2022/09/13 のログ
ご案内:「魔族の国・エカルラート城」にネロさんが現れました。
■ネロ >
魔族の国のいずれかに居を構える魔王城、エカルラート城
その威厳と威容を余すことなく示す巨城であり、その内部はあらゆる魔族か魔王から献上された調度品が飾る、見るものが見れば少々悪趣味にも見える豪華な造りである
さてそんなお城の中、大会議室と呼ばれる場所にて
長大かつ豪華な装飾のあしらわれた長机を囲む椅子の一つに魔王の娘ネロの姿があった
……正しくは魔王の娘ネロの姿だけ、があった
「なんっ…で!!」
不機嫌の極地、といった癇癪の声
苛立ちを隠そうともせず組み上げた脚を揺ら揺らと
席にはつかず側に控えていた侍女悪魔があわわと一歩後退る
「誰も来ないわけ!?」
そう言って机に脚を行儀悪く叩きつける
──遡ること数日前
人間どもを蹴散らしてやろうと砦に向かうと、既に3日前に魔族の軍が落とした後であった
魔族の中にもいくつか軍勢、魔王同士にも派閥といったようなものがある
多少の食い違いは仕方もなかろうが、それにしても──と
徒労は望む所でもあらず、どうせなら足並みを揃えてやろうということで
積極的に人間どもを殺戮してやろうという気概のありそうな名のある魔族や魔王にお前ら集まれとあまりにも偉そうな書面を送ったのだった
結果として…この有様であった
七光りで偉そうな魔王の娘の元に訪れる勇猛な魔族の将や魔王などいるだろうか
いても変わり者くらいではなかろうか
『やはりお父様の名前で招集なされたほうが良かったのでは…』
と小さく耳打ちする侍女に「あァん!?」と言わんばかりの睨みを効かせる
ああ、これは今夜はいつも以上に不機嫌になられますねと
側に控える侍女悪魔数名は小さく溜息を漏らすのであった
ご案内:「魔族の国・エカルラート城」にサシャさんが現れました。
■サシャ > 一方、これから向かう会議室がそんなピリピリした空気になっているとは露知らず、
エカルラート城の廊下を歩く少女魔族が一人。
両腕は青い翼、両脚も鳥のそれ。典型的なハーピーである。
「はぁ~…めんどくせーですわ」
サシャはため息をつきながら、ようやく見えてきた会議室に向かう。
彼女はネロの召集に応じた奇特な魔族……ではない。
自身の所属する軍団を率いる魔族将軍が、ネロの父たる魔王の知り合いであり、
彼の愛娘の主催する会議に是非、と誘われたのだ。
「将軍もご自身で行けばいいでしょうに……」
しかし生憎、将軍自身はタナール砦の防衛と管理の為そこを離れるわけにもいかず、
会議の内容も重要性も知れたものであったため、
代理人として年齢も近いであろうサシャが選ばれたのだ。
そうこうしているうちに会議室の前にたどり着き、サシャは一旦深呼吸してから、
ゆっくりとその重い扉を押し開いた。
「ごきげんよう、ネロ=ヴェゴニア=エカルラート様。
私、第三軍団長テレジア・インケル将軍の代理人として参りました、
サシャ・アエロ・ペトリャと申します」
先ほどとはうって変わってニコニコと微笑みながら、
完璧な仕草で敬意を示すサシャ。
「本日は会議にお誘いいただき誠にありがとうございます。
どうぞよしなに…………」
そして、そこでサシャは、会議室に自身と魔王の娘とその侍女以外誰もいないことに気付いた。
■ネロ >
重い音と共に扉が開き
渋々ながらもご来場の憂き目にあった魔族の少女の目に入ったのは
長机に憮然とした表情で一人、席につくのはこの会議を開いた当人
魔王の娘たるネロの姿
それ以外には席についている者の姿は…見られない
ネロが不機嫌である理由などもはや明白、といったところだろう
「ご足労ご苦労さま。
と言いたいところだけど、代理…?
はっ、エカルラートの名も舐められたものね!」
そんな、あからさまに不機嫌な顔
誰も訪れない、やったきた一人は代理…
タダでさえ我儘な魔王の娘がより不機嫌になっていくのは仕方のないこと…だろうか
ああだから誰も来ていないのだな、と
訪れた少女にもこの閑散とした会議室の理由はすぐにも理解ってしまうかもしれない
「空いてる席にどーぞ? どーせ誰も来ないけど」
そして不貞腐れた子供のような態度で席へと促すのだった