにいるとは限らない。
 彼女の力はサウロの常識をはるかに上回るもので、恐らくここもまたその力の一端なのだろうとは、なんとなしに理解はできる。
 窓際に立つサウロと、その前で足を止めた少女。
 そうして手を打ち、指を鳴らし、逃げてみるといいと言う言葉に扉が開くのを視界の隅で捉える。
 サウロからの問いに、今は応える気がないということだろう。
 逃げるとして、この場所からというのが屯所からなのか、あるいはこの空間からなのかが問題だ。
 もしこの空間からだとすれば、逃げ場などないようなものだ。
 彼女がちゃんと出口を用意しているかさえ、正直疑わしい。
 思考するほど言葉が少なく、真剣な表情になる。

 或いは戦うか。
 武器は部屋の壁に立てかけてある剣盾。しかし部屋の中で振るうものでもない。
 勝てるか。無防備な状態ではあるものの、彼女の実力は計り知れない。
 ここが彼女のテリトリーであるなら猶更。
 どちらを選ぶか──。)

「……ッ、────はあっ!」

(可能性の芽がまだある方、だ。
 一歩踏み出せば十分届く間合いから、彼女の鎖骨の下辺りを狙って掌底を繰り出す。
 剣盾を普段扱う身は当然ながら鍛え、体力と軽い武術を覚えさせられている。とは言え、達人とは言い難い体術レベルだが。
 不意打ちに近い一撃になるのは、こうでもなければ通じないと思っているからだろう。
 見た目が少女であるが故に、拳ではなく掌底になってはいるが。
 その掌底が当たろうと防がれようと避けられようと、追撃を狙うように脚に力を込めて。)