2022/03/05 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区裏通り」にエリザさんが現れました。
エリザ > 市場を離れたこの道は、灯りが少なく薄暗い場所になっている。
平民地区は比較的治安が良く、中心部は朝から夜まで商人の声が中心に賑わっている。大半が奴隷の売買や飲食店、または怪しい店のキャッチャーであったりするが。

しかし、その裏の通りは相反するように静かなもので、人の目が極端に少なくなる。
女子供の誘拐が時たまに起こり得る様子だが、今回は違う。商人を狙った金品の強奪らしい。
貧民地区で衣食住の補償もされない所謂ストリートチルドレンが引き起こしたもので、一度の成功で味を占め、頻度と勢力が増加したらしい。

エリザ > そして、今夜も其れは決行される。
金銭の入った布袋だと暗闇から探りとった複数人の子供が、その商人達を囲って、硝子の破片や錆びたナイフを突き付けて、猶予も与えずに前進し、布袋を持った商人は命の危険を感じ取り、遠くへと放り投げる。
やはり、相手の関心は金銭。殺気を向けるのを止めたかと思えば、数人は速やかに身を隠し、リーダー格と思わしき人物が、その布袋に手を伸ばした瞬間。

「こんばんは」

シンプルな挨拶と共に、腰を低くした子供と目線を合わせて、一足早く目当ての物を取り上げて、警戒しながら此方に刃先を向ける相手に、動揺する事なく赤い瞳を向けながら、見下ろし更に落ち着いた声色で続ける。

「正直、手慣れているみたいだから感心したぞ。だけど、やり過ぎてしまったみたいだな…」

その発生頻度と目的が分かってしまえば、多少の芝居で犯人が釣れる。
子供なりの甘さを、軽蔑を含み挑発を混じえて小馬鹿にする様な口調。
相手は躊躇いもなくそのまま刃を向けて突進するが、直線的な動きであれば対処は容易い。
肌に触れる直前まで引き寄せて手刀で叩き、そしてその隙の大きい身体に、拳を叩き込むだけ。
圧倒的な練度や経験、体格差から相手の為す術は当然なく、声を震わせてそのまま蹲る事しかできなくなった。

エリザ > 床へと落ちた刃物を蹴り飛ばして、脅威を取り除いた所で、相手の前で膝を着いて戦意を確認すると同時に、遠方を警戒。
残党の出方を伺っているのだが、暫くしても他のグループが仕掛けてくる様子はない。

「尻尾切りか?……まあ、冷静だな」

戦う術も乏しいので、未熟な集団だと侮ってはいたが、姿を見せて助けに来る様子も無ければ、何か仕掛けてくる気配も無い。
勝ち目が無く、目の前の子供を切り捨てる結論に至ったのか、その冷酷な判断が出来るものだと感心を見せる。

そうと分かれば、蹲った子供の首に両腕を掛ければ、ギュッと引き絞って首を圧迫。のたうち回る子供をそのまま持ち上げてしまえば、擬似的な絞首刑の完成である。
酸素の供給が断たれ、脳が指令も出せなくなれば、子供の手足はぶらんと垂れ下がり、一切抵抗をしなくなった。

その一部始終を目の当たりにし、脅威が去ったと分かれば歓喜する商人達。
そして、彼らにその子を引き渡せば、抵抗出来ぬ様に捕縛された。

エリザ > そして、目的地である民宿へと商人を送り届け、感謝の印に銀貨を詰めた布袋を受け取った。
多少食うには困らぬ感謝料だが、微塵も興味を示さず、そのまま付き合いも断り、軽く会釈して立ち去った。

その帰り道、先程の事件現場で立ち止まり、先程頂いた袋を隅へと放り投げた。

「今の子は、殺されるか奴隷になるだろうな。
そして、この程度の価値だ。たった数日間の食料と同等の価値だと、悲しいものだな」

誰が居るかも分からない。聞いているのはこの周辺の民家に籠る住民達だけだろう。それでも構わず、建物の陰に向かって軽蔑した口調で挑発を続け

「悔しかったら這い上がって来い。いつでも相手になってやる」

最後にそう残して、暫くその場で立ち止まる。
その後、多少頭に上った血を冷ませば、足早にその場を去っていった。

ご案内:「王都マグメール 平民地区裏通り」からエリザさんが去りました。