2022/05/15 のログ
ご案内:「平民地区/雑貨商店」にセリアスさんが現れました。
■セリアス > 昨日から続く雨模様。
強く降ったかと思えば昼前からに雲が逸れ、空も覗いたかと思えば。
また、夕方前から降り始めて、あちこちで軒下に駆け込んだり、家路へと急ぐ姿が見える。
平民地区の大通り沿いにある雑貨商店も天気の所為か客足は疎らで。
店主たる商会主も、近隣の会頭同士の話し合いだかで商工ギルドへ出向いており。
店員たちが多少気を抜いて店番をしているところに、駆け込んでくる黒尽くめが、一人。
「嗚呼、全く、もう半刻ほど後に降ってくれれば良いのに」
色味の濃い金糸を濡らし、頬に張り付かせながら。
店先で軽く服の水気を払うようにして、店内に入る。
黒尽くめも全体的に雨に打たれたらしく、何時もよりも重たげ。
商店のオーナーの濡れ鼠になっての帰還に、『あらら』と言わんばかりの店員の視線。
気の利いた一人が奥からタオルを持ってきて差し出すのを受け取って。
「どぅも。……雨季も近いですし、雨具関係を少し仕入れ先で見てきますかねぇ」
褐色の肌に伝う雫を拭いながらも商売のことを考える様子。
とはいえ、彼も大概、新しい物好きで、変わった物が好きなので。
また怪しい商品をつかまされなければ良いけれどと、タオルを渡した店員は苦笑いしながら。
ご案内:「平民地区/雑貨商店」にタピオカさんが現れました。
■タピオカ > 「こんにちはー、ごめんくださいー!」
戻ってきたばかりの濡れ鼠店主と、その彼に苦笑い混じりのタオルで労う店員の後ろから弾ませる声。鹿皮のマントのフードを手で払い除けると、数滴、小雨の水が入り口の外脇に落ちる。
入ってくるのは小柄な人影。
褐色肌の青緑の瞳を覗かせると、2人に向かって片手を揺らし。
「あは!……傘を忘れて外出して、今戻ってきたばっかりって感じだね?セリアス先生!
此処だと店長だけど!」
顔見知りの店主にかける声は気安く。
冒険者としては旅具の調達にお世話になり。
また学生としても、彼のクラスで学ぶ機会がある。
タオルを渡した店員とも既知であり。パルマ、湿気がひどいけど自慢の巻き毛はだいじょうぶ?等と声をかけていた。
「ところで。面白いものが手に入ったんだー。
ギルドの依頼の報酬が、一部現物支給で。
……なんでも、布につけると半年は水を弾くようになるっていう薬品らしいんだー。
此処で買い取り、お願いしていい?セリアスせんせ?」
そう言いながら、マントの裾から取り出す硝子の小瓶。
事情を説明しながら、カウンターに置き。
もちかける取引。冗句めかしく、先生呼び交え。
■セリアス > 唐突に背中側から掛けられる、良く通る声色。
店員たちはそつなく『いらっしゃいませ』と声をかける。
男はと言えば、その声に聞き覚えがあるけれど、耳に入った雨水の所為でそう聞こえているだけかもと。
落ち着いてタオルを耳に当て、首を傾げているが。
眼前の店員が気安く手を振り、『商会の試供の洗髪剤、湿気にも良いのよ』等と返していれば。
どうやら聞き覚えのある声の持ち主に違いなく。
「……タピオカさんは雨でも元気ですねぇ」
はぁ、とため息を吐くのは彼女を厭うわけではなく。
ただ濡れた格好で相手をするのも、と、自分の状態を顧みてのもの。
相手は気にした様子はなく、自身の用件を告げてくる。
その内容は、いくらか興味を引くもので。
タオルで若干乱暴に髪を拭っては、それを首に掛けた。
「今時現物支給? 何処のギルドですか。ちゃんと先に報酬の交渉をしていますか?
……で、それが薬品ですか? 私が買い取らなかったらどうする気ですか?
その薬品を貴女が上手く捌けなければ報酬の値切りに相違ないのですよ。
それが罷り通るようになれば、同じように無学な者が搾取される。
授業でも冒険者業に触れた折に、全体のことを顧みることの重要さはお伝えしたはずですが」
あからさま、口うるさく捲し立てるのは生徒。
それも、其れなりに授業で顔を合わせている相手だからだろう。
なによりぶつぶつと言いながらも、結局は自分の恰好より彼女が置いた薬品の確認を優先するようで。
小瓶を手にとっては、中の薬品を透かして覗くようにしてみる。
■タピオカ > 「ふふ。ここは学院の教室じゃないよ、セリアス先生!
答案用紙を埋めるみたいに全部きちんと答えておきたいけど、今は必要無いかな。
この薬に興味が無いなら、他を当たるだけだよ。
報酬の一部が現物支給って言ったけど、ちゃんと十分な支払いは受けてるよ。わかりやすく言えば、それは追加報酬って感じかな」
学び舎と同じトーンが抜けきらない調子にからから笑う。
帳簿預かる身の相手としては至極全うな指摘ながら、事態はそこまで逼迫してはいなかった。
「その言い方なら、あまり乗り気じゃないみたいかな。
別のところで買い取ってもらうことにするね。
……それじゃ!」
相手の手にある小瓶をそっと抜き取ると、ひらりと手を振り。
笑顔を残し、フードを被り直し。店を後にし――。
ご案内:「平民地区/雑貨商店」からタピオカさんが去りました。
■セリアス > 掌から小瓶を抜き取られ、中身を確認する前にさっさと店を出ていく少女。
その気まぐれさに、眉根を顰めながら。
『教師気分で口うるさく言うから』と、店員が告げてくるも、濡れた衣装のまま肩を竦めて。
「では、あの年の頃の少女が食い物にされる可能性を放っておけ、と?
……ま、伝わらなければ同じことですね。次は言い方ももう少し検討しましょう」
取引なりで、自身が得になるようにするのは商人である自分もするところではあるが。
がしがしとタオルで頭を掻くように水気を拭き取る。
逃がした商機も、縁もあったかもしれないが。
一から十まで相手の望み通りでは取引の話などできない。
元も、一部の取引では大部分譲歩することもあるので、
そういうときには店員からは白い眼で見られるわけだが。
ご案内:「平民地区/雑貨商店」にアニスさんが現れました。
■アニス > そろそろ日も暮れるかという夕刻に降り出した雨
勢いを増すそれに仕方なく水溜りが出来始めた大通りを走り出す。
どの店もそろそろ店仕舞いを始めていて、雨宿りというわけにもいかない。
住まいである学院の寮に着くころには濡れ鼠になっているのは確実だろう。
最悪は門限を過ぎて締め出される可能性も頭に過ってしまい。
「あ、あそこ、まだ開いてる!
……ごめんください! 雨具置いてませんか? あとタオルなんかもあると嬉しいかも。」
見たところ雑貨店といった風情の店内
それならば生活用品も取り扱っているだろう。
予定外の出費になってしまうけれど、そこは仕方がないと割り切って。
■セリアス > 大分水気は取れた髪、ただ、乱暴に拭いたから幾らかぼさぼさに乱れてしまっているが。
そうして、コートを脱いでカウンターに置いていれば、駆け込んでくる少女。
『いらっしゃいませ』と店員が迎えながら、ちらりと店主の男を見て。
御同輩ですな、と言わんばかりの視線に、赤い眼で睨めつけてやりながら。
「いらっしゃいませ。傘もありますし、フード付きの防水加工済みコートもありますよ」
そう言いながら、店員が気づかいでタオルを持ってくるのを受け取って。
少女の方にと歩み寄り、差し出す。
とはいえ、自分もコートを脱いだ下の衣服が幾らか濡れてしまっており。
髪を見れば、今しがた雨を拭ったばかりであるのも見て取れるだろう。
そう思えば恰好が付かない気もするが、だからこそ先に彼女にタオルを渡そうと。
■アニス > 「ありがとうございます、助かります!
……きゃっ!? うぅ、この分だと止みそうにないなぁ……
って、良いんですか? その……そちらも雨に降られたんですよね?」
コートも悪くはないのだけれど、急な出費を充てるには防水加工つきのものは少し懐が心許ない。
傘でどうにか凌げるかと外の様子をちらりと見れば、今まさに雷が暗くなった空に一閃した。
溜息をひとつ吐いたところで、差し出されたタオルを受け取ろうとして、はたと顔を上げ。
見れば相手の方も幾分は乾いているようだけれど、髪はまだ濡れたまま。
見た覚えのある顔のような気もするけれど、パッとは思い出せず。
首を傾げながらも、身なりから店の主か、それに近い立場の人だろうと当たりを付けると、パタパタと顔の前で手を振って。
「さっきまで晴れてたのに、急に降ってきちゃったから……
もう店仕舞いですよね? 傘だけいただければ。」
おいくらですか、と手作りっぽいガマ口財布を取り出して。
中を覗き込めば硬貨ばかりがじゃらじゃらと入っているのが見えるだろう。
その総額は多く見積もっても、宿屋に泊まれるほどでもなく。
■セリアス > 「お、っと。随分雨脚が強くなりましたねぇ……
どうぞ。私も店に戻る途中で降られまして。
そのタオルも商品でなく、こういう時のためのものなので」
雷に、いくらか目を瞬かせながら。
お気兼ねなく、と。彼女にタオルを差し出して、手渡す。
店の外を見れば、随分と雲は厚く、足元が不安に成る程の雨。
雷まで鳴っていれば、時間的にも少女が言う、店じまいで構わない状況でもあるけれど。
学院で講師をするときも同じような恰好であるが、雨に濡れた髪では印象も違うかもしれない。
尤も、講義そのものに参加していなければ、今は幾多の講義があり、教師も多く。
互いにはっきりとは、思い当らないかもしれない。
「傘は30ゴルドですが……傘でも一寸、その効果のほどは、保証できませんねェ」
彼女の財布の中身はさほど裕福そうでもないが。
それよりも、彼女の肩越し、入り口に見える雨風の様子は、傘くらいで防げるかどうか。
彼女の行く先が何処かセリアスには分からないが、距離如何では濡れることに変わりはなさそうで。