2021/12/14 のログ
ご案内:「タナール砦の一室」にマディさんが現れました。
マディ > 戦場の趨勢がどうであれ、砦の内部は現在、冷たく静まり返っている。
それが良いことなのか、悪いことなのか、いずれにしてもその部屋に居る女には、
どちらだって構わない、関係の無いことだった。

床も壁も天井も石造りの、四角く無機質な部屋。
明かり取りの小窓はあるものの、鉄格子が填まっていて眺望は望めず、
唯一の出入り口である鉄扉は、外から頑丈な南京錠がかかっている。
壁に寄せて置かれた寝台と、小さなテーブルと椅子が一脚。
捕虜や虜囚を留め置く場所と大差のないその部屋は、実際、ある種の牢獄だった。

寝台の上、上掛けもかけず横臥する女の両手は、荒縄で一括りにされている。
修道衣の裾は大きく捲れ、生白い素足が腿近くまで覗くまま。
下着であったと思しき布切れが、床に散らばっている。
昏々と眠る女の【役目】は、つまり―――――兵たちの慰安。
しかしそれは、この砦が攻め落とされたとしても、慰安すべき相手が変わるだけ。
だから女にとって、戦がどちらに優勢であろうと、
扉を開けて入って来るのが人間であろうと、それ以外であろうと、
何ひとつ、変わらない、ということなのだった。

マディ > いずれ、扉が開くまで。
眠り続ける女の安寧は、静かに、ただ静かに―――――

ご案内:「タナール砦の一室」からマディさんが去りました。