2022/03/01 のログ
ご案内:「郊外」にイズナさんが現れました。
イズナ > 日差しは幾分、春めいてきているが未だ風が冷たく冬の名残を感じさせる
時折、強く吹き抜けていく風に首をすくめるようにしながら、せっせと野草や野花を採取する
食卓に並べるものも幾らかはあるが、ほとんどが主人の美容に関するものであり、
これらを乾燥させたのちに、質の良い植物由来の油に漬け込む事で
用途の広いオイルが作れるというわけである
寒い時期には手の指先や肌に塗り込んだり、他にもこれを材料にして作り出す薬品や化粧品なんかもある
…そんなもの、買って済ませればよいではありませんか、と進言したが
主人曰く『イズナが作ったものが一番よ♪』と一蹴されてしまった
主人には逆らえないが、主人の元を去る時には思い浮かぶ限りの罵詈雑言を残して去りたいと思う

「…採取に来てみたものの…流石にあまり、量は取れませんねえ…」

目的の植物の季節はもう少し先である
それでも、少ない中から新芽の使えそうなものだけを採取していく
この国では手が掛かるためか、あまり需要が無いらしいのがせめてもの救いであった
持参した採取篭がそろそろいっぱいになりそうであった…この篭いっぱいに採取しても、
乾燥させてしまうと本当に少量になってしまう事を考えれば効率はあまり良くはない
ただ、しっかり薬効はあるからたちが悪い…山盛りに新芽を積んだ篭をその場に置けば、
はぁーっと息を吐いた。吐いた息は未だ白い…春を感じる事は出来ようとも未だ春遠からじ…そんな気候であった

イズナ > 篭の中を見る限り、あと数回は採集に来なくてはならないだろう
そう思うともう一度、自然と溜息が溢れた
こんな事は冒険者にでも依頼すればよいのにと思うが、依頼を出すにもその報奨を出さなくてはいけない
如何に主人が公主であろうとも、その財産は有限である…ただでさえ、無駄遣いが多いのに
これ以上、無駄遣いをさせるわけにはいかない…さっさとどこかへ嫁に行ってくれるのが一番なのだが

「…これも修行と思えば…さて、遅くなる前に帰らなくては」

よいしょ、と下ろした篭を背負い、身形を正せば城門へと向かって歩いていく
城門前でも馬車や行商人が列を成しているのが見える
屋敷に帰るまでには今少し時間が掛かりそうであった―――

ご案内:「郊外」からイズナさんが去りました。