2022/07/10 のログ
ご案内:「コルベール商会 質・万支店(貧民地区)」にルイーズ・マリーさんが現れました。
ルイーズ・マリー > 昼時間帯は、休憩などの時間を利用して駆け込みの質入れ客などが現れる時間帯。
その時間帯も今くらいまでになれがひと段落。
夜深い時間帯ではないために、掘り出し物を探しに冒険者がやってきたり、本店に向かって商会長はこっちにいると言われて急ぎで誰かがやってきたりすることもある時間帯。

とはいえ、当の本人はそんな状況など気にすることもなく、奥への入り口の手前、あつらえたソファに腰かけて紅茶を傾けつつ読書の最中。

この店に女が来ている時お決まりの状況。
何か難しいことが無ければ店員たちで事足りるため、大体は暇つぶしに近いものがあるのだが。

ただ、常に周りに注意を払っている証として、手を抜いている店員がいたり、間違った案内をしている店員がいれば即座に注意や指摘が入るのだけれど。

ご案内:「コルベール商会 質・万支店(貧民地区)」にアークさんが現れました。
アーク > 質屋にながれてきた者は玉石混合。
様々なものが並べられて少年にとっては勉強にもなるし、気分はちょっとした展覧会に来た様な気持ち。

貧民地区にある質屋の噂を聞いたのは商いの相手の冒険者たち。
店主目当てによく物が集まっているやら、何か怪しい雰囲気があるとか、かなり稼いでいるとかのよもやま話。

店の混みそうな時間を少し外して勇気を出して、店の扉を開き中へと足を踏み入れる。
そとの初夏の日差しから逃れられればほっと小さな一息もらしながら、脇へと立ち。 
ポケットから取り出した小さなタオルで首や額や手を拭っていく。

ルイーズ・マリー > そんな時に店の扉が開く。
軽く顔を上げてそちらを見やれば、大分小さい姿を目にして。
子供がお小遣い稼ぎに何か持ち込むことも時にはあるので気にしないでいようかと思ったが、女の瞳は普通の子供ではないことを看破する。
そんな中で店員の配置や動きを目線を向けずとも理解していた女店主は、手にしていた本を閉じてサイドテーブルの上に置いた。

「いらっしゃいませ……何かお探し?」

現在の状況であれば、自分が接客するのが都合が良いという考え。
そういう動きをすることを知っているからこそ、忙しそうに動いている店員たちは自分たちの仕事に集中できるという部分もあった。

声をかければソファのひじ掛けに体重を乗せる。
どうやら自分から動くつもりはないらしい。
建物の大きさの割に、客が動ける店内はこじんまりとしている。
女店主の背後の入り口の向こうに何があるかはしれないけれど。

アーク > 自身の汗を拭ってから太陽で焙られ、火照った体を冷まそうと小さな手でパタパタと首元を扇ぎながら、外から見える店の大きさに対してこんじんまりとした店内に少し不思議そうに視線を滑らす。
その拍子にこちらに向けられた視線に気づき、相手を認めれば妙齢の女性がソファの肘掛に体を寄せ寛ぎながら声を掛けられて。
急に声を掛けられて小さな体はぴくりと驚いて揺れてしまう。

「あっ…えっと、特に何を探しに来たっていうわけじゃなくて、見に来たというか、勉強しに来たというか…。」

等と、少し慌てつつも正直に答えてしまうのはこういった経験の少なさによるものだろう。
とりあえず、挨拶と自身の売り込みはしなければと、店員や客の邪魔にならぬように、相手の方に近づいて、少年が手を伸ばせば触れられそうな所で足を止める。
ふわりとしたプラチナブロンドの髪と、服で隠されてはいるが柔らかそうな肢体や、なんだか知的に感じる丸メガネとか、きれいな人だなぁとつい見惚れてしまう。


「えっと、冒険者とかいろいろな人に向けたお薬とかアクセサリーとかアミュレットを作ってるアークです。」

と、自己紹介をしてぺこりと小さく頭を下げれば、頭の後ろで簡単にまとめたポニーテールが小さく跳ねる。

ルイーズ・マリー > 自分が向けた言葉に律儀に返事を返す少年。
その受け答えの内容から正直な返答と認識して。
薄く笑みを浮かべれば、近くにやってきた少年の自己紹介に頷きながら

「なるほど。あまり勉強になるものがあるかどうかは分からないけれどゆっくりしていってくださいね」

そんな言葉を向けてから、すんっ…と少し鼻を鳴らして少年の香り、鉱石や石材のそれが強めかと考えれば

「……珍しい鉱物の方がいいかしら。それとも、生薬の方が?」

頬杖を突いて穏やかな表情のままで向ける問い。
ハッキリと言ってはいないが、どうやら見せてくれる様子。
買うならきっと、結構な値段はするのだろうけれど。

本音か気まぐれかはともかく、少年にはどうやら勉強に付き合ってくれるようだとは理解できるかもしれない。

アーク > 薄く浮かべられた笑みを浮かべる相手が綺麗で、火照った肌が中々冷めないのが少し困りもの。
勉強のために来たと言えば、受け入れて貰えたようでほっと一息。
匂いを嗅がれれば、汗の匂いだろうかと、自身の着る簡素な布の服の裾を引っ張り、匂いチェック。毎日体も洗ってるし今日も出際に洗浄の魔法をお風呂で使ったから大丈夫なはずと、少しドキドキ。
最近はアクセサリーを多く扱っていたので鉱物や金属の匂いが強かったのであろうが、興味はそのどちらにも。

視線を少し迷わせるように、少し下に俯き床を滑らせてからおずおずとだがしっかりと口を開く。

「どっちにも興味があります。 近く遺跡や九頭龍山脈で取れる珍しいのとか、逆にこの辺りでは手に入らないものとかがみたいです。 あっ見るのにお金が必要なら僕の作った物とかお薬とか、店主さんが欲しいものがあればそちらを代価にしてもいいので。」

珍しい物に関してはフィールドワークにも言っているが未だ出会っていない素材があるのかとワクワクしつつ、逆に手に入らない物については単純な興味。
その目はすでにキラキラと輝いている。
捕らえようによっては少年の体もその中に入ってしまっているが、そんなうかつな言葉に経験の浅い少年は気づいていない。

ルイーズ・マリー > あらゆる情報を相手の値踏みに使う女は色々癖で動きはするが、鼻を鳴らしたことで匂いを確認されたと気付いた少年に軽く目を細める。

「あら、結構耳がいいのね?……別に汗の匂いも嫌いじゃないけれど、そっちはそんなに気にならないわ。どちらかというと、貴方が常々何を扱っているのか気になっただけ」

くすっと小さく笑ってそんな返事を返しつつ、続いて帰ってきた返事には鷹揚に頷いてから手を二度叩いて

「北の棚、124番から130番、北西の棚、44番から47番。奥の部屋から昨日仕入れたラシャの袋を持ってきて」

そう言葉を誰かにかければ、店員が何人かそれらを取りに動き出す。
程なく二人の近くにテーブルを置いてそれらの品物が揃えられる。
長くなると思ったか、少年の分の椅子もソファの隣に配置されて。

「こちらから、セッコウ、カッセキ、アキョウ、ロクジョウ、リュウコツとボウショウ。鉱石で薬の材料になりそうなものね。こっちはヤグラネギ、マンネンボウ、メボウキ、ヒレハリソウ。全部植物の生薬。最後、こっちの袋に入っているのは…」

最後の袋は女が手づから取り出して。
入っていたのは石のようなものときのこのようなもの。

「この石のようなものはゴオウ、キノコのようなものは冬虫夏草。シェンヤンから特別に取り寄せたものよ。見たことあるものも多いかもしれないけれど、あまり他で扱ってなさそうなものはこれくらいかしら」

触ったり匂いを嗅いだりするのは構わないわよ、と付け加えて少年を見やろうか。

アーク > 自身の匂いを確認していると、その行動の理由を指摘されて少し恥ずかしくなりつつも、目を細める相手を見上げ、ほっと一息。

「汗臭かったら失礼だなと思ってドキドキしちゃいました」

等と言葉を返しつつくすりと少年も小さく笑い、山脈にある者や珍しいものを見たいと強請れば、それにこたえる様に手を二度叩き指示を出す相手の様子には、少年の中のふわふわした出来る女店主の理想像の様に見えて、ついつい見とれてしまう。
そして、それは、店主の意図を汲み、場を整える店員たちにも向けられる。
薦められたソファの隣の椅子に小さなお尻を乗せて広げられる物に目をキラキラ。
何処からともなく取り出した薄手の手袋を取り出し、並べられる珍しい鉱石や生薬に目をキラキラと輝かし、見入っている。
綺麗な女性にも興味はあるが、それは今は頭の片隅に。
触ったり匂いを嗅いでも良いと言えば感激でキラキラ輝いた瞳は感激と感謝に光を強める。

「ふわぁ、ありがとうございます♪」
解熱鎮痛や利尿作用やら、様々な薬効のある鉱石や植物を見る目は真剣なものとなり、意識はすでに話す相手からそちらに向けられる。

言葉で示されたままに白い手袋の上に載せ、先ずは観察。先ずは物理的に、次に目に魔力を通しての観察をしながら手袋の上で転がし、魔力を成分や物を変性させない様に緻密に操作しながら鉱石としての癖を覚えつつ、僅かに匂いを嗅ぐ様に右手で扇いだりする。

手に入るものについては覚えて探しに行こうと決心しつつ、頭の中の知識から生育環境やら、取れそうな場所をピックアップしつつ。

そして、遠方から取り寄せたゴオウと冬虫夏草。
向うでは何とか手に入るが、こちらでは手に入らない物である。
特に冬虫夏草については何とかこちらで作れないかと、頑張っているが、まだその結果は出ていない。
魔法薬の元に使えば冒険者たちのドーピング剤としても使えるかもしれない。等と小さく呟きながら、次に思うのはそれを使って魔法薬を作ってみたいという錬金術師としての欲。
少年の目は入ってきたときの緊張の揺らぎも無くただ真剣に生薬に対する。
たとえ髪を弄られたりちょっとした悪戯をされても気づかないであろう程であった。

貴重な宝石を扱う様に戻し相手にお礼を言う段になっても、やはり名残惜しいのかチラチラと見つつ。

「あっ、ありがとうございました。 勉強になりました。採れそうな物に関しては御山に行ったときに探します。多く取れたらお売りにきますね。」

目を輝かせつつ、もうしばらくしたら行こうと思っていた夏の御山に胸を高鳴らせながらそう呟き。

それでも舶来の品にちらちらと目を向け。

「特にこの冬虫夏草って…今のお値段いくらぐらい…何でしょうか?」

等と呟きつつ、首から下げ、服の中の胸元にあるお手製のお財布、服の上からキュッとつかみながら値段を聞くのは手が出ない値段であっても聞いてしまう哀しい性である…。

ルイーズ・マリー > 「今日は暑いのだもの、汗をかくのは当然でしょう?それで汗臭いのなら気にしないわ」

だってあたりまえだもの、と楽しげに言葉を向けて。
己の指示が終わった後向けられる視線。
しばし目を瞬かせてからにっこり笑顔を向けてみた。

そして、品物が並べば品物に吸い寄せられる少年の視線と興味。
先程残していた紅茶を一口口にしてまた戻す。
しばし少年が品物を確認するのを見やっていれば、真剣な様子がほほえましく見える。

そして、確認が終わってから向けられた言葉。
頷けば、返す言葉は

「ええ、持ち込んでいただければ、売値の7掛けで買い取らせていただきますわ」

この店の相場を返した。
そうしていれば、ちらちらと冬虫夏草を気にする様子。
恐らくは……と考えていれば案の定の言葉。
くすっと小さく笑いこぼして

「そうねぇ……今の相場ならば、これくらい、かしら」

提示した金額は、冬虫夏草であれば当然と言った額。
言い換えれば、無理に値段は釣り上げていないのだが……
市井の給料であれば半年分はかかるだろうくらい。

「だいぶ高いでしょう?お支払いいただけるなら、すぐにでもつつみますけど?」

どうします?と小さく首を傾げた。

アーク > 「んっありがとうございます? でも、きれいな人の前だったらちょっと恥ずかしい…です。」

等と最後は楽し気な相手にわずかに照れながらもごもごと呟いて。
指示を出す相手に見惚れていたら笑顔を向けられてさらに真っ赤になってしまうも、それも品物が並べられるまで。
時間を忘れて手の上の鉱石や生薬を見たり転がしたり調べたりしつつ。

「ふわぁ ありがとうございます。」

売値の七掛けというのはこの街ではかなりいいお値段で。捕らぬ狸の皮算用。
今から重くなる財布にほくほくである。

そして相場を尋ねれば当然のお値段の幅に収まる金額。
それ以上に安ければ品を訝しみ、其れよりもはるかに高ければ阿漕な商売人。

いろいろ切り詰めて彫金の元や今の商品を全部売ればなんとかなるが、逆に身動きが出来なくなってしまう値段。しかも、魔法薬の作成に失敗する可能性も0ではない為にうぐぐぐ…と唸ってしまう。
少年の顔はなんとかなるかな? でも、うーん。欲しい。やっぱり無理!でも欲しい。
等と百面相さながら。
最後にははふと小さくため息を漏らしてゆるゆると首を振って。

「身動きできなくなっちゃうのでお金を溜めます。」

等と呟きながらも、片付けられゆく冬虫夏草を名残惜し気に、まるで、恋人と離れてしまったときの様な切なげな視線でお見送り。

そして、そういえばと、自分の店では主に冒険者に向けたアミュレットや、ちょっとしたアクセサリーを主としており、薬はあまり売っていないため、今はほぼ趣味で作りためている。

「えっと、お薬にしたのも買い取ってもらえたりします?」

等と呟きながら肩にかけていた特製魔法カバンから、ガラスの瓶や、陶器の入れ物に入った薬をコトコトとテーブルの上に並べていく。
定番の風邪薬やら、下剤、痛み止めに回復薬に解熱鎮痛剤やらドーピング剤、多幸感を感じトリップ感に浸りトランス状態に入る為、呪術などでも使える麻薬めいた物やら、狩りにも使える熱と時間経過で消える筋弛緩剤と、ラインナップとしては雑多であり興味の赴くままに作ったとばかりで量はそれほど多くは無いが種類は豊富である。
その全てが魔法薬であり、夢魔の特性もあるのか媚薬や麻薬に対しては相当強い魔法薬になっている。
また、基本的にはどれも無色透明、無味無臭であり瓶や蓋に貼ってある簡単な説明書きと品名でしか常人には識別ができなくなっている。
流石に爆薬はいろいろと危ないので魔法カバンの中に封印。

ルイーズ・マリー > 基本的に、商売に関しては全く持ってあくどくないので、コネをつなげば結構儲かるだろう。
そして、女も3割乗せて売るので儲かるのは当然の事。

そして、冬虫夏草について、百面相見やればくすくすと笑いがこぼれる。
そして帰ってきた言葉に

「ええ、そうでしょうね。今すぐ出せたとしたらびっくりしてしまうわ。お金を貯めて、またお越しくださいね?」

そうしていれば、続く言葉を耳にして

「ええ、もちろん……あら、色々出てくるのね」

次々出てくる薬類。失礼、と一言口にしてから一本一本確認する。
それらを6つに分けてテーブルに乗せていけば

「これは多分、効果はあるけど少し失敗したもの、これは普通に使える品質のもの。こちらはとてもよくできているわ。当然、通常の薬品と魔法薬では相場が違ってくるから……こんな感じでどう?」

品質について、少年が思った通りと恐らくは同じであろう区分けをして見せてから、提示した金額は予想していたよりは高い額になるだろう。
低品質が少なく、高品質がそこそこ存在すれば当然の事。
ただ、普通なら全部同じ金額で買い取られるかもしれないけれど。

「もし、この額で手を打ってもらえるのなら、冬虫夏草は3カ月お取り置きいたしますけど?」

そしてここで追い打ち。
見た通りと雰囲気、まっとうな商人であることを差し引いても抜け目がない。
冬虫夏草の売り先を確保して、場合によっては納品上客を作ろうという策。
少年がそれに気が付くかどうかは、少年次第。

アーク > ふむふむと、頷いたり、百面相をしたりと忙しない表情。
そして、お金をためてからという言葉にはコクンっと頷いて。

「いつか、売ってもいいかなと、色々作って試していたから…。」

正直少年が作った魔法鞄の方が高く売れるが作るのが非常に手間なのでそちらは売らない事として、趣味も兼ねて本業の魔法薬については、信頼できる相手に任せた方がトラブルもいろいろと少ないのが確か。
販路は非積極的ながらも探していた為、いいタイミングかもしれない。
それに売値については程よい高額感。
流石の相手の鑑定眼にフムフムと頷いて。

今出したのは丁度今の時期から初冬にかけて作れる魔法薬や自分でしか作れない薬達。それであれば何とかなるが、飽きの者に関してはとる時間と作る時間を考えると少し足りない。

さて、その一月をどう作ろうかと目を閉じて思案に入る少年。
そして何となく長い付き合いを相手が求めていることも分かる。
自然の恵みを分けてもらう自身の仕事。

「うーん。 あんまり無理に作ると来年に作れる分が減っちゃうし…、季節物だから…、もう2週間ぐらい欲しいです。 魔法薬についてはここにしか持ち込まないのと…、他に僕にできる事でその時間を売ってもらえませんか?」

商人にとって時間は価値のあるものである。
であれば、それを伸ばすのにも対価が必要な事も分かっている。
足りない一週間にマージンを確保しつつ2週間の提示は妥当な所。
自分にしか作れない高品質の媚薬と筋弛緩剤と麻薬に付いての価値を相手が見出してくれるか。

「そこの媚薬と筋弛緩剤とソレ(麻薬)については僕だけのレシピですし…。もしあれだったら、僕の特製のクスリ、お試しで提供してもいいですから…駄目…ですか?」

と、自分にしか出せない価値を前に押し出しつつ、拙い交渉をしながら、こちらを見る相手の瞳をじっと見つめる。

ルイーズ・マリー > 向けた言葉と提示の値段に変えてくる少年からの言葉。
告げる言葉は妥当なそれで。
それゆえに二つ返事で返しても良いのだが……ここまで賢い交渉ができるのであれば、もう少し手元に置けるなら置いておきたくなってくる。ゆえに……

「では、冬虫夏草の取り置きは4カ月。それに対して何か新しい薬を追加で準備してほしいとは言わないわ。とはいえ、それではお互いの利益としてバランスが取れないだろうから……」

ここで、二人の間にふわっと香りが漂う。心地よい魔香の香りが漂って

「だから、4ケ月後に冬虫夏草の買い取りに来てくれた時に、少し時間を頂ければいいわ。そうね、食事ともっとゆっくり”お話”ができるくらいの時間。本当は今日、と言えればよかったのだけれど、今日はこの後時間が取れないから」

どうかしら?小さく首をかしげて問いかける。
この短時間の交渉の中でも魔商人は”目の前の少年自身”に価値を見た。だから、価値のある時間を与えてでも取引相手として近くに置きたい。
そう言った雰囲気が透けて見えるかどうか。
少なくとも、入店の時の”小さな坊や”から”小さな薬師さん”には対応自体は変わっていようか。

アーク > 相手を見ながらの交渉を進めていけば、返ってきた言葉に少年の表情はぱぁっと明るく嬉しそうになる。
そいして続く言葉にうなずき、最後の言葉には頷きつつも少し名残惜し気にもう一度コクンっと頷き。

「それだけだと、僕の方に傾いているし、家にまだ売れるお薬も残してあるからそれを持ってくる時にも食事とゆっくりお話ししたいです。それに、暫くは魔法薬にかかりきりになって食事も買えなくなっちゃうから…」

心地よい魔香の香りを鼻で愉しみつつ、クスクスと小さく笑いながら笑みを浮かべ嬉しそうな笑みにはどこか妖艶な物をはらんでいて。
そして、何はともあれ忙しいであろう相手の時間に合わせやすいのは自身の方で。
魔法鞄の中から一枚の紙と封筒を取り出しカサリとテーブルの上に。
其れは少年が錬金術で作り出した専用の封筒と手紙。
手紙に踏みをしたため封筒に入れ封をすれば、少年の元に転移するものである。
それ自体の価値も使いようによっては利を得る事が出来るであろう。
そうして、少年が相手にできる利が魔法薬だけではない事を言外に告げてから、取引成立の握手とばかりに小さな手を差し出す。

「ゆっくりとお話しできる時間があれば、今出した手紙に書いて送ってもらえれば僕がどこにいても届くので…。」

と、小さく囁きかけながら少しだけ悪戯っぽく微笑みかけた。

ルイーズ・マリー > 返ってきた言葉にこちらも笑みを深めれば、差し出される手にこちらも手を差し伸べて、しっかりと両手で包み込むように握りしめる。

「ありがとう。交渉成立ね」

そして、封筒と手紙、そしてその効果を耳にすれば、なるほど、と一つ頷いて。

「そういう効果があるものなのね……わかった、頂きますね。それなら、どこかで時間が取れたら4か月後と言わずにお時間を頂こうかしら」

そう返答を向ければ、その封筒と手紙を自分の胸の内ポケットにしまった。
そして、周囲に店員の気配がない事を確認してから、そっと近づく女の顔。
そのままそっと唇を重ね、ほんの少しだけ、自分から舌を忍ばせると、少年の口の中、ひと舐り。
そのままチュッと音を立てて唇離せば

「これは、前払い。またの機会を楽しみにしているわ」

そう言葉を添えて、つないだままの手を今一度、しっかりと握ってから、女は奥の扉へと向かっていく。
最後、扉をくぐる前にバイバイ、というかのようにひらりと手を振ってから、微笑んで、扉の向こうへと消えていった。

アーク > 相手の両手に包まれる小さな手。
自身も応える様に両手で握りしめ、その手の甲をするりと撫でて。
交渉成立ににっこりとした笑みを浮かべる。

「ふふ。良かった。 もちろん。僕も自由業だし、お手紙、待っていますね?」

封筒を相手がしまい込めばついついその胸元に視線が向かってしまう。
ちょっとどきりとした拍子に近づく顔と、しのばされる舌。
んっと小さく呟きながら小さな舌で口内を火と舐りする舌を舐め返して、離れていく相手の顔を見つめ。

最後にしっかり握られた手離れれば相手の背を見送り、少年も胸の前で小さく手を振り応える。
扉の向こうへ相手が消えればその残り香を感じながら清算をして、少し涼しくなった街、重くなった財布と対照的に軽くなった足取りで自身の塒へと戻っていくのであった。

ご案内:「コルベール商会 質・万支店(貧民地区)」からルイーズ・マリーさんが去りました。
ご案内:「コルベール商会 質・万支店(貧民地区)」からアークさんが去りました。