2022/10/29 のログ
ご案内:「平民地区酒場・テラス席」にシャルさんが現れました。
シャル > 夜もだいぶ更けて、通りを行き交う人々もまばらになった頃。
いつも通りの学生服の上からコート代わりのロングケープを深々と身に巻いて、とある酒場のテラス席でテーブルへ突っ伏すようにくたっとしている少女。

「うう……ぐるぐるする……」

相も変わらずふらふらと散策に出ていたら、明かりの漏れる酒場を見つけて覗き込んでみたけれど、中は少々むさ苦しくオジサマ達が密集していたものだから、流石にちょっとそこに入り込むことはできず。
ふと見れば窓の外側に並べたテラス席があったから、店員さんに目配せひとつして、そちらへ居させてもらうことにして。

シャル > 「あっ、ええと……温かい飲み物がいいけれど、何かおすすめ、あります?」

注文伺いに現れた店員さんに、酒類は飲めなくはないのだけれどまだ苦手で、と伝えつつ。
何か良いものは……と尋ねれば、ホットワインを模した風にスパイスと葡萄のノンアルコールはどうかな、とおすすめされて。
ケープで覆ってはいるもののなんとなく学生さんぐらいであろう少女の姿に気を遣ってくれたのか、なかなかお洒落な提案をしてくれて。ぜひそれで、とお願いすれば暫しまたひとり。
店員さんが店内へ消えて行ったのを見送れば、またぺしゃりとテーブルに伏して。はぁ、と漏らす息が少し熱混じり。

「……外で、これはちょっと――治まってくれるといいんだけど」

何か具合でも悪いのか、それとも別の何かか、椅子の上で時折もぞもぞと身を震わせる。

シャル > やがて運ばれてきたホットワインもどき、がテーブルに置かれ、ありがとう、と一言。
突っ伏していたのを見られていたのか心配されたけれど、慌ててそれは大丈夫、とひらひらと手を振り。

「ちょ、ちょっと悩み事と言うか考え事があって……き、気にしないでください?」

それなら、と戻っていく店員さんを再び見送って。
カップをそっと両手で引き寄せると、少しずつ口に含む――まだちょっと熱い。
けれどなかなか美味しくて、好みの味だったからほんのり嬉しくなるけれど、いつもの癖で温かい飲み物にしたことは、今は少し失敗だったかも、と思う。
あれこれ考え事をしながら散策していたら、うっかり余計な事を考え始めてしまって、恥ずかしさやら何やらで火照った身体を落ち着かせようと。休憩できる場所を探して、そこへ更に身体を火照らせるような温かい飲み物を追加してどうするのか、とうっかり続きな自分に少し呆れながら。

「ひとまず……外の席があったのは……助かりました、ね」

ご案内:「平民地区酒場・テラス席」にコルボさんが現れました。
コルボ > 「客すっげぇな、ったく……。」

 店の中から逃げるような、そんな辟易した口ぶりでテラス席にやってくる男が一人。
 ウェイトレスにホットワインへハチミツとレモンの輪切り、シナモンを添えたものを頼みなが適当な席に腰かけて。

「……んぁ? んだ、学院の生徒か? 酒場でいっぱい、てな少し冒険し過ぎじゃねえか?」

 ふと、貴女に、というよりロングケープからわずかに覗くスカートから生徒と看破したらしい男は
 そんな風に声をかけてきて。

「っと、あんま警戒すんなよ。店の中のおっさん共より若くて顔が良いだろ?
 それに、俺ぁギルドからの招聘で学院で講師やってるもんだ。」

 両手の人差し指と中指を顔の左右で折り曲げる仕草をしながら。

シャル > 時折身体を少し起こして、カップの飲み物を啜ってみたり。また突っ伏してみたり、少々お行儀が悪いなぁ、なんて自己嫌悪もしてみたり。
そんな中、いつも以上にぼんやりしていたものだから、近づく人の気配に気づくのが遅れた。
声を掛けられるまで殆どの意識の外で、ひゃぁ、と声を漏らしそうになるのをなんとか抑えつつ。

「――こ、こんばんは……?」

まだ少し慌て気味に、現れた男の姿をそれとなく確認、知っている人ではなかったように思うけれど。
学院の講師、と言う言葉には、授業で会ったかしら……と考える。やっぱり知っている先生ではない気はする。

「酒場で、と言っても……一応、お酒は飲んでいませんし」

別段飲んでは駄目と言うものではないのだけれど、事実お酒ではない。
相手の仕草や話し方、なんだか不思議なひと、なんて思いつつ。驚いたせいで心音が早いのを、胸元に手を当てて沈めようとしながら。

コルボ > 「こんばんわっと。なんかぼんやりしてるけど、マジで飲んでないのか?
 俺ぁコルボ。他の出向してる講師さん方は他の科目も請け負ってるけど、
 俺は薬草学一本でやってる、その代わり書類やったり生徒のケアしたりとかやってんのよ。」

 男の名前を聞けば、もしかしたら女癖が悪い、実際女生徒に手を出している、などの話を聞くかもしれない。
 その一方でケアの一環なのか、男性生徒達ともよく絡んで悩み相談に乗ったり、
 女生徒の中にも噂が事実ではないのか、悪く言う者も少ない。

 薬草学においては、生徒側からテキストも要点を抑えて説明してくれるし誤情報を指摘してくれる、
 薬草の植生を通じて冒険者志望やフィールドワークに出る者に向けて危険要素の講習をするなど、
 学院の講師として、と共に、冒険者として後続育成をしている素振りのある男で。

「大丈夫か? なんだったら悪い男にどこかに連れ去られそうな感じっつか。
 人に話せる程度の悩みだったら相談に乗るぞ?
 生徒なんざ授業料払ってんだからいいように教師なんざ使えばいいんだからよ」

シャル > 「温めた葡萄ジュースのようなものです、これは……。 あ、私は――シャル・ラフィーナです。子爵家の娘で……貴族クラスの学生です」

ああ、流石に伏したままでは失礼が過ぎるし、と起こした身をまっすぐに、崩れたケープを直しつつ。
ふわりと頭を垂れて、こちらの素性を名乗り。

教えてもらった名前、聞き覚えのあるような――なんだか妙な噂を聞かなかったろうか?と少し目を細めるけれど、出来得る限り、あまり警戒心を顔に出さないように……元々ちょっとキツめの表情をしがちなのだけれど。

「あの人混みの中に紛れるよりは、外の方がまだ安心だったと言うか……ええ、まぁ――ちょっと考え事があれこれ変な方向に行っていただけで……」

窓の中、まだ盛大にむさ苦しい店内を小さく指差して。酔っている者も多いだろうあの中に、少女ひとり入り込むほうがよほど危ない、と。
相談を、と言われれば何かちょっと目を泳がせて、それから手元のカップの方へ視線を逃し。

コルボ > 「ラフィーナ? ……ああ、なるほど。大変だなシャルも。」

 ふと、そんなことを言いながら。

「あー、別に気にすんな。俺がお前を生徒として気にしてんのは俺の勝手。
 そっちはオフ。学校の外。

 ……ま、礼儀の問題ってんなら、受けるけどな。」

 言の葉に乗る雰囲気に反して主張の強い表情。……別の生徒にも覚えがあって、
 貴女の表情に、こちらの表情を変えるそぶりは見せず。

「安心、まー、あそこのおっさん共酔っぱらうと色々とちょっかいかけてくるからなぁ。
 変な方向? ……一人で考えててまとまらないとありがちだな。

 ……聞かなかったことにしたほうがいいなら、聞くだけで忘れるぞ?
 誰かに話す体で言葉にすると、人の頭はまとめようと動くもんだからな」

 ウェイトレスからカクテルを受け取り、何か食べるか、と一応聞いておく。
 貴族クラスが金銭で食事を制限することはないだろうが。

 それも教師としての気遣い、礼儀の一環で。