2020/11/19 のログ
ご案内:「王都 平民地区 街角」にティアフェルさんが現れました。
ティアフェル > 「うぅ……」

 宿場や酒場などの飲食店が軒を連ねる通りの一つで、苦し気に呻きながらふらふらとした足取りで進む女が一人。
 昼間の静かな顔とは異なり繁華街では今が盛りとばかりにどこも盛況で、ここ一帯もがやがやと賑わいを見せていた。
 そんな喧噪から少し外れるように道端でふらついていた歩はとうとう止まり。腰を屈して蹲ると、額を抑えて唸った。

「飲み過ぎた………」

 今夜は酒場の給仕として働いていたのだが、その際客に勧められた酒を売り上げと付き合いの為、と無理に飲み過ぎて、どうにか仕事を終えるまで耐え忍んだはいいが勤務時間が終わり、家路につく途中で――ダウン。

 悪酔いというより単純に飲み過ぎ+疲労で足元が覚束かず、ふらふらと膝が崩れてしまい、どうにか歩き出したところで転倒しかねない、と道の隅に小さくまとまって唸る情けないひと時。

「ぅー……最近呑んでなかったからなあ……キたぁ……きつい…………
 み、水……お水ほし……」

ご案内:「王都 平民地区 街角」にラファルさんが現れました。
ラファル > 平民地区の一角を、ぱたぱたーっと、走っているのは一人の幼女。今は秋口で肌寒くもなっている筈なのに、その恰好は、胸にベルトを巻き付けただけ。
 下半身は短パンという、悪ガキスタイルといって良いだろうラフな姿。腰につけている短刀はその恰好にそぐわないが、とても高価な物だという雰囲気で。
 バックパックは背中を隠してしまうぐらいに大きい。と言うよりも、その幼女が小さいという方が正しいのだった。
 元気にバックパックをゆらゆら揺らして走る幼女は、ふと、ある物体を見かけてブレーキ。

 きゅきゅいっ!とそんな音を立てて急減速してみてから、コトンと頭を傾ぐ。
 すると、ツインテールが重力に負けて、傾いだ方にさらりと揺れるのだった。
 道の隅っこに、コンパクトに蹲っている様子の人。

「んー……?」

 どっかで見たことあったかなー?なかった気もするし、ある気もするし。
 うーん、と首を傾げつつちょろり、と近づいていけば、水を求める声。

「水、と、ミミズ、どっちが欲しー??」

 にぱーっ、とはなまる笑顔で問いかける幼女。
 クンクンと匂いを嗅いで、お酒の匂いで彼女が水を欲しているのは判るけれど。
 み、みず……と言うあのフレーズ。
 お約束、と言わんばかりのボケを一つ。
 竹で出来た水筒を、あい、と差し出すのは、ちゃんと必要なものは、判ってるつもり。

ティアフェル > 「飲み過ぎたのは~お客のせいよ~……」

 路傍で掠れ切った声で口ずさみながら虚ろな目で空笑いする女。
 やばい、変な幻影が見えてきそうだ。このままだと何ならちょっとくらいは気絶する……そんな風にヤバ味を滲ませていたその時。

 暦の上ではなんなら冬ですが、やたら涼し気な格好の元気そうな小さな女の子が、脇を通り過ぎて行――かず、急停止して近くに立つ。

「………?」

 最初はたまたまかと思った、というか気を向けたりそれについて考える余裕が足りていなかった、が、そちらから声を掛けられてようやく意識を向け。

「………なんだその究極の二択……。
 ボケとして10点。――なんて、なんて、思ってないよ……っ? 云っただけで思ってないから、ありがとうっ……」

 思い切り落第点を反射的につけてつっこんでから、水筒を差し出してくれていて、ミミズの影もない様子に、急いでいいつくろって、ぱしん、とその水筒を慌てていただいて。両手で持つなり蓋を開け、っごっごっごっごっごと喉を鳴らして勢いよく呷り、

「っげほごほ、えふっ……」

 噎せた。定番のオンパレードをカマした。

ラファル > 「弱い女の愛しさよ~?」

 魂が、宇宙(ソラ)へと飛んで行っているような眼をしている、こう、お金を数えている時の一番上の姉とか、魔法を研究している時の二番目の姉の様な、そんな目だ。
 あれだ、声を掛けても帰ってこないんじゃないか、とかそんな気がするような眼に見える。生きる力が足りなさそう。
 聞こえてきた歌に相槌売ってみるのは何となくだ、理由は、無い。

「10点。何点中?おねーさんの、本気の評価、ボク、知りたいな!」

 じー。きらっきらっきらっ。目が輝いている。ボケに突っ込みは、やり取りのドッヂボール大会の始まりだ。そこから、楽しいが生まれる。
 そう、漫才の相方を探す売れない系の芸人の様な。そんな、サムシング。
 別に会い方を探しているわけでは無くてやっていることは、普通に救護とか介護とかそっちの方面だけど。
 でも、何事も楽しくなきゃと、幼女は思うし、実行する。

「―――、お代わり、居る?」

 咽てる、盛大に咽ている。お酒の匂いを充満させている彼女。
 とりあえず背中をさすりさすりと撫でてあげる幼女、酔っぱらった相手にはこれが良いのだ。
 そして、新しい水筒。
 だいじょぶ?いきてる?女の人の顔を覗き込む。じーっ。

ティアフェル > 「まさかの続き。プラス50点。総評60点」

 凄くナチュラルに幼い声が続きを口ずさむもので、思わず「ぐぬぬ、デキル……」と喉奥で唸り舌を巻く。しかし、評価は辛口だった。
 酒が回っている脳では正常な判断はつけられないだろうが。

 つぶらなお目目が見てる。めっちゃ見てる。酔っぱらって赤らんだ眼差しでは眩しすぎるくらいの澄んだマナコ。てゆうか今の時間にこんなちっさい子がなにしとんねん、とちょっと残ってる冷静な自分は思わないでもない。

「っふ、わたしの評価が聴きたくば――ごめん、どうでもいい、おかわり下さいッ」

 カッコつけてキメ顔作って、アホな答えを不遜なまでの態度で口にしようと思う余力は――あんまりなかったもので、それよりお水のおかわりがほしくて、猛烈に肯いて平伏せんばかりの勢い。背中をさすって介抱してくれる瞳に、うん。生きてる、どうにか、と力なく肯いた後。

「…………。持って帰ろうコレ……」

 なんぞ呟いた。がし、と彼女のその小さな肩を掴んで決意していた。誘拐を。

ラファル > 「おお……っ!増えた…!」

 辛口でも、加点は嬉しい、褒められた気がする。幼女はわーい!と素直に喜ぶことにする。それなら、もっともっと、増えるかもしれない。
 期待にわくわくを止められない系幼女。頭からっぽで夢詰め込めるタイプだ!
 金色のお目目は、じっと、女性の事を見つめてます、ぐったりしてたし、緑色の瞳はなんかこう、藻のように光を失っていたし。
 それに、女性を放置して居たら、兵士さんとか盗賊さんとか、いろんな人が、性的に頂きます!するような国だから。
 手を差し伸べたなら、最後まで面倒を見ないとだめなのです。そう、教わってるから。

「あーい。どぞ!」

 きら……っ!としかけた所で、お水に流されてしまいました。やはり、お水が欲しいのでしょう事が、良く判る。竹の水筒の中の程よく冷えているので、屹度のど越しにも優しい。
 火照った体に丁度良く、沁みてくれるだろう、お酒を飲むと水が欲しく成るものなのだ。

 良く判るから、幼女はお水をお代わりもう一つと。

「……にゃ?」

 がっし、つかまれた。すごい力だ。幼女は目を瞬く。
 別に、恐怖でおののいたりとかしない、にへーっと笑う。

「はい、チョコ。お酒飲んだ後、チョコレートとか、甘いもの食べると、早く分解できるよっ!」

 誘拐されるとか、そんなこと、気にした様子無く。
 小さな手のひらに、一個、甘くておいしいミルクチョコレート。包装紙を外してはいどーぞ。と。
 ゴーイングマイペースにも、程がある。

ティアフェル > 「君は伸びる子や……伸びしろで一杯や……夢中になれることがいつか君をすげえヤツにする……」

 あの星のように輝け、原石、と適当に指差した夜空の先は……曇っていたが。
 お構いなしで示して、ある程度満足した。それにしてもこんな酒で赤くなった顔を幼子に覗き込まれるのはよろしくないなあ、「いやん、そんなに見ないで」と取り敢えずおどけて見る。
 
「ゴチになります!」

 いただいた二杯目、おかわり水筒をごくごくごくと喉を鳴らして一気飲み。小気味いぐらい甘露たる命の水を身体に吸収させて、ぷは、と息を吐き出しやっと落ち着いてくる。

「っはっふー! 生き返った、生き返ったよお嬢ちゃん! ありがとう!」

 一連の流れは19歳女、というより完全にオッサンだったが、大分調子を取り戻した様子で晴れやかにお礼。掴んだ手は放してない。

 チョコレートを包み紙を取って差し出してもらうと、

「やあーん、気が利くぅー。ありがとー、良く知ってるねえ、賢いねえ。
 食べさせてー、あーん」

 まだ酔いは残っているらしい、かなりなローティーンの少女に甘ったれて口をあーんと開けてチョコ待ち。アホである。

ラファル > 「わーい。ボク、頑張るよー!毒食らっても堪えて光指すほうてのなるほーへ!」

 空を見上げよう、あ、曇ってる。まあ、そういう時もあるだろう、曇りは曇りで味がある。だって。その雲を抜けば満天の星空があるんだから。
 それを知っている幼女は、見えなくても落胆はしないのだ。
 おどけて言う言葉。

「……これが、おとなの、えろすっ……!」

 くわっ。

 幼女はその言葉に反応した。いやんそんな見ないで。ええ。この言葉は屹度、時と場合を選べば男の人をひゃっほうさせる、そう、信じた。
 間違いだらけの性教育、完。
 それは兎も角、二杯目の水。一個目の竹の水筒をバックパックにひょい、と放り込んで回収する姿は慣れていて。
 二杯目を飲んでいる様子をのんびり眺める幼女。

「道端の隅っこで面白いぐらいにコンパクトになってたから気になったの。
 えへへ、元気になってよかったね!」

 晴れやかな笑顔、血色もだいぶ良くなったようで良かった良かった、と幼女はうんうん頷く。
 放されない掌、子供特有の温かさ、ぽかぽかと、掌に幼女の体温(ぬくもり)が伝わる事だろう。

「ん、いーよ。ボク。あーんしてみたかったよ!
 はい、あーん。」

 わぁお!あーんをしてくれるようだ、年上のおねーさんが甘えてくれる姿がとてもかわいらしい。
 目をキラキラさせて口を開ける彼女にミルクチョコレートを一つ。
 一寸だけ、失礼だが……ペットを餌付けするようなイメージが頭に浮かんでしまった。
 でも。

 可愛いなぁ、と思う。

ティアフェル > 「うん。いつも心にサンシャイン、そんな大人になってちょうだい」

 噛み合っているようでまったく噛み合ってない両者の会話。ただ当人たちだけが気にしていない。

「ッフ、チビッコにはちょっと刺激が強すぎたカシラ……」

 酔っ払いうぜえとしか云えないようなうざいドヤ顔をしてわざとらしい流し目をくれた。

「なんという慈悲。優しい子……ッ。不覚にも泣ける……」

 あ、酒で涙腺緩んでいる、お水を気持ちよく恵んでくれてそんな優しい声を掛けられて、崩壊気味の涙腺。うるうるしながら、幼女誘拐を試みる魔手。捉えたで、と暖かい肩をホールド中。幼女めっちゃ逃げて、と云ってくれる人は不在。

「あー……んっ
 んんぅ、甘ーい……おいしー……」

 大人の癖に口を開けて子供にお菓子を食べさせてもらう図。
 しかしいただいたチョコは糖質が舌に心地よく蕩ける甘さが堪らない。思わずマジで目をうっとり綻ばせ、うまーうまーと陶然とする。

ラファル > 「あいっ!……あ。」

 元気にお返事幼女。でも、そういえば家庭教師のおいちゃんには弁えて生きろと言われたの思い出す。心にサンシャインは弁えになるのだろうか。
 幼女的に気になった、けど後で聞けばいいや、考えておこう。その前に、心にサンシャインという物の意味を考えて自分なりに取り込まなければならない。
 噛み合う噛み合わない会話は、迷路の中を迷走し、何処に行くのだろう。

「やべーい。ボク、もっと、勉強しないと……!」

 酔っぱらう、エロイ。らふぁる覚えた。どや顔は兎も角、赤ら顔での流し目は、色っぽい。じぃぃぃ、緑の瞳の行く末を見守る幼女。
 そして、気が付いた。緩んだ涙腺、流し目に、涙……!強い、これは、男食いまくりの、女性だ!幼女は、確信した。
 たぶん、付いて来いと言われれば、同意の上の同行に……誘拐が、成立しなくなる可能性までも!
 そして、知る人が見れば、むしろ、女性の方に逃げろと言うのだろう。屹度。

「お酒沢山飲んだんだね、酔い止め、苦いけどあるよ?飲んでおく?」

 そう言いながら、バックパックのぽっけから取り出す丸薬、この辺では見ないだろうお薬。
 家庭教師に教えてもらいながらのお手製だ、酔い止めの効果はちゃんとあるのは実験済みでもあります、自分とか師匠とかで。
 具合悪いなら、飲む?と首傾ぐ。
 なんか、こう……妹をあやしてるような気がしてきた。

ティアフェル > 「ん?」

 いいお返事をしていた少女が急に考え込むような調子になった。
 あ、これきっと我に返ったってヤツだわ。と間違った察し方をしてそっと目を反らした。その内キラキラの金瞳が冷たい目に変わっていくのを観たくない。そんな悪い想像をして。

「大丈夫よ、女子はちょっぴりおバカなくらいがかわいいって、そう、わたしのようにな!」

 こいつは大分バカだしついでにゴリラである。お勉強と焦る子に学べと云わずに堕落を唆す駄目な大人。
 しかし無駄にえっへん、と謎の自尊心を発揮して胸を張る。
 なんだか、色々ハズした流し目やらなんやらが功を奏している。これはいけるヤツや。持ち帰れるヤツや。と確信すら抱き。

「うっふっふ、おねえちゃんと一緒に帰ろーねー。大丈夫だよーアブなくないからねーゲヘヘ」

 変態でしかない発言をカマすやばい女。無垢過ぎる小さな女の子を相手に連れて帰ってうちの妹に…!と変な野望を抱きはじめていたのだった。もう姉は要りませんけど、というくらい彼女は姉に恵まれているらしいが。知らないもので。

「ん? ああ、すごいね。君の鞄って魔法の鞄みたい、なんでも出てくるのね!
 でも大丈夫、お水いっぱい貰ったし、チョコも食べたから、お陰様で楽になったよ」

 お薬まではさすがに遠慮。実際暖かい介抱のお蔭でかなり改善した。にへ、と相好を崩して。ありがとありがと、とそのツインテールの間の頭の上で柔らかく手を弾ませるようにしてなでこなでこ。

ラファル > 「んー?」

 目を逸らし始めた彼女、視線が戻った所で、あれどうしたのだろう?幼女は頭にクエスチョンマークを浮かべて見せた。
 何かあったのだろうか、後ろを見てみる、誰もいない。彼女の方に向き直る。
 ま、いっか、と幼女は、考えることにした。

「え……っ。じゃあ、ボク可愛い女の子なれない?お家で、お勉強してるのに……!」

 がーん。shockだ!幼女は自宅に家庭教師を招いているし、さらに言えば、家庭教師と一緒に色々学んでいる、楽しいし、うれしいのだけども。
 あほの子がかわいいのだと言われて、無駄に覚えた知識は可愛さを損なうものと誤解、金色の眼がうるり、と水分多くなる。
 しかし、だ。確かに可愛かったし、胸を張る姿、その胸のぽよよん具合を、スカウターさながらの眼で見て、納得しかけてしまうのだ。

「あーい。帰るー!」

 一本釣り成功!今日日の子供、此処迄ちょろくない筈だ。ぐへへとか言ってるお酒によっでぐったりしているおねーちゃんに即答で答えた。
 あい、と手を差し出す。帰るなら、おてて繋ぐよね、と。

「あい。冒険者だから!何があっても良いように、いろいろ詰めてるんだ!特に、水とか、食料とか、くすりは重点的に!」

 楽になったというなら、お薬は良いだろう。相好崩して笑ってくれる可愛い顔に、ようじょもにへー。とつられて笑う。

「わわわ!わわわ!!!」

 頭なでなでしてくれた!嬉しい。
 幼女は、なでこなでこしてくれたので、ありがとー!と、抱き着くのだ。頭すりすり。懐いた。