2022/11/16 のログ
ご案内:「ダンジョン」からクララさんが去りました。
ご案内:「【枯れた遺跡】」にアストラさんが現れました。
アストラ > 先日ギルドで請けた、ギルドからの依頼。
報酬はさほど高くはないが、寝過ごして出遅れたアストラに余り物の依頼よりは良いとギルド職員の女性が紹介してくれて、それを請け負ったのである。

必要物資を揃えて早朝に王都を出てやってきた枯れた遺跡。
少し前までは探索する冒険者たちで賑わっていたが、めぼしいものが尽き果てればやがて人は遠ざかっていき、人気もなくなっている。
こういう場所は暫く安全になるので新しく魔物が根付くか、盗賊や犯罪者などの根城として使われることになるのが常。
しかし今回は、王立学院の講習の場となる計画が立てられているようで、ギルドとしても遺跡を放置するよりは利用して貰った方が懸念は減るのだろう、ギルド依頼として発行することを受理したようだ。
詳しいことはアストラには分からないが、ダンジョンに挑んだことのない初心者冒険者、とくにスカウトなどの斥候的役割をもつ冒険者の育成の場に良いと聞いた程度。

「うーん……残っているのは雑魚くらいねぇ」

ふわふわと浮く天球儀めいた魔導具に魔力を通して、魔物を焼き払っていく。
初心者程度でも倒せるような弱い魔物が自由にうろついているということは、未だ強い魔物はいないのだろう。
ここ数日で人が出入りしている気配はないが、出入り口は複数あるようなのでまだ油断は出来ない。
壁に生える光るコケが簡易照明の役割を果たし、植物が成長して伸びて天井を貫いて青空が見えるし日差しが差し込んでいるので、じめっとした暗さはないようだ。

「今日一日でどれぐらい回れるかしら……一応簡易テントも持ってきてはいるけれど」

すでに探索されきったダンジョンなので、マップも支給されたし、全部を回る必要はない。
強敵もいないようだし、ざっと計算しても二日ぐらいあれば回り切ることが出来るだろうと雑な算段をつけながら、先へと進んで行く。
一週間ほど猶予があるので、それまでにある程度調べて安全確認が取れれば完了だ。

アストラにとっては簡単な依頼の部類。
特に問題もなく達成できるだろう────イレギュラーさえ起きなければ。

ご案内:「【枯れた遺跡】」にエズラさんが現れました。
エズラ > 「ウ、う~む……――」

覚醒――
薄暗い。呼吸はできる。静かだ。四肢は動く。
失態であった。
探索依頼を受け、ほとんど完了という矢先、遺跡の深部に当たる場所で、トラップ板を踏み抜いてしまった。
十分に注意をしていたが、思ったよりも安全であったということも手伝って、僅かな油断で大きな落とし穴に落下――幸い、即死を招くような仕掛けはなかったものの、強かに頭部を打ち付け、暫く気を失っていたらしい――
周囲を見回せば、落とし穴というより、まったく別の大きな空間、と言った方が良さそうなほどに広い。

「マイったな……――」

ともかく、脱出する必要がある。
群生するコケ類のおかげで視界はそれなりに確保されているが――それにしても広い。
未踏査地区に出たこと自体は、依頼内容の充実に寄与するわけであるが――
むしろ、最短の脱出経路は、己が落ちてきた穴か。

「――ものは試しだ」

どのくらいの時間、気絶していたのか知れないが、まだ探索中の冒険者がうろついている可能性もある。
穴の底から、「誰かいないか」試しに叫んでみた――
運が良ければ、誰かに助けを請えるかも知れない。
しかし、その「誰か」が穴に近づいた時、落とし穴周辺の追加落下トラップが、一斉に発動する仕組みであるという事実を、男は知らない――

アストラ > 順調に安全確認を兼ねた探索が進んで行った矢先に、遠くから人の声が聞こえた気がした。
強力な魔物がほぼいないとは言え、こんなところで大声を出すなんて、と驚きもしたが、そうしなければならないようなのっぴきならない状態なのかもしれない。
アストラは声のする方へと足を向けて遺跡の奥へと進んで行き、声のする方へと移動する。

「風よ、探して」

風魔術の初級、風の流れで人の気配を探知するものだ。
魔導具から放たれた風がやがて大きな落とし穴の方へと続いていることを知れば、そこから声がすることに気付いた。
トラップにかかったのだと知って、アストラは腰に手を当てた。

「あらまぁ…仕方ないわねぇ」

持ちつ持たれつ、ダンジョン内で助け合うのもまた冒険者だ。
穴の方へと向かって下を覗き込もうとした矢先、ブーツの底がトラップ板を踏んだ音がして。

「え? あ、────きゃあああっ!!」

抜けた底から落ちていく。
咄嗟に魔力障壁を張り、落下ダメージの衝撃を和らげることには成功したが、どすんと大きな尻が何かを下敷きにしたような気がした。
貴方が気付いて避けていれば、きっと貴方の荷物か何かを。
気付いて受け止めようとしたなら、大きく開いた足の合間から短いスカートの中の下着までが見えて、体勢によってはアストラの股間や尻がぶつかったかもしれない。

エズラ > 助けを求める声をあげてから少し後――ほのかに風が吹いたのを感じる。
外部と全く隔絶された遺跡というわけではないのだが、その風には一種の意図的なものを感じ――誰かが求めに応じてくれたのか?とホッとする。
しかし、敵性対象である可能性も否定できない――朦朧とした頭がようやく、いきなり大声を出した悪手を後悔し始める。

「ったく、オレとしたことが――」

ほどなく、足音が頭上から聞こえてくる――一人。
少なくとも、大人数に発見されたわけではないと知って安堵するが――次の瞬間、凄まじい音――複数のトラップの同時起動音――に身を強ばらせる。
瞬間、弾けるように両脚が動いて、落下してきた人影に向かってダイブ――クッション代わりに己の身を投げ出し。

「んぐぉっ!」

男の呻き声と、落下の衝撃によるホコリの舞った後に――仰向けの男の姿と、胸板の上に、跨がるような態勢となった女の姿。

「うぐっ……ムフフッ……怪我の功名――か?」

己の眼前に、大股開きのスカートの奥が丸見えになっていることを知って。
苦しそうにしてはいるが、その表情にはこの状況でもスケベ心を隠そうともしない笑みが浮かんでいた。

アストラ > 【移動】
ご案内:「【枯れた遺跡】」からアストラさんが去りました。
ご案内:「【枯れた遺跡】」からエズラさんが去りました。