2023/05/11 のログ
ご案内:「王都 船着き場」にサウロさんが現れました。
サウロ > (海路から王都へ入るための玄関口である船着き場。
 ウミネコやカモメが青空と海の合間で飛び交い、人々の喧騒は朝早くから響く。
 後方を美しいセレネルの海に囲われた王都マグ・メールでは、見慣れた景色だろう。
 新鮮な海産物を扱う出店や食事処、夜になれば酒場に明かりが灯り、深夜になるまで眠らない。
 船着き場で働く船員たちや、船旅で禁欲してきた商人や冒険者、
 傭兵などの為の娼館や連れ込み宿もあるのが、マグメール王国らしいと言えるかもしれない。
 そんな様々な職や人種が集まり、一番に賑わう昼時。
 珍しくサウロは私服だった。簡素なシャツとトラウザー、ブーツ。
 腰には自衛用の剣をさして、多くの人で賑わう港を歩いていた。)

「……そろそろ見えてくるはず」

(青い瞳が辺りを見渡しながら、そうつぶやいた。
 サウロは今日は非番だ。少数の隊なので基本は一人ずつ休息を順番に取る。
 なので、休日の楽しみに、美味しいと噂されるものを食べにいくのが、サウロの休暇の趣味だ。
 新鮮な魚、貝などの海産物を美味しく調理して出している店があると聞き、やってきたのである。)

サウロ > (昼過ぎと言うこともあって、噂になるほど有名な食事処は満員に近い。
 相席をしながら思い思いに注文する船乗りや、冒険者やら、商人やら。
 色んな人種や職業の者たちが、店内所せましとすし詰めになって昼食を取っている。
 暫く待ってから、一人であったサウロも店内へと通された。
 最初は冒険者組との相席で、軽く一礼してから席に着く。
 店内にかけられたメニュー札を見つつ、店内で食べられているものはどういうものか見る。)

「さしみ定食と、海鮮丼が人気と聞いたけれど、魚を生で食べるのか……」

(焼き魚や、魚介のスープに浸した麺類、パエリアなどは食したこともあるが、
 生の魚とは初体験だ。少し悩んでから、刺身定食を頼むことにした。
 先に食事を終えた冒険者たちは勘定を済ませて出ていく。
 忙しなく動き回る店員がやがて食器類を片付け、そこに次の客を呼ぶのだろう。
 注文を待つ間、サウロは店内を見渡した後、軽く目を伏せて喧騒に耳を傾けた。)

サウロ > (やがて届いたトレーを受け取る。昼時はこうした定食物がこの店の定番らしい。
 相席する商人らしき男と軽く会釈をしてから、サウロは刺身定食に目を落とす。
 色鮮やかな赤や白、ピンクといった魚の切り身が、美しく並べられている。
 メインとなる刺身はまさに生であるが、不思議と生臭さを感じない。
 川で取れるような泥臭さはなく、新鮮さがよくわかる煌めきがあった。
 付け合わせは白いライスと、野菜の酢漬けに、海鮮出汁のスープだ。
 それとは別に、小さい小皿には塩と魚醬がある。どうやらこれを掛けたりつけて食べるらしい。)

「神々の恵み、日々の糧に感謝を」

(幼い頃、孤児院にいた時から欠かさず行ってきた食前の祈り。
 それを済ませてから、赤身のサシミに軽く塩をふりかけ、フォークを通す。
 口に運べば、まろやかな触感、深い味わいがあった。
 焼いて塩を振った魚とはまた違う、口の中でほどけていく味わいにサウロは目を瞬かせた。
 海の魚を新鮮な内に食べるということが、こんなにも美味しいとは。
 一皿に数キレずつしかないのを惜しみつつ、味わう表情はいつもより緩くなっていた。)

サウロ > (塩と魚醬、どちらも試しながら、合間に口直しの酢漬けを食べたり、スープを流し込む。
 ぷりぷりとした白い貝の身の触感。捌いたイカの身。甘みのあるサーモンなど。
 しっかり味わいながらも皿の上から一つ一つなくなっていけば、あっという間に完食していた。 
 美味しかった、と呟けば、相席した人からも「いい食べっぷりですねぇ」と言われて気恥ずかしそうにする。)

「ご馳走様。お代はここに」

(少し食休みをした後、サウロは立ち上がってテーブルに代金を置き、店を出る。
 相変わらずの賑わいを見せる中、船がたどり着いては、下船してくる人々でまた賑やかになる。
 血の気の多い海の男は何処にでもいるが、今の所喧嘩などの騒ぎは起きていないようだ。
 美味しい料理も味わったし、少しばかり巡回してから戻るつもりで人込みの中を歩き出した。)

ご案内:「王都 船着き場」からサウロさんが去りました。